論文紹介 ブランド・マネジメント 定番キャラクターの共通要因 論文紹介 ブランド・マネジメント 定番キャラクターの共通要因 2009-06-10 馬 橋琳
目次 はじめに ハローキティ ドラえもん スヌーピー 事例からの示唆 おわりに 出典
はじめに この研究では、定番キャラクターの事例を取り上げ、それらの共通要因を解明し、付加価値を高めるブランド・マネジメントについて考察。 この研究では、定番キャラクターの事例を取り上げ、それらの共通要因を解明し、付加価値を高めるブランド・マネジメントについて考察。 事例研究 1.ハローキティ 2.ドラえもん 3.スヌーピー
1 ハローキティ 1.1 歴史 1974年サンリオの子供向けギフト商品などのキャラクターとして誕生。 1 ハローキティ 1.1 歴史 1974年サンリオの子供向けギフト商品などのキャラクターとして誕生。 1980年に山口裕子がデザイナーとし、段階的にキャラクターを変化させ、中高生からニューファミリ(母親・子供)へと拡大。 1990年には多摩センターにピューロランド、1991年には大分にハーモニーランドが開園。
1.2 分析 キティ商品の市場規模は1997年で3000億円、ギフト商品の80%のシェアを占めた。商品は2万アイテムを超える。 購買層は幼児から大人まで。 サンリオショップそのものが広告塔であり、メディアの露出度は少ない。
1.3 成功要因 キティのキャラクターの薄さ。 時代の空気を吸収している点。 長寿キャラクターの強み。
2. ドラえもん 2.1 歴史 1970年小学館の学年誌に掲載。 1973年にはアニメの放映開始。 1974年単行本が発売。 2. ドラえもん 2.1 歴史 1970年小学館の学年誌に掲載。 1973年にはアニメの放映開始。 1974年単行本が発売。 1977年には小学館のコロコロミックで連載。 1980年以後は毎年劇場版映画が製作。
2.2 分析 商品規模は1990年で1千億円。 購買決定プロセスとしては、漫画やテレビから入り、グッズ購入に至る。 低い年齢層の人に愛されている。
2.3 成功要因 箱庭的な世界観。 飽きない内容で漫画の購買。 子供にとっては主人公への共感、親にとっては安心感が購買行動に影響している。
3. スヌーピー 3.1 歴史 1950年に米国新聞連載漫画「ピーナッツ」が開始。 1955年米国最優秀漫画賞を受賞。 1966年グッズ販売が日本に先行。 1990年には専門売り場100箇所を全国展開。 1995年には漫画シリーズが大人向けに販売。
3.2 分析 商品の市場規模は1998年で700億円。 日本ではグッズの売上が世界市場の50%を占める。 購買層は20代前半の女性が多い。
3.3 成功要因 アメリカでの成功要因は、アメリカ人の文化や時代に忠実であり、身近な存在として感情移入しやすいストーリーにある。 日本ではかわいい、癒しなどの理由が購買行動に影響している。
4. 事例研究から ブランド・マネジメントへの示唆 4. 事例研究から ブランド・マネジメントへの示唆 定番キャラクターになるためには、少なくても数十年という長い年月の間、人々に愛され続けなければならない。 長く愛されるキャラクターは、顧客ロイヤルティにより繰り返し購買や使用されることで、企業に収入をもたらすことになり、財政基盤を強化させる役割を果たすことになる。
5. おわりに キャラクターを創り出すのは人間である。定番キャラクターを生み出し、企業がそのキャラクターによって収益を得続ける。 そのため、企業は芸術家(デザイナー、製作者など)が自らの能力を充分に発揮できるよう、またチームとして個人個人がコラボレーションできるように、セルフ・マネジメントを促すマネジメントをしていくことが課題となる。
出典 大木裕子, ブランド・マネジメント ― 定番キャラクターの共通要因, 尚美学院芸術情報学部紀要, 第3号, 2002.