(昨年度のオープンコースウェア) 10/17 組み合わせと確率 10/24 確率変数と確率分布 10/31 代表的な確率分布

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あみだくじ AMIDA-KUJI 井上 康博 Statistical analysis on Amida-kuji, Physica A 369(2006)
22 ・ 3 積分形速度式 ◎ 速度式: 微分方程式 ⇒ 濃度を時間の関数として得るためには積分が必要 # 複雑な速度式 数値積分 (コンピューターシミュ レーション) # 単純な場合 解析的な解(積分形速度式) (a)1 次反応 1次の速度式 の積分形 [A] 0 は A の初濃度 (t = 0 の濃度.
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1 運動方程式の例2:重力. 2 x 軸、 y 軸、 z 軸方向の単位ベクトル(長さ1)。 x y z O 基本ベクトルの復習 もし軸が動かない場合は、座標で書くと、 参考:動く電車の中で基本ベクトルを考える場合は、 基本ベクトルは時間の関数になるので、 時間で微分して0にならない場合がある。
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
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◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
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あらまし アンサンブル学習の大きな特徴として,多数決などで生徒を組み合わせることにより,単一の生徒では表現できない入出力関係を実現できることがあげられる.その意味で,教師が生徒のモデル空間内にない場合のアンサンブル学習の解析は非常に興味深い.そこで本研究では,教師がコミティマシンであり生徒が単純パーセプトロンである場合のアンサンブル学習を統計力学的なオンライン学習の枠組みで議論する.メトロポリス法により汎化誤差を計算した結果,ヘブ学習ではすべての生徒は教師中間層の中央に漸近すること,パーセプトロン学習では
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微粒子合成化学・講義 村松淳司 村松淳司.
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
データの型 量的データ 質的データ 数字で表現されるデータ 身長、年収、得点 カテゴリで表現されるデータ 性別、職種、学歴
キャリヤ密度の温度依存性 低温領域のキャリヤ密度                   ドナーからの電子供給→ドナーのイオン化電圧がわかる                              アクセプタへの電子供給→アクセプタのイオン化電圧がわかる             常温付近                            ドナー(アクセプタ)密度で飽和→ドナー(アクセプタ)密度がわかる.
低温物体が得た熱 高温物体が失った熱 = 得熱量=失熱量 これもエネルギー保存の法則.
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22・3 積分形速度式 ◎ 速度式: 微分方程式 ⇒ 濃度を時間の関数として得るためには積分が必要
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これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
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22・3 積分形速度式 ◎ 速度式: 微分方程式 ⇒ 濃度を時間の関数として得るためには積分が必要
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(昨年度のオープンコースウェア) 10/17 組み合わせと確率 10/24 確率変数と確率分布 10/31 代表的な確率分布
外部条件に対する平衡の応答 ◎ 平衡 圧力、温度、反応物と生成物の濃度に応じて変化する
教師がコミティマシンの場合のアンサンブル学習 三好 誠司(神戸高専) 原 一之(都立高専) 岡田 真人(東大,理研,さきがけ)
Presentation transcript:

統計数理 石川顕一 http://ishiken.free.fr/lecture.html 10/17 組み合わせと確率 http://ocw.u-tokyo.ac.jp/course-list/engineering/statistics-mathematical-principle-2005/index.html (昨年度のオープンコースウェア) 10/17 組み合わせと確率 10/24 確率変数と確率分布 10/31 代表的な確率分布 11/7 ランダムウォークと破産問題 11/14 ブラウン運動と拡散 11/21 雑音

11/14 ブラウン運動と拡散 自己相関関数 ランジュバン方程式 統計数理 石川顕一 11/14 ブラウン運動と拡散 自己相関関数 ランジュバン方程式

5−1 ブラウン運動 イギリスの植物学者ブラウン(1827年) 5−1 ブラウン運動 イギリスの植物学者ブラウン(1827年) 水中の花粉の中の微粒子の運動を顕微鏡で観察し、不規則な運動をしていることを発見。 ブラウン運動(Brownian motion) 熱運動している溶媒分子からの衝突を受けて運動。 周囲の環境の分子の熱運動の影響によって生じる不規則な運動 微粒子1個のレベルのブラウン運動の力学的記述 マクロな熱力学的記述(拡散) ランジュバン方程式

自己相関関数 確率変数x(t)は、一般に時刻tとt+tとでは一般に異なる値x(t)およびx(t+t)を取る。 5−1 ブラウン運動 自己相関関数 確率変数x(t)は、一般に時刻tとt+tとでは一般に異なる値x(t)およびx(t+t)を取る。 t → 0 : x(t)とx(t+t)は近い値 t → 無限大 : x(t)とx(t+t)は完全に独立 連続する事象間の相関 → 時間間隔 t に依存 自己相関関数 時間平均

ランダムウォークと拡散現象 初期条件 4−3 ランダムウォークと拡散 揺動散逸定理 (平衡状態での)ゆらぎ 散逸・輸送 位置の分散 4−3 ランダムウォークと拡散 揺動散逸定理 ランダムウォークと拡散現象 (平衡状態での)ゆらぎ 散逸・輸送 位置の分散 初期条件 t = 0での濃度分布は? ディラック(Dirac)のデルタ関数 x = 0に集中した分布 ランダムウォークは、1次元の拡散方程式 のモデルの1つ

5−2 ランジュバン方程式 溶媒中の微粒子の運動方程式 確率的な力を導入 → ランジュバン方程式 揺動力(random force) 5−2 ランジュバン方程式 溶媒中の微粒子の運動方程式 確率的な力を導入 → ランジュバン方程式 揺動力(random force) 粘性抵抗力 異なる方向成分は無相関 時間が異なれば無相関 微粒子によっても異なる 微粒子について平均

5−2 ランジュバン方程式 拡散係数との関係 x 成分のみを考える。 温度 T で、 両辺にxをかける。 時間平均または微粒子について平均

拡散係数との関係 アインシュタインの関係式 5−2 ランジュバン方程式 10-13秒のオーダーで減衰 t が十分大きければ 拡散方程式より 5−2 ランジュバン方程式 拡散係数との関係 10-13秒のオーダーで減衰 t が十分大きければ 拡散方程式より マクロな量の測定からボルツマン定数kを決定できる。 アインシュタインの関係式 (Einstein’s relation, 1905年)

まとめ:溶媒中の微粒子の運動方程式 確率的な力を導入 → ランジュバン方程式 アインシュタインの関係式 5−2 ランジュバン方程式 5−2 ランジュバン方程式 まとめ:溶媒中の微粒子の運動方程式 確率的な力を導入 → ランジュバン方程式 揺動力(random force) 粘性抵抗力 異なる方向成分は無相関 時間が異なれば無相関 微粒子によっても異なる 10-13秒のオーダーで減衰 t が十分大きければ アインシュタインの関係式 (Einstein’s relation, 1905年) 拡散方程式より 特殊相対性理論、光量子仮説も!

5−3 速度相関関数による表現 速度相関関数 たくさんの微粒子に関する平均 粒子の変位の2乗の平均 t が十分大きいところで 5−3 速度相関関数による表現 速度相関関数 たくさんの微粒子に関する平均 粒子の変位の2乗の平均 t が十分大きいところで を拡散定数の定義と考える。 拡散係数は速度相関関数の時間積分によって表される。 平衡状態では は時間差のみの関数

5−3 速度相関関数による表現 [証明] が減衰関数なら

拡散係数は、速度相関関数を積分したもの アインシュタインの関係式 5−3 速度相関関数による表現 速度相関関数 が減衰関数なら :相関時間 5−3 速度相関関数による表現 速度相関関数 が減衰関数なら 拡散係数は、速度相関関数を積分したもの :相関時間 相関時間 抵抗係数 アインシュタインの関係式 (Einstein’s relation, 1905年)