視覚障害者への代替音声メッセージ 提供における課題 ー支援技術とその利用技術ー

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視覚障害者への代替音声メッセージ 提供における課題 ー支援技術とその利用技術ー 宇都宮大学の鎌田です.今日は、視覚に障害がある人たちへの情報提供手段である代替的な音声メッセージの作成と提供とに関する検討結果を報告させて頂きます. 2011年10月1日 鎌田一雄(宇都宮大) 米村俊一(NTT)

検討の背景と目的 視覚に障害がある人たちへの情報提供手 段の一つとして音声メディアがある. 電子メディアの利用もある.利用者は、PC あるいはインターネットが必要となる. テキストの符号化(音声コード)とテキストの 読み上げ技術を利用すると、専用読み上 げ装置だけで音声メッセージが利用でき る. まず、検討の背景と本検討の目的を述べます. 視覚に障害がある人たちは、通常の視覚的な文書を、直接、受容できません. このため、視覚に障害がある人たちへの情報提供では、例えば音声メディアを利用して聴覚的に受容できる代替情報提供が利用されています.最近は、電子メディアによる提供もあります.この場合は、コンピュータあるいはインターネットが必要です. ここで対象とするテキストの符号化と、テキスト読み上げ技術とを利用する音声メッセージ提供では、テキスト読み上げの専用装置のみを用いて、情報を得ることができます.

検討の背景と目的 専用装置による代替音声メッセ−ジ伝達に は、PC、インターネットは必要ない. 検討の課題:専用のテキスト読み上げ装置 を用いた代替的な音声メッセージは視覚 障害者の情報アクセスに有用か? 実際に使用されている音声コード付き文書 の調査から、利用環境の改善課題を利用 技術の視点から考える. このように、専用装置を使用する音声メッセージ提供の方法では、コンピュータ、インターネットは不要です. ここでは、専用の読み上げ装置を用いた音声メッセージ提供が、視覚障害者の情報アクセスに有用かどうかを検討の対象とします. 現在使用されている、音声コード付き文書の調査し、代替的な音声メッセージの利用環境を改善するために必要な課題を、利用技術の視点から考えます.

発表の主張 コンテンツ作成が代替的な音声メッセージ の有効性を決定する重要な要因である. コンテンツ作成に関わる人達にとって、テ キスト符号化と音声読み上げ技術との特性 に関する知識・認識が必要である. 技術を有効に活用するには、メタ技術とし ての利用技術の理解が必要である. 報告の主な主張は、つぎのようになります. まず、専用読み上げ装置を用いた代替的な音声メッセージの有効性を決定する重要な要因の一つが、音声通報サービスにおけるコンテンツ作成であることを述べます. つぎに、実際にコンテンツ作成に関わる人たちが、テキスト符号化と音声読み上げ技術の特性に関する基礎的な知識を持つこと、また、その重要性を認識することが必要であることを述べます. 最後の主張は、音声コードと、テキスト読み上げ技術を用いる音声メッセージ提供では、利用技術というメタ技術の理解が、サービスの有効性に必要なことを述べます.

音声コード-二次元符号- 切り込み コード位置を表示 コードの大きさ : 18mmの正方形. コード容量:800文字. この図は、文書に印刷されている音声コードの例です.ひとつの音声コードで、約800字が表現できます. 音声コードは、通常の場合、文書の右下部分に印刷されます.その位置表示に、用紙の右下部分に切り込みがあります. 冊子の場合は、通常、各ページに音声コードが印刷されています. コードの大きさ : 18mmの正方形. コード容量:800文字.

読み上げ装置 らくらくフォン 専用読み上げ装置(Tellme) この写真は、音声コードの読み上げ装置です. 左側が市販されているテルミーと呼ばれる商品です. 右側は、携帯電話のらくらくフォン3です.音声コード読み取りのための付属品を取り付けて、音声コードの読み上げができます. 専用読み上げ装置(Tellme) らくらくフォン

代替音声メッセージ サービスの構成 音声コード 文書 音声コード文書作成 テキスト表現 作成者 符号化 音声コード文書 変換ソフト 利用者 この図は、代替音声メッセージサービスの全体構成を示しています. 音声メッセージサービスは、いくつかの部分システムから構成されています. 最初に、対象となる文書を、表や図面なども含めたすべてをテキスト表現します.このテキストが符号化の対象となります. つぎに、専用の符号化ソフトウエアによって、音声コードを作成します. 音声コードは、先ほどお見せしましたような二次元符号で、1つのコードで約800字が表現できます. 作成された音声コードは、通常は、もとの文書の各ページに印刷して、音声コード付き文書を作成します. 利用者である視覚障害者は、音声コード付き文書を読み上げ装置にセットし、装置を操作しながら音声メッセージから欲しい情報を入手します. 符号化 変換ソフト 音声コード文書 利用者 音声 読み上げ装置 音声コード 操作

技術を使うための利用技術 支援技術とそれを実際に使うための利用 技術(支援技術とそのメタ技術). 代替音声メッセージのための装置・システ ムを構成する支援技術(システム構成技 術). 代替音声メッセージ提供サービスにおける コンテンツ作成などのメタ技術(利用技術) が重要. 以上のような過程を経て、利用者に音声コード付き文書が提供されます.このとき、利用者にとって重要なことは、音声コードとして記録されている内容を、装置を操作して音声メッセージとして再生できること.さらには、音声メッセージから必要な情報が大きな負荷なしに入手できることです. 以下では、システムを構成している技術だけではなく、それらの技術をどのように利用するかという、技術のメタ技術である利用技術が重要であることを述べます. 代替的な音声メッセージの提供においては、音声コードの作成と復号の技術、機械によるテキストの読み上げ技術、またこれらを組み合わせて専用的な装置をつくり上げる技術などがシステムを構成する技術群です. 実際に、利用者一人ひとりが、装置を操作して情報が入手できるものとなるためには、音声コード付文書、すなわちコンテンツ作成における利用技術が重要です. このことを、簡単な実験から得られたシステム課題として述べます.

課題 -音声コード文書の構成- 利用者は、音声コード付き文書と専用読 み取り装置とを操作して、音声メッセージか ら必要な情報を入手. 読み取り装置で確実に操作できる音声 コード付き文書の構成が必須. 音声コード付きが1枚紙(チラシ)の場合 は、ほとんど問題がない.しかし、冊子の場 合は、機器での操作ができないことがあ る. 音声メッセージサービスにおいて、利用者は、音声コード付文書と読み取り装置を操作して、音声メッセージから情報を入手します. この過程では、音声コード付き文書がきちんと読み取り装置にセットできること、さらには装置を操作して必要な情報が入手できることが、絶対に必要です. 音声コード付き文書を装置にセットして装置を操作することを考えます. まず、音声コード付き文書が紙1枚のチラシのような場合には、特に操作上の問題は、ほとんど起きないようです. ところが、冊子の場合、特に冊子が厚い場合には、それぞれのページに音声コードが印刷されていても、冊子のページを読み取り装置にセットして操作ができないものがあります. 音声コード付き文書作成では、確実に読み取り装置に文書をセットでき、必要な音声メッセージを探して読み取ることができる文書であることが必須です. すなわち、音声コード付き文書は、単純にもとの文書の各ページに音声コードを印刷しておけばよいという考え方は、まったく利用できないものをつくってしまう危険があります.これが、音声コード付き文書の構成課題です.

課題 -読み上げ誤り- 機械によるテキストの読み上げには誤りが 生じる(現在の技術的限界). 読み誤りの制御:音声コード作成用のテキ ストで調整する方法しかない.(例)人名・ 地名などのひらがな表記. 誤りがなく、わかりやすい音声メッセージ作 成には、文書のテキスト表現過程における 調整が必要. つぎは、音声メッセージにおけるテキスト読み上げ誤りの課題です. 現在のテキスト読み上げ技術は、完全ではありません.すなわち、読み上げ誤りが生じます. 音声コードとテキスト読み上げ技術とを用いた音声メッセージ提供においても、テキストの読み上げ誤りが起きます. 符号化のためテキストの調整しか、読み上げ誤りに対処する方法はありません.実際の調整方法としては、正しい読み方が難しい人名、地名などは、ひらがな表記に書き換える表記方法です. さらには、もとの文書の内容が音声メッセージとして、わかりやすいかどうかは、音声コード用テキストの記述と内容とに依存します. すなわち、音声コード用テキストの作成は、メッセージ読み上げの誤り、メッセージのわかりやすさに大きな影響を与えます.逆に言うと、メッセージの読み上げ誤りと、わかりやすさとは、音声コード用のテキストの記述に依存しています. 十分に注意したテキスト記述が要求されることがわかります.

課題 -音声記事の探索- 音声メッセージは線形構造. 利用者にとって、必要な音声記事を簡単 に探すことができる構造と方法とが必要. 文書に対応するテキストの作成過程で考 慮が必要. 視覚的な文書は、拾い読み、読み飛ばし が簡単にできる.しかし、線形構造である 音声メッセージでは難しい. 最後の課題は、音声メッセージの探索です. 音声メッセージは、線形的な構造です.最悪な場合は、メッセージを最初から聴きながら必要な記事を探すことになってしまいます.実施した簡単な実験でも、この現象が起きました. もちろん音声コードの印刷形態から、もとの文書のページ構造が音声メッセージの構造ともなります.ですから、常に完全な線形構造ではありません. 必要な記事を、音声メッセージから探し出すことができるようにするには、音声コード用テキストの作成方法を考えなければなりません.先ほど述べた、印刷文書の構造などを有効に利用することが必要です. 視覚的な文書は2次元的な探索ができますし、読み飛ばしも簡単です.しかし、音声コードを用いる音声メッセージでは、このような探索は不可能です.目次の作り方、文書構造などの配慮が必要です.ここでも、音声コードを各ページに印刷すればよいという単純な判断では、有効な音声メッセ−ジ提供につながらないことがわかります.

利用技術 音声コードと専用の読み上げ装置などの 特性を知らないと、利用者が本当に活用で きる音声コード付き文書は提供できない. 装置の操作者が確実に利用できる音声 コード付き文書(コンテンツ)作成には、シ ステム利用のための知識が必要. コンテンツ作成者が利用技術(メタ技術)を 身につけることが必要. もう一度利用技術について述べます. 音声コードとテキスト読み上げ技術を利用した代替的な音声メッセージ提供が有効となるためには、コンテンツの作成者がサービスの構成技術に関連する知識を理解する必要があります.音声コードとテキスト読み上げ技術、さらには読み上げ装置の特性など支援技術の理解が必要です. さらには、利用者の音声コード付き文書を読み上げ装置操作も知る必要があります. これらの知識は、装置を直接的に構成する技術そのものではなく、それらの技術が利用される状況における技術の特性、すなわち特定の技術の利用技術と呼ぶものです. 代替的な音声メッセージ提供では、装置とそれを実際に使用する視覚障害者の課題よりも、音声コード付き文書を作成し、提供するコンテンツ作成側の課題が重要と考えます.サービスの有効性は、いかにして実際に利用できて、役に立つコンテンツを作るかに依存しています. 音声メッセージサービスを有効なものとするとするためには、コンテンツの作成、提供者が、システムを構成している技術の利用技術をきちんと理解することが重要です. 

まとめ(1/2) 視覚障害者への代替的な音声メッセージ サービス(情報アクセス)を、実質的に有効 なものとするための利用技術. コンテンツ作成者が、システムを支える技 術を理解し、利用技術と呼ぶ支援技術を 使うための知識を持つことが必要. 以上、音声コードとテキスト読み上げ技術、および専用の読み取り装置を用いた代替的な音声メッセ−ジサービスの課題について述べました. 視覚に障害がある人たちへの代替的な音声メッセージ提供サービスを、実質的に有効なものとするには利用技術と呼ぶメタ技術をコンテンツ作成者が理解する必要があることを述べました.

まとめ(2/2) 専用ソフトを利用すれば大丈夫、音声コー ドを文書に添付すれば大丈夫という考え方 は、思考停止となる. 支援技術の特性を知らない、すなわち利 用技術を認識しないと、有効なサービスの 構築(サービスの提供)につながらない. 利用技術の認識がないと新たな差別を作 り出す危険がある. 専用ソフトで音声コードを作成し、もとの文書の対応するページ位置に印刷して提供すれば、視覚障害者は視覚的な文書内容が理解でき、情報アクセスが改善するという単純な考え方は、実際のサービスの状況をきちんと捉えることを阻害してしまいます. 支援技術の特性を知らないと、すなわち利用技術を理解しないと、有効なサービスの構築へとはつながりません. さらに、不十分なコンテンツの作成と提供は、新たな障害者差別を作り出すことにつながります. 利用技術の役割の理解が必要と考えます. 以上で報告を終わります.ご静聴、有り難うございました.

視覚障害者への代替音声メッセージ 提供における課題 ー支援技術とその利用技術ー 鎌田一雄(宇都宮大) 米村俊一(NTT)