経過のまとめ 家族歴、基礎疾患のない14歳女性 筋力低下、嚥下障害を主訴としてDM発症 DMは、皮膚症状と筋生検にて確定診断 ステロイドでいったん症状は消失して退院 当院紹介までの約1ヶ月間に体幹失調と 上肢の振戦が急激に出現・増悪 ステロイド減量で症状が改善する印象あり 6年の経過で少なくとも著明な進行はない
身体所見のまとめ 知的障害なし ADLも自立しバスで通勤 DM時期には、振戦が見られなかった DM改善後は、筋力低下がみられておらず CKがたまに上昇する以外の症状なし 神経学的には、舌の萎縮と体幹失調と上肢 振戦、左優位の軽度腱反射亢進のみ 感覚障害、膀胱直腸障害なし 振戦に対してCZPが著効している
検査所見のまとめ 一般血液および髄液では明らかな異常なし DRPLAのリピート数は正常範囲(13/21) 生理検査は、下肢伝道速度遅延以外正常。 失調出現後約1ヶ月半のMRIで小脳萎縮あり 小脳萎縮は、4、5年の経過で見ると緩徐に 進行している オリーブ核の変化は数年遅れて出現 腫瘍スクリーニングは陰性
200X年7月(14歳) 200X+3年8月(17歳) 200X+5年10月(19歳) (未検査)
オリーブ核病変の推移 200X年7月(14歳) 200X+3年8月(17歳) 200X+5年10月(19歳)
参考までに 小脳求心路障害が中心となるので、LCCAや SCA6が鑑別に入るが、発症年齢が若年であ る点や眼振がない点が典型的でない。 腱反射亢進やNCV低下は、SCDに関連した 報告例もあり、一元論で考えられる。 舌萎縮も関連している可能性を考える。
議論していただきたい点 一元論で説明することはできないか? オリーブ核の病変は、時間経過も考慮すると 小脳萎縮に伴う二次的変性であるのか? 後半は脊髄小脳変性症としてよいか? ステロイドが症状に影響している可能性は? 二元論として、二つの疾患が1ヶ月の間隔で 引き続き起こった機序は?