食の安全・安心について考えよう! 食の安全性向上のための社会システム くらしのフェスタ 2004 主催: 福岡県、(財)福岡県消費者協会 くらしのフェスタ 2004 食の安全・安心について考えよう! 主催: 福岡県、(財)福岡県消費者協会 食の安全性向上のための社会システム ◆◆◆ 農場から食卓までの協力体制 ◆◆◆ 鹿児島大学 岡本嘉六 ● 食生活における不安をなくし、安全性についての自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努力が必要とされている。 ● 衛生対策の強化には、モノも労働も必要です。その経費を公正に負担する社会システムを皆で考え、作り上げよう。 ● 安全性についての正しい知識と理解を広げることが、何よりも大切である。
● 精密検査は、牛肉の安全性を確保するための方法ではなく、牛における流行を調べる手段である。 パート1 ● 精密検査は、牛肉の安全性を確保するための方法ではなく、牛における流行を調べる手段である。 ● 牛肉の安全性は、特定危険部位の除去によって達成される。 ● 「全頭検査」は、税金の無駄使いである。
食品の安全性の観点からより不安を感じているもの 内閣府食品安全委員会: 平成15年 食品安全モニター・アンケート調査 農薬 輸入食品 添加物 汚染物質 組換え食品 健康食品 微生物 飼料 プリオン 既に半数以上のヒトは、BSEパニックを卒業し、米国でBSEが発生した時点では未検査の「在庫牛」を食べるために行列ができた。 にもかかわらず、「全頭検査問題」によって再び「不安」を増幅する輩が息を吹き返した。 器具・容器包装 カビ毒・自然毒 ウイルス 放射線照射 新開発食品 動物用医薬品 肥料 異物混入 その他 10 20 30 40 50 60 70 80 % 食品の安全性の観点からより不安を感じているもの 内閣府食品安全委員会: 平成15年 食品安全モニター・アンケート調査 「食の安全性に関する意識調査」結果
値段にコダワル男性=47.8% Q:昨年末の米国BSEによる米国産牛輸入規制後、牛丼屋に行く頻度はどうなりましたか? リンク 調査名: 昼食についてのアンケート 調査期間: 2004年2月9日~12日 調査対象: 25~59歳以下の社会人男性 回答数 : 558人 日本で発生した時には、在庫牛を処分したが・・・ 米国のように肉骨粉輸入を法律で禁止しなかった落ち度を責めたが・・・ Q:牛丼に対する気持ちはどれが一番近いですか? ◇ 国産牛等の安全が保障されているなら、値段が高くなってもかまわない 値段にコダワル男性=47.8% 悲しき者、汝の名はオノコ。 カマビスシキ「安心」など、どこ吹く風。 安くて栄養のある昼飯は何処。
社説にみる全頭検査問題 Yahoo! 「日本のBSE対策」より それから 答申後 答申前 最近のニュース 日米BSE協議 国民不安ぬぐう枠組みに 熊本日日新聞 (10月24日) BSE対策 米国にも「安心」求めよ 沖縄タイムス (10月21日) BSE検査見直し 「二枚舌」では戸惑う 中国新聞 (10月20日) BSE対策/落差埋め消費者に安心感を 山陰中央新報 (10月19日) BSE対策 問われる小泉政権の信頼性 熊本日日新聞 (10月18日) 全頭検査補助金/摩擦の火種にならないか 神戸新聞 (10月18日) 全頭検査見直し/補助金支給は筋が通らぬ 神戸新聞 (10月14日) BSE対策 無用な混乱は避けるべきだ 熊本日日新聞 (10月10日) BSE検査見直し/時間をかけ丁寧な説明を 山陰中央新報 (9月17日) BSE確認 正確な情報で混乱回避を 熊本日日新聞 (9月15日) 全頭検査見直し/あくまで科学的結論を基本に 山陰中央新報 (7月25日) BSE対策 米国にも「安心」求めよ 沖縄タイムス (10月21日) それから 全頭検査補助金/摩擦の火種にならないか 神戸新聞 (10月18日) 答申後 答申前 全頭検査見直し/あくまで科学的結論を基本に 山陰中央新報 (7月25日) 「全頭検査の継続望む」68% 県内消費者アンケート 熊本日日新聞 (11月19日) BSE対策、年内答申微妙 食品安全委で異論続出 (共同通信10月26日) 最近のニュース
全頭検査見直し/あくまで科学的結論を基本に 山陰中央新報 (2004年7月25日) 答申前 全頭検査の見直しについてはいま、内閣府の食品安全委員会が専門的な立場から検討を進めている。あくまでこの作業を見守り、結論を待つべきである。その分、時間がかかってもやむを得ない。食の安全・安心はあくまで科学的根拠に基づいて判断すべきものであり、政治の道具に利用されるのは許されない。 政府は日本で初めてBSE感染牛が見つかった直後の2001年10月に全頭検査に踏み切った。国産牛肉への不安が広がって消費が急減、消費者の不安を解消し、牛肉消費を回復させるための、いわば緊急避難措置だった。全頭検査が消費者の信頼回復に役立った。 しかし全頭検査を実施しているのは日本だけである。BSEの発生が多い欧州連合(EU)は30カ月以上を検査対象としている。 BSE対策で最も大切なのは危険部位を完全に取り除くことだ。除去が確実に行われれば牛肉の安全は保たれる。
全頭検査補助金/摩擦の火種にならないか 答申後 神戸新聞 (2004年10月18日) 消費者対策といいながら、実は、解禁される米国などの輸入肉に「非関税障壁」を設けることではないのか。 厚生労働省と農水省が牛海綿状脳症(BSE)対策の見直し案を食品安全委員会に諮問した。 当初は一部補助が伝えられていたが、全額となると、ほとんどの自治体が希望するとみられ、事実上、国産肉の全頭検査は継続される。 これは自己矛盾ではないか。 食品安全委から「生後二十カ月以下の感染牛を現在の検査法で発見するのは困難」という答申を受けて、これから検査対象の緩和を行おうというのに、一方で、それを事実上、否定するようなことをする。 補助金は新たに二重基準を作ることになる。それがまた消費者不安を助長する。 見直し案はBSEの発生した米国などの二十カ月以下の牛肉を検査なしで輸入再開する道を開く。その結果、検査した牛肉とそうでないものと、二種類が国内で同時に出回るからだ。 そうした二重基準の問題は、新たな貿易摩擦の火種になる恐れがある。米国産の牛肉は、二十カ月以下が八割と主力となっている。しかも、日本の業者の差別化戦略が国の補助金によっているとしたら、世界貿易機関(WTO)へ提訴するといった事態にもなりかねない。 委員会がこれにどういう判断を下すか、注目されるところだが、消費者本位で、一から議論をやり直した方がいい。
「安心」 BSE対策 米国にも「安心」求めよ それから 沖縄タイムス (2004年10月21日) 「安心」 それから 県は引き続き全頭検査を実施する。牛肉への安心、安全を求める「消費者の理解」を得るためだ。多くの自治体が全頭検査を続ける意向という。 国内対策は緩和されるが全頭体制は維持される、という一見ちぐはぐな方針は、「安心」を求める消費者心理を自治体が敏感に感じとったためだろう。 裏を返せば、検査緩和に国民の理解が、まだ十分得られていないということではないか。 諮問された見直し案は、生後二十カ月以下の牛を検査から除外するほか、脳など特定危険部位が適切に除去されているかどうかの定期調査や飼料の規制強化など四項目。 食品安全委が九月に打ち出した「生後二十カ月以下の感染は発見困難で、検査対象から外しても人への感染リスクは増えない」との見解に沿ったものである。 科学的裏づけに基づいた見直しであっても、国民が不安を抱くようでは食品安全行政として万全とは言えない。消費者にデータを提示し、平易な言葉で説明し、地道に意見集約を図る作業が必要だ。 政府案は、国内と国外で二つの基準が存在する「ダブルスタンダード」にもつながる。 米国から輸入が再開されれば、二十カ月以下の米国産牛肉は検査なしで店頭に並ぶことになり、検査済みの国産牛肉と市場で混在する。混乱するのは消費者だ。
安全 信頼性 品質・安全性保証 安心 健康障害の発生確率 「安全・安心」がセットで使われるが、科学的には何を意味するか? “Food Safety” とセットされた表現が英語であるか? 安全 信頼性 品質・安全性保証 安心 健康障害の発生確率 科学に基づかない大衆心理は、 古代へのノスタルジアか? それとも、 21世紀のファシズムか? 「消費者の機嫌取り」は、科学に反する! 「ナチュラル=安心」は、フグ、キノコによる死亡事故を生んでいる! Understanding the association between a reduction in hazards that may be associated with a food and the reduction in the risk of adverse health effects to consumers is of particular importance in development of appropriate food safety controls. Unfortunately, there is no such thing as "zero risk" for food (or for anything else). 「食品の品質と安全性システム(FAO、1998)」の付属文書2。 「危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解することは、適切な食品の安全性制御を発展させる上でとくに重要である。 不幸なことに、食品について『ゼロ・リスク』のような事態はありえない(その他の何についても言えることだが)。」
英国におけるBSE発生の若齢牛と高齢牛 21世紀に入ってから生まれた牛も、BSEと診断されている。 30ヶ月の基準を下回るが、それでも安全性は確保されてきた。 超高齢牛が、現在まで搾乳され、牛乳として販売されてきた。 年 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 最若齢 (月) 30 24 21 24(2) 20 29 30(2) 37(7) 34 39(2) 40 48 50 49 2番目に若齢 (月) 33 31 27 24(4) 26 26(3) 30(3) 31(2) 32 30 38(3) 36 41 42 49 51 52 53 2番目に高齢 (年.月) 5.03 10 11.01(2) 15.04 14 17.05 16.02 18.1 16.07 15.05 17.02 15.01 13.1 19.09 16.09 22.07(2) 20.06 16.03 最高齢 (年.月) 5.07 10 11.01(2) 15.04 14 17.05 16.02 18.1 16.07 15.05 17.02 15.01 13.1 19.09 16.09 22.07(2) 20.06 16.03 英国におけるBSE発生の若齢牛と高齢牛 (動物衛生研究所HPより) 2004年 10月1日
英国のBSEと新型ヤコブ病の推移 頭数 37,280頭 BSE 人数 28人 8年 vCJD 12年 10年 5,000 10,000 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 37,280頭 BSE 人数 28人 特定部位の 食用禁止 30 8年 vCJD 25 12年 18人 20 15 初 発 85 年 10 10年 5 612頭 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 1 2 3 4
Transmission of BSE ( BSEの伝達) DEFRA BSE information: Last updated: 30 Apr 2001 Infectivity in tissues(各組織の感染性) The aim of the tissue assays was to identify which, if any, of the tissues that might be consumed by humans contained detectable quantities of infectivity. This would of course be of significance in determining the pathogenesis of BSE too. A large number of tissues were inoculated into mice, usually by a combination of intracerebral and intraperitoneal routes 各組織を検査する目的は、ヒトが食べた際に感染する量を含んでいるか否かを確認するためである。このことは、 BSE の発病機序を解明する上でも意義がある。 The initial assays identified infectivity only in brain, spinal cord and retina of the clinically affected cattle. We are aware of no experiments which have detected BSE infectivity in blood using the mouse bioassay. Transmission studies based on intracerebral injection into mice of blood from clinical BSE cases have shown no detectable infectivity. 最初の検査では、発症している牛の脳、脊髄および網膜のみに感染性が確認された。マウス試験法を用いて血液の感染性を調べる実験には気が回らなかった。その後、発症牛の血液をマウスの脳内に接種する伝達試験を実施したが、感染性は認められなかった。 ヒトが食べた際に感染する量を含んでいる か否かを確認するためである。 発症している牛の脳、脊髄および網膜のみに感染 性が確認された。
(マウスの脳内接種によって感染性がなかった発症牛の組織) Tissues from clinically affected cattle with no detectable infectivity by parenteral inoculation of mice (マウスの脳内接種によって感染性がなかった発症牛の組織) 脳脊髄液、心臓、肺、気管、膵臓、脾臓、腎臓、扁桃腺、皮膚、脂肪 脳脊髄液、心臓、肺、気管、膵臓、脾臓、腎臓、扁桃腺、皮膚、脂肪 血液:バフィーコート(白血球と血小板)、凝固血、胎児血液、血清 消化管:食道、第一胃、第三胃、第四胃(食道溝、筋柱)、小腸(遠位、近位)、直腸、結腸(遠位、近位) リンパ節:腸管膜リンパ節、大腿、咽頭リンパ節 筋肉:半腱様筋(モモ肉の一部)、横隔膜、最長筋(ロース)、咬筋(頬肉) 神経:馬尾(下半身の脊髄神経根繊維)、末梢神経(座骨神経、内臓神経、頸骨神経) 生殖器 雄:精巣上体、前立腺、精液、貯精嚢、精巣 雌:乳、 卵巣、 胎盤分葉、 胎水(羊水、尿膜腔液)、乳腺、子宮小丘 遠位 子牛への投与試験で 感染性が確認された 筋肉 乳 乳腺 小腸遠位部は、マウスの脳内接種でも感染しなかったが、子牛に食べさせたら発症した。 異種間では、少量では感染しない証明 !
感染発症菌数 (閾値;いきち) 特定危険部位 BSE(狂牛病)は、 「いきち」があるタイプ 筋肉、心臓、血液、脂肪など日本人が普段食べる部位 回腸末端部 ≪ 眼、脊髄、脳 回腸末端部 眼、脊髄、脳 感染発症菌数 (閾値;いきち) 納先生が紹介したアイゲン博士とノバック博士によれば、異常プリオンでは10万個 BSE(狂牛病)は、 「いきち」があるタイプ
日本で英国の状態が再現しない根拠 37,280 検査法の改良と検査体制の確立 能動的監視システム 受動的監視システム アクティブ・サーベーランス 受動的監視システム 臨床症状を呈した病変形成例のみ摘発可能 ・無症状でも異常プリオンがあれば摘発可能 ・多検体処理が可能 1,443 442 牛の脳幹部位の病理組織学的検査 時間がかかるので検査数が限られることや大部分の牛が発症する前に屠殺されていたので,多くのBSE感染牛の存在が見逃されていた。 ELISA法 ウエスタンブロット法 免疫組織化学検査
「食品の品質と安全性システム(FAO、1998)」の付属文書2。 安全は、国民生活総体を見渡したものでなくてはならない 健康への危害因子は、放射線などの物理的因子、発癌物質などの化学的因子、ウイルスや細菌などの生物学的因子、等々無数にある。 国民の生命と健康を守るために衛生対策費をどのように使うかが重大問題であり、一部の危害因子のみを取り上げて税金の使途を歪めることがあっては、国民衛生の全体像が描けない。 BSEが日本国民に及ぼす健康障害の影響はどの程度なのか? 検査費用のみで、毎年、数十億円を費やすことが、他の危害因子に対する予防衛生に必要な対策費を制約することにならないか? 現在、税金が使われているので「タダ」という意識が強いが、税金も我々の懐から出ていることに変わりはない。こうした税負担は、これからの高齢化社会を考えると若者に申し訳ないのではなかろうか。 「食品の品質と安全性システム(FAO、1998)」の付属文書2。 「危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解することは、適切な食品の安全性制御を発展させる上でとくに重要である。 不幸なことに、食品について『ゼロ・リスク』のような事態はありえない(その他の何についても言えることだが)。」 Understanding the association between a reduction in hazards that may be associated with a food and the reduction in the risk of adverse health effects to consumers is of particular importance in development of appropriate food safety controls. Unfortunately, there is no such thing as "zero risk" for food (or for anything else).
厚生労働省予算案の主要事項 2001 125 ー 6.4 2002 149 52 34.9 6.6 ー 2003 130 40 30.8 10 7.3 2004 160 33 20.6 19 12 6 食品の安全性等の確保 食肉 (%) 輸入食品 食品添加物 農薬等 2002: 食肉の安全確保のための牛海綿状脳症(BSE)対策の強化 ・BSEに感染した牛の肉が食用として流通することがないよう、前年度に引き続き、特別措置として検査キットの整備に対する補助を行うとともに、検査機器の整備や検査技術の研修を実施し、各自治体において迅速かつ適正に全頭検査を行うための体制強化を図る。 ・特定危険部位の適正処理を推進するため、と畜場に脊髄除去設備や焼却設備等を整備する。 ・BSEに関する正しい情報の普及啓発を推進するとともに、食肉検査の高度システム化モデル事業など、地域の特性に応じ、食肉安全性確保推進事業を実施する。 ・検疫所における輸入牛肉のモニタリング検査体制の強化を図る。 2003: 食肉に関するBSE対策の推進 と畜検査におけるBSE全頭検査の実施について、引き続き、特別措置として検査キットの整備に対する補助を行うとともに、検査技術の研修等を実施する。
● 安全性についての正しい知識と理解を広げることが、何よりも大切である。 パート2 ● 安全性についての正しい知識と理解を広げることが、何よりも大切である。
食品の安全性の観点からより不安を感じているもの 内閣府食品安全委員会: 平成15年 食品安全モニター・アンケート調査 農薬 輸入食品 添加物 汚染物質 組換え食品 健康食品 微生物 飼料 プリオン 器具・容器包装 カビ毒・自然毒 ウイルス 放射線照射 こうした不安は、事実に基づくものか? 農薬や食品添加物による健康障害は、半世紀以前の話であり、そうした事故が起きないための法整備が終わっており、現在では・・・・ 新開発食品 動物用医薬品 肥料 異物混入 その他 10 20 30 40 50 60 70 80 % 食品の安全性の観点からより不安を感じているもの 内閣府食品安全委員会: 平成15年 食品安全モニター・アンケート調査 「食の安全性に関する意識調査」結果
1997年以降は、1名の場合も計上することになったため、見かけ上多くなっている 件 :細菌 2,500 :化学物質(10倍表示) :自然毒(10倍表示) 2,000 :動物性 :植物性 1,500 1377 123 1,000 79 500 44 9 1975 1980 1985 1990 1992 1993 1,994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 食中毒事故件数の推移 1997年以降は、1名の場合も計上することになったため、見かけ上多くなっている
食中毒患者数の推移 細菌 40,000 自然毒 35,000 化学物質 細菌 100 200 300 400 500 600 30,000 100 200 300 400 500 600 30,000 25,000 自然毒 20,000 15,000 化学物質 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 食中毒患者数の推移
原因物質別にみた食中毒による死者数の推移 20 :総数 18 :細菌 16 :自然毒 14 化学物質による死亡者はいない 年間死亡数 12 10 8 6 4 2 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 原因物質別にみた食中毒による死者数の推移
人間は誰しも「自分は正しい」と思っているが・・・・ 「人は聖人にあらず、誰か過ちなからん、過ちてよく改む。 「過ちて改めざる これを過ちという」 論語 「人は聖人にあらず、誰か過ちなからん、過ちてよく改む。 善これより大なるはなし」 左伝 農水省 「食料の安定供給システムの構築」
65名の内、36名は家庭で調理した食事が原因で死亡している。 40 30 累積死亡者数 20 ハイリスク集団(健康弱者) 10 家庭 病院 学校 旅館 飲食店 事業所 その他 老人ホーム 食事場所別にみた食中毒死亡者数 (1996~2002)
これらの事故の大半は、市販のものではなく、自分で採ってきたものを家庭で調理して起きた! 25 20 累積死亡者数 15 10 5 卵 フグ キノコ 貝類 不明 その他 野菜及び その加工品 複合調理食品 原因食品別にみた食中毒死亡者数 (1996~2002)
自然毒の脅威との戦いが人類史の一側面 文化(Culture;耕す) ボツリヌス毒 破傷風毒 ジフテリア毒 パリトキシン テトロドトキシン 50%致死量 μg/kg mouse 産生・保有 ボツリヌス毒 破傷風毒 ジフテリア毒 パリトキシン テトロドトキシン サキシトキシン 0.00003 0.0001 0.3 0.6 8.7 10 細菌 イソギンチャク類 フグ、ヒョウモンダコ 二枚貝 ボツリヌス毒 文化(Culture;耕す) 人間が改良を加えてきた物心両面の成果、特に西洋では精神的生活に関わるものを「文化」とし、「文明」と区別する。危害を取り除いて<安全に食べる>ことが文化であり、「ナチュラル=非文化」は危険です。 青酸カリ 10,000 ギンナン中毒: 国内で過去約80人の患者が学会報告され、うち約30人が死亡 ボツリヌス毒の1億倍食べないと死なない 青酸配糖体:アミグダリン(ウメ、アンズ、モモ)、ドーリン(イネ科) ファゼオルナチン(アオイマメ)、リナマリン(キャサバ) 青酸配糖体を含む生薬: キョウニン(杏仁)、トウニン、ショウキョウ
年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数 累積死亡者数 年齢 (1996~2002) 4 2 0~4 5~9 10~14 15~19 20~29 0~4 5~9 10~14 15~19 20~29 累積死亡者数 ハイリスク者への特別対策 12 :動物性自然毒 :植物性自然毒 :大腸菌 :サルモネラ :ぶどう球菌 :腸炎ビブリオ 10 衛生教育 8 6 4 2 30~39 40~49 50~59 60~69 70~ 年齢 年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数 (1996~2002)
食中毒患者数および死者数の年齢別割合 死者数 人口 患者数 20 40 60 80 100% 50歳 70歳 15歳 :0~4 :5~9 20 40 60 80 100% 食中毒患者数および死者数の年齢別割合 :0~4 :5~9 :10~14 :15~19 :20~29 :30~39 :40~49 :50~59 :60~69 :70~
日本における人口構成の変化 昭 和 25 年(1950) 平 成 12 年(2000) :女性 :男性 85~ 80~84 75~79 年齢 昭 和 25 年(1950) 総人口: 84,114,574 平 成 12 年(2000) 総人口: 126,925,843 :女性 :男性 85~ 80~84 75~79 70~74 65~69 60~64 55~59 50~54 45~49 40~44 35~39 30~34 25~29 20~24 15~19 10~14 5~9 0~4 600 400 200 200 400 600 万人 日本における人口構成の変化
米国の食品規格コード(Food Code ) 日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に関する法的根拠を設けることが重要である 1-201 用語の定義と適用範囲 (44)高感受性集団(Highly susceptible population)とは、次の理由で、一般集団の人より食品媒介性疾患に罹りやすい人をいう。 (i) 免疫低下者、就学前児童、老人 (ii) デイケア施設、腎臓透析センター、病院または療養所、看護付老人ホームなどの健康管理または補助生活を受けている人。 日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に関する法的根拠を設けることが重要である
化学物質の用量・反応関係 閾値がない 化学物質 栄養素 ▲ 閾値がある 化学物質 健康への悪影響 ● ● NOAEL LOAEL 無有害作用濃度 LOAEL 最小有害作用濃度 用量(摂取量) 化学物質の用量・反応関係 WHO: Hazardous chemicals in human and environmental health - A resource book for school, college and university students. 2000
一日摂取許容量と残留許容濃度(一般毒性) 一日摂取許容量(ADI )= 無有害作用濃度 100 食品中の残留許容濃度 生体反応の強度 致死量 無有害作用濃度 中毒量 閾値がある 化学物質 閾値 薬効 用量 一日摂取許容量と残留許容濃度(一般毒性)
3.日常的に食べている食品にも、回避できない若干の危険性がある 3.日常的に食べている食品にも、回避できない若干の危険性がある ベンゾピレン 魚の焼けこげ それでも こげ目のないサンマを食えるか トリプトファン Trp-P1 Trp-P2
ニトロソ化合物 硝酸塩 二級アミン + 魚 野菜 胃の中で反応 発癌物質→胃癌 魚 野菜 胃の中で反応 発癌物質→胃癌
硝酸塩は腸で吸収された後に亜硝酸となり、唾液に分泌され、それが胃内で二級アミンと反応してニトロソアミン(発癌物質)を形成。 唾液中の 硝酸塩 亜硝酸 硝酸塩は腸で吸収された後に亜硝酸となり、唾液に分泌され、それが胃内で二級アミンと反応してニトロソアミン(発癌物質)を形成。
DNA 障害性物質の安全性基準 10-6 一生の間に100万人に1人以下でしか起きない確率 発癌率 低濃度直線性 用量 実質的安全量 日常的に暴露されているリスク、避けることのできないリスクより十分に低いことをもって安全とする。 一生の間に100万人に1人以下でしか起きない確率 発癌率 閾値がない 化学物質 10-6 低濃度直線性 用量 実質的安全量 DNA 障害性物質の安全性基準
● 食生活における不安をなくし、安全性についての自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努力が必要とされている。 パート3 ● 食生活における不安をなくし、安全性についての自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努力が必要とされている。 ● 衛生対策の強化には、モノも労働も必要です。その経費を公正に負担する社会システムを皆で考え、作り上げよう。
不安 自信 安全 安心 安全 信頼性 健康障害の 発生頻度 健康障害の 発生頻度 安全性への信頼性と自信を回復するために 個人レベルの 品質・安全性保証システム 安全性への信頼性と自信を回復するために
食肉の安全性に関わる社会システム(1) リスクが減るのは2箇所だけ リスク・レベルのモデル 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 素畜 調理時の加熱は細菌を殺滅する。 しかし、食材や料理を室温での放置すれば、菌は増殖する。 輸送距離が延びるにつれ、細菌増殖に必要な時間も長くなる。 温度管理等の法的基準もない。 病気 動物薬残留 食中毒菌 薬剤耐性菌 と畜検査員による法律に基づく検査 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(1)
? ? 食肉の安全性に関わる社会システム(2) リスク・レベルのモデル GAP QAP HACCP リスクは 残る! 農場 食肉センター 農場における 適正な衛生管理 病原体低減/HACCP Pathogen Reduction / HACCP リスク・レベルのモデル 解体処理工程など 食肉センターの 衛生管理 GAP QAP 消費者は ? ? HACCP リスクは 残る! 流通過程が 変わらなければ 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(2)
? ? 食肉の安全性に関わる社会システム(3) 食品輸送衛生法 (米国、1990) Sanitary Food Transportation Act GHP: Good Handling Practice 流通業における適正取り扱い規範 リスク・レベルのモデル GAP QAP 消費者 教育 流通過程の 衛生基準 ? ? HACCP 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 「農場から食卓まで」の、全ての段階で安全性確保対策を実施することによって、初めてリスクが小さくなる。 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(3)
「農場から食卓まで」を通したリスクの変動 A: 細菌、ウイルス、寄生虫、害虫などの 生物学的危害因子 B: 重金属やカビ毒などの 加熱によっても失活しない危害因子 A B リスク・レベルのモデル 衛生検査 加熱調理 生産過程 処理・加工過程 流通過程 消費過程 危害因子の種類による 「農場から食卓まで」を通したリスクの変動
リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(残留農薬) 食品による健康障害の現状 食品Ⅱ~X リスクの低減目標 リスク・アナリシス 農薬A 食品Ⅰ リスクの低減目標 農薬B~X 第三者による監視(モニタリング) リスクレベル 現状 改善後 生産段階 加工段階 流通段階 消費段階 処理段階 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 費用の発生 リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(残留農薬)
リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(細菌) 食品による健康障害の現状 食品Ⅱ~X リスクの低減目標 リスク・アナリシス 危害因子A 食品Ⅰ リスクの低減目標 第三者による監視(モニタリング) 危害因子B~X リスクレベル 現状 改善後 生産段階 加工段階 流通段階 消費段階 処理段階 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(細菌)
食品の安全性に関わる社会システム:食品工場 健康弱者 (ハイリスク集団) HACCP (食肉処理場・食品工場) 農場でのQAP 一般的衛生管理 一般衛生基準 (PP;Prerequisite Program) 適性製造規範 (GMP;Good Manufacturing Practice) 衛生標準作業手順 (SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure) 自主衛生管理 免疫低下者(HIV、糖尿病、 癌、重度の疾患など) 子供、老人、妊婦、病弱者 に対する特別措置 高度の安全性 = 付加価値 第三者認証 HACCP (食肉処理場・食品工場) 一般的衛生管理 一般健康成人 法律による規制 食品衛生法 衛生基準 営業許可 営業停止 衛生教育 食品の安全性に関わる社会システム:食品工場
リスク管理と経費負担のモデル 衛生教育に掛かる費用 低 リスク・レベル 高 商品価格 衛生検査と監視に使われる税金 個人衛生 自主衛生管理 低 リスク・レベル 高 衛生教育に掛かる費用 自主衛生管理 商品価格 HACCP等の費用 法的規制 衛生検査と監視に使われる税金 一般健康成人 ハイリスク集団 リスク管理と経費負担のモデル
法的規制 リスク管理と経費負担のモデル 衛生教育に掛かる費用 低 リスク・レベル 高 商品価格 国民経済として 無駄な経費 個人衛生 低 リスク・レベル 高 衛生教育に掛かる費用 法的規制の水準を上げると、その分、衛生対策費と監視業務の経費を税金で賄わねばならない。赤字国債が問題となっている現状で、実行できますか? 法的規制 自主衛生管理 商品価格 HACCP等の費用 国民経済として 無駄な経費 法的規制 衛生検査と監視に使われる税金 一般健康成人 ハイリスク集団 リスク管理と経費負担のモデル
(GAP;Good Agricultural Practice) 適性農業基準とは (GAP;Good Agricultural Practice) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準例 チェックリスト 評価点 衛生管理コスト 認証マーク 非参加農場 50点未満 50点以上 60点以上 70点以上 80点以上 90点以上 無印 ★ ☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 安心価格で 自分に見合った 安全性を購入できる 市場価格 10%上乗せ 20%上乗せ 30%上乗せ 40%上乗せ 50%上乗せ
HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準 全国的に統一された 適性農業基準(GAP) 農畜水産物の安全性向上のための社会システム ○○地域における 適性農業基準(GAP) ●●地域における 適性農業基準(GAP) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準 ○○県食品安全推進会議 ●●県食品安全推進会議 全国的に統一された 適性農業基準(GAP) 生産者、消費者、流通業者ならびに専門家が参加する 全国食品安全推進会議 品質保証計画(QAP) 第三者としての民間の認定機関・試験機関
「巧言は徳を乱る。小、忍ばざれば、即ち大謀を乱る」 論語 「巧言は徳を乱る。小、忍ばざれば、即ち大謀を乱る」 論語 「上手すぎる弁舌は、徳性に害がある。小さいことは多めに見ておかないと、大きい計画に害がある」 貝塚茂樹訳註、中公文庫 「不安を増幅して金儲けする『タカリ屋評論家』は、 『オレオレ詐欺』より影響が大きい分、悪質である」 岡本嘉六評 70万頭以上のBSE感染牛を食べたイギリスで、これまでに発生した新型ヤコブ病患者はわずか146名に過ぎない。免疫学的検査方法が確立した後にBSEが発生した日本では、イギリスでは見逃されていた発症前の感染牛がこれまで14頭見つかった。脳や目を食べる習慣がない日本で、「全頭検査」を止めたら、新型ヤコブ病が多発すると思いますか? 他方、西ナイルウイルスが侵入した米国では年間200名以上が死亡している。この外にも、新型肺炎(SARS)などの多数の新興感染症があります。国民の健康を守るために、税金をどこに振り向けたら良いのでしょうか? 「人は聖人にあらず、誰か過ちなからん、過ちてよく改む。 善これより大なるはなし」 左伝