臨床的にトラウマを取り扱う問題 =デブリーフィングの問題点 1. それは取り扱うことで悪くなる 2. 取り扱うこと自体が外傷的な反復 =デブリーフィングの問題点 1. それは取り扱うことで悪くなる 2. 取り扱うこと自体が外傷的な反復 =精神病理学との関連 3. 外傷の意味は外傷を固定する 4. 外傷にこだわることは累積的な体験 5. 外傷は境界例現象と近縁である
コンプレックス論の射程 コンプレックス外傷体験 発症 引き金 コンプレックス 外傷体験 ?
隠蔽記憶モデル 幼児期の 記憶 17歳の現状 想起
再構成論文のモデル 分析者 被分析者 再構成
累積的外傷モデル 外傷体験 発症
今日のトラウマ理論 外傷体験 発症 解離 物語
EMDR(eye movement desensitization and reprocessing) 前提 否定的体験や外傷体験は脳の生化学的バランスを乱す→適応的解決を拒む EMDRアプローチ (1)認知的/感情的枠組みの原因となる事件と直面する (2)適応不全を引き起こす現在の内的および環境的引き金を明らかにする (3)クライアントの自己効力感が増大するように認知的/行動的反応を植えつける
治療の8段階 生育歴の聴取 client history 準備 preparation 評定 assessment 脱感作 desensitization 植え付け installation ボディ・スキャン body scan 終了 closure 再評価 reevaluation
手続き1 準備 Ⅰ 生育歴聴取 Ⅱ 準備 状況設定 ラポール EMDRの説明 教示、ストップサイン、適切な距離を確認する 使用する比喩
手続き2 評定 1.教示 2.問題・記憶を取り上げる 「今日はどんな問題あるいは古い記憶についてやりましょうか」 手続き2 評定 1.教示 2.問題・記憶を取り上げる 「今日はどんな問題あるいは古い記憶についてやりましょうか」 3.映像 「どんな映像がその出来事を代表(represent)していますか」:最も外傷的「その出来事のもっともひどい部分を代表するのはどの映像ですか」
映像がない場合「あなたが出来事を考え た場合、そこに何がありますか」 4.否定的な認知(NC) 「その映像(出来事)を思い浮かべたとき、一緒に出てくる今のあなた自身についての否定的な信念 belief を表す言葉は何でしょうか? 5.肯定的な認知(PC) 「その映像を思い浮かべたとき、今ならあなた自身についてどんなことを信じられたらよいと思いますか?」
6.認知の妥当性 Validity of cognition 「あなたがその映像を思い浮かべたとき、それ(肯定的認知)は、今あなたにとってどれくらい本当に感じられますか。1から7までのスケールで言ってください。1が完全に間違い、7は完全に正しいです。」 7.情動/感情 「その映像とそれらの言葉(否定的認知)を考えると、今どんな感情が出てきますか」
8.主観的障害単位( subjective unit of disturbance) 「0から10のスケールの上で、0は障害でないか、普通の状態、10は想像できる限り、最大の障害になっている状態です。あなたにとって今、どのくらい障害になっているのでしょうか?」 9.ボディスキャン 「その困っていることをあなたは身体のどこに感じますか?」
手続き3 脱感作 「その映像と 否定的な言葉とを思い浮かべて、身体で感じている場所に注意しながら、私の指を追ってください」 セット 手続き3 脱感作 「その映像と 否定的な言葉とを思い浮かべて、身体で感じている場所に注意しながら、私の指を追ってください」 セット SUDが0から1になるまで続ける
手続き 4 植え付け 1.「先ほどの言葉(肯定的認知)はまだぴったりしていますか? あるいはもっとしっくりする肯定的な言い方が何かありますか? 2.「もともとの出来事とその言葉(肯定的認知)を思い浮かべてください。1から7(まったく正しい)までのうち、どれくらい正しい感じでしょう?」 3.EMDR
4. 題材が適応的である限りは、続ける。6から7でも、強化して、次に移る 5. クライアントの報告が6以上なら、ブロックしている信念をさらに再処理を続けて対処する。 やや少なめのセット VOC
手続き 5 ボディスキャン 「目を閉じて、その出来事と(肯定的認知)に集中して、心で身体全体を観察してみてください。何か感じている場所があれば、教えてください」 もし肯定的/快適な感覚なら EMで強化 もし否定的/不快な感覚なら →再処理
手続き 6 終了 「今日私たちがした処理はセッション後も続くかもしれません。あなたは新しい洞察、考え、思い出、あるいは夢に気づくかもしれません。もし気づいたら、あなたの体験していることに意識を向けて、あなたが見ている、感じている、考えていること、そしてその引き金を)だいたいでいいですから、ちょっと頭にとめて、日誌につけてください。この新しい題材については次回で扱うことができます。もし必要を感じたら、電話をかけてもかまいませんよ」
トラウマ(外傷体験) 外傷体験 発症 忘却
臨床的にトラウマを取り扱う問題 =デブリーフィングの問題点 1. それは取り扱うことで悪くなる 2. 取り扱うこと自体が外傷的な反復 =デブリーフィングの問題点 1. それは取り扱うことで悪くなる 2. 取り扱うこと自体が外傷的な反復 =精神病理学との関連 3. 外傷の意味は外傷を固定する 4. 外傷にこだわることは累積的な体験 5. 外傷は境界例現象と近縁である
EMDR(精神分析の視点から) 1. 無意味な知覚運動を深い意味のある外傷との間で用いる利点 1. 無意味な知覚運動を深い意味のある外傷との間で用いる利点 2. 再処理された外傷、あるいは再処理されない外傷から、より古い外傷の処理をする利点 3. 累積的な外傷については無力である 4. コンプレックス、あるいは境界例現象においては、問題を処理できない。
フロイトの外傷説 心的現実論 ヒステリーの外傷説から「とりあえず」の内的世界の移行 →対象喪失の理論化 はたして外傷は現実なのかという問い ヒステリーの外傷説から「とりあえず」の内的世界の移行 →対象喪失の理論化 はたして外傷は現実なのかという問い →構成の論文まで続く問題
ヒステリーモデル 催眠療法 ↓ フリースとの書翰 ↓ 精神分析の発見 1894年 「防衛精神神経症」 1895年 「ヒステリー研究」 ヒステリーモデル 催眠療法 ↓ フリースとの書翰 ↓ 精神分析の発見 1894年 「防衛精神神経症」 1895年 「ヒステリー研究」
ヒステリー研究 抵抗の克服法を苦慮する ベルネイムの「それを知っているのだ」 前額法で思い出す →抑圧=逃避理論 欲動と抵抗
ヒステリーの症例 催眠から自由連想法 ヒステリーにおける抑圧のメカニズム 外傷と忘却→抑圧 人はおしなべて同じ主題を語る 外傷と忘却→抑圧 人はおしなべて同じ主題を語る 外傷だけではない=解除だけではない 抑圧=エディプスと去勢→分析の必要性
連想による発見 抵抗 抑圧 潜在内容
フロイトの過去の問題 「歴史的真実」 隠蔽記憶 事後性Nachtraglichkeit → 過去は現実かどうか
無意識の特徴(Freud.1915) a)相互に矛盾することと否定とが欠如していること b)移動 c)圧縮 d)無時間性
シュレーバー、パラノイアの言語論 thesis:同性愛=私は彼(男)を愛する a)迫害妄想: b)被愛妄想: c)嫉妬妄想 私は彼を愛さない→彼を憎む→彼が私を迫害するからだ b)被愛妄想: 私は彼を愛しているのではない→私は彼女を愛している→彼女が私を愛している c)嫉妬妄想 α)アルコール中毒など、男性: あの男を愛しているのは私ではない→彼女こそあの男を愛しているのだ→女性は疑わしい β)女性の嫉妬妄想(男性に女性) d)自我の肥大化=誇大妄想 そもそも私は愛するということをしないし、何人も愛さない →私は私だけを愛する
シュレーバーの問題点 悲惨な人生 シャッツマン『魂の殺害者』 →虐待の問題 精神病的な要素を理解するための生育歴 としての父親の問題 シャッツマン『魂の殺害者』 →虐待の問題 精神病的な要素を理解するための生育歴 としての父親の問題 →なぜ父親なのか D.シュレーバー『美しい子ども』 (1858)より
狼男の問題 精神病的症状 その後の経過:小此木の境界例論 フロイトの原光景論 夢と幻覚、そして認識 構成の現実性とは何か:事後性 その後の経過:小此木の境界例論 フロイトの原光景論 夢と幻覚、そして認識 構成の現実性とは何か:事後性 精神分析にとって現実とは何か 終わりある分析と終わりなき分析 精神療法技法論文の最後の修正
単一事例と精神分析 晩年の技法論文の問題 「終わりある分析と終わりなき分析」(1937) 「分析における構成の仕事」(1938) 「終わりある分析と終わりなき分析」(1937) 「分析における構成の仕事」(1938) 解釈学的、構成主義的、あるいは交流主義的な転回点として精神分析を再構成する可能性 事例における排除的帰納法(グリュンバウム)としての基準の問題 精神分析が独自の領域かどうかという問題
Spenceの議論 歴史的真実の重視 →物語の合意的形成のルールが 現実を客観化する。 治療はシャーロックホームズ的伝統から →物語の合意的形成のルールが 現実を客観化する。 治療はシャーロックホームズ的伝統から いかにして自由か 構成は歴史解釈である
ストロローの解釈 間主観的現実 TH CL
シェーファーの多元的現実論 さまざまなヴァージョンがあり、 解釈がありえる。それが現実であり、精神分析的現実はその中の一つである。
外傷の外延extension 外傷が過去にさかのぼって、拡張していく現象 t
ホッフマンの言葉 私は体験が構成されたものとして考えられることを信じている。 1.象徴的に発達しており、明白で、相対的にあいまい性が少ない 2.象徴的に発達不十分であり、あいまいな態度であり、感情状態、心の枠組みである 3.全体的に利用されていない潜在可能性性がある いずれにしても、体験は一種の構成である。
治療者の構成主義的態度(ホッフマン) 患者の欲望が段々複雑になり、欲求や願望が次々と変化してくる、そして実際には、分析家にはその場で反応することが必要である点において、彼らの相対的重みづけをし、その立場をアセスメントすることは不可能である、と考える。結局、分析家の行動は(それが解釈であろうと他の反応であろうと)その場に埋め込まれているのであり、部分的には欲望のバランスを絶え間なく変動させているのである。そのことを考えることはもちろん、また一つの反応であり、それは様々な方法で患者からもっともらしく解釈され得る。セッションの相互交流は続き、終わりはない。
ウィニコットの外傷説 潜在可能性空間の視点と外傷説 Winicottは外傷説である。 だがそこにはひとつの重要な変更点がある。 Winicottは外傷説である。 だがそこにはひとつの重要な変更点がある。 錯覚のパラドックス
外傷を構成的な視点から見直す 外傷は構成の失敗である 構成された外傷は、外延されてしまう 再構成が創造的であるとき、そこには遊ぶことの要素があり、劇化の空間がある 再構成の中で、外傷は創造的な契機として用いられる