細線維沈着腎症 糸球体に電顕で細線維の沈着を認める疾患の総称で 糸球体は分葉化し結節を伴うこともありMPGN、アミロイド ーシス、結節性糖尿病性糸球体硬化症などとの鑑別を要する 下記の疾患群。しかし上記の名称は一般的ではない。 1. Immunotactoid glomerulopathy(IT) 2. Fibrillary glomerulonephritis(FGN) 3. Fibronectin glomerulopathy 4. Collagenofibrotic glomerulopathy 5. Cryoglobulinemic glomerulonephritis その他Lupus腎炎やdiabetic fibrillosisなどでも 細線維の沈着を認めることがある
Immunotactoid glomerulopathy(HE) 結節性病変を 認める。軽度の メサンギウム増 加だけのことも ある
Immunotactoid glomerulopathy(C3) C3がMPGNで認められるよなfringe パターンで沈着している。 しかし実際はIF所見は様々である。
Immunotactoid glomerulopathy(EM) 多数の特徴的な微小管状構造物を糸球体基底膜の下に認める
Fibrillary glomerulonephritis(HE) この症例の様に メサンギウム基質 の増加だけが目立 つ症例もある。 MPGN様の分葉化 を示す例もある
Fibrillary glomerulonephritis(IgG) グロブリンは大部分の症例では多クローン性と報告されている。IgGのサブクラスではIgG4沈着が特徴的である。
Fibrillary glomerulonephritis(EM) 細線維構造物がメサンギウムや上皮下に認められ一部はEDDを形成している。 強拡ではアミロド線維よりやや太い線維が認められる。
細線維沈着腎症の鑑別診断を示すアルゴリズム 腎と透析 2007;62:90.
解説 MPGNのように糸球体が分葉化を示す疾患の鑑別として細線維沈着症は重要な疾患である。 ごく稀で経験しないと思っているとステロイド抵抗性のネフローゼ症候群や糖尿病性腎症と思われている症例の中に本疾患がある可能性がある。その診断には電子顕微鏡検査が必須である。 蛍光抗体法ではFGNでは多くの症例が免疫グロブリンのκ鎖とλ鎖の両者が陽性である。特徴的であるのはほとんどの症例でIgG4単独あるいはIgG1と共にIgG4が沈着していることである。 Fibronectin glomerulopathyは稀な遺伝性疾患で30~40代でESRDとなる。 Collagenofibrotic glomerulopathyは新潟大学の荒川が最初に報告した疾患で本邦で報告例が多くやはりESRDとなる症例が多い。詳細はSeason2で解説予定。