産業組織論A 9 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2017年6月6日 2017/6/6 産業組織論A (9) 限界収入と限界費用 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2017年6月6日
供給量,価格,収入,限界収入 生産量Qに対応する価格,収入,限界収入を求める 生産量 価格 収入 限界収入 MR 1 8 7 2 14 6 産業組織論A 9 2017/6/6 供給量,価格,収入,限界収入 生産量Qに対応する価格,収入,限界収入を求める この数値例の限界収入 数式MR(Q)=9-2QのMR 生産量 価格 収入 限界収入 MR 1 8 7 2 14 6 5 3 18 4 20 -1 限界収入関数MR(Q)=9-2Qと数値例は異なるがほぼ等しい.数値例は理解のためのもの 2017/6/6 産業組織論A 9 丹野忠晋
逆需要関数のグラフと限界収入 逆需要関数P(Q)=9-Q 棒グラフの棒の右上の角が実際の(価格,数量) MR=7 産業組織論A 8 逆需要関数のグラフと限界収入 円 1 2 3 4 Q 逆需要関数P(Q)=9-Q 9 棒グラフの棒の右上の角が実際の(価格,数量) その点から微少なQの増加によってもたらされる収入の増加が限界収入 MR=7 8 7 MR=5 6 5 MR=3 4 MR=1 HW:生産量(Q=2から3,Q=3から4,Q=4から5)の限界収入を求めよ MR(Q)=9-2Q 5 2017/6/6 産業組織論A 9
限界収入,一定の限界費用2,利潤 限界費用MC(Q)=2で一定.固定費用0. 利潤を求める Q P R MR C π 1 8 7 2 6 産業組織論A 9 2017/6/6 限界収入,一定の限界費用2,利潤 限界費用MC(Q)=2で一定.固定費用0. 利潤を求める この数値例の限界収入 数式MR(Q)=9-2QのMR Q P R MR C π 1 8 7 2 6 14 5 4 10 3 18 12 20 限界収入2と限界費用2が等しいときに利潤が最大化される 2017/6/6 産業組織論A 9 丹野忠晋
変化を表わすデルタΔ ΔQは数量の変化,数量の増分を表わす ΔQはひとかたまりで考える.×かけ算ではない Q1=1, Q2=2 のとき このように1つずつ増えれば問題はない Q1=1, Q3=3 の ときはどうするか? ΔQ= Q3-Q1=3-1=2 生産量が大きく増えれば利潤も大きく増える よって生産量1単位増えたときの利潤の増加を考察 2017/6/6 産業組織論A 9
限界利潤 Q1=1, Q2=2 のとき ΔQ= Q2-Q1=2-1=1 Δπ=π(2)-π(1)=10-6=4 これはΔπ=4と同じ Δπ=π(3)-π(1)=12-6=6 Δπ 4 = =4 ΔQ 1 Δπ 6 = =3 ΔQ 2 2017/6/6 産業組織論A 9
変数の増加量で割るワケ このように変数の増加量ΔQで割ることにより,その影響を受ける変化量を統一的に見ることができる 同様に限界収入 ΔR や限界費用 でも生産量の増加で収入や費用の増加を割る ΔR ΔQ ΔC ΔQ 2017/6/6 産業組織論A 9
独占企業の利潤最大化条件 当初生産量を増やすと利潤が増える 利潤が最大になる生産量は,生産量を増やしてももう利潤を増やすことができない点である 限界利潤=0 Q=1からQ=2, Q=2からQ=3, Q=3からQ=4, Q=4からQ=5の 限界利潤を求めてください. Δπ = 0 ΔQ Δπ (2) ΔQ Δπ (3) ΔQ Δπ (4) ΔQ Δπ (5) ΔQ 2017/6/6 産業組織論A 9
独占企業の利潤最大化条件 Δπ この条件は,つまり下記の条件 = 0 ΔQ に等しい Δπ ΔR ΔC = - = 0 ΔQ ΔQ ΔQ = - = 0 ΔQ ΔQ ΔQ 2017/6/6 産業組織論A 9
独占企業の利潤最大化条件3 このとき以下が成り立つ ΔR ΔC MR= MC= よって, ΔQ ΔQ 以上より限界収入と限界費用が等しくなる生産量で独占企業の利潤が最大になる ΔR MR= ΔQ ΔC MC= ΔQ MR ー MC = 0 2017/6/6 産業組織論A 9
固定費用と可変費用 固定費用(fixed, cost)は固定投入物に関する費用 生産量に関わらず一定の費用 FC 苺農家との契約で固定的投入 産業組織論A 9 2017/6/6 固定費用と可変費用 固定費用(fixed, cost)は固定投入物に関する費用 生産量に関わらず一定の費用 FC 苺農家との契約で固定的投入 いちごのブランド:あまおう,とよのか 固定費用は100円 可変費用(variable costは可変投入物に関する費用 VC 2017/6/6 産業組織論A 9 丹野忠晋
総費用と平均費用 総費用(total cost)または費用(cost)は固定費用と可変費用の和 費用 =固定費用+可変費用 割り算は分母の数の一単位あたりの分子の量 生産物1単位あたりの費用(総費用)を平均費用(average cost)という.AC 費用 =固定費用+可変費用 C=FC+VC C AC = Q 費用 平均費用 = 生産量 2017/6/6 産業組織論A 9
可変費用と平均可変費用 生産物1単位あたりの可変費用を平均可変費用(average variable cost)という.AVC 可変費用 平均可変費用 = 生産量 VC AVC= Q 2017/6/6 産業組織論A 9
限界費用 生産物を1単位増加させたときにかかる追加的な費用の増加を限界費用という 分子の費用の増加は可変費用の増加を意味 生産量の増加が1単位であれば費用の増加と限界費用が一致する 費用の増加 限界費用 = 生産量の増加 ΔC MC= ΔQ 2017/6/6 産業組織論A 9
産業組織論A 9 2017/6/6 費用の例 苺大福(個) 可変費用 1 40 2 60 3 75 4 100 5 150 6 240 7 385 8 600 9 900 固定費用は100 可変費用は右の図に表れているとする 総費用,限界費用,平均費用,平均可変費用を求めなさい 2017/6/6 産業組織論A 9 丹野忠晋
産業組織論A 9 2017/6/6 平均費用・平均可変費用と限界費用 苺大福(個) 可変費用 総費用 限界費用 平均可変費用 平均費用 100 1 40 140 2 60 160 20 30 80 3 75 175 15 25 58 4 200 50 5 150 250 6 240 340 90 57 7 385 485 145 55 69 8 600 700 215 88 一致している! 2017/6/6 産業組織論A 9 丹野忠晋
産業組織論A 9 2017/6/6 2017/6/6 産業組織論A 9 丹野忠晋
各平均費用曲線の特徴 平均費用曲線と平均可変費用曲線はU字型 それらの最下点を限界費用曲線は通っている 産業組織論A 9 2017/6/6 各平均費用曲線の特徴 平均費用曲線と平均可変費用曲線はU字型 それらの最下点を限界費用曲線は通っている 限界費用曲線は平均費用曲線と平均可変費用曲線を左下から右上へ突き抜ける 平均費用曲線との交点は平均可変費用曲線との交点よりも右に位置している 2017/6/6 産業組織論A 9 丹野忠晋
競争政策 価格が高すぎると非効率性が高まる.その他にも 市場支配力の濫用 先進国は積極的に競争を促進する施策を実施 下請け企業いじめ,大型小売店が納入企業に無理強い 先進国は積極的に競争を促進する施策を実施 独占禁止法(日本),反トラスト法(米国) 価格カルテル・入札談合の阻止 大きな合併の制限 優越的地位の濫用の防止 2017/6/6 産業組織論A 9