2009年7月2日 熱流体力学 第12回 担当教員: 北川輝彦.

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課題 熱力学関数 U, H, S, A, G の名称と定義を書け dS, dGの意味を書け ⊿U, ⊿H, ⊿G の意味を書け.
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
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2009年4月23日 熱流体力学 第3回 担当教員: 北川輝彦.
2009年7月9日 熱流体力学 第13回 担当教員: 北川輝彦.
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今後の予定 8日目 11月13日 口頭報告答あわせ,講義(5章) 9日目 11月27日 3・4章についての小テスト,講義(5章続き)
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
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エアコンで使われるヒートポンプ <ヒートポンプのなぞ>
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相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
2009年5月14日 熱流体力学 第5回 担当教員: 北川輝彦.
2009年6月18日 熱流体力学 第10回 担当教員: 北川輝彦.
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2009年7月2日 熱流体力学 第12回 担当教員: 北川輝彦

本日の授業内容 4.8 冷凍機の成績係数 各サイクルの熱効率 PV線図のまとめ 4.9 エントロピ(TS線図)

4.8 サイクルの熱効率 3)冷凍機の成績係数 冷凍機:低温側の熱量を化学反応などの仕事を用いて 汲み上げ、高温側に熱量を捨てるシステム 4.8 サイクルの熱効率 3)冷凍機の成績係数 冷凍機:低温側の熱量を化学反応などの仕事を用いて 汲み上げ、高温側に熱量を捨てるシステム 冷蔵庫など Q1 > Q2 T1 > T2 Q1 Q2 T1 T2

4.8 サイクルの熱効率 4.8.1 サイクルの熱効率の定義 上図で示すような任意のACBDの閉曲線で 囲まれたサイクルについて考える p 4.8 サイクルの熱効率 4.8.1 サイクルの熱効率の定義 p C B A D v 上図で示すような任意のACBDの閉曲線で 囲まれたサイクルについて考える

4.8 サイクルの熱効率 4.8.1 サイクルの熱効率の定義 Q1:外部から供給される全熱量(入熱) Q2:系から排出される全熱量(出熱) 4.8 サイクルの熱効率 4.8.1 サイクルの熱効率の定義 p p = f1(V) Q1 C B 正味仕事W p = f2(V) Q2 A D v Q1:外部から供給される全熱量(入熱) Q2:系から排出される全熱量(出熱) W:正味仕事(系に残留するエネルギ) とそれぞれ定義

4.8 サイクルの熱効率 4.8.1 サイクルの熱効率の定義 W (正味仕事) = Q1 (入熱) - Q2 (出熱) 4.8 サイクルの熱効率 4.8.1 サイクルの熱効率の定義 W (正味仕事) = Q1 (入熱) - Q2 (出熱) 熱効率:ηは以下のように定義 η = (入熱 – 出熱) / 入熱 = (Q1 - Q2) / Q1 = W / Q1 = 1 – (Q2 / Q1)

4.8 サイクルの熱効率 4.8.2 3)冷凍機の成績係数 冷凍機では低温側の熱量Q2を汲み上げ、 高温側に熱量Q1を捨てる p 4.8 サイクルの熱効率 4.8.2 3)冷凍機の成績係数 p p = f1(V) Q1 C B 正味仕事W p = f2(V) Q2 A D v 冷凍機では低温側の熱量Q2を汲み上げ、 高温側に熱量Q1を捨てる

4.8 サイクルの熱効率 サイクルの成績係数(COP: coefficient of performance)の定義 4.8 サイクルの熱効率 サイクルの成績係数(COP: coefficient of performance)の定義 成績係数:COPは以下のように定義 COP = 低温側から汲み上げた熱量 サイクルに使用された仕事量 = Q2 / W = Q2 / (Q1 - Q2 )

4.8 サイクルの熱効率 サイクルの成績係数(COP: coefficient of performance)の定義 4.8 サイクルの熱効率 サイクルの成績係数(COP: coefficient of performance)の定義 成績係数:COPは以下のように定義 COP = 低温側から汲み上げた熱量 サイクルに使用された仕事量 = Q2 / W = Q2 / (Q1 - Q2 ) 但し、高温側ABから低温側にQ1を生成することを目的とした熱ポンプは分子にQ2ではなくQ1を用いることに注意。

クーリングタワーについて クーリングタワー(三菱) ビルの屋上などに存在 (以下HPコピペ) 空調用の冷凍機には冷却水が必要なものがありますが、この冷却水は使われると温度が上昇します。 その冷却水を送風機で取り込んだ外気と接触させて、温度を冷やしてまた冷凍機の冷却水として使えるようにするのがク-リングタワ-です。冷却水は上から下へ充填物(パッキン)をつたわって流下します。

本日の授業内容 4.8 冷凍機の成績係数 各サイクルの熱効率 PV線図のまとめ 4.9 エントロピ(TS線図)

4.8 サイクルの熱効率 1) カルノーサイクル カルノーサイクル: 等温変化と断熱変化で構成 A→B:等温膨張変化 (温度T1一定) 4.8 サイクルの熱効率 1) カルノーサイクル カルノーサイクル: 等温変化と断熱変化で構成 p A QAB (入熱) A→B:等温膨張変化 (温度T1一定) B→C:断熱膨張変化 C→D:等温圧縮変化 (温度T2一定) D→A:断熱圧縮変化 B 正味仕事W D C QCD (出熱) ただし、T1 > T2 v

4.8 サイクルの熱効率 4.8.2 サイクルの紹介と熱効率の計算 カルノーサイクルの熱効率η η = 1 – T2 / T1 4.8 サイクルの熱効率 4.8.2 サイクルの紹介と熱効率の計算 カルノーサイクルの熱効率η η = 1 – T2 / T1 高温側の熱源と低温側の熱源の 温度差が大きいほど熱効率が高い

4.8 サイクルの熱効率 2) オットーサイクル ガソリンエンジンの図解 ヤンマー株式会社HPより

4.8 サイクルの熱効率 オットーサイクル:状態変化で見ると 等積変化,等圧変化と断熱変化で構成 A→B:等圧膨張 B→C:断熱圧縮 4.8 サイクルの熱効率 オットーサイクル:状態変化で見ると 等積変化,等圧変化と断熱変化で構成 p D A→B:等圧膨張 B→C:断熱圧縮 C→D:等積加圧 D→E:断熱膨張 E→B:等積減圧 B→A:等圧圧縮 E Q1 排気 爆発 正味仕事W Q2 C A B v

4.8 サイクルの熱効率 オットーサイクルの熱効率 εκ-1 圧縮比ε,気体の比熱比κを用いて熱効率ηを定義 η = 1 - 4.8 サイクルの熱効率 オットーサイクルの熱効率 p 圧縮比ε,気体の比熱比κを用いて熱効率ηを定義 D E 1 η = 1 - εκ-1 C A B 実際のガソリン機関の熱効率は 0.30 < η < 0.45程度 BDC TDC v

4.8 サイクルの熱効率 2) ディーゼルサイクル (サバテサイクル) ディーゼルエンジンに使用 ヤンマー株式会社HPより

4.8 サイクルの熱効率 ディーゼルサイクル:状態変化で見ると 等積変化,等圧変化と断熱変化で構成 A→B:等圧膨張 B→C:断熱圧縮 4.8 サイクルの熱効率 ディーゼルサイクル:状態変化で見ると 等積変化,等圧変化と断熱変化で構成 Q1 C D 爆発 p A→B:等圧膨張 B→C:断熱圧縮 C→D:等圧膨張 D→E:断熱膨張 E→B:等積減圧 B→A:等圧圧縮 E 排気 正味仕事W Q2 A B v

本日の授業内容 4.8 冷凍機の成績係数 各サイクルの熱効率 PV線図のまとめ 4.9 エントロピ(TS線図)

4.9 エントロピの定義 エントロピという状態量の定義 ds = dq / T (4.42) 4.9 エントロピの定義  エントロピという状態量の定義 ds = dq / T (4.42) s : 比エントロピ [ J / (kg・K) ] q : 熱量 [J / kg] T : 絶対温度 [K]

4.9 全エントロピ G [kg]の気体に対する全エントロピ dS = Gds = dQ / T (4.42) 4.9 全エントロピ  G [kg]の気体に対する全エントロピ dS = Gds = dQ / T (4.42) S : 全エントロピ [ J / K ] Q = Gq : 全熱量 [J] T : 絶対温度 [K]

4.9 状態変化におけるエントロピ 各種状態変化における熱量の変化: dq = Tds [J / kg] dQ = TdS [J] 4.9 状態変化におけるエントロピ 各種状態変化における熱量の変化: dq = Tds [J / kg] dQ = TdS [J] にて求められる

熱力学の第2法則 クラジウスの表現,トムソンの表現, 第二種永久機関の否定: 法則や説明に差があるが、全ての本質は同じ TH TL 十分な時間が経過すると… TH> TL 高熱源 低熱源

熱力学の第2法則 クラジウスの表現,トムソンの表現, 第二種永久機関の否定: 法則や説明に差があるが、全ての本質は同じ 熱平衡

エントロピ 左の状態も右の状態もエネルギーは同じだが… TH> TL 高熱源 TH TL 低熱源 熱平衡 100℃ 0℃ 50℃

エントロピの概念 左の状態も右の状態もエネルギーは同じだが… TH> TL TH TL 熱平衡 100℃ 0℃ 50℃ 仕事をする能力がある 高熱源 TH TL 低熱源 熱平衡 100℃ 0℃ 50℃ 仕事をする能力がある (エネルギーを取り出せる) 仕事をする能力が無い (エネルギーを取り出せない)

エントロピの概念 左の状態も右の状態もエネルギーは同じだが… TH> TL TH TL 熱平衡 区別する量としてエントロピを使用できる 高熱源 TH TL 低熱源 熱平衡 100℃ 0℃ 50℃ 仕事をする能力がある (エネルギーを取り出せる) 仕事をする能力が無い (エネルギーを取り出せない) 区別する量としてエントロピを使用できる

エントロピの概念 エントロピー: 入熱を絶対温度で割った量⇒増加 出熱を絶対温度で割った量⇒減少 熱量Qが左から右へ移動したとすると、 左:Q / TH減少 右:Q / TL増加

THの方が大きいため、全体のエントロピは増加。 エントロピの概念 熱量Qが左から右へ移動したとすると、 左:Q / TH減少 右:Q / TL増加 全体として Q / TL - Q / TH だけ増加。 THの方が大きいため、全体のエントロピは増加。

熱効率の演習問題 1. 高温側熱源が1000℃、低温側熱源 が20℃で作動するカルノーサイクル の理論熱効率はいくらになるか 1.  高温側熱源が1000℃、低温側熱源 が20℃で作動するカルノーサイクル の理論熱効率はいくらになるか 2. 圧縮比がε=12で設計されたガソリン エンジンを運転させたとき、熱効率は いくらと推定されるか。ただし、比熱比 はκ=1.4と仮定する