第19回日本歯科医療福祉学会学術大会・教育講座 医療関係者が知っておきたい、福祉の知識と考え方

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第19回日本歯科医療福祉学会学術大会・教育講座 医療関係者が知っておきたい、福祉の知識と考え方 第19回日本歯科医療福祉学会学術大会・教育講座 医療関係者が知っておきたい、福祉の知識と考え方 中部学院大学人間福祉学部 (一般社団法人岐阜県社会福祉士会) 宮 嶋  淳

Children at risk 子どもは、大人が適切な育児・保育・教育を保障しなければ、その身体の成長も心の発達も損なわれる危険にさらされている。子どもとは“Children at risk”である。この状態を“Child Well-being”にしていくことをめざすのが、ソーシャルワークである。  子どもは、私たち大人が適切な育児・保育・教育を保障しなければ、その身体の成長も心の発達も損なわれる危険にさらされています。子どもとは、つねに“Children at risk(危機にある子どもたち)” なのです。  その危険性を取り除くには、子どものことを考え、子どもの立場に立って、子どもの生活環境の中にあるすべてのモノやコトをデザインする “Child-Caring Design(成育デザイン)” が必須です。  このCCDを作り出すためには、子どもに関係する人々が、学者、実践家(保育士、教師など)ばかりでなく、親までも含めて話し合い、その成果を、関係する学問の研究(“studies” あるいは “research”)を発展・深化させ、包括的・統合的に話し合う必要があります。  その基盤となる、学際的あるいは環学的な学問体系は、「子ども学」(“Child Science” )と呼ばれています。

Child at risk in Japan 日本の15.7% 18歳未満の子どもの貧困率=14.2% 経済協力開発機構(OECD)加盟国中=4番目

process of poverty

Structure of child's poverty 人間科学は、20世紀に大きく進歩し、学際的・環学的な“human science”に展開した。  ソーシャルワークも人間科学を基礎とし、社会科学的な問題解決理論を構築してきた。例えば、「ゆりかごから墓場まで」が20世紀のソーシャルワークの時間軸とされてきた。  しかし、今、その時間軸が揺らいでいる。  人間にかかわる科学は、20世紀に大きく進歩しましたが、デカルト主義的な方法論、すなわち要素還元主義 (reductionism)だけでは、人間を科学的に解明できないことは、誰もが認めるところです。  そこに登場したのが、人間にかかわる自然科学や人文科学を包括し統合した、新しい学際的・環学的な「人間科学」“human science”です。  そして、人間の形成期を対象とする「子ども学」は、子どもの人間科学であり、「人間科学」そのものの中核をなすものと言えます。    「日本子ども学会」(“Japanese Society of Child Science”) は、CCDの学際的・環学的な話し合いの場であり、人間科学としての「子ども学」を体系づける場でもある。  2003年に設立された日本子ども学会が、21世紀の歩みとともに、その学会活動をさらに発展させ、未来を担う子どもたちの幸せのために、大きく寄与することを願っている。

Family at risk 不妊に悩むカップルと生殖補助医療技術で生まれてくる子どもにより構成された「新しい家族」の、“Family Well-being”が追求されるとき、胎生期の人間関係や家族システムに着目しなければならない。 また不登校・ひきこもりなど子どもたちの問題は、実は「大人や社会の問題」である。 この認識がソーシャルワークの社会システム理解である。 生殖補助医療技術により形成された「新しい家族」の豊かな育ちとWell-beingの獲得をめざす。 20世紀において「新しい家族」とは、養子縁組家庭を指していた。 しかし私がいう「新しい家族」とは、21世紀になってその存在が認知されるようになった不妊に悩むカップルと生殖補助医療技術で生まれてくる子どもにより構成された「21世紀型の『新しい家族』」をさす。 不妊治療という生殖補助医療技術の進歩は、ヒトの発生に医療の関与を可能とし、「ゆりかごから墓場まで」という福祉の範ちゅうを揺さぶり、出生以前におけるヒトの萌芽の段階から、ヒトの福祉を捉えていくための明確で説得力のある思想・哲学を必要としている。 すなわち、人間のWell-beingに関する社会科学である人間福祉学の範ちゅうは「ヒトの萌芽(胎生期)」のあり方にまで及ぶマイクルレベルを想定して、ヒトの福祉を問うていく領域に踏み込んだ議論が必要になってきたのである。

私はどこから来たの? 読売新聞 2012年    5月   18日

Declaration of Child's Human Rights 秘密主義を医師たちが取り入れた理由は,AIDを利用したカップルが感じるだろう「恥辱」という不名誉を夫婦が受けないようにするためである. 多くのDI offspringは事実を知りたがっている.長く事実を隠そうとすればするほど,子どもはより傷ついていく.母の告知で,[不安と憤り]を覚えた.両親に騙されたと感じた.今までの父親との関係の悪さを納得した.父親を失った.3年後,母を亡くしてから自分の存在に不安を感じ,出自を隠されていたことに[怒り]を感じるようになった. 今の私にたどり着くのに,他の当事者との出会いは大きいものであった.「もっと早くに告知して欲しかった」「提供者を知りたい」という共通の思いを抱いていることを知って安心できた.AIDで生まれたことを隠すべきではない.もっと早くに知りたかったと思っている. 不妊治療はステップアップするといわれている。 そのステップの先端は「代理母」であり「非配偶者間体外受精」である。 2000年12月に国は「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書」を公表し、 法制化するために①生まれてくる子の福祉を優先する、②人を専ら生殖の手段として扱ってはならない、③安全性に十分配慮する、④優生思想を排除する、⑤商業主義を排除する、⑥人間の尊厳を守る、基本原則とすることとしている。 それから約10年が経過した今も、結論が出ず議論され続けているのである。 失われた10年が問いかけてくるものは「生まれてくる子の福祉を優先する」という理念を、私たちがいかに具現化することができるのかという叡智の集積の必要性である。 一つの視点として定着しつつある見解に、国連子どもの権利条約の第7条に「親を知る権利」があり、これが「子の出自を知る権利」を擁護しているというものである。 つまり、わが国が子どもの権利条約の批准国であるならば、子どもが親を知る権利も子どもの権利の1つとして保障しなければならないという考え方である。 その一方で、同条約第7条が遺伝子レベルに及ぶ見識を含んでいるという根拠は見当たらないのも事実である。 また、不妊治療を選択したカップルが、子に対して「あなたを心から愛し、あなたを私たちの家族に迎えたかったから、私たちは不妊治療を選んだの」と、自信をもってテリング(真実告知)し、ウソのない、安定した安心できる家庭を築ける保障もないのである。 現状で唯一言えることは、ウソが長く続かないほうが子どもの傷つきが少なく、ある情動が生起されても、次第に回復し、新しい物語を構築する力が子にも親にも沸いてくるということである。 すなわち、真摯な親子の対話こそ、失われた物語を再構築していく過程で欠かせないといえるのである。 「子どもの福祉」を実現するためには「子どもの声」に耳を傾け、子どもが参画の梯子をのぼれるよう、条件・状況を整えることが、私たちにできることではないだろうか。 とくにソーシャルワーカーが担う権利の擁護とは、当事者の声(非言語含)を無私・無知の姿勢(先入観に囚われない)で聴くことからはじまると考えられる。

大人になって,結婚も出産も終えてしまってからの告知は遅すぎる. 自分の土台となるルーツが嘘であったことで,その上に積み重ねた自分が崩れてしまったような感覚.自分を再構築しなければいけなくなった. 私たちは ①当事者の心からの正直な訴えに耳を傾けてください. ②当事者の物語は[悲しみ・怒り・悲痛]にあふれている. ③変化に向かった前向きな希望にも満ち溢れている. ④私たちの尊厳や生まれながらの権利を,社会は尊重してほしい. ①社会や国の理解が低いので,政府を頼るよりは,まず自分たち自身が 子どものケアの仕組みを作らねばならない, ②匿名のドナーから生まれた子どものケアのための情報を共有し,より 信頼できる親子関係を構築することをめざし, ③親からの積極的な告知を求め, ④出自を知る権利を認める社会のルール作り ⑤不妊カップルと提供者と生まれた人,それぞれを支えるしくみを 第一にユニセフが提唱する21世紀型市民の啓発・養成をめざした。 すなわち、21世紀型市民とは、グローバルな視点を持って、身近なところで起こっている課題に主体的に取り組む人々である。 この観点に立つとき、生殖補助医療技術は現在の私たちの世代が、未来の世代とどのようにつながっていこうとしているのかを、遺伝子レベルで問いかけていく問題を提起しているといえる。 このことを私は問い、皆さんとともに考えていこうとするものである。 第二に保健・医療・福祉・保育の専門家養成のプロセスで、不妊に悩むカップルをサポートする[不妊相談]、生殖補助医療技術で生まれてくる子どもを支援する[生殖ケア]、 さらには[新しい家族]が社会的に認知されることをサポートする[生殖ケア・ソーシャルワーク]の視点やアプローチを説く。 つまり、人間について科学であることを標榜し、人間についての専門家を養成するプロセスにおいて、人間とは何か、生とは何か、生殖とは何かを考えていくとき、遺伝子レベルでの問いかけも当然に必要であるという観点に立っている。

Child Well-being 私たちは、不登校・ひきこもりの子どもたち、犯罪の被害者として、または、加害者として、犯罪に巻き込まれた子どもたち、親の虐待を受けた子どもたち、いじめに悩む子どもたち、先が見えずに深夜徘徊するこどもたち、リストカットを繰り返すこどもたち、たくさんの子どもたちと出会ってきました。 子どもたちとの出会いをとおし、今の「子どもたちの問題」、それは、実は子ども問題でなく、「大人、社会の問題」であると強く感じます。 子どもたちは、「できる」こと、「する」ことを求められ、「そのままでいる」こと、「そのままである」ことを認めてもらえないでいます。  「そのままでいい」と言われないことは、自分の存在価値を認めてもらえないことであり、自信を失います。今、自己肯定感がもてない子どもたちがたくさんいろいろな形で自分の危機のサインを送っているのです。

Family Well-being 子どもたちが出会う大人たちが、子どもたちが「そのままである」ことを認めてくれ、自分を「受けとめてくれる大人」との出会いをとおし、自己肯定感を取り戻し、再び自分の力で成長をはじめていく姿も見てきました。 子どもたちにとって必要なのは、「受けとめ手」としての大人の存在です。 私たちは、ソーシャルワークのさまざまな活動をとおして、地域社会に子どものそばに寄り添い、耳を傾け、子どもを受けとめていく存在をつくり、そして、こどもたちが出会える機会をつくっていきたいと考え、活動を展開していきます。

Network of medical staff and social worker 児童虐待の防止等に関する法律 社会福祉士及び介護福祉士法 医療法 家事事件手続法 わが国の“Human Well-being”をめざす社会システムは、ヒト・モノ・カネなど十分なのだろうか。日本型ソーシャルワーカーである社会福祉士には、医師等の対人援助専門職に求められる力量と同様、「実践力」が求められている。 児童虐待の防止等に関する法律 第5条(児童虐待の早期発見等) 学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。 我が国におけるソーシャルワーカーの国家資格である社会福祉士制度は、国家試験という知識を問う試験により合格者を輩出し、登録という手続きを経て、名称の使用を独占させる仕組みとなっている。 社会福祉士及び介護福祉私法 第2条(定義) この法律において「社会福祉士」とは、第28条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上もしくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行なうことを業とする者をいう。 第47条(連携) 社会福祉士は、その業務を行なうに当たっては、その担当する者に、福祉サービス及びこれに関連する保健医療サービスその他のサービスが総合的かつ適切に提供されるよう、地域に即した創意と工夫を行ないつつ、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。 医療法 第1条の2  医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。 2  医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施設、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)、医療を受ける者の居宅等において、医療提供施設の機能(以下「医療機能」という。)に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。 家事事件手続法(H23.5.25.) 第2編 家事審判に関する手続き 第1章総則 第1節家事審判の手続 第5款 家事審判の手続きにおける子の意思の把握等 第65条 家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続きにおいては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。 家事事件とは  家庭内の紛争などの家庭に関する事件であり,家族の感情的な対立が背景にあることが多いので,これを解決するには,法律的な観点からの判断をするばかりでなく,相互の感情的な対立を解消することが求められている。  また,家庭に関する事件を解決するに当たっては,その性質上,個人のプライバシーに配慮する必要があり,裁判所が後見的な見地から関与する必要がある。

What is Social worker? 社会福祉専門職≒社会福祉士・精神保健福祉士 「人-環境」の接点に介入し、両者が   両福祉士=日本の資格を有するソーシャルワーカー ソーシャルワーカー=ソーシャルワークを業とする専門職 ソーシャルワーク≒        「人-環境」の接点に介入し、両者が               社会的に機能することをサポートする 社会的に機能する≒          豊かな人間関係の中で社会生活を営むこと              ≒人権が擁護されている状態 社会生活を営む≒          社会正義が保持された社会での営み・くらし 社会福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法により社会に欠くことのできない制度として、 国民の生存権や幸福追求権など基本的人権を保障する、国民の社会福祉の向上を担う。 日本の制度が期待する社会福祉士の役割は、国民の生存権や幸福追求権など基本的人権を保障する、 国民の社会福祉の向上にある。 社会福祉士は、日本の制度の中で国際的な通用性のあるソーシャルワークを展開する専門職である。 社会福祉士に求められる力量は、医師、看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士など 他の対人援助専門職に求められる科学的な力量と同様、「実践力」である。 しかしながら、社会福祉士を名乗る者の「実践力」が、社会福祉士国家試験と所定のカリキュラムを 経ることで、専門的力量として十分に習得され、担保できるかと言えば、それはおぼつかない。 これまで社会福祉士国家試験の質の問題として、出題基準や出題傾向にかかる議論はなされてきた ところであり、それなりに改善もなされてきた。そして、今後も議論されていく一側面であろう。 また、所定のカリキュラムにおける「講義-演習-実習指導-実習」の体系化と理論的整理についても、 多くの議論がなされてきたところである。これらの議論が探求されればされるほど、 そのアウトプットを期待する「本当に社会福祉士は実践力があるのか」という問いに応えるための 基準が必要となる。 この様な声に応えるためには「社会福祉士の実践力を評価する」客観的な尺度が必要である。 残念ながら、現在の私達は如何に実践力が向上するのかを科学的に立証する評価の尺度を保持し、 他の学問領域から科学的な評価を得られる方策を模索している。

What is Social work ? ソーシャルワーカーは、人間の福利(ウエルビーング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人びとのエンパワーメントと解放を促していく。 ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。 人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。 また、国際的な通用性のあるソーシャルワークを展開する専門職である。日本型ソーシャルワーカーは、世界55カ国・85万人が加盟する国際ソーシャルワーカー連盟と結び付いている。この結びつきは、時間(過去も未来も)も場所(地球の表も裏も)も関係なく、「人は生まれながらにして尊重されなければならない」という世界人権宣言に見られる「人間観」を、根本的な価値観として共有している。 ソーシャルワークを専門的に用いる職業人は、世界55カ国・85万人が加盟する国際ソーシャルワーカー連盟と結び付いている。 この結びつきは、時間(過去も未来も)も場所(地球の表も裏も)も関係なく、「人は生まれながらにして尊重されなければならない」という世界人権宣言に見られる「人間観」を、根本的な価値観として共有している。 ソーシャルワークが関わる人々は、子どもから高齢者まで、障害があろうとなかろうと、国籍を有していようとなかろうと、罪を犯していようといまいと、あらゆる条件を排除して、その人一人ひとりの声や自分らしさを大切にする。 自分らしさを大切にするとは、赤ちゃんがお母さんの腕の中で「安心」しきって眠ることを傍らで見続けることである。 自分らしさを大切にするとは、子どもたちが野原で日が暮れるまで不審者におびえることなく「自由」に遊べる居場所を用意することである。 自分らしさを大切にするとは、中高年の女性が自らのしわを気にせず、大いに笑える「自信」をそのまま受け止め、ともに笑い合えることである。 ソーシャルワークは、ちょっと控えめな、あるいは二流三流の役者を、舞台の主役に据える演出家であり、脚本家である。  つまり、 社会福祉士は、人びとが「安心・自由・自信」のうちに自分らしくあり続けること=幸せづくりを、日本という国の社会システムの中で、人びとのつながりの中で創り上げていく、人びとのパートナーである。

Competency of Social worker 例えばニュージーランドでは、 Social work standard core competencies スクールソーシャルワークの成功のための重要な要素は、ソーシャル・ワーカーが専門性を維持し、子どもたちとその家族/whanauとの良い関係を築き、効果的に働く能力にある。そして、それらが担保される時、目標に合意する。したがって、ソーシャル・ワーカーは高度に熟練して、コア・コンピテンスを有していることを実証することが求められる。 ソーシャル・ワーカーが実証するべきコンピテンスは、次のとおり: 1.ソーシャルワークのプロセス、役割およびモデル 2.子ども/人間としての成長および開発 3.家庭内暴力と力の問題を含む家族の力学 4.子どもおよび家族との関係性の変更を促進するための仕事 5.専門ソーシャルワークの価値 (受理、非審判的態度、自己決定、文化的に敏感な反応、説明責任) 6.ワイタンギ条約に含まれる特別の言及を含む、マオリに文化的に敏感で反応するサービスを提供できること(マオリ語の流暢さはクライエントがマオリ語を話す場合、最も利点になる)。 7.環太平洋の民族に文化的に敏感で反応するサービスを提供できること。 8.他の文化の人々に文化的に敏感で反応するサービスを提供できること。 9.学校という場で、これらを活用するための能力とともに、チームメンバーとして有効に協力的に働くこと。 10.コミュニティーにおける文化的背景と人びとを結びつけ、よりよいコミュニティー・ネットワークおよび経験の開発および維持ができること。 11.グループ活動を促進するプロセス 12.スクールソーシャルワーカーを補強する価値と原則 13.児童虐待とネグレクトの問題。 14.家庭内暴力、精神保健、アルコールおよび薬物依存症の問題。 15.クライエントおよび労働者保安を含む保安問題。 16.実践を促進するためのスクールソーシャルワークと他のサービス・提供機関とのネットワーキング。 17.人間関係におけるコミュニケーション技術。 18.時間管理、取扱いの立案および管理。 19.すべてのソーシャル・ワーカーはニュージーランドのドライバーのライセンスを必要とする 20.時間外での労働で働き、かつ呼び出しに対しての柔軟性の保持。 21.マイクロソフトの単語および電子メールを使用するので、コンピューター・リテラシー・スキルを持っていること。 スクールソーシャルワーカーの特定の能力は、SWiS Toolkitに詳細。 SWiS toolkit とは、スクールソーシャルワークのための ツール・キットとトレーニング・プログラムを提供しているサイト。 Source: Social Workers in Schools Service Description November 2008

Approach of Social worker                   クライエント中心 行動理論  認知理論             危機介入                          問題解決                            課題中心    ストレングス        エコロジカル   エンパワメント          システム理論     ナラティブ ソーシャルワークの実践力は、論理性の高い「アプローチ」で説明される。 例えば、 クライエント中心・アプローチ もしありのままを受入れ、無条件で、しかも肯定的な関心を与え続けるなら、人は本来の可能性を実現していく 誰にでも独自の世界があり、そこで自分の真実を見ている エコロジカル・アプローチ 人と環境の交互作用、その接点で発生する摩擦、生活ストレスに目を向ける 家族や友人と良好な関係性をもてるなら、それだけストレスから守られる 行動理論・アプローチ ある刺激Aに対して、人が行動Bを起こすかどうか、またその行動を学習するかどうかは、行動の結果Cがその人にどのような報酬をもたらすかによって決まる。 モデリング:他の人の行動を観察、学習することで行動に変化が生じる 認知理論・アプローチ すべての人に愛されるならばありがたいことだが、実際は愛されなくてもともと。愛される、愛されないに関わらず何か行動を起こすほうが良い。 瞬間的に歪んだ考え方をした結果、否定的な感情に陥ることがある 危機介入・アプローチ 喪失を経験した人々が、現実に適応し、立ち直っていくためには、取り組まなければならない共通の悲嘆作業がある 危機介入では、感情をオープンにし、抑えている怒りなどの感情を認め、吐露するように助ける 問題解決・アプローチ 問題が大きすぎる場合、それを小さく切分ける。関係性を強めて自我を温める。小さな問題を解決することで、少しずつ自信を得ていく。 動機づけし、能力を高め、機会を与えることで、人を成長させる 課題中心・アプローチ 「時間的な制約」「焦点とする問題」があることで、ソーシャルワーカーと利用者の双方が、課題に対して力を結集しやすくなる 人には課題が与えられると、達成しようとする主体的な能力がある エンパワメント・アプローチ エンパワメントは、抑圧された個人やグループのパワーをどう強めていけるのかに着目してきた 利用者が自分自身と向き合い、「価値ある存在、信頼できる存在」であるという気持ち(自尊感情)を感じられるような支援を目指す システム理論・アプローチ 問題を単純な因果関係(原因⇒結果)ではなく、円環的に考える 一人の変化が家族全体に変化を起こし、家族全体の変化が一人に変化をもたらす ナラティブ・アプローチ 人が問題なのではない。問題が問題なのだ。 オルタナティブストーリーは、人々が自分で語り見出すものであり、何より彼らの希望する生き方に合致するものである

What is Narrative Approach ? 社会構造主義の考え方を応用 「意味をつくりだす主体 」は利用者自身である 利用者が語る内容にこそ、利用者の本当の姿があると確信する 「物語(ナラティブ)としての自己」を尊重する 利用者の問題の本質はワーカーが決めるのではなく、利用者本人が決めるものである 利用者の自己決定のための手段として、利用者本人が語るストーリーを理解することを重視する 私は、ナラティブ・アプローチを

Feature of Narrative Approach ジェンダー、文化、社会・経済的文脈による利用者の世界観を形成するあり方に耳を傾ける。 「人間は複雑で多面的であるという確信。 利用者が自らの人生を構成するストーリーを理解することであり、そのストーリーを外在化、変化させる。 利用者とワーカーとの共同作業で、袋小路から脱出し、選択肢や方法を見つけ出すことができる。 問題に焦点をあてているときには無視してしまっていた、利用者がすでに所有し、使っている「強さ」を利用者が認識し、動員することを助ける。

‘Seven Competency’ of SWr 捉える力: “何かがある”という意識と視点 気づく力: “360度の視界”と“感度の高いアンテナ” 考える力: 問題の本質を掘り下げる 整理する力: “様々な引き出し” まとめる力: 様々な意見や考えから“合意”を得る 伝える力: 他者に大切なことを伝える・知らせる・納得させる ふり返る力: 全体をふり返り、反省し、評価し、点検する ソーシャルワークが関わる人々は、 子どもから高齢者まで、障害があろうとなかろうと、国籍を有していようとなかろうと、罪を犯していようといまいと、あらゆる条件を排除して、その人一人ひとりの声や自分らしさを大切にする。 自分らしさを大切にするとは、赤ちゃんがお母さんの腕の中で「安心」しきって眠ることを傍らで見続けることである。 自分らしさを大切にするとは、子どもたちが野原で日が暮れるまで不審者におびえることなく「自由」に遊べる居場所を用意することである。 ソーシャルワークは、ちょっと控えめな、あるいは二流三流の役者を、舞台の主役に据える演出家であり、脚本家でもある。 つまり、社会福祉士は、人びとが「安心・自由・自信」のうちに自分らしくあり続けること=幸せづくりを、日本という国の社会システムの中で、人びとのつながりの中で創り上げていく、人びとのパートナーである。 パートナーとしての役割を実践するために国際通用性のある理論・アプローチを展開するのである。