(株)ライトレール 代表取締役社長 阿 部 等 http://www.LRT.co.jp 平成20年6月9日 日本大学 理工学部 社会交通工学科 平成20年度 前期 軌道工学 第7回(後半) 満員電車がなくなる日(7) 第2章 満員電車をなくすための運行のイノベーション (株)ライトレール 代表取締役社長 阿 部 等 http://www.LRT.co.jp 平成20年6月9日
3線運行(1) 3線運行とは 運行本数を増やすため、 朝は上り、夕は下りの利用が多い 複線へ数千億円を投じて複々線化するより、 複線(2線)→複々線(4線)→三複線(6線) 道路も2車線・4車線が主流 朝は上り、夕は下りの利用が多い 3線とし、真ん中の1線を朝は上り線、夕は下り線に 3線の設備で、複々線と同等の運行本数を設定 複線へ数千億円を投じて複々線化するより、 半分以下の投資で同等機能とできる3線化が得策 子安-神奈川新町と登戸-向丘遊園は異なる
3線運行(2) 都心ターミナルでの折返し方法(1) 2
3線運行(3) 都心ターミナルでの折返し方法(2) 朝1時間に100本の上り電車が到着 引上げと据付けが平面交差 下りは上りの2編成を連結して折返す 3線に対して4つのホーム 到着電車は引上げて2編成を連結し下り線へ据付け 編成長が長く、途中駅のホームに収まらない 編成の半分のみ客扱い、残りは回送 下りは利用が少ないので輸送力は充分足りる 夕方は朝と逆パターン 引上げと据付けが平面交差 1時間に50回の作業は困難
3線運行(4) 都心ターミナルでの折返し方法(3)
3線運行(5) 都心ターミナルでの折返し方法(4) 都心貫通型であれば効率向上 都心側が複々線化された路線の郊外部 左から1線1時間50本ずつを連結して右に下らす 右からの電車も同様 編成の半分のみ客扱い、残りは回送 夕方は朝と逆パターン 都心側が複々線化された路線の郊外部 都心での折返しを心配せず充分な機能を発揮 朝下り:半数を複々線区間で折返すor車庫入区 夕上り:半数を複々線区間から折返すor車庫出区
3線運行(6) 24時間運行 地上設備の保守 奇数の線数で運行計画と設備保守計画を勘案 24時間運行に全面賛成ではない 昼は2線だけで運行し残り1線は保守作業 使用しない1線は日によって振替える 奇数の線数で運行計画と設備保守計画を勘案 大量輸送、24時間運行、保守間合確保を同時実現 24時間運行に全面賛成ではない 人々の生活様式や健康に悪影響を及ぼす心配 地球温暖化対策の点でも疑問 深夜帯は運賃を倍とし、歯止めと収益性向上を
鉄輪式リニア(1) 鉄輪式リニアとは(1)
鉄輪式リニア(2) 鉄輪式リニアとは(2) 通常の電車 鉄輪式リニア モーター回転力を車輪に伝え、車輪とレールの粘着力(摩擦力)で駆動(加速) 車輪の回転にブレーキを掛け、車輪とレールの粘着力(摩擦力)で制動(減速) 鉄輪式リニア 荷重の支持と進路の案内は車輪とレール 左右レール間にプレート、台車下にリニアモーター 両者間の電磁力で駆動・制動
鉄輪式リニア(3) 鉄輪式リニアとは(3) 鉄輪式リニアの個別メリット そのため、 台車に搭載のモーターが扁平形状で薄くでき、かつ空転・滑走しない → 車輪径を小さく → 車体床面を低く → 車体断面を小さく 空転・滑走しない → 急勾配に強い モーターが小さい → 急曲線向き台車構造に そのため、 地下鉄の掘削断面小さく、線形の自由度高く 土木工事費と用地買収費を大幅低減 近年建設の地下鉄に多く導入
鉄輪式リニア(4) 加減速性能の向上(1) 通常の電車 鉄輪式リニア 車輪とレールの粘着係数は、ゴムタイヤとアスファルト舗装の摩擦係数より圧倒的に小さい 空転・滑走しやすく、加減速性能が大きく劣る 乗用車・バスより運転間隔が長くなる原因の1つ 鉄輪式リニア 電磁力で強制的に駆動・制動し、上記弱点を克服 ブレーキ時の乗り心地確保のため、ジャーク(加速度の変化率)の制御が重要
鉄輪式リニア(5) 加減速性能の向上(2) 適正にジャーク制御して乗り心地を確保し、 加速と通常ブレーキはバスと同程度に 非常ブレーキは乗用車以上に 加減速性能の向上(2)
鉄輪式リニア(6) 駅を2層構造にするには、 電車は上り下りが苦手 鉄輪式リニア 総2階建て車両に対応した駅の低コストな実現(1) 駅の前後で10mほど上下 勾配をきつくできれば工事費や用地買収費を低減 電車は上り下りが苦手 道路は、幹線部でも7%の勾配あり 電車では20~25‰、せいぜい35‰ 鉄輪式リニア 急勾配を難なく上り下り 10mの上下を、25‰なら400m、70‰なら140m 1駅当り数十億円~100億円以上の差
鉄輪式リニア(7) 総2階建て車両に対応した駅の低コストな実現(2) 13
鉄輪式リニア(8) 普及中は車上一次方式 地上一次方式 総2階建て車両のスムーズな導入 電力が供給される一次コイルを車両に搭載 架線の不要化による総2階建て車両のスムーズな導入(1) 普及中は車上一次方式 電力が供給される一次コイルを車両に搭載 地上一次方式 一次コイルを地上に敷設、車両はプレートのみ 駆動電力を車両に給電する必要なし サービス電源を賄えれば架線とパンタグラフを省略 総2階建て車両のスムーズな導入 台車を小さくして1階床面を下げられる 線路上部の交差物を改修しなくて済む 地下鉄でも、客室天井高を下げれば導入可能かも
鉄輪式リニア(9) サービス用電力 地上一次方式の実現性 電車から鉄輪式リニアへの転換 車輪の回転を使って発電しバッテリーに蓄電 架線の不要化による総2階建て車両のスムーズな導入(2) サービス用電力 車輪の回転を使って発電しバッテリーに蓄電 走行不能時に給電されない、現行も場合により同様 地上一次方式の実現性 難度の高い技術開発を要す 一次コイルを細分化して敷設し、電車の位置・速度及び運転操作に応じて発生電磁力をきめ細かく制御 運転士操作を地上へデータ送信し一次コイルを制御 電車から鉄輪式リニアへの転換 相当の経費を要するが、メリットは大きい