日林誌に論文を出す ~著者が投稿原稿を作成するときに注意する方がよいこと 査読結果への対応時に留意すべきこと ~ by 正木さん

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コンピュータプラクティ スⅠ 校正 水野嘉明. 本日の内容 「校正」 Word による自動校正  小論文:「校正の必要性」につい て 人による校正  前回作成したファイルを、他の人 と交換して校正 レポート提出  完成したファイルを R0 として提出 2.
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Word で論文を書こう ~論文の構成と Word の使い方~. Word で論文を書く  文章の構成 i. パラグラフ・トピックセンテンスの作り 方 ii.Word で階層化された文章を書く  分かりやすい表現を! i. わかりやすく簡潔な表現 ii.Word の書式設定 iii. もくじをつけよう.
演題名: ●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 所属 1 . ○○ 大学△△△△, 2 . □□ 大学附属病院, 3 . ▲▲ 大学大学院 ■■■■ 名前 ○○○○1 , □□□□2 ,△△△△ 1,2 , ▲▲▲▲3 , ■■■■1,3 本演題に関連して,筆頭著者に開示すべき利益相反はありません。
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© Yukiko Abe 2016 All rights reserved
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日林誌に論文を出す ~著者が投稿原稿を作成するときに注意する方がよいこと 査読結果への対応時に留意すべきこと ~ by 正木さん 強い意志を持ち,編集者や査読者の立場から原稿の作成 三重大学大学院生物資源学研究科 松田陽介

どうしろと? まずは体裁,形から! 論文 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

自己紹介 日本森林学会 部門編集委員(樹病) 中部森林学会 部門編集委員(保護) Botany(フランス植物学会)Editor 日本森林学会 部門編集委員(樹病) 2008年4月1日~2012年 3月31日(2期) 中部森林学会 部門編集委員(保護) 2017年4月~ Botany(フランス植物学会)Editor 2016年4月~ 査読経験(30誌程度,1本/月)←無償 樹木医学研究,日本生態学会誌,日本森林学会,Annals of Botany,Canadian Journal of Forest Research,European Journal of Forest Research,Forest Pathology,Journal of Forest Research,Molecular Ecology,Plant and Soil,Trees など 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

本日の話題 論文とは 論文を書く前にすること 論文執筆中にすること 論文投稿後にすること おわりに 理科系の作文技術,木下 是雄 これから論文を書く若者のために 究極の大改訂版,酒井 聡樹 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

論文とは 学術論文(原著論文,短報) 新規なことを紙面で公表 原稿の校閲で蓋然性を担保 研究者(含, 学生)の義務,投資 要旨,abstract,はじめに,材料と方法,結果,考察, 謝辞,引用文献 新規なことを紙面で公表 レポート ⇔ 学術論文 原稿の校閲で蓋然性を担保 学会発表 ⇔ 論文発表 研究者(含, 学生)の義務,投資 税金でカバー 外部資金の獲得要素 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

論文を書く前にすること 欲しいデータ(図,表)を思い描く 研究機関の方 学生の方 過去の日林誌を読み込む 仮説,目的の明確化 研究機関の方 前任者からの引継ぎの実施 学生の方 先輩の卒論,修論,博論の通読 過去の日林誌を読み込む 本誌(編集委員会,編集委員)の傾向を把握 日々の作業に加えて,執筆者は論文の体裁に慣れる 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

論文執筆中にすること 投稿規程に従う(https://www.forestry.jp/publish/JJFS/submission/instruction-for-authors.html) はじめに:目的の内容はイントロで言及 目的は得られた結果次第 材料と方法 再現性の取れる手順 結果の蓋然性の担保のための統計 結果 結果,考察で別の項を 図表を効果的に活用 図:傾向,パターン 表:数値 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

論文執筆中にしてはいけないこと 投稿規程に従う はじめに:目的の内容はイントロで言及 材料と方法 結果 × 体裁が異なる(特に引用),注意事項を参照していない × 昔の規定に従っている はじめに:目的の内容はイントロで言及 × 目的がない,やっていないから調べた × 論理の飛躍,過去の経緯が不明 材料と方法 × 方法の記述が簡潔すぎ × 統計の乱用,誤用 結果 × 冗長な記述(有意性がない事象) × 方法に記載していない 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

論文執筆中にすること 考察 謝辞 引用文献 付図,付表 執筆順:材料と方法≒結果≒ 謝辞→はじめに→考察 結果で述べたことを目的,過去の知見を踏まえて議論 謝辞 指導教員に聞く 引用文献 管理ソフトの利用(Endonote,Mendeley) 付図,付表 毎木・土壌分析・DNA・アンケートデータなど 執筆順:材料と方法≒結果≒ 謝辞→はじめに→考察    引用文献は暇な時,管理ソフトでは一瞬で 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

論文執筆中にしてはいけないこと 考察 引用文献 ← 充実度が低いと悪印象 × 自分の結果だけで論考 △ 引用(情報)が古い × 自分の結果だけで論考 △ 引用(情報)が古い △ 都合の悪いこと,問題点を割愛 引用文献 ← 充実度が低いと悪印象 × 本文に引用されていない(逆も) × 記載順 × 体裁がバラバラ(PDFやワードからのコピー) × 学名やet al.の斜体(et alii やet aliaeの略) 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

論文執筆中にすること 推敲:印刷をして,通読 要旨,abstract,キーワード 熟成:すべてを手放す(1,2週間) 文章の理解,論理の飛躍,引用文献,図表番号 要旨,abstract,キーワード 本文の一部をコピー,タイトルにない文言をキーワード abstractは英語に堪能な方や専門業者で校閲 熟成:すべてを手放す(1,2週間) 連名者(共同研究者,先生)に査読 連名:研究を一緒する(させられる)人 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

論文執筆中にしてはいけないこと 推敲:印刷をして,通読 要旨,abstract,キーワード 連名者(共同研究者,先生)に査読 × 印刷しない,推敲しない   (通読時,違和感があると査読者には理解不能) 要旨,abstract,キーワード × 最初から要旨を作成 ×  abstractの英文校閲しない   (原稿の最初に配置のため悪印象) 連名者(共同研究者,先生)に査読 × 査読を依頼しない(ルール違反) 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

送り状 編集長に送る手紙(研究内容の意義を述べる) 研究 意義 査読者の推薦 (今はある?) 敵対グループの除外

論文投稿後にすること 祈る,祈る,祈る,祈る 審査結果:却下(リジェクト)以外は有望 コメント作成:すべてに回答 ←ココ大事!! 査読は3-4週間,2名以上で最終判断は部門編集者 コメント作成:すべてに回答 ←ココ大事!! 部門編集者,査読者のコメントのすべてをコピーし,それらに漏れなく回答 行番号を明示し,返答部分のフォントの変更 指摘以外は修正しない 修正稿の送り状:主要な変更点を明記 修正履歴のある稿と修正稿を? 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

回答文 原稿より長い こともある 総合コメント 各論コメント 引用文献 主要な変更, 反論述べる 具体的に変更 箇所を述べる 従う際は簡潔に 原稿より長い こともある 総合コメント 主要な変更, 反論述べる 各論コメント 具体的に変更 箇所を述べる 従う際は簡潔に 引用文献 回答に使用したものすべて

却下のとき・・・ 編集委員からのコメントを参照 再投稿可?再度,練直して 別の雑誌?指摘事項を修正(別の雑誌でも同じ査読者に回ることも) 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

絶対に載せるという 折れない強い意思をもつ おわりに 論文公表は(人類史の)サイエンスに足跡を残す作業 博士課程の方は就職活動 絶対に載せるという    折れない強い意思をもつ 2019/3/22 第130回日本森林学会大会

健闘を祈ります 受理! (アクセプト) 2019/3/22 第130回日本森林学会大会