幼児なりの問題解決過程を知的・意欲的・情動的側面から一体的に捉えることの意味 2019/5/10 幼児なりの問題解決過程を知的・意欲的・情動的側面から一体的に捉えることの意味 幼児期の科学教育に関する研究(3) 瀧川 光治 (樟蔭東女子短期大学) takikou@pb3.so-net.ne.jp こんにちは、瀧川と申します。樟蔭東女子短期大学という東大阪にあります小さな女子短大で、保育士養成に携わっております。 保育内容総論、保育内容・環境、実習指導などを担当しております。 本日は、「遊びの楽しさは子どもの探究心を誘う」というテーマで、とくに幼児期の「科学する心」についてお話させていただきます。 発表は、プログラム掲載のレジメに沿ってお話しますが、前のパワーポイントでも、今どのあたりを話しているのかとか、図や写真を出していきたいと思います。
2019/5/10 探索・探究活動と認識変容のモデル 探索・探究活動 気付き・発見 まなざし 「表にみえる活動」と 「内面」の両側面
問題解決の過程 対 象 ?→! 子ども ① 「こうしてみたらいいのではないか?」という目的意識・見通し・予想などの「知的な側面」 2019/5/10 問題解決の過程 ?→! 対 象 問題解決 子ども ① 「こうしてみたらいいのではないか?」という目的意識・見通し・予想などの「知的な側面」 ② 「やってみたい・確かめてみたい」などの「意欲の側面」(=子ども自身の主体性) ③「楽しい」「どうなるのだろう?」というわくわく感、おもしろそうなど「情動的側面」 一般化すると、問題解決のプロセスというのは、 子どもが、対象に関わる際に、目的意識をもってかかわることから始まるのではないかと思います。 その際、子どもの主体性としての意欲の側面、知的な側面、情動的な側面の3つ、これは子どもの内面なので、保育者としては推測するしかないのですが、おさえておく必要があるかと思います。 そして、対象にかかわるなかで、対象の変化・応答を子ども自身が感じ取っていくというプロセスが、問題解決のプロセスではないかと思います。
2019/5/10 問題解決の過程を含む活動 かかわり方 知的な側面 ?→! 探索活動 探究活動 対 象 子ども 意欲の側面、情動的側面
研究方法 常磐会幼稚園(大阪市内、私立) 2005年6月~12月までの参与観察(月1~2回) 探索・探究的な活動の事例を収集 2019/5/10 研究方法 常磐会幼稚園(大阪市内、私立) 2005年6月~12月までの参与観察(月1~2回) 探索・探究的な活動の事例を収集
事例 〔事例1〕 2005年度の5歳児の「ビー玉ころがし」の遊びの展開(事例の中心は5月下旬から6月頃の事例) 2019/5/10 事例 〔事例1〕 2005年度の5歳児の「ビー玉ころがし」の遊びの展開(事例の中心は5月下旬から6月頃の事例) 〔事例2〕 2005年度の4歳児の「あまがえるの飼育」の活動の展開 制約された時間の中で、事例としては年長児の「ビー玉ころがし」の遊びの展開についてお話します。 事例の一部は、昨年11月の学研のラポムの付録に掲載されています。
2019/5/10 事例1
2019/5/10 事例1
2019/5/10 事例2
考察(事例1) 〔展開1 〕 「どうしたらおもしろいか」と段差のあるコースをつくり、「どのボールがいいのか」と試しながら問題解決。 2019/5/10 考察(事例1) 〔展開1 〕 「どうしたらおもしろいか」と段差のあるコースをつくり、「どのボールがいいのか」と試しながら問題解決。 ビー玉で成功したときに「やったー成功!」と自分達の見通しがよかったことに喜び、面白さを追求している。
考察(事例1) 〔展開3〕 「飛び出さない」「見えない」の 2つの問題解決。 2019/5/10 考察(事例1) 〔展開3〕 「飛び出さない」「見えない」の 2つの問題解決。 それによって「やったー、ペットボトルのトンネル通って、ゴールについた!」「Gちゃんすごいなぁ、ありがとう」という喜びの共有も図られている。 問題解決の過程が知的な思考面だけでなく,「やってみよう」という意欲,楽しい・うれしい・わくわくするという情動的な面が一体として現れている。
考察(事例2) 「なんで色変わったんやろう?」という疑問が子ども達に生じている → 気づきと新たな問題(疑問)の芽生え 2019/5/10 考察(事例2) 「なんで色変わったんやろう?」という疑問が子ども達に生じている → 気づきと新たな問題(疑問)の芽生え 保育者は意図的に答えを出さずに,問題解決のきっかけとして“黒い石”を留まる場所として用意 → 問題解決のための「環境」づくり 案の定,次の日にかえるの色が変化し,「なんか黒いなぁ。」と驚きと、不思議な気持ちが更に起こる。 → “昨日とは違う”という色の変化(差異)の気づき、それが何故起こったのかという新たな疑問が芽生え 保育者は子どもたちの気づきをもとに、保護色の話へ方向付け、対話している。 → 新たな概念の獲得 このことが更に「虹色にしたい」といった探究心につながっている。
2019/5/10 考察(事例2) かえるの色の変化に対して,「なんでかな?」という疑問から保護色の話へと保育者と子どもたちの対話はつながっていく。保護色という新たな視点を得た子どもたちは,「こんどは,虹色にしたいわ。」とさらに意欲が芽生えている。このような場面においても,幼児なりの問題解決の過程が知的・意欲的・情動的側面から一体的に捉えることができる。
子どもたちにとって困った事態(解決しなければならない問題) に出会う 2019/5/10 結論 子どもたちにとって困った事態(解決しなければならない問題) に出会う 知的な側面(目的意識・見通し・予想) 探索活動 探究活動 対 象 子ども 意欲の側面、情動的側面 幼児の問題解決の過程を、知的な側面、意欲的・情動的側面から一体的に捉えることが必要
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