K: 恒星スペクトル 2007年1月22日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一 教官名 中田 好一 授業の最後に出す問題に対し、レポートを提出。 成績は「レポート+出欠」でつけます。 授業の内容は下のHPに掲載されます。 http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html F: 大気モデル
Harvard System Pickering/Cannon 分類法 1901 Annals Harvard Obs.28,10 K.1.スペクトル分類 Harvard System Pickering/Cannon 分類法 1901 Annals Harvard Obs.28,10 1912 Annals Harvard Obs.56,225 HD(Henry Draper)カタログ 1918 Annals Harvard Obs.91 低分散対物プリズム写真乾板の眼視分類 1)ライン強度比 2)ラインの有無 3)ライン強度 O(a-e)-B(1,2,3,5,8,9)-A(0,2,3,5)-F(0,2,5,8)-G(0,5) -K(0,2,5)-M(a,b,c,d) F: 大気モデル
Yerkes System Morgan/Keenan スリット分光 λλ3930-4860 A 115A/mm スペクトルの大部分は同じタイプを示すが、あるライン の比が異なる。絶対等級に依存。 d: 矮星(dwarfs) g: 巨星(giants) c:特に明るい星 Harvard System + 光度クラス I(a,ab,b) ← c Supergiant II Bright Giant III(a,ab,b) ← g Giant IV Subgiant V ← d Dwarf F: 大気モデル
Yerkes System でのスペクトル分類 O 4ー9、9.5 B 0, 0.5, 1-3, 5, 7,8, 9.5 A 0, 2,3, 5, 7 F 0, 2,3, 5, 7, 8,9 G 0, 2, 5, 8 K 0, 2,3,4,5 M 0, 1, 2, 3, 3, 4, 7, 8 F: 大気モデル
O型星 4686 HeII 特徴 中性及び電離ヘリウム線。電離ヘリウム線がなければB型である。早期程電離ヘリウム線が強くなる。 MK分類は He II 4541/He I 4471 を細分類に使用。 晩期O型ではSi IV (4089) とCIII(4068, 4647, 4651) 4101Hδ 4340Hγ 4861Hβ 4471 HeI 4541 HeII F: 大気モデル
B型星 4367 HeI 4471 HeI 特徴 中性ヘリウム線有り。B2型で最強。 電離ヘリウム線無し。 水素線は晩期程強い。 F: 大気モデル
A型星 特徴 3933 CaII K 水素バルマー線が強く、A2で最強。 3970Hε+ 3968CaII H A型星 特徴 水素バルマー線が強く、A2で最強。 Ca IIのH(3968)、K(3933)線はA0型で現れ、晩期に向かい強まる。 多数の金属線(FeI, FeII, CrI, CrII, TiI, TiII)が有り。 3933 CaII K 4101Hδ 4861Hβ 4340Hγ F: 大気モデル
F型星 3970Hε+3968CaII H 特徴 3933 CaII K Ca IIのKH線が強い。 バルマー線は弱くなる。 CHのGバンドがF3以降強くなる。 3933 CaII K 4101Hδ 4861Hβ 4340Hγ 4300CH G F: 大気モデル
G型星 3933 CaII K 3970Hε+3968CaII H 特徴 バルマー線は金属線と同じくらいまで弱くなる。 CH(Gバンド)とCN(42163883)は強い。 4861Hβ 4383FeI d 4340Hγ 4101Hδ 4326 FeI 4300CH G 4226 CaI g F: 大気モデル
K型星 3933 CaII K 3968CaII H 特徴 弱いバルマー線 強くて多数の金属線 非常に強いHK線 分子バンド(Gバンド)強い TiOはK7で見え始める 3933 CaII K 3968CaII H 4761 TiO 4300CH G 4226 CaI g F: 大気モデル
M型星 3933 CaII K 3968CaII H 特徴 λ<4000A多数金属線 TiO吸収帯 4422, 4584, 4626, 4422, 4584, 4626, 4761, 4954, 5167, 5448, 5497, 5759, 5810, 5847, 5862, 6158, 7054, 7589, 7672, 8433, 4226 CaI TiO 4584 4761 4954 F: 大気モデル
3970Hε+ 3968CaII H 3970Hε+ 3968CaII H バルマージャンプ Hγ Hδ 4686 He II CaII K NaI D F: 大気モデル
3970Hε+ 3968CaII H Hδ Hγ Hβ Hα CaII K FeI E Mg b NaI D F: 大気モデル
n X K.2. 恒星大気の復習: エディントン大気 Ω θ I(x,θ,φ)= I(x,θ) 輻射が軸対称の時、μ=cosθとして、 K.2. 恒星大気の復習: エディントン大気 I(x,θ,φ)= I(x,θ) 輻射が軸対称の時、μ=cosθとして、 N次モメント MN を以下のように定義する。 n MN(x, λ)=(1/4π)∫(cosθ)N I (θ, x, λ) dΩ =(1/4π) ∫∫ (cosθ)N I (θ, x,λ) (sinθ) dφdθ =(1/2)∫μN I (μ, x, λ)dμ Ω 0次モーメント J (x,λ)= (1/4π)∫I (μ, x, λ) dΩ = (1/2)∫I (μ, x, λ) dμ =平均輻射強度 θ X 1次モーメント H(x,λ)= (1/4π)∫cosθI(θ,x,λ) dΩ = (1/2)∫μI(μ, x,λ) dμ エネルギーフラックス F(n, x ,λ) =∫ cosθ I (θ,x,λ) dΩ= 4πH ( x, λ) 2次モーメント M2(x,λ)=(1/4π)∫ (cosθ)2I(cosθ, x,λ) dΩ = (1/2)∫μ2 I(μ, x,λ)dμ =K (x,λ) F: 大気モデル
この系列はμ2 μ3 と上げても閉じない。式の数<変数の数 μdI/dτ=I-S (平面近似) モーメント方程式 × ∫dΩ/4π : × ∫μdΩ/4π : この系列はμ2 μ3 と上げても閉じない。式の数<変数の数 モーメント方程式をどこかでむりやり閉じる必要。 エディントン近似 F: 大気モデル
恒星大気のエディントンモデル エディントン近似を用いて恒星大気のモデルを考えよう。 (1) (2) 仮定:(a)∫Jλκλdλ=∫ελdλ :輻射平衡 ( Radiative Equilibrium) この仮定は(1)から とすると分かるように、H=一定 を意味する (b) Jλ(x)= Bλ(T(x)) :LTE (c )Kλ(x)=(1/3)Jλ(x) :エディントン近似 F: 大気モデル
κR=Rosseland mean opacityを使うと ∫Hλdλ=H, ∫Kλdλ=K とする。 (1)から仮定(a)によって、 H(x)=Ho (3) (2)から、 κR=Rosseland mean opacityを使うと (4) 平均光学深さτRを τR=∫ρ(x)κR(x)dx と定義すると、 H(τR)=Ho=一定 K(τR)=τRHo+ C J(τR)=S(τR)=B(τR)=3(HoτR+C)=(σ/π)T4 (τR) したがって、線形近似S=a+bτの結果が適用できる。 F: 大気モデル
:線形解の表面輝度とフラックス θ 下図で光線に沿ったτ=1に注意 τ=0 τ=μ=cosθ τ=1 S(τ)= a + bτ I(τ=0 ,μ>0) = (1/μ)∫∞0S(t)exp( ‐t/μ) dt =(1/μ)∫∞0(a+bt)exp( ‐t/μ) dt = (1/μ)[ a∫∞0 exp(‐t /μ) dt + b∫∞0 t exp(‐t /μ) dt] = a+ bμ= S(τ=μ) (μ>0) I(τ=0 ,μ<0) = 0 (μ<0) θ 下図で光線に沿ったτ=1に注意 τ=0 τ=μ=cosθ τ=1 F: 大気モデル
Fλ=∫μIλ(μ,τ=0)dΩ= 2π∫10μ( aλ+ bλμ)dμ=2π(aλ/2 + bλ/3) フラックス Fλ=∫μIλ(μ,τ=0)dΩ= 2π∫10μ( aλ+ bλμ)dμ=2π(aλ/2 + bλ/3) Source Function Sλ (τ)=aλ+bλτ だったから、 Fλ=π[aλ+(2/3)bλ]=πSλ(τ=2/3) である。 温度Tの黒体表面からのフラックスがπBλ(T),ここにBλ(T)は輻射強度、 だったことを考えると、線形大気では、τλ=2/3の深さの所を見て いると言える。 I(τ=0) a 0 τλ=0 1/3 τλ=μ=cosθ S(τ=2/3) 2/3 1 τλ=1 a+b a+bμ F: 大気モデル
J(τR)=S(τR)=B(τR)=3(HoτR+C)=(σ/π)T4 (τR) H(τR)=Ho=一定 K(τR)=τRHo+ C J(τR)=S(τR)=B(τR)=3(HoτR+C)=(σ/π)T4 (τR) そのためには、τR=2/3 の温度T(τR=2/3)=Te で、 かつ線形大気では F=4πH=σTe4 であることを思い出せばよい。 すると、 F: 大気モデル
ここまでで、大気内部の温度Tがロスランド光学的深さτRの関数として決まった。 線形大気ではある波長λでのフラックスFλは、その波長で測った光学的深さ τλ=2/3のところでの源泉関数S(τλ=2/3)で決まる。LTEを仮定して Sλ=Bλ(T)とすると、Fλ=πBλ(T) ただし、T=τλ=2/3の深さの温度。 TはτRの関数で与えられているから、τλ=2/3がτRでいくつかが問題。 これは、 と考えて、 で決まる。 F: 大気モデル
κλ < κR Fλ =πBλ [T>Te] κλ > κR Fλ =πBλ [T<Te] ここに、 Fλ Bλ(Te) 結局、Fλ =πBλ (T) ただし、 λ κλ = κR Fλ =πBλ [Te] κλ < κR Fλ =πBλ [T>Te] κλ > κR Fλ =πBλ [T<Te] κλが小さいと深い所を見るのでFλは大きくなる。 κλ κR λ F: 大気モデル
K.3.恒星スペクトルのモデル 前節と同じ線形大気モデルで、連続スペクトルを扱うと、星のスペクトルは で表される。 Fλ λ κλ 前節と同じ線形大気モデルで、連続スペクトルを扱うと、星のスペクトルは で表される。 Fλ Bλ(Te) λ κλ κλ = κR Fλ =πBλ [Te] κλ < κR Fλ =πBλ [T>Te] κλ > κR Fλ =πBλ [T<Te] κR まず、κλとκRを求める必要がある。 λ F: 大気モデル
恒星表面でのフラックス W(λ)=λ・F(λ) はしたがって、 こうして、Te、kλ、kR が揃ったので、ある波長λでτλ=2/3になる深さでの温度T(λ)はエディントン大気を仮定して下のように求められる。 恒星表面でのフラックス W(λ)=λ・F(λ) はしたがって、 以下に、このようにして求めた、kλ、W(λ)をグラフで示す。 F: 大気モデル
F: 大気モデル
F: 大気モデル
F: 大気モデル
K.4.連続吸収とバルマージャンプ 以下の5種の大気について、連続吸収の大きさを計算してみよう。 吸収係数 k(cm-1)=k(Hb-f)+k(H-b-f)+k(H-f-f) =n1σ1+ n2σ2+ n3σ3+n4σ4+N-σbfー+NeN-α-ff スペクトル型 T Pg(erg/cm3) Pe(erg/cm3) K7 4,000 100,000 0.18 G0 6,000 62,000 14.0 A9 7,500 17,000 130 A0 10,000 1,300 420 B0.5 25000 1,900 904.7 以下の表とグラフに示すように、T=25,000Kから 10,000Kでは、バルマー端λ=0.3648μで起きるκの変化が大きくなっていった。これは、温度が下がるため(n2/n3)が大きくなったからである。さらに温度が下がると、 (n2/n3) がより大きくなるが、低温になるとグラフに示される通りH-のb-f吸収が効いてくるので、バルマー端でのκのジャンプは目立たなくなってくる。 F: 大気モデル
T Fλ(U) Fλ(B) Fλ(V) U-B B-V 5.5.2色図29 可視域ではA0型星のカラーを0とし、他の星のカラーはそれを基準にして決めている。先に求めたTe=10000KのスペクトルをA0型と考えて、U-B,B-Vという2つのカラーを求めてみよう。有効波長はU,B,Vでλ=0.36, 0.44, 0.55 μmとする。 T Fλ(U) Fλ(B) Fλ(V) U-B B-V K7 4000 2.69E+06 4.82E+06 7.30E+06 -0.05 1.22 G0 6000 7.02E+07 9.69E+07 8.51E+07 -0.33 0.63 F0 7500 1.50E+08 3.14E +08 2.17E+08 0.12 0.37 A0 10000 6.10E+08 1.14E+09 5.61E+08 0.0 0.0 B1 25000 1.21E+10 8.52E+09 3.65E+09 -1.06 -0.15 F: 大気モデル
モデルスペクトルの2色図 B1 -1.0 U-B -0.5 G0 K7 A0 F0 0.5 1.0 B-V F: 大気モデル