行列 一次変換,とくに直交変換.

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行列 一次変換,とくに直交変換

行列 行列を ベクトル の集合として見る 第1列 第2列 第j列 第n列 第1行 第2行 第i行 行ベクトル 第m行 列ベクトル

行列とベクトルの積 の意味は mxn行列 A と n次元ベクトル の積 行列内の行ベクトル(a, b)とベクトル(x, y)の内積 第j列 第i行 第m行 行ベクトル 列ベクトル は内積

2次正方行列どうしの積 を とみなすと,AxBは4組の 内積 を成分とする行列 すなわち

行列と行列の積の一般形 行ベクトル 列ベクトル (m, λ)行列A と (λ, n)行列B との積 A x B = C Cは (m, n) 行列で, Cの成分 cik は つまり,Cの成分 cik は Aの第i行ベクトルとBの第k列ベクトルとの内積

線形変換(linear transformation) 一次変換(幾何学的意味 http://ron4310.blog.fc2.com/?tag=%E8%A1%8C%E5%88%97 ) 線形結合:   の x 倍と の y 倍の和が ベクトルとスカラーを入れ替え       とし,                     と置くと  つまり,x’ y’はx yの 定数倍の和 で表現できる この変換を線形変換(一次変換)という 京都の碁盤の目のようにできた街 ⇒ 直交する単位ベクトル ⇒ 基幹ベクトル 斜交する通り ⇒ 斜交ベクトル     直交するベクトルを回転と伸縮してできる   線形変換: 回転と伸縮   回転と伸縮を,行列とベクトルの掛け算でできる. 猫の図   横だけの拡大,縦だけの拡大,両方の拡大   猫の回転   猫の線対称移動(実はこれも行列とベクトルの掛け算で簡単に計算できる)   行列とベクトルの掛け算は,掛け算と足し算だけで計算できる.これはコンピュータの得意技   だから,コンピュータグラフィックスが発展

点の原点の周りの回転は線形変換 θ をθ回転させると 任意のベクトル       を         として表現.    をθ回転させたものが     . を回転後の  は

いろいろな行列 零行列(zero matrix) 正方行列(square matrix) 行列式(determinant)  要素がすべて0の行列 正方行列(square matrix)   (m x n)行列において m=n, すなわち,  行の数と列の数が等しい行列  n次の正方行列と呼ばれる. 行列式(determinant)  正則行列 にて定義される.   行列式が0でないとき,逆行列が定義可能  行列式が定義可能な正方行列を正則行列(regular matrix)と呼ぶ.

いろいろな正方行列 対角行列(diagonal matrix) 単位行列 (unit matrix) E 主対角成分以外はすべて0 単位行列 (unit matrix) E 主対角成分がすべて1の対角行列 線形変換ではそれ自身への変換 正方行列Aのすべての対角成分を加えたものを その行列のトレース(trace)という.記号tr(A)で表現              に対して

いろいろな正方行列(2) 転置行列(transposed matrix) At 対称行列(symmetric matrix) At = A 行と列を置換した正方行列           とした正方行列 対称行列(symmetric matrix) 転置行列とそれ自身が等しい行列 At = A のとき において b=c

転置行列の性質 (AB)T=BTAT 積が可能なのはAがm行λ列,Bがλ行n列の場合 (AB)Tの(i,j)成分は定義よりABの(j,i)成分と一致するので (AB)Tの(i,j)成分= 一般に,ABの(i,j)成分は,Aの第i行と,Bの第j列の積で,pを動かしながら和をとるΣaip×bpjである. つまり,aip×bpjの外側にあるaのi, bのjを固定して,内側にあるaのp, bのpを動かすことになる. スライドの下にある等式の第2辺は,ABの(j,i)成分だである. 第2辺は,上の法則を使うと,その形になっていることがわかる.

BT と AT について要素を列記すると となるから BTATの(i,j)成分= よって (AB)T=BTAT

逆行列(inverse matrix) A-1 行列Aに対し AA-1=A-1A=E を満たす行列 A-1 逆行列は行列式       のとき存在 2次正方行列      に対し 分母は行列式 分子       は余因子行列(adjoint matrix) 主体各成分は交換 副対角成分は符号反転

逆行列の性質 定義 AA-1=A-1A=E (A-1)-1=A X = (A-1)-1とおき両辺の右からA-1をかけると X A-1 = (A-1)-1 A-1で,右辺はEだから X A-1 =E 右からAをかけると X =A (AB)-1=B-1A-1 (B-1A-1)(AB)= B-1 ( A-1A )B= B-1EB = B-1 (EB) = B-1 B=E よって B-1A-1 は ABの逆行列 AX=B なら X=A-1B XA=B なら X=BA-1 連立方程式の解に相当

逆行列の線形変換での意味 変換 により を に変換 両辺の左からA-1をかけると右辺は 左辺は だから つまり,A-1により から元の へ戻すことができる. A-1は逆変換 [例] Aがθの回転ならA-1は-θの回転

直交行列(orthogonal matrix) A At = E となる行列 このとき, A At = At A At = A-1 (A At = E より A-1AAt = A-1 E となり,At = A-1) 2次行列 では A At = E より なので, 2つの行ベクトル はともに大きさ1で直行 At A= E より なので, 2つの列ベクトル はともに大きさ1で直行 ※直交行列では,縦も横も,直行する単位ベクトル

直交変換(orthogonal transformation)        が直交行列のとき   を直交変換という 距離を変えない線形変換とは? A により2点P(x1,y1),Q(x2, y2)が2点P’(x’1, y’1),Q’(x’2, y’2)に移動      |P’Q’|2       |PQ| 2

|P’Q’|と|PQ|が等しい条件を探る ー 直交変換との関係 ー |P’Q’|2 上式が任意の x1, y1, x2, y2 につき と等しいから 2つのベクトル を考えると,これらは ともに大きさが1 互いに直交 これらを行ベクトルとする行列は,直交行列 A

が成立 よって          は直交行列で,                 は直交 これらベクトルの大きさはともに1 このような条件を満たす    は2組 θ

距離不変の線形変換は回転 一方, となる 線形変換は直交変換 [証明] 仮定から .任意のx1,y1,x2, y2で成立するには これは回転 α θ 一方, となる 線形変換は直交変換 [証明] 仮定から           .任意のx1,y1,x2, y2で成立するには

直交変換の意味 右辺の分解の中から意味のあるものを選ぶことが可能 座標は,見やすいように回転させてから見ても, 情報は損失されない 一般に          を            に 直交変換(回転)すると 左辺は右辺の任意の成分に分解可能であることを意味する 右辺の分解の中から意味のあるものを選ぶことが可能 座標は,見やすいように回転させてから見ても, 情報は損失されない