スポーツ・レクリエーションをとおした 「発達につまずきのある子どもたち」の 地域デビュー促進事業

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くいなく学び,最後までやりぬく,かしこい子ども ふれあいを大切にするやさしい子ども しっかりと寝て,食べて,のびていく子ども げん気
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スポーツ・レクリエーションをとおした 「発達につまずきのある子どもたち」の 地域デビュー促進事業 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 スポーツ・レクリエーションをとおした 「発達につまずきのある子どもたち」の 地域デビュー促進事業 人間福祉学科3年     竹中 皓也 ほか宮嶋ゼミ一同                          (担当教員:宮嶋 淳) 人間福祉学科3年の[竹中]です。 私たちのゼミでは、発達につまずきのある子どもたちと健常児が混合している野球チームとの交流の機会を伝統的に行っています。 私たちは、「スポーツ・レクリエーションをとおした、発達につまずきのある子どもたち」の地域デビュー促進事業を行いました。 子どもたちとの関わりを通して、コミュニケーションを円滑に進めるにはどのようにしたらよいのか、そもそも発達障害児とはどんな症状なのか、どのように理解されてきたのか、さらに子どもたちへの支援や制度の現状はどうなっているのかを学習しました。

症状で区分するのではなく、実用的な支援の有り様での区分 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 発達につまずきのある子どもたち 発達障がい・・・・非定型発達 (定型発達=(ふつうの人)とは異なる) サポートの仕方に共通性がある 3歳以前から 対人交流が困難 コミュニケーションが困難 想像力が深いが狭い(こだわり) それ以外に・・・ 不器用 視覚優位 感覚過敏 自閉スペクトラム症 (広汎性発達障がい) 自閉症 アスペルガー症候群 特定不能の 広汎性発達障がい (非定型自閉症) その他 (高機能自閉症  ・軽度自閉症) [山田理] 発達障害は、乳児期に症状があらわれ、現在、自閉スペクトラム症と呼ばれることが多くなっています。 知的障害や精神障害が合併していることもあります。 特徴は、先天性の障害だということ、障害は生涯にわたるということ、障害が発達の過程で年齢とともに社会化され、行きづらさを抱えることが多いということがあげられています。   代表的な考え方として、スライドに示したように、ウィングの「三つ組(みつぐみ)」という捉え方があります。 症状で区分するのではなく、実用的な支援の有り様での区分

サポート:人を変えることはできない 困難やトラブル 背景・理由を知る 構造化/視覚支援 【構造化】 時間の構造化 例:料理のレシピ 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 サポート:人を変えることはできない 困難やトラブル 背景・理由を知る 構造化/視覚支援 【構造化】 時間の構造化  例:料理のレシピ 空間の構造化  例:披露宴の座席表 【視覚支援】   実物  絵・写真   文字(マニュアル)   ホワイトボード  スライドショー   デジタル教材・電子機器 [山田理] 発達障害、あるいはその疑いのある方々に対して、その人を変えようとするのではなく、その人をサポートすることが大切だといわれています。 その方法も画面に示したように、近年、多くの方法が見出され効果を上げています。 また、法律や制度上も指針が示され、小学校から大学に至るまで、教育現場でも準拠する必要性が指摘されています。 障がい差別解消法に基づく対応指針 JUN Miyajima 2018.7

2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 フレンズとは 運動が苦手、友だちづくりが苦手、とてもマイペース、嫌いなことをがんばることが苦手な小学生のための野球チームです。平成22年4月から活動を始めました。 岐阜市民活動団体STARTがチームの企画と運営を行っています。 [ケント]  私たちがサポートしている「フレンズ」とは、どのようなグループなのかを紹介します。  フレンズを紹介するパンフレットには、「運動が苦手、友だちづくりが苦手、とてもマイペース、嫌いなことをがんばることが苦手な小学生のための野球チームです。 平成22年4月から活動を始めました。岐阜市民活動団体STARTがチームの企画と運営を行っています。」と書かれています。 フレンズの紹介パンフレットより

フレンズ(岐阜市民活動団体)の歩み 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 発展期 設立初期 [ケント] 11月の予定 2009.11.09 今年もあと5日 2009.12.27 修了証をいただきました 2010.02.01 レッドビッキーず 2010.02.14 ふれあいまつり ニッコニコ☆START 2010.07.01 科学実験 2010.07.03 フレンズ日誌 7月10日 2010.07.10 岐阜市教育委員会の後援 2010.07.14 科学実験の準備 2010.07.26 凰建設 ふれあい夏祭り 2010.07.31 お買い物 2010.08.10 発展期 フレンズ二軍 デビューか? 2011.12.07 試合するだけスペシャルチーム ルフィ においでよ 2013.01.26 3年目、フレンズにボランティアさんが来るよ 2012.05.10 キリン福祉財団 贈呈式 2014.05.11 岐阜県知的障がいソフトボールチーム 2014.05.11 フレンズOB試合 2015.08.13 ワルガキチーム 2015.09.20 社会性を育てるチーム 2015.09.25 フェアであるとは(2016.09.20) 理解してもらうこと(2016.10.16) ホームページを作りました(2017.03.24) [ケント] フレンズの活動をさかのぼってみると、今から8年前が出発点になります。 発達につまずきのある子どもさんの保護者の皆さんが自発的に活動を開始されました。 画面では、フレンズの活動を3つに区分して紹介してあります。 フレンズの設立初期には、野球をやろうというよりも、様々な活動に、みんなで参加してみようよという「エンジョイ型」の取り組みが多く見られます。 発展期には、野球が中心のチームへと変化しています。チームが2つもできるほど、多くの子どもたちが参加していました。 そして今、私たち宮嶋ゼミの学生が関わるようになり、次の段階に進もうとしています。

先輩から継承したこと 2013年からの活動を維持・発展 子どもたちを主体に据える取り組み 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 先輩から継承したこと 2013年からの活動を維持・発展 子どもたちを主体に据える取り組み 子どもたちの「できる・できた経験」を増やし、自信をつけてもらうきっかけ作り 最初は、時間をかけ、距離を縮め、素敵を創造する 関わり刺激は、子どもたちを飛躍的に成長させる 大学生という存在は、目標を「見える化」する 「共有体験」=「できる」の増加、自己有用感の向上 につながる [はな] 先輩方は、2013年からの5年間を通して、先輩方とフレンズの保護者との入念な打ち合わせのもと、子どもたちを主体に据える取り組みを実施されてきました。  フレンズの活動は、10年近い歴史の中で、「交流」と「レクリエーション」と「野球」が中核でした。  先輩方の「交流企画」は、子どもたちの「できる・できた経験の少なさ」に着目し、「カレー作りと宝探し」を行いました。子どもたちが学校のデイキャンプでカレーを作る行事があるということを聞き、子どもたちが少しでも自信をもって行事に参加できるよう企画したものでした。カレー作りでは子どもたちの中には、初めて包丁を握る子が居たり、ラポールを形成するまで、時間もかかったそうです。でも、子どもたちは、自分の力でカレーを作ったことにより、完成した時はみんな、自信に満ちた素敵な表情をしていたそうです。   子どもたちと大学生との関わりは、子どもたちに刺激を与え、普段の生活ではあまり経験することが出来ない経験をすることで、子どもたちが飛躍的に成長したし、保護者以外の大人と関わることも子どもたちの大きな成長に繋がるという成果でした。  学生との関わりは、子どもたちにとって将来の目標を具体的な「目に見えるもの」とし、子どもたちが主体的に動けるようになる「共有体験」を提供し、「できる」ことの範囲が増えていく自己有用感の向上につながったと考えられていました。

田中治彦「子どもの参画とまちづくりを促すアクション・リサーチ」の見解 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 子どもの参画 と 自己有用感 子どもの成長・発達に合わせて、子どもの力で解決可能な課題を 特定して、その解決方法を考え実行させる どんなに小さい問題であっても、地域の問題=身の回りの問題を 自分たちで解決できれば、それは子どもの「効力感」を高める。 効力感とは、自分が言ったことややったことが、大人に聞き入れて もらえて、問題を解決できるのだという実感である。 [はな] 先輩から引き継いだ、前記の7つの事柄は、子どもの参画と自己有用感という観点にあてはまると考えました。 社会教育の領域で著名な、教育学者である 田中治彦(たなかはるひこ)さんの 言葉を借りれば、画面に示したような見解と重なります。  田中治彦「子どもの参画とまちづくりを促すアクション・リサーチ」の見解

健全育成の 5つの目標 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 [はな] また、児童館ガイドラインに示されている「子どもの健全育成の5つの目標」とも重なることだと考えました。

保護者の皆さんの思い より多くの子どもたちに経験してもらいたい 子どもたちの成長過程での財産 子どもに何かをやらせたい 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 保護者の皆さんの思い 子どもに何かをやらせたい 子どもが興味を持ったことはさせたい 参 加 ・ 参 画 前向きさの獲得 経験知の蓄積 子どもたちの成長過程での財産 [ケント] こうした先輩方の活動に対し、保護者のみなさんはどのようにかんじられていたのでしょうか。 先輩は、保護者の皆さんへのインタビュー調査をされています。  インビューに応えられた保護者の皆さんは、「子どもに何かやらせたい」「子どもが興味を持ったことはさせたい」という思いからフレンズの活動に子どもを参加させ、大学生が関わることで、普段の生活では体験することができないことを子どもたちが体験し、大学生に対するあこがれや次の練習を楽しみにするなど、人間関係の構築に向けた前向きな発想ができるようになったと述べられました。 大学生との関わりは、子ども達の成長過程での財産となったと感じられているのです。子どもたちは、大学生との関わりの中で、人との関わりや関わり方のコツを学び、自身の成長に繋げられる経験知の蓄積をしていると感じられておられるのです。 保護者の方々の思いを真摯に受け止め、子どもたちの成長をサポートするためには、より多くの経験を、より多くの人々と共有することが大切だと考えるに至りました。 より多くの子どもたちに経験してもらいたい

子どもの主体性を重視する ロジャー・ハートの「参画のはしご」 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 [ケント] 保護者の皆さんの思いを私たちの学びから整理してみると、図に示したようなロジャー・ハートが提唱した「子どもたちの参画のはしご」と共通すると考えました。 ロジャー・ハートの「参画のはしご」

学びをとおして見えてきたこと 子どもたちの特性を踏まえた、個の尊重 一人ひとりを尊重するノーマライゼーションの実現 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 学びをとおして見えてきたこと 子どもたちの特性を踏まえた、個の尊重 一人ひとりを尊重するノーマライゼーションの実現 理解した上でのコミュニケーション  これらのことを 「より多くの子どもたち」 や 「より多くの人々」  に伝え、広げていく必要があること [山田理] 発達障害の症状は多様であり、独特のこだわり、コミュニケーションのとり辛さ、動作の緩慢(かんまん)さなどがあるため、社会に出ていく上のデメリットも多くあるといわれています。  私たちは福祉を学ぶ者として、すべての人が生まれ育った家と地域で、幸せに生きることを実現することが大切だと思い、ノーマライゼーションの考え方が、身近な人々に、強いては国民全体に浸透していかなければなりません。    ゼミ活動の一環として発達につまずきのある子どもたちを含む野球チームにかかわっていく中で、発達障害を知ったうえでコミュニケーションをとることの大切さを知りました。発達につまずきがあることを知った上で、円滑なコミュニケーションがとれ、子どもたちを見ていく中で、一人ひとり異なる特徴を把握することができたと思っています。

今年度の取り組み 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 [竹中] 近年、社会的孤立は地域の解決すべき課題としてクローズアップされています。 フレンズが目指した野球をとおして社会参加するということは、スポーツ少年団など競争主義のスポーツから排除され、社会的な孤立状態におかれている「発達につまずきのある子ども」やその家族を、何らかのきっかけを通して地域参加への一歩を踏み出す契機となってきました。 この視点に立ち、岐阜市芥見地区で活動する皆さんとともに、「社会的孤立の解消」を2年間のプロジェクトとして目指しています。 その第一弾が、画面のとおり、10月27日の催しでした。 その後も、フレンズのホームページで月2回の練習を公表し、参加者の拡大を図ってきました。 私たちの活動は、レクリエーションやスポーツ、コミュニケーションの機会を通して 1)「発達につまずきのある子ども」が、地域の人たちと一緒に野球大会を行うことで自然な形でつながりを持ち、社会性の育みを促進させる。 2)参加した子ども、家族、学生の自己有用感の向上を図る。 3)その輪を広げていくことこそ、子どもたちの地域デビューである。 ということです。

成果と課題 成果 多くの団体にご協力頂けたこと 多様な「地域デビュー」事業が展開されていること 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 成果と課題 成果 多くの団体にご協力頂けたこと 多様な「地域デビュー」事業が展開されていること 地域デビューの方法は様々で、どれもが「共有体験」を作り出す  「共有(つながり)体験」の機会を作り出すと、そこに「楽しさ」と「自身」が定着していく 課題 学びをとおして、活動の理論上の正しさが感じられる状況や環境が整ってきた しかし、まだまだ参加者が少なく、定着するまでには至っていない 今後さらに、継続した活動にし、定着させていくことが課題 [竹中] 協力頂いている団体は、岐阜市民活動団体START(フレンズ野球チーム)の加藤代表のほか、  ・岐阜市芥見東自治会連合会 ・岐阜市芥見南自治会連合会 ・学習支援室「こもれび」 ・身体障害のある皆さんによる岐阜清流野球クラブなどです。 岐阜市芥見地区では、現在、岐阜市教育委員会と東京大学、岐阜大学、本学が連携して、高齢者の地域デビュー事業が展開されているそうです。 高齢者の皆さんの地域デビューが、趣味や会話、おしゃべりや勉強、食事会など、子どもたちとの「共有体験」で実現していこうとしています。 私たちの活動も、スポーツやレクリエーションをとおした「共有体験」を作り出そうとしています。 今までつながりが薄れていたところに、何らかの手段を用いて、「共有体験」の機会を作り出すと、そこに「楽しさ」と「自身」が定着していくのではないでしょうか。 課題としては、 さまざまな学びをとおして、私たちの活動が理論上、正しいように感じられる状況や環境が整ってきたと思います。 しかし、まだまだ参加者が少なく、定着するまでには至っていません。 今後さらに、継続した活動にし、定着させていくことが課題だと思います。

ご静聴ありがとうございました。 是非とも、 3月23日(土)開催の WBCフレンズ・リアル野球版2019 にご来場下さい。 2018年度学生による地域貢献事業成果報告会 ご静聴ありがとうございました。 是非とも、    3月23日(土)開催の     WBCフレンズ・リアル野球版2019                          にご来場下さい。 [竹中]  私たちの今年度の活動は、地域の皆さんの参加を得て、3月23日(土)に、岐阜市教育研究所のグラウンドで開催する「WBCフレンズ・リアル野球版2019」で完結します。 ぜひ、遊びに来て頂ければと思います。  ご静聴、ありがとうございました。 岐阜県岐阜市芥見南山3丁目10-1 岐阜市教育研究所 グラウンド