総合獣医学演習C 獣医伝染病学 第2回目.

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微生物が体内に侵入する などして、引き起こす病気 病原体 感染症とは 細菌・ウイルス・寄生虫 など 9.感染症とその予 防 インフルエンザウィルス 「福岡県保健環境研究所H P」 タミフル「中村内科日記」よ り 素材集-感染症.
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疫学概論 疫学研究の目的 Lesson 1. 疫学研究 §A. 疫学研究の目的 S.Harano,Md.PhD,MPH.
人類集団の歴史的変遷 出典:Mascie-Tailor CGN (1993) The Anthropology of Disease, Oxford Univ. Press.
総合獣医学演習C 獣医伝染病学 第4回目.
総合獣医学演習C 獣医伝染病学 第3回目.
図1 斑紋異常の子牛 出生 性別 精液の銘柄 症例1 H27.3.13 雄 Ⅰ 症例2 H27.5.26 雄 Ⅱ
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総合獣医学演習C 獣医伝染病学 第2回目

口蹄疫類似疾病の比較 口蹄疫 豚水疱病 水胞性口炎 病原体 ピコルナウイルス ピコルナウイルス ラブドウイルス 宿主 牛、綿山羊、豚 豚  口蹄疫 病原体 ピコルナウイルス 宿主 牛、綿山羊、豚 水疱発生部位 口(舌)、蹄、乳頭 分布 世界各地 感染様式  空気伝搬 豚水疱病 ピコルナウイルス 豚 口周辺粘膜、蹄 ヨーロッパの一部 東アジア 経口感染 水胞性口炎 ラブドウイルス 牛、綿山羊、豚、馬 口(舌)、蹄、乳頭 アメリカ大陸 節足動物で媒介

口蹄疫 foot-and-mouth disease ・口と蹄の水疱を主徴とする急性熱性伝染病 ・伝染力が強く,血清型が多いため防疫が困難 ・最も重要視されている海外悪性伝染病 宿主:偶蹄類   (牛,水牛,しか,めん羊,山羊,豚,いのししなど) 病原:口蹄疫ウイルス(Picornaviridae,Aphthovirus)   A,O,C,SAT1,SAT2,SAT3,Asia1 の7血清型 疫学  分布:世界各地。日本 では2000年および2010年に発生。      現在、清浄国として認定されている。  感染様式:鼻汁・唾液などに排泄されたウイルスが         経口感染,接触感染,空気伝播。

牛の伝染性海綿状脳症臨床  潜伏期:3~7年(平均4~6年)  症状:神経過敏,方向転換時の後肢の運動失調,     転倒,呆然佇立,衰弱。  予後:発症後,数カ月の経過で死亡。 病理診断:病変の好発部位は脳幹部(特に延髄)。    神経細胞の空胞変性,アストログリアの増殖。 病原診断:異常プリオンの検出 (免疫組織染色,     ELISA,ウェスタンブロット)。 血清診断:抗体応答しないので抗体検査は不可。 予防:ワクチンはない。汚染飼料を与えない。    汚染地域からの家畜導入の禁止。 伝達性の減弱法:134℃以上の高圧滅菌、    1~2Nの水酸化ナトリウム浸漬、    3%以上の次亜塩素酸ナトリウム浸漬

家畜保健衛生所で行われている延髄部の採材法

食肉衛生検査所で行われている牛の延髄採材法

延髄の閂部分に異常プリオンが蓄積する

蛋白分解酵素であるProtein kinaseにより正常プリオンは消化されるが、異常プリオン蛋白質は消化されずに残る。

神経細胞の空胞変性

免疫染色で検出された異常プリオン蛋白

炭疽 Anthrax ・炭疽菌による急性熱性の敗血症 ・天然孔の出血を伴う突然死 宿主:牛,水牛,しか,馬,めん羊,山羊,    豚,いのしし,(犬、ヒト) 病原:炭疽菌(Bacillus anthracis)    病原因子として莢膜と外毒素(浮腫因子と致死因子)   の蛋白質毒素があり、いずれもプラスミドに依存してる。 疫学:世界各地で発生。    日本でも稀に散発的発生。 感染様式:汚染土壌を介した経口感染,創傷感染。    個体から個体に直接伝播することは殆どない。

炭疽菌は莢膜を有する大桿菌である

炭疽菌は縮毛状のコロニーを形成する

ファージテスト:培地に培養した炭疽菌に、炭疽菌を溶菌するバクテリオファージを滴下することで病原診断する

アスコリー反応:炭疽菌の免疫決裁と加熱処理をした発症牛の血液や脾臓乳剤を重層するとの境界部に沈降線が形成される。

鼻疽の診断法であるストラウス反応:鼻疽菌によりモルモットが睾丸炎を発症する。

ヨーネ病の診断法であるヨーニン皮内反応:診断液を目に滴下する

牛結核の診断で行うツベルクリン反応:尾根部に皮内接種することに注意。

ヨ-ネ病 臨床 潜伏期:不定(1~数年) 症状:頑固な間欠性下痢,乳量の低下,削痩。 乳牛の発病年齢は3-5歳。肉牛は少し早い。  潜伏期:不定(1~数年)  症状:頑固な間欠性下痢,乳量の低下,削痩。   乳牛の発病年齢は3-5歳。肉牛は少し早い。  予後(死亡率・致命率):発病後は数カ月から1   年以内に衰弱死。 病理診断:腸管粘膜のワラジ状肥厚。      腸間膜リンパ節の腫大。      類上皮,巨細胞の増殖を伴う腸病変。 病原診断:腸管,腸間膜リンパ節などの材料を      マイコバクチン加ハロルド培地で培養。 血清診断:ELISA,CF反応,ヨーニン反応

ヨーネ菌の診断:糞便のトマツを抗酸染色したもの。Mycobacterium属の菌は、フクシンで染色後に塩酸アルコールで脱色しない。

ヨーネ病発症牛の腸管の病変: 粘膜面がワラジ状に肥厚化する。

出血性敗血症 Hemorrhagic septicemia ・急性熱性全身感染症 ・全身の皮下,臓器粘膜,漿膜面に点状出血  を伴う敗血症 宿主:牛,水牛,しか,めん羊,山羊,豚,いのしし 病原:Pasteurella multocida    血清型 6:B,6:E(浪岡の分類)         2:B,2・5:E(Heddelestonの分類) 疫学:東南アジア、中近東、アフリカ、中南米で流行。     (東南アジアでは乾期の終りから雨期の始めに多発)    日本での発生なし    経口、経気道感染。

ピロプラズマ病 (法定伝染病の対象は省令で定める病原体によるも のに限る)  のに限る)  Theileria parva と T. annulata (牛)  Babesia bovis と B. bigemina (牛)  Theileria (Babesia ) equi と B. caballi (馬)   による疾病が対象  ピロプラズマ目   バベシア科 赤血球以外の細胞内での増殖ステ-ジを欠く。  タイレリア科 有核細胞でシゾントからメロゾイトとなり、そ の後で赤血球に入る。

バベシア病では血色素尿が見られる

Theileria parvaに感染し鼻腔、口腔から大量の泡沫上分泌物を流出する牛。 タイレリアはその感染環でリンパ球やマクロファージにも感染するので、貧血以外の症状も起こす。

Babesia bovisは脳に血栓を形成し、神経症状を伴う脳性バベシア症を発症する。

流行性脳炎 Enzootic encephalitis ・昆虫媒介性の神経症状を起こす疾患。 ・日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス  (Flavivirus 属)および 東部馬脳炎、西部馬脳炎、  ベネズエラ馬脳炎(Togavirus 属)による感染症  が対象。 ・現在国内では日本脳炎が対象疾病。  日本脳炎:豚が増幅動物   ウエストナイル、東部馬脳炎、西部馬脳炎:          野鳥が増幅動物   ベネズエラ馬脳炎:馬が増幅動物 

ウエストナイルウイルスの流行地

米国におけるウエストナイルウイルス流行地の拡大

アメリカ大陸における流行性脳炎の発生状況

ベネズエラ脳炎 臨床症状 ・24時間以内に発熱 ・3~4日で脳炎症状 疫学的特徴 ・古くから馬の疾病として知られていた。 ・24時間以内に発熱   ・3~4日で脳炎症状 疫学的特徴 ・古くから馬の疾病として知られていた。 ・1938年に死亡馬の脳から分離。血清学的に  西部馬脳炎、東部馬脳炎と異なる。 ・1967年中南米で流行し、1971年に米国テキサス  州までの大流行が続いた。 血清型   Ⅰ型 Ⅱ型 Ⅲ型 Ⅳ型 A B C   D  E 流行型 森林型

豚コレラ Classical swine fever(英), Hog cholera(米) ・強い伝染力と高い致死率,多様な病態 ・END現象を利用して感染価を測定 宿主:豚,いのしし 病原:豚コレラウイルス(Flaviviridae,Pestivirus) 疫学:アジア,アフリカ,南米,欧州の各地で発生    日本では1993年以降発生が無かったが、2018    年に岐阜県、愛知県で発生。    感染様式は経口,経鼻感染 予防:生ワクチン接種。    日本では2000年10月からはワクチン接種を    全国的に中止した。

トンコレラは極めて伝播が早いので、感染を疑う豚の扁桃を採取し、クリオスタットで切片を作製し、直接蛍光抗体法で診断する。

急性トンコレラは全身臓器の出血が見られる。

アフリカ豚コレラ African swine fever 病原:アフリカ豚コレラウイルス (Asfarviridae,Asfivirus) 病理診断  急性・亜急性:全身の出血性病変,小血管上皮細胞の充血,血栓,      リンパ節の腫大と出血,時に脾腫,心嚢水増量,      非化膿性脳炎。  慢性型:気管、肺、リンパ節、脾臓に病変。繊維素を伴う心膜炎、      胸膜炎、胸膜の胸壁への癒着、間質性肺炎など。 病原診断   ・脾,肝,リンパ節の凍結切片について蛍光抗体法。   ・血液,脾リンパ節,肝乳剤を初代豚白血球培養細胞や骨髄    培養細胞に接種し,赤血球吸着反応を行う。   ・豚コレラ免疫豚への接種,PCR。 血清診断   経過の長い例では抗体の検出。間接蛍光抗体法,ELISA

イボイノシシではダニにより媒介されるが、豚が感染すると豚間の接触感染が成立することに注意。

以前のアフリカトンコレラの発生状況

最近のアフリカトンコレラの発生状況

狂犬病 rabies ・米国を含む世界各国で発生 (過去10年発生がないのは日本,オセアニア・ 太平洋地域,スカンジナビア各国,英国など)  (過去10年発生がないのは日本,オセアニア・      太平洋地域,スカンジナビア各国,英国など) ・人を含むすべての哺乳類に感染。 ・病原は狂犬病ウイルス(Rhabdoviridae, Lyssavirus) ・唾液中に排出されたウイルスが咬傷を介して感染 ・潜伏期が長い。平均1カ月(1週間から1年4カ月) ・発病すれば100%死亡 ・神経細胞の細胞質内に好酸性封入体(ネグリ小体) ・脳乳剤のマウス脳内接種により病原体分離 ・血清抗体はほとんど上昇しない

A/Chick/Hong Kong/6/97(H5N1) インフルエンザウイルスの命名法 A/Chick/Hong Kong/6/97(H5N1)  血清型/分離動物名/分離地/分離番号/分離年/  赤血球凝集素の型、Neuraminidaseの型 高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の定義 ・赤血球凝集素の型がH5またはH7 ・4-8週齢の鶏に接種し10日後の死亡率が75%以上で   あること。 低病原性鳥インフルエンザ(LPAI)の定義 ・H5又はH7亜型のA型インフルエンザウイルスであっ  て、HPAIウイルス以外のもの。 注:Hは16のsubtype、Nは9のSubtypeがある。

ニュ-カッスル病 強毒内蔵型(ドイル型、アジア型);呼吸速拍と咳を主徴とする著明 な呼吸器症状、緑色水溶性下痢、振頸、脚と翼の麻痺を主徴と  な呼吸器症状、緑色水溶性下痢、振頸、脚と翼の麻痺を主徴と  する神経症状。数日~1週間で死亡し致死率90%。 強毒神経型(ビ-チ型、アメリカ型);呼吸困難、喘鳴及び咳などの  呼吸器症状、下垂、頭部と頸部の捻転、旋回運動などの神経症  状、産卵低下また停止、異常卵の産出。致死率は、1ヶ月未満の  鶏で50~90%、 中等毒型(ボ-デット型);軽度の呼吸器症状や下痢、産卵低下、  成鶏の死亡はごく希で、若鶏でも死亡率は数%。 弱毒型(ピッチナ-型);軽度の呼吸器症状又は無症状。B1株は  生ワクチンとして世界中で使用されている。 無症状腸型:無症状であるが腸管や糞便からウイルスが分離され  る。血清中に抗体が検出されることもある。

OIEコードにおけるND強毒株判定基準 鶏の初生ヒナにおけるICPI指数が0.7以上であること。 分離ウイルスのF蛋白質開裂部位において113-116番目に塩基性アミノ酸(アルギニンもしくはリジン)が3以上存在し、117番目にフェニルアラニンが存在する。

ICPI (Intracerebral pathogenicity index) HA抗原価が16倍以上認められた尿腔液を生食等で10倍希釈する。抗生物質は加えない。 孵化後24時間以上40時間未満のSPF由来ヒナを用意し、上の希釈ウイルス液を0.05ml、ヒナの脳内に接種する。1群10羽使用する。 24時間毎に8日間観察する。死亡した場合スコア2, 発病の場合スコア1, 正常の場合スコア0 を記録する。 ICPI指数を計算する。最高点は2.0に近く、最低点は0に近くなる。

ICPI試験:福岡2004年分離株(接種1日後)

ICPIの計算例 ICPI = 136 ÷ 80 =1.70 観察期間(日) 1 2 3 4 5 6 7 8 死 10 60 120 発症 Sum Factor Total 死 10 60 120 発症 16 正常 80 136 ICPI = 136 ÷ 80 =1.70

腐蛆病 Foulbrood ・アメリカ腐蛆病とヨーロッパ腐蛆病がある ・世界中に分布し,わが国でも発生 ・診断は腐蛆からの菌分離・同定 宿主:みつばち 病原:Paenibacillus larvae アメリカ腐蛆病     Melissococcus pluton ヨーロッパ腐蛆病 疫学:世界各地で発生。    日本でも発生している。    経口感染

アメリカ腐蛆病で死亡した幼虫: 粘性があり、膠臭を発する。

アメリカ腐蛆病の診断法として使用されるミルクテスト: 死亡した幼虫や蛹をスキムミルクに入れると、カゼイン分解酵素により透明になる。

ヨーロッパ腐蛆病で死亡した幼虫: 水様感を示し酸臭を発する。

国内における家畜法定伝染病の発生状況 牛海綿状脳症 最終発生は2009年1月(スクレイピー も含めた「伝染性海綿状脳症」とした場 牛海綿状脳症  最終発生は2009年1月(スクレイピー            も含めた「伝染性海綿状脳症」とした場            合は2017に羊、2018年に山羊で発生。 馬伝染性貧血  2011年に宮崎県の岬馬で感染馬が摘            発される。 口蹄疫       2010年9月(宮崎県)。 豚コレラ      1993年以降発生は無かったが、2018            年に岐阜県と愛知県で発生。 アフリカ豚コレラ 国内での発生報告は無い(海外病)。