総合獣医学演習C 獣医伝染病学 第3回目.

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総合獣医学演習C 獣医伝染病学 第4回目.
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総合獣医学演習C 獣医伝染病学 第3回目

診断上の特徴 ・ブル-タングウイルス 主たる症状は成牛の咽喉頭麻痺、嚥下障害 米国では内水頭症を伴う異常産の報告あり。 ・アカバネウイルス     診断上の特徴 ・ブル-タングウイルス   主たる症状は成牛の咽喉頭麻痺、嚥下障害   米国では内水頭症を伴う異常産の報告あり。 ・アカバネウイルス   体型異常(関節湾曲) 、内水頭症(大脳欠損)、流産 ・チュウザンウイルス   内水頭症(大脳欠損) 、小脳形成不全、   体型異常はない。流産はない。 ・アイノウイルス   体型異常(関節湾曲)、内水頭症(大脳欠損) 、   小脳形成不全、流産は少ないが報告されている。 ・イバラキウイルス   主たる症状は咽喉頭麻痺、嚥下障害   流産は起こるが異常産はない。

分類学的位置と主たる媒介昆虫 ・ブル-タングウイルス レオウイルス科 ヌカカ ・アカバネウイルス ブニヤウイルス科 ヌカカ、キンイロヤブカ    分類学的位置と主たる媒介昆虫 ・ブル-タングウイルス   レオウイルス科 ヌカカ ・アカバネウイルス ブニヤウイルス科 ヌカカ、キンイロヤブカ ・チュウザンウイルス ・アイノウイルス ブニヤウイルス科 ヌカカ、キンイロヤブカ ・イバラキウイルス  

コガタアカイエカ ウシヌカカ

チュウザン病 Chuzan disease ・ヌカカなどの吸血昆虫媒介 ・内水頭症および小脳の形成不全を示す先天異常子牛 ・不活化ワクチンで予防 宿主:牛,水牛,山羊 病原:チュウザンウイルス(カスバウイルス)     (Reoviridae,Orbivirus) 疫学:国内では西日本、韓国、台湾、インド。 感染様式:ヌカカなどの吸血昆虫媒介 症状:母牛は無症状,冬から春にかけて異常子を分娩。    流産はほとんどない。 子牛は虚弱,起立困難または不能。哺乳不能, 盲目,神経症状(旋回運動,後弓反張など)。

チュウザン病による異常産:起立困難,後弓反張

チュウザン病感染による新生子牛の脳組織の変化: 大脳欠損 と小脳形成不全が見られる。

アカバネ病 Akabane disease ・ヌカカなどの吸血昆虫媒介 ・関節弯曲症, 内水頭症を示す先天異常子牛 ・流産胎子では非化膿性脳炎 ・不活化ワクチンで予防 宿主:牛,水牛,めん羊,山羊 病原:アカバネウイルス(Bunyaviridae) 分布:アフリカ,中近東,アジア,オ-ストラリア    主に西日本。1998~99年の流行では北海道 で初発 感染様式:ヌカカなどの吸血昆虫媒介

アカバネ病感染仔牛に見られる体型異常(関節湾曲)

アカバネ病感染仔牛に見られる大脳欠損)

アイノウイルス感染症 Aino virus infection ・ヌカカなどの吸血昆虫媒介 ・関節弯曲症,内水頭症,小脳形成不全を示す  先天異常子牛 ・流産は妊娠末期に起こり、胎子は非化膿性脳炎 ・不活化ワクチンで予防 宿主:牛,水牛 病原:アイノウイルス(Bunyaviridae) 疫学:オーストラリア,東南アジア,国内では西日本 感染様式:ヌカカなどの吸血昆虫媒介。   アカバネウイルスと同様の流行。 症状:母牛は無症状,秋から春にかけて異常子の分娩。   子牛は体形異常, 起立困難,哺乳困難, 盲目, 虚弱。

アイノウイルス感染仔牛に見られる大脳欠損 と小脳形成不全

イバラキ病 Ibaraki disease ・ヌカカなどによる吸血昆虫媒介 ・嚥下障害を主徴 ・ワクチン接種で予防 宿主:牛,水牛  ・ヌカカなどによる吸血昆虫媒介  ・嚥下障害を主徴  ・ワクチン接種で予防 宿主:牛,水牛 病原:イバラキウイルス(Reoviridae, Orbivirus) 疫学:韓国,台湾。  国内では関東以西で夏から晩秋にかけて発生。 感染様式:吸血昆虫媒介,同居感染はない 症状:不顕性感染が多い。  軽度の発熱,食欲不振,眼結膜の腫脹,流涙,  泡沫性流涎。四肢関節の浮腫、蹄冠炎(跛行)。   口・鼻腔粘膜充血,うっ血   これらの症状の後,舌麻痺・咽喉頭麻痺・  嚥下障害・誤嚥性肺炎。死流産。

イバラキ病で見られる舌麻痺・咽喉頭麻痺・嚥下障害: 飲水ができなくなっている。

イバラキ病感染牛の食道壁の弛緩と筋層の出血

イバラキ病感染牛の食道筋層の硝子様変性

Bovine viral diarrhea-mucosal disease 牛ウイルス性下痢・粘膜病  Bovine viral diarrhea-mucosal disease  ・胎子感染に起因する持続感染牛の出産, 死流産,   先天異常   ・口腔粘膜と消化管粘膜のびらん・潰瘍と下痢  ・ワクチンで予防 宿主:牛,水牛 病原:牛ウイルス性下痢ウイルス1あるいは2    (Flaviviridae, Pestivirus)      豚コレラウイルスと中和試験で交差する。 疫学:世界各地に分布 感染様式:胎盤感染,感染牛の分泌物との接触感染。      免疫寛容の持続感染牛が感染源となる。

BVDVの胎内感染時の胎齢と胎子への影響 (日) 30 60 90 120 150 180 210 胚死亡 流産・死産 先天異常 発育不良 健康・抗体産生 免疫寛容 (持続感染牛)

牛ウイルス性下痢ウイルスの特徴 生物学的性状の異なる2種類のウイルスがある。 ・CPE-株(培養細胞を破壊しない)  牛ウイルス性下痢ウイルスの特徴 生物学的性状の異なる2種類のウイルスがある。 ・CPE-株(培養細胞を破壊しない) ・CPE+株(培養細胞を破壊する) 自然界における両株の存在 ・CPE-株は野外に広く存在する ・CPE+株は粘膜病発症牛からのみ分離される。 ウイルスの干渉作用 ・既にCPE-株が感染している細胞では、CPE+  株はCPEを起こさない(増殖はしている)。 ・既にCPE-株が感染している細胞では、ニュ-カッ  スル病ウイルスのCPEが増強させる(BEND法)。

BVDV持続感染牛の慢性的下痢

粘膜病発症牛の腸管の出血

BVDV感染により起立不能となった新生牛の脳病変。小脳形成不全。

牛白血病 bovine leukemia 宿主:牛,水牛 病原:牛白血病ウイルス 疫学:世界各地で発生 感染様式:ウイルス感染リンパ球を介した水平伝播。   垂直伝播(胎盤感染・乳汁感染)も起こるが少ない。 予防:感染牛の摘発・淘汰。ワクチンはない。 症状:  ・多くは無症状。一部が発症する。5~8歳で好発。  ・体表リンパ節腫大,骨盤腔内腫瘤,末梢血液中のリ     ンパ球の異常増数・異型リンパ球の出現。  ・食欲不振,痩削,下痢,心機能異常,眼球突出などの   症状が見られる場合もある。

牛白血病の分類 成牛型白血病 牛白血病 子牛型白血病 散発型白血病 胸腺型白血病 皮膚型白血病 牛白血病は発生状況、発病年齢、病変の好発臓器などか ら、4種類に大別されている

家畜衛生統計における牛白血病の発生数 (家畜衛生統計より集計) (年) 発生頭数(頭)・発生戸数(戸) 平成 2,310頭! 99頭

牛白血病発症牛のリンパ節の腫脹

牛白血病発症牛のリンパ節の腫脹(腹腔内)

牛伝染性鼻気管炎 infectious bovine rhinotracheitis ・粘液性から化膿性の鼻漏を伴う上部呼吸器症状と 牛伝染性鼻気管炎  infectious bovine rhinotracheitis ・粘液性から化膿性の鼻漏を伴う上部呼吸器症状と  結膜炎を主徴とし,流産,髄膜脳炎,胃腸炎,  乳量の低下などのさまざまな症状 ・神経節に潜伏感染し,ストレスなどで再活性化 ・生ワクチンで発症防御 宿主:牛,水牛 病原:牛ヘルペスウイルス1型 (IBRウイルス)    (Herpesviridae, Varicellovirus) 疫学:世界各地で発生  鼻汁・涙・生殖器の分泌物中のウイルスが経気道  感染, 生殖器感染

牛伝染性鼻気管炎を発症した牛で見られる結膜炎。 

牛伝染性鼻気管炎を発症した妊娠牛流産が見られる。

牛伝染性鼻気管炎による流産胎子組織の核内封入体。

牛の気腫疽 blackleg in cattle ・土壌菌である気腫疽菌による創傷・消化器感染症 ・急性熱性感染症で高い致死率(発症後短時間で死亡) ・多肉部と四肢に腫瘤形成,皮下織の捻髪音が特徴 宿主:牛,水牛,しか,めん羊,山羊,豚,猪 病原:気腫疽菌(Clostridium chauvoei) 疫学:世界各地で発生。日本でも発生(年間約30頭) 感染様式:経口(創傷)感染。汚染した土壌が感染源。 予防:不活化ワクチン接種。    環境整備,飼育環境の改善。 治療:大量のペニシリン投与

C. Chauvoei(気腫疽)

C. Septicum(悪性水腫) フィラメント状になるのは病変組織の塗まつ標本の場合。コロニ-の菌は短連鎖状になる。

Clostridium 属の性状 ・偏性嫌気性の有芽胞桿菌 ・大部分がグラム陽性 ・ゼラチンを液化する。 ・一般に周毛性鞭毛を持ち運動性がある  (除ウエルシュ菌)。 多種多様な病原性のある菌が含まれる。  気腫疽、破傷風、悪性水腫、壊死性肝炎、  壊死性腸炎(エンテロトキセミア)  ウエルシュ菌食中毒(腸炎)  ボツリヌス症

破傷風 Tetanus ・芽胞を形成する嫌気性菌である破傷風菌による感染症 ・毒素は中枢神経に作用し,筋肉の強直,痙攣を起こす。 宿主:馬、めん羊、山羊、牛、水牛、しか、豚、犬、ヒト 病原:破傷風菌 Clostridium tetani 疫学:世界各地で発生、日本でも牛で毎年数十頭が発生。 感染様式:皮膚の創傷部位から侵入(創傷感染) 潜伏期:通常は4日~5日。1~2週に及ぶこともある。 臨床症状:瞬膜の露出,尾の挙上,鼻翼開張,流涎,  開張姿勢,後弓反張,歩行不能等

病理診断:通常、感染創は不明。特徴的な病変はない。  去勢創に壊死病変が残ることあり。  時に躯幹筋に変性壊死。 病原診断:感染局所がわかれば菌分離(嫌気培養) 血清診断:行われていない。 予防:トキソイド接種。  飼養環境から釘や金属,木片などを除く。 治療:破傷風免疫血清を皮下接種。 予後:急性型は1~2日で死亡。亜急性型は1~2週  馬の死亡率は100%。幼獣80%,成牛50%以下。

牛のレプトスピラ症 bovine leptospirosis in cattle ・多くの血清型をもつレプトスピラによる感染症 ・発熱,黄疸,貧血,血色素尿,乳量低下,妊娠牛の  流産などの色々な症状 宿主:牛,水牛,しか,豚,いのしし,犬,ヒト 病原:各血清型病原レプトスピラ Leptospira spp.    (Pomona, Canicola, Intrerohaemorrhagiae,Harjo,    Grippotyphosa, Autumnalis, Australisが届出対象の血清型) 疫学:世界各地で発生、日本でも抗体陽性牛が多い 感染様式:皮膚や粘膜の創傷部位から侵入 臨床症状:  潜伏期は3~12日  急性:高熱,血色素尿,黄疸,貧血。  亜急性:発熱,時に血色素尿,黄疸,泌乳量低下,流産。  慢性:無症状で流産。 

レプトスピラ感染牛の血尿

レプトスピラ感染牛の血管内溶血と血尿

牛のサルモネラ症:  S. Typhimurium,S. Enteritidis による下痢症。  S. Dublin による流産。 馬パラチフス:  S. Abortusequi による流産。 ブタのサルモネラ症:  S. Choleraesuisによる敗血症。  S. Typhimurium ,S. Enteritidisによる下痢症。 鶏のサルモネラ ・ひな白痢 S. Pullorum ・鶏チフス S. Gallinarum ・鶏のパラチフス  ・鶏のサルモネラ症      S. Typhimurium, S. Enteritidis、   ・その他

サルモネラ菌の分類 Family Enterobacterium Genus Salmonella S. enterica       ・ salamae       ・ arizonae       ・ diarizonae       ・ houtenae       ・ indica     S.Bongoli  菌体(O)抗原と鞭毛(H)高原の組み合わせで約2,500種の血清型に分類

牛のネオスポラ症 neosporosis in cattle ・牛の流産 ・新生子牛の神経症状 宿主:牛,めん羊,山羊,犬,水牛 病原:Neospora caninum (コクシジウム目の原虫) 疫学:世界各地、日本でも発生。 感染様式:経口,経胎盤感染    (犬が終宿主でオーシストが糞便中に排泄される。) 臨床症状:流産(妊娠中期に多発)。死産。新生子牛の   神経症状,起立不能。   同一家系牛が何世代にもわたり流産を起こす。 予後:   同一母牛が異常産を繰り返すことがある。   神経症状を呈した子牛の予後は一定でない。

牛の呼吸器系疾病 病 名 牛ウイルス性下痢・粘膜病 牛伝染性鼻気管炎 イバラキ病 牛流行熱 悪性カタル熱 牛RSウイルス病  病   名 牛ウイルス性下痢・粘膜病 牛伝染性鼻気管炎 イバラキ病 牛流行熱 悪性カタル熱 牛RSウイルス病 牛アデノウイルス病 牛パラインフルエンザ 牛ライノウイルス病 牛のレオウイルス病 牛コロナウイルス病 呼吸器症状以外の特徴 下痢、流産、異常産 一般症状の悪化、流産 咽喉頭麻痺、流産、浮腫 突発的発熱、関節の浮腫 羊から感染、全身の粘膜炎 多核巨細胞 核内封入体、下痢 一過性の発熱、(輸送熱) 軽度の発熱 軽度の発熱、時に下痢 下痢(冬期に多い)

リステリア症 病原:Listeria monocytogenes (低温増殖性、食塩耐性を示す) 宿主:めん羊,山羊,家兎:急性、集団発生。     (低温増殖性、食塩耐性を示す) 宿主:めん羊,山羊,家兎:急性、集団発生。     牛:散発的に発生。 疫学:腐敗したサイレージが感染源となるため早春に     発生が多い。 症状:  脳炎型:発熱,神経症状(脳炎症状)。    斜頸、平衡感覚の失調、旋回運動、流涎(反芻獣)      敗血症型:発熱,食欲不振,下痢,急死(幼獣,家兎)。  その他:稀に流産,乳房炎,結膜炎。

Histophilus somni infection in cattle 牛のヒストフィルス・ソムニ感染症  Histophilus somni infection in cattle  ・牛の血栓・栓塞性髄膜脳脊髄炎(TEME)  ・神経症状を呈した牛は急性経過(致死率90%)  ・子牛の肺炎型,成牛の生殖器疾患・流産型 宿主:牛、めん羊 病原: Histophilus somni (Haemophilus somnus ) 疫学  分布:世界各地。日本でも発生(散発的発生)。  感染様式:呼吸器,生殖器に生息。侵入経路は不明 予防:不活化ワクチン 治療:本菌は多くの薬剤に感受性だが,TEME牛では治癒  率は低い。

Histophilus somni感染により神経症状を 呈した牛の大脳割面。(出血に注意)

Histophilus somni感染により神経症状を 呈した牛の大脳組織切片。(出血に注意)

Histophilus 属の筋に見られる衛星現象。 ブドウ球菌の周囲にのみ発育する。

Bovine mycoplasma pneumonia and mastitis 牛のマイコプラズマ肺炎と乳房炎  Bovine mycoplasma pneumonia and mastitis ・肺炎は子牛に多発 ・ウイルスや他の細菌との混合感染 病原:Mycoplasma bovis,  M. bovigenitalium,     M. dispar, Ureaplasma diversum,  疫学  分布:世界各地。日本でも各地で発生  感染様式:直接あるいは間接的な接触,気道感染 症状:主に肺炎(周囲性細胞浸潤肺炎)と乳房炎(膿瘍結節の形成)。     慢性化すると関節炎や中耳炎(斜頸)。 予防:ワクチンなし。衛生管理による発症予防。 治療:テトラサリン系,マクロライド系,プルロムチリン系  の抗生物質やニューキノロン等の合成抗菌剤の投与。

昨年度の国試問題 牛、ホルスタイン種、雌、21日齢。哺乳はするが数日前から左耳の下垂と旋回運動があり、常に図に示す姿勢を取るとの主訴で診察した。 本神経障害の原因として最も疑われるのはどれか。  1.アイノウイルス感染症  2.エンドファイト中毒  3.食塩中毒  4.ヒストフィルス・ソムニ感染症  5.マイコプラズマ感染症

主な病原性トリパノゾ-マ 病原性 病原体 感染様式 牛 羊 豚 馬 + ++ + +++ (nagana) ++ + ++ +++   病原性 牛  羊  豚  馬 +  ++  +  +++ ++  +  ++ +++ - - - +++ +++ ++ +  ++ +++ ++ -  ++ 病原体 T. brucei (nagana) T. evansi (surra) T. equiperdum (媾疫, dourine) T. congolense T. vivax 感染様式 ツエツエバエによる 生物学的伝搬 吸血昆虫による 機械的伝搬 交尾感染 同上 および 吸血 昆虫の機械的伝搬

トリパノゾ-マ

ツエツエバエ

牛乳頭腫症 bovine papillomatosis 宿主:牛。1,2型は馬も感染する。 病原:牛パピローマウイルス Papillomaviridae の Bovine papillomavirus (BPV) BPV-1,2は Deltapapillomavirus BPV-3,4,6は Xipapillomavirus BPV-5は Epsilonpapillomavirus 分布:世界各地に分布。日本では全国的に全ての型が分布。     年齢・性別に関係なく発生する。 伝播・感染様式:病変部や汚染した器具、機材を介しての接触     および創傷感染。 診断  臨床:BPV-1,2,5は皮膚にカリフラワー状の繊維性乳頭腫形成。      BPV-3,6は皮膚、乳頭、消化器などに上皮性乳頭腫形成。      BPV-4は消化管や膀胱に扁平上皮性乳頭腫を形成。

馬鼻肺炎 equine rhinopneumonitis ・一過性の発熱,鼻汁排泄(鼻肺炎) ・胎子感染の結果,流・死産や生後直死 ・潜伏感染を起こし,ストレスなどでウイルスを排泄 ・流産防止と鼻肺炎予防に不活化ワクチンを使用 宿主:馬 病原:馬ヘルペスウイルス1と馬ヘルペスウイルス4    (Equid arphaherpesvirus 1 and 4)    Herpesviridae, Alphaherpesvirinae, Varicellovirus属 疫学:世界各地で報告。日本でも発生 感染様式:経鼻感染,経胎盤感染 潜伏期:鼻肺炎は1~3日     死流産は14~28日

馬鼻肺炎による流産は妊娠末期に起こる。

馬鼻肺炎による流産胎児の組織には核内封入体が見られる。

馬ウイルス性動脈炎 equine viral arteritis ・呼吸器症状,発疹・浮腫,流産 ・持続感染種雄馬が感染源 宿主:馬 病原:馬動脈炎ウイルス(Arteriviridae,Arterivirus) 分布:世界各地に分布、日本では報告なし 感染様式:精液を介した生殖器感染,      鼻汁中に排泄されたウイルスの呼吸器感染。 潜伏期:3~14日 症状:発熱を伴った感冒様症状,結膜炎(ピンクアイ),    眼瞼浮腫,発疹・浮腫,精巣腫大,    下顎リンパ節腫大,流産(胎齢に関係なし)。    常在地では不顕性感染が多い。

馬インフルエンザ equine influenza ・発熱,咳,鼻汁, きわめて強い伝染力 宿主:馬 病原:馬インフルエンザ(馬1型および馬2型) (Orthomyxoviridae,Influenzavirus A) 症状:40℃前後の発熱,頻発する咳,鼻汁,    呼吸困難,食欲不振と元気消失。 予後:1~2週で回復。通常予後良好。 インフルエンザウイルスの命名法 型名/動物名/分離した場所/年度/H亜型N亜型  例 A/equine/Newmarket/77(H7N7)     A/equine/Tokyo/71(H3N8)     A/equine/Kentucky/81(H3N8)

馬インフルエンザ感染馬では高熱と鼻汁排泄が見られる

馬インフルエンザ感染馬は激しい咳をする。

馬パラチフス equine paratyphoid ・妊娠馬の流産と子馬の敗血症 宿主:馬 病原:Salmonella Abortusequi (馬流産菌とも呼ばれる) 分布:アフリカ,アジアで発生。欧米では稀。    日本でも馬産地で散発的流行あり。 感染様式:   経口感染(種牡馬がキャリアーとなる場合あり) 潜伏期:10~14日 症状:成馬は雌馬で一過性の発熱,妊娠後期の流産。    多発性関節炎,精巣炎を起こすことあり。    子馬は敗血症,関節炎,化膿,慢性下痢など。 予後:流産馬は一般に良い。慢性に経過する個体もある。    生後間もない子馬では予後不良。

Salmonella Abortusequiはサルモネラ菌でも硫化水素を産生しない。

Salmonella Abortusequiによる流産胎子は体表が混濁している

Salmonella Abortusequiは膿瘍を形成する(き甲瘻)

馬伝染性子宮炎 contagious equine metritis 宿主:馬 病原:Taylorella equigenitalis(馬流産菌とも呼ばれる) 疫学: ヨーロッパの軽種馬産地に分布。    国内では、2001年から行われたPCRによる保菌馬の      摘発事業により、2010年に清浄化が確認された。 感染様式:生殖器感染 症状:雄馬は無症状。雌馬は発症後,陰門部から灰白色   で粘稠性に富む滲出液を多量に排泄。病変部は子宮   内膜に限局している。感染雌馬の多くは軽微もしく   は無症状。受胎率の低下。 予後:一般に良好。回復後も長期間,外部生殖器に保菌。 治療:抗生物質投与と子宮洗浄

Taylorella equigenitalisの走査電顕写真

Taylorella equigenitalisのチョコレ-ト寒天培地上のコロニ-

馬伝染性子宮炎感染馬は粘稠性に富む滲出液を 多量に排泄する。