「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」 の推進について ~腎専門医の立場から~

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今 日 の ポ イ ン ト今 日 の ポ イ ン ト 糖尿病人口は予備群を含めると 2,050 万人1.1. 糖尿病は血糖値が高くなる病気 ただし自覚症状がほとんどありません 2.2. 血糖値が高い状態を「高血糖」といいます3.3. インスリンの作用が弱くなったために高血糖に なったのですが、高血糖は必ず改善できます.
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メタボリックシンドロームの考え方. 危険因子の数と心臓病のリスク 軽症であっても「肥満(高 BMI )」、「高血圧」、「高血糖」、「高トリグリセリド(中性脂肪) 血症」、または「高コレステロール血症」の危険因子を2つ持つ人はまったく持たない人に比べ、
健診時血圧 160/100 以上 ⑨ 市町村主催の 健康教室等へ の勧誘 健診時血圧 160/100 以上 健診時血圧 160/100 以上 健診時血圧 160/100 未満 かつ未治療 のもの 汎用性の高い行動変容プログラ ム 高血圧対策(案)
平成 25 年度 糖尿病対策成果発表会 金沢市における対策 金沢市医師会会長 竹田康男. 慢性腎臓病 (CKD) 予防対策事業 ( 22年度~24年度 ) 金沢市福祉健康センター ・透析患者が年々増加している ・ CKD の背景に生活習慣病が深く影響 ・ CKD が心筋梗塞や脳卒中等の危険因子となっている.
11-2 知っておくと役立つ、 糖尿病治療の関連用語 一次予防、二次予防、三次予 防 1.1. インスリン依存状態 インスリン非依存状態 2.2. インスリン分泌 3.3. 境界型 4.4. グルカゴン 5.5. ケトアシドーシス、ケトン体 6.6. 膵島、ランゲルハンス島 7.7. 糖代謝 8.8.
三例の糖尿病性腎症導入例 仁和寺診療所 田中 貫一 仁和寺診療所.
1. 動脈硬化とは? 2. 動脈硬化のさまざまな 危険因子 3. さまざまな危険因子の 源流は「内臓脂肪」 4. 動脈硬化を防ぐには
慢性腎不全 Chronic Renal Failure
背景 CABGを必要とする虚血性冠動脈疾患の背景には動脈硬化の影響があり、プラークの退縮効果が明らかにされているスタチンを投与することで予後を改善する効果が期待される CABGを行った患者に対しスタチンを投与することで予後を改善する効果を検証することが本研究の目的である 2015/2/17 第45回日本心臓血管外科学会.
メタボリックシンドローム (内臓脂肪症候群)
背景 著しい肥満者ではほかの因子が認められなくても、しばしば腎障害をきたすことが知られている。これまで、肥満と腎機能障害の発症との関連性については、きわめて限られたデータしかなく、関連性が示唆されているにもかかわらず信頼度の高い裏づけデータが乏しかった。
I gA腎症と診断された患者さんおよびご家族の皆様へ
薬理学PBL 本態性高血圧症の治療薬について
糖尿病の病態 中石医院(大阪市) 中石滋雄.
骨格筋のインスリン抵抗性が肥満の引き金 1 参考 最近、エール大学のグループは、骨格筋のインスリン抵抗性がメタボリック症候群を引き起こす最初のステップであることを報告した。BMIが22-24の男性をインスリン感受性度で2グループに分け、食事(55%炭水化物、10%蛋白質、35%脂肪)を摂取してから、筋肉のグリコーゲン量をMRI(核磁気共鳴画像法)で調べたところ、インスリン感受性群に比べて、抵抗性群ではグリコーゲン生成が61%減少していた。肝臓のグリコーゲン量は2群間で有意差はみられなかった。しかし、肝臓の
糖尿病とは インスリン作用不足による 慢性の高血糖状態を主徴とする 代謝疾患群 まず糖尿病とはどんな病気か知ってしますか?
2型糖尿病患者におけるナテグリニドと メトホルミン併用療法の有効性と安全性の検討
メタボリックシンドローム (内臓脂肪症候群)
図1 対象症例 H20.1/1-1/31までの入院・外来糖尿病患者総数 入院患者 15203名(内 透析患者 622名)
生活習慣病について 船橋市医師会ホームページ掲載用.
メタボリック症候群(MetS)の有無と、成人以降の体重増加とCKDの関連
健常労働者集団における喫煙とCKD発症の関連性 ―6年間の縦断的観察
第2回栄養セミナー 川崎医科大学 糖尿病内分泌内科 衛藤 雅昭 生活習慣病(肥満,糖尿病,高脂血症)の 食事療法
高血圧 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 二次性高血圧を除外 合併症 臓器障害 を評価 危険因子 生活習慣の改善
1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
糖尿病と腎臓合併症 田中内科クリニック 院長 田中洋一.
汎用性の高い行動変容プログラム 特定健診の場を利用した糖尿病対策(非肥満を含む)
糖尿病 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 検査 診断 治療
生活習慣を変え、内臓脂肪を減らすことで生活習慣病の危険因子が改善されます
血管と理学療法 担当:萩原 悠太  勉強会.
汎用性の高い行動変容プログラム 特定健診の場を利用した糖尿病対策(非肥満を含む)
循環器疾患領域の代表目標項目(17) 8 循環器疾患、9 糖尿病 循環器疾患の減少に関する代表目標項目(5)
日本糖尿病学会のアクションプラン2010(DREAMS)
表1 糖尿病性腎症の組織像 Ⅰ.糸球体病変 1.び漫性糖尿病性糸球体硬化症 2.結節性糖尿病性糸球体硬化症 3.滲出性病変
糖尿病対策の啓発スライド (日本糖尿病学会: 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成).
裏面に新たな認定基準の一覧を掲載していますので、ご参照ください。
裏面に新たな認定基準の一覧を掲載していますので、ご参照ください。
肥満の人の割合が増えています 肥満者(BMI≧25)の割合 20~60歳代男性 40~60歳代女性 (%)
糖尿病とインプラント治療~ HbA1cより末しょう循環障害に注意せよ, 尿中微少アルブミンの意義 平成28年11月16日 健学の会 帯広.
メタボリックシンドロームはなぜ重要か A-5 不健康な生活習慣 内臓脂肪の蓄積 高血糖 脂質異常 高血圧 血管変化の進行 動脈硬化
メタボリック シンドローム.
奥越調剤研究会 開催のご案内 『慢性腎臓病患者における動脈硬化』 日時/ 平成28年12月8日(木)19:15~ 場所/ 大野商工会議所
栄養成分表示は、 健康づくりに役立つ重要な情報源 栄養成分表示ってなに? 栄養成分表示を活用しよう① 〈留意事項〉
脂質異常症.
腎 臓 病.
「糖尿病」ってどんな病気?? ★キーワードは・・・「インスリン」!!!
資料 1.「指導対象者群分析」のグループ分けの見方 特定健康診査及びレセプトデータによる指導対象者群分析 【フロー説明】
市区町村別標準化該当比マップ (2013年度版) 岡山県保険者協議会 岡山県国民健康保険団体連合会.
小児に特異的な疾患における 一酸化窒素代謝産物の測定 東京慈恵会医科大学小児科学講座 浦島 崇 埼玉県立小児医療センター 小川 潔、鬼本博文.
第2回 市民公開講座 糖尿病を知って その合併症を防ぎましょう
医療法人社団 高山泌尿器科 臨床工学部門 斎藤 寿 友西 寛 工藤 和歌子 佐藤 友紀
高脂血症.
指導日時 平成 年 月 日( 曜日) AM・PM : ~ : . 指導内容
研究内容紹介 1. 海洋産物由来の漢方薬の糖尿病への応用
慢性腎臓病患者における食事療法の 経過及び腎障害抑制の効果の検討
1. 糖尿病の自覚症状は あてにならない 2. 主な検査の種類 3. 検査値の意味と 基準値・コントロール目標 4.
1.
A-2 男性用 健診結果から今の自分の体を知る 内臓脂肪の蓄積 ~今の段階と将来の見通し~ 氏名 ( )歳 摂取エネルギーの収支
目黒区CKD対策ネットワーク 連携ガイド このような患者さんをご紹介下さい 専門病院リスト(外来枠順) 再紹介基準
高齢慢性血液透析患者の 主観的幸福感について
1. 糖尿病予備群って、なに? 2. 糖尿病って、どんな病気? 3. どんな時に糖尿病予備群と 言われるの? 4. 糖尿病予備群と言われたら
「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」 の推進について ~糖尿病専門医の立場から~
裏面に新たな認定基準の一覧を掲載していますので、ご参照ください。
A-3 女性用 健診結果から今の自分の体を知る 内臓脂肪の蓄積 ~今の段階と将来の見通し~ 氏名 ( )歳 摂取エネルギーの収支
1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
透析周辺機器の入れ替えに伴う透析液水質と患者臨床データの変化
1. 糖尿病の患者さんは 血圧が高くなりやすい 2. 糖尿病に高血圧が併発して 合併症が早く進行する 3. 血圧コントロールの 目標と方法
1. ご高齢の糖尿病患者さんと 若い人との違いはなに? 2. ご高齢の糖尿病患者さんの 治療上の注意点 3. ご高齢の糖尿病患者さんの
新しい医療機器の治験にご協力いただける方を募集しています。
自分のメタボ度を調べてみよう 1.肥満度として、Body Mass Index (BMI)を計算しましょう。 = =
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「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」 の推進について ~腎専門医の立場から~ 「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」 の推進について  ~腎専門医の立場から~ 日置町クリニック 井上 武明

慢性透析患者数(1968-2017)と有病率(人口100万対比,1983-2017)の推移  慢性透析患者数(1968-2017)と有病率(人口100万対比,1983-2017)の推移 334,505人 わが国の慢性透析療法の現況   (2017年12月31日現在)

   導入患者 原疾患割合の推移,1983-2017 16,247人 2022年度 15,000人 1990年代以降、我が国の糖尿病患者数は増加の一途をたどり、この20年間で3倍に増加した。2010年以降、糖尿病の罹病期間が長期化することにより糖尿病の合併症の重症化が大きな課題になってきた。具体的には糖尿病性腎症が人工透析の新規導入の原因疾患のトップになったことから、厚生労働省は政策展開の軸を糖尿病とその合併症の重症化防止に大きく切り替えた。2012年に国が策定した「健康日本21(第二次)」には、医療政策上優先的に取り組むべき課題の1つに「糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数の減少」が明記され、具体的目標数値として2010年度 16,247人から2022年度 15,000人への減少が挙げられている。 2016年には、国により「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」が策定され、都道府県・市町村における医療・保険者連携を基盤とした、新規透析導入患者の減少を目指す取り組みが本格的にスタートした。 わが国の慢性透析療法の現況   (2017年12月31日現在)

2型糖尿病性腎症の臨床経過 GFR 発症 腎機能 尿アルブミン/Cr比 透析 100 GFR(mL/分/1.73m2) 50 第4期 第1期 第2期 第3期 第5期 腎症前期 前期腎症期 透析療法期 発症 顕性腎症期 腎不全期 腎機能 尿アルブミン/Cr比 透析 GFR 100 GFR(mL/分/1.73m2) 50 顕性アルブミン尿 A3 蛋白尿 300mg/gCr 微量アルブミン尿 A2 30mg/gCr 5 10 15 20 25 正常 A1 糖尿病歴(年) (槇野博史.糖尿病性腎症-発症・進展機序と治療. 東京:診断と治療社,1999:192. より引用,改変) CKD診療ガイド2012 p.32 図19

2年間のeGFR低下率と透析導入リスク JAMA. 2014 June 25; 311(24): 2518–2531

1型糖尿病における腎症の累積頻度 (%) 累積頻度 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 (年) 糖尿病罹病期間 60 微量アルブミン尿 50 累積頻度 40 持続性蛋白尿 30 末期腎不全 20 10 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 (年) 糖尿病罹病期間 Krolewski AS et al. Epidemiology of late complications of diabetes. In:Joslin’s Diabetes Mellitus p795-808, 2005

糖尿病性腎症発症の危険因子 高血糖 高血圧症 脂質異常症 肥満 喫煙習慣 加齢 糖尿病性腎症の家族歴

糖尿病性腎症治療の基本 ① 血糖の管理(HbA1c 7.0%未満) ② 血圧の管理 ③ レニン-アンギオテンシン系(RA系)の抑制 ② 血圧の管理 (収縮期130mmHg未満かつ拡張期80mmHg未満) ③ レニン-アンギオテンシン系(RA系)の抑制 ④ 脂質異常症の管理 (LDL 120、中性脂肪 150mg/dl未満、HDL 40mg/dl以上) ⑤ 食事療法(塩分、蛋白質の制限) ⑥ 禁煙などの生活習慣の改善

糖尿病性腎症治療の基本 ① 血糖の管理(HbA1c 7.0%未満) ② 血圧の管理 ③ レニン-アンギオテンシン系(RA系)の抑制 ② 血圧の管理 (収縮期130mmHg未満かつ拡張期80mmHg未満) ③ レニン-アンギオテンシン系(RA系)の抑制 ④ 脂質異常症の管理 (LDL 120、中性脂肪 150mg/dl未満、HDL 40mg/dl以上) ⑤ 食事療法(塩分、蛋白質の制限) ⑥ 禁煙などの生活習慣の改善

糖尿病性腎症に対する海外の主要エビデンス 高血糖の是正 正常アルブミン尿 DCCT DCCT-EDIC UKPDS 微量アルブミン尿 DCCT UKPDS 顕性腎症(持続性蛋白尿) losartan(RENAAL) 末期腎不全(透析・腎移植)

RENAAL (2型糖尿病) 顕性腎症→ 末期腎不全 Brenner B M. et al. N Engl J Med 345:861, 2001

糖尿病性腎症に対する海外の主要エビデンス 高血糖の是正 糸球体高血圧の是正 正常アルブミン尿 DCCT DCCT-EDIC UKPDS trandolapril(BENEDICT) 微量アルブミン尿 irbesartan(IRMA2) valsartan(MARVAL) termisartan(DETAIL) DCCT UKPDS 顕性腎症(持続性蛋白尿) captopril(Lewisら) losartan(RENAAL) irbesartan(IDNT) 末期腎不全(透析・腎移植) RA系の抑制

AII RAA系抑制薬の降圧機序 ACE AT AT 血管拡張 PG, NO Ang1-7 細胞増殖抑制 利尿 AI キニン アンジオテンシン 変換酵素阻害薬 ACE アンジオテンシンII 受容体拮抗薬 (キニナーゼ) AII 不活性物質 (−) AT AT 1 2 血管収縮 血管拡張 ナトリウム保持 細胞増殖抑制 交感神経系の亢進 細胞増殖 コラーゲン産生 アルドステロン アルドステロン拮抗薬 レニン分泌抑制

AII RAA系抑制薬の降圧機序 ACE AT AT 血管拡張 PG, NO Ang1-7 細胞増殖抑制 利尿 AI キニン アンジオテンシン 変換酵素阻害薬 ACE アンジオテンシンII 受容体拮抗薬 (キニナーゼ) AII 不活性物質 (−) AT AT 1 2 血管収縮 血管拡張 ナトリウム保持 細胞増殖抑制 交感神経系の亢進 細胞増殖 コラーゲン産生 アルドステロン アルドステロン拮抗薬 レニン分泌抑制

輸入、輸出細動脈と糸球体内毛細血管 輸出細動脈 輸入細動脈

糖尿病による糸球体内圧の上昇 糸球体 輸入細動脈 輸出細動脈 高血糖、高インスリン血症/インスリン抵抗性? RA系抑制薬 NO (nitric oxide) COX2-derived prostanoids Angiotensin II PKC-β, ET-1 RA系抑制薬 RA系抑制薬導入以前は、年間当たりのGFR低下量は10~20ml/min/yearとかなりの減少量であったが、ARBの導入により2~10ml/min/year と改善している。しかし、GFRの低下量はゼロになったわけではなく、依然として年平均で6ml/min/yearのeGFRの低下がある。

糖尿病による糸球体内圧の上昇 糸球体 輸入細動脈 輸出細動脈 高血糖、高インスリン血症/インスリン抵抗性? RA系抑制薬 NO (nitric oxide) COX2-derived prostanoids Angiotensin II PKC-β, ET-1 RA系抑制薬 RA系抑制薬導入以前:  10~20ml/min/year ARBの導入後:  2~10ml/min/year

腎尿細管におけるグルコース再吸収機構

傍糸球体装置

糖尿病による糸球体内圧の上昇 糸球体 輸入細動脈 輸出細動脈 高血糖、高インスリン血症/インスリン抵抗性? SGLT2阻害薬 RA系抑制薬 TGF Angiotensin II RA系抑制薬導入以前:  10~20ml/min/year ARBの導入後:  2~10ml/min/year

糖尿病による糸球体内圧の上昇 糸球体 輸入細動脈 輸出細動脈 高血糖、高インスリン血症/インスリン抵抗性? SGLT2阻害薬 RA系抑制薬 TGF Angiotensin II RA系抑制薬 カナグリフロジンの投与 により%ΔeGFR 2 year 40% の患者がプラセボ投与群に 比較して半減した RA系抑制薬導入以前:  10~20ml/min/year ARBの導入後:  2~10ml/min/year

CKD ステージによる食事療法基準 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014 年版一部改変 注) エネルギーや栄養素は,適正な量を設定するために,合併する疾患(糖尿病,肥満など)のガイドラインなどを参照   して病態に応じて調整する.性別,年齢,身体活動度などにより異なる. 注)体重は基本的に標準体重(BMI=22)を用いる. 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014 年版一部改変

糖尿病性腎症の進行に対する長期蛋白制限の効果の検討 low-protein diet (0.8 g/kg/day) normal-protein diet (1.2 g/kg/day) Diabetologia (2009) 52:2037–2045

1日蛋白摂取量 Diabetologia (2009) 52:2037–2045

血清Crが2倍になるまでの期間 Diabetologia (2009) 52:2037–2045

蛋白質摂取量とGFRの変化との関係 Diabetologia (2009) 52:2037–2045

血清Crの倍化に関連する因子 Diabetologia (2009) 52:2037–2045

CKD ステージによる食事療法基準 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014 年版一部改変 注) エネルギーや栄養素は,適正な量を設定するために,合併する疾患(糖尿病,肥満など)のガイドラインなどを参照   して病態に応じて調整する.性別,年齢,身体活動度などにより異なる. 注)体重は基本的に標準体重(BMI=22)を用いる. 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014 年版一部改変

PEW(Protein-energy wasting)の診断基準 (文献8)より引用) 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014 年版

糖尿病性腎症(DN)とDKD  DNは,もともと糖尿病性糸球体硬化症という組織学的特徴を有する腎疾患に対する病名であった.しかし2型糖尿病患者の増加に伴い,腎症を疑うすべての症例に腎生検を施行することが困難になるにつれ,典型的な臨床経過と症候(糖尿病歴,微量アルブミン尿~顕性アルブミン尿を経てGFR低下,高度血尿(-),糖尿病網膜症・糖尿病神経障害の合併など)を伴い,臨床的にほかの腎疾患が強く疑われない場合にDNと診断されるようになった.これまでDNの患者数は増加の一途をたどり,1998年以降はわが国の維持透析導入の原因疾患の第1位を占めている.  一方,以前からDNの典型的な経過と異なり,顕性アルブミン尿を伴わないままGFRが低下する患者の存在が認識されており,early declinerなどと呼ばれていた1.しかし,近年になって2型糖尿病患者においてこの非典型例が看過できない数を占めることが明らかになり,日本人2型糖尿病患者3,297 人を対象とした検討において,eGFR<60の患者506人中262人(51.8%)が正常アルブミン尿だったことが示された2.また米国においても,1988~2014年の26年間で2型糖尿病患者におけるアルブミン尿の有病率は有意に減少したが,eGFR<60の患者割合は有意に増加していた3.この変化を反映し,欧米ではこれまで使用してきたdiabetic nephropathy(DN)に代わり,非典型的な糖尿病関連腎疾患を含む概念であるdiabetic kidney disease(DKD)という病名が使用されるようになった.顕性アルブミン尿を伴わない糖尿病患者におけるGFRの低下には,加齢や高血圧を背景とした動脈硬化や脂質異常症の関与が推定されていることから,DKDは典型的なDNを含む,糖尿病の病態が関与するCKD全般を包括した概念といえる.またさらに大きな概念として、糖尿病患者がIgA腎症やPKDなどの糖尿病と直接関連しない腎疾患を合併した場合を含む,CKD with diabetes(糖尿病合併CKD)も使用されている.これらの疾患概念を図1に示す.  日本においてもこの国際的な潮流に合わせてDKDという病名を使用することが求められており,日本腎臓学会と日本糖尿病学会の両理事会においてDKDに糖尿病性腎臓病という日本語名を当てることとした4.2017年10月22日,日本腎臓学会と日本糖尿病学会の両理事長によって“STOP‒DKD宣言”に調印がなされ,今後,日本におけるDKDの実態調査と病態解明,そして治療法開発に両学会が協力して取り組むこととなった.本ガイドラインはこのSTOP‒DKD宣言の採択後,日本腎臓学会から出版される初めての関連書籍であることから,まだ十分定着しているとはいいがたいDKD(糖尿病性腎臓病)という病名を,その普及・啓発の意味を込めて積極的に採用した.ただしエビデンスの対象や推奨の適用がDKDとは異なる場合,DNもしくは糖尿病合併CKDという病名も区別して使用しており,ガイドラインを活用する際にはご注意いただきたい.