税の仕組みと財政 © 租税教育キャラクター 和歌山県租税教育推進連絡協議会2019 【自己紹介】 (一例) 東日本大地震、熊本地震の支援や復興の資金のねん出、財政赤字を解決する ための消費税率引上げやその延長の議論、税と聞くだけで難しいと思うかもし れませんが、税は、私たちの生活になくてはならないものです。 将来、影響を受けるのは皆さん自身なので、税制や財政などの知識を身につ けていただければと思います。 では、「税の仕組みと財政」について説明していきます。 ♪クリック♪(次のスライドへ) 講師の仕事内容などを紹介する。 租税教育キャラクター 和歌山県租税教育推進連絡協議会2019 © ゼイタくん ゼイナちゃん
国税の組織の説明 税務署の説明 税金を賦課・徴収する組織であり、税の使い方を決めるところではない 納税者(納税する人のことを言う)と最も密接なつながりを持つ「税の窓口」である 地図記号は「そろばんの珠」が由来です
経費 売上 公平な賦課及び徴収 脱税とは? 脱税した人はどうなる? 税金をごまかして少なく納めたりすること 税金をごまかして少なく納めたりすること 例えば、売上の金額を少なく計算したり、買っていないものを経費とするなどして、もうけたお金の金額を実際より少なく見せかけること 経費水増 利益 (もうけ) 利益に税金がかかる 売上減少 脱税した人はどうなる? 憲法30条で「納税の義務」が定められています。 私たちがその義務を果たすことによって、社会は成り立っています。 税金には「公平」というルールがありますが、義務を果たしているかどうか、税務署はそれを調査する仕事もしています。 (以下画面に沿って) 正しい金額の税金を納めてもらいます 特に悪質な人は、正しい金額の税金を納めるだけでなく、裁判にかけられ、判決によっては罰金を払ったり、刑務所に入れられます
「社会の会費」のようなもの 「支え合い」 により成り立っている社会 Q.税とは? A. 私たちが健康で文化的な生活を送るための 「みんなのために役立つ施設」 「助け合いのための活動」のために 必要なたくさんのお金を、みんなで負担する ・・・つまり日本は 「支え合い」 により成り立っている社会 「税とは?」(画面に沿って説明) (+例えば) ・税金は「お金」ですが、働いてもらうのもお金です。同じお金でも使い方が違います。 私たちの身の回りには、多くの公共サービスや公共施設が存在していますが、それらを維持管理などするためにはお金が必要で、それらに使われるお金が税金です。 公共サービスや公共施設に必要な費用を、共通の会費として私たちが「税」という形で負担しています。 その会費を、私たちがどのように負担するかは、法律によって定めることとされています。これを、「租税法律主義」と言います。 私たちが、その法律によって割り振られた負担をきちんと引き受けることによって、様々な公共サービスは維持されています。 憲法30条には「納税の義務」が定められており、私たちがそれぞれの義務を果たすことにより、社会は支え合って成り立っています。
公共サービス 公共施設 暮らしの中の税 国民医療費の公費負担額 警察費・消防費 消防車 ゴミ処理費用 学校 信号機 公園や図書館 (2016年度) 16兆2,840億円 国民1人当たり約12万8,300円 警察費・消防費 (2017年度) 約5兆2,666億円 国民1人当たり約4万1,600円 消防車 ポンプ車約1,300万円〜 高層用はしご車 約1億6,000万円 ゴミ処理費用 (2017年度) 約2兆3,202億円 国民1人当たり約1万8,300円 公共サービス 公共施設 学校 1校当たり平均建設費 約13億円 信号機 全国に約21万基 1基当たり270 〜470万円 「税」と聞くと、難しそう・堅そうとか、とっつきにくいイメージがあるかもしれ ませんが、「税」は皆さんの生活と深く関わっていて、とても身近なところに使われています。 日本では、画面にあるとおり、学校、警察署、消防署、公園、道路など、私たちの生活を守るためなどに税金が使われています。 公園や図書館
日常生活に当てはめて考えてみましょう! なぜいろんな税金があるの ①約30種類 ②約50種類 ③約80種類 どこに納めるかによる分類・納め方による分類 なぜいろんな税金があるの ①約30種類 ②約50種類 ③約80種類 税の種類は②約50種類 直接税 税を納める義務のある人と、その税を負担する人が同じである税 日常生活に当てはめて考えてみましょう! 国 税 所得税 法人税 相続税 贈与税 道府県税 県民税 事業税 自動車税 地方税 不動産取得税 市町村税 市町村民税 固定資産税 軽自動車税 間接税 税を納める義務のある人と、その税を負担する人が異なる税 では、みんなが負担している「税金」の分類の仕方は、いくつかあります。 税の納め方によって分類すると「直接税」と「間接税」に分類できます。 また、どこに納めるかによって分類すると、「国税」と「地方税」に分類できます。 国税とは、国に納める税金をいい、地方税とは、地方公共団体に納める税金をいいます 。更に地方税は「道府県税」と「市町村税」に区分されます。 では質問です。 税金にはいろいろな種類があります。今、日本にある税金は全部で何種類あるでしょうか。次の3つから選んで、手を挙げてください。 ①約30種類 ②約50種類 ③約80種類 正解はおよそ50種類です。 なぜ、およそかといいますと、地方税には(和歌山県や○○市などの)地方公共団体 で決めている税金があるので、住んでいる場所などで、若干、税金の数が変わることが あります。(例えば、和歌山県の「紀ノ國森づくり税」です。) 平成31年1月7日から新しい税ができたことは知っていますか? 皆さんが海外旅行したときに関係してきますが、「国際観光旅客税」という税が27年 ぶりに新設されています。日本からの出国時に1人1000円が課税されています。 でも、なぜこんなにいろんな種類の税金があるんでしょうか。 その中で、代表的な税金について、 消費税 酒税 揮発油税 たばこ税 地方消費税 道府県たばこ税 ゴルフ場利用税 軽油引取税 市町村たばこ税 入湯税
Q.どんな税金が関係してくるか考えてみよう! Q.どんな税金が関係してくるか考えてみよう! ・例題の1~8に、どんな税金が関係してくるか考えてみましょう ・「税金」の欄に関係すると思う税金を書いてください。 スライドに沿って説明する (考える時間は適宜とる) ・ヒントはプリントの上の部分にあります
ある家族にモデルになってもらいましょう! 磯 野 家 フネ サザエ カツオ ワカメ マスオ タラオ 波平 (サラリーマン) タマ ④持ち家→固定資産税 ④東京都内で持ち家 ある家族にモデルになってもらいましょう! 3・2・1キュー! ②お給料→所得税(住民税) ②今日はお給料日です ⑥亡くなる→相続税 ⑥亡くなりました ⑤500万円もらいました→贈与税 ⑤親戚から500万円もらいました ③お酒 → 酒税 ③三河屋サブちゃん ①お菓子を買う→ 消費税・ 地方消費税 ①お菓子を買いに行きました それでは、今日はある家族にモデルになってもらい、あてはめてみましょう。 ある家族・・・ご存知の方も多いと思いますが、サザエさん一家です。 ①ある日、カツオ君、ワカメちゃん、タラちゃんがお菓子を買いに行きました。→消費税(及び地方消費税) 厳密に言うと、「消費税及び地方消費税」なんです。 皆さんが払っている消費税8%のうち、「消費税」が6.3%「地方消費税」が1.7%で併せて8%となっています。 ②波平さんとマスオさんは、サラリーマンで、会社からお給料をもらっています。→所得税(住民税) (ちなみに) サラリーマンではなく、自分で商売(事業)をしている人は、一年間の収支(稼いだ分やかかった費用)を自分で計算して、確定申告で所得税を納めます(それに伴い住民税も) ③三河屋さんのサブちゃんが、御用聞きに回ってきました。サザエさんは、いつものお酒を注文しました。→酒税 ④磯野さん家は、借家ではなく、持ち家に住んでいます。→固定資産税 ⑤おフネさんが、親戚から500万円をもらいました。→贈与税 ⑥(あってはならないことですが)波平さんが亡くなりました。→相続税 ⑦マスオさんが、(ノリスケさんと)ゴルフ場に行き、ゴルフを楽しみました。→ゴルフ場利用税 税率の基準は、各都道府県によりことなり、利用料金やゴルフ場の規模(等級)に応じて課税 大阪府:350円~1,200円 和歌山県:400円~1,200円 など ⑧(気を取り直して)家族旅行で温泉に入りました。→入湯税(標準税率1人1日150円) 家族の日常生活にあてはめてみても、いろいろな税金が関係しているのが分かってもらえたかと思います。 ↓ (課税の公平性へ) (公平性(税制度)を短縮バージョンで説明する場合) 税金には、「支払能力に応じた公平な負担にする」というルールがあります。 ・ 一言で「公平」と言っても、様々な指標があり、人それぞれの置かれている立場や環境によっても捉え方は変わってくると言えます。 最初に、税金はみんなで出し合う「社会の会費」のようなものと説明しました。 日本の税の制度は、様々な種類の税金を組み合わせて、いろんな立場や環境の人から、少しずつ出し合ってもらえる、なるべく不公平感が少なくなるような制度になっています。 ⑦ゴルフをする →ゴルフ場利用税 ⑦ゴルフ場に 行きました ⑧温泉に入る →入湯税 ⑧家族旅行で 温泉に入りました
「税金は支払能力に応じた公平な負担にする」というルール 課税の公平とは? 「税金は支払能力に応じた公平な負担にする」というルール 「応能負担の原則」 「応益負担の原則」 不公平感が少なくなるよう 様々な税金を組み合わせている 垂直的公平 水平的公平 経済力のある人には、より大きな負担を求める考え方。 所得水準や年代に関わらず、一定の負担を求める考え方。 特徴は? 所 得 税 消 費 税 個人の所得に担税力を求め 「累進税率」により課税。 財・サービスを消費するという経済力の行使に担税力を求め、「比例税率(一律8%の税率)」により課税。 税金には、「支払能力に応じた公平な負担にする」というルールがあります。 このルールを元にした「公平」の考え方には「応能負担の原則」と「応益負担の原則」の2通りあります。 「応能負担の原則」は、経済力のある人により大きな負担を求める考え方で、垂直的公平 といいます。 「応益負担の原則」は、所得水準や年代に関わらず、一定の税率を負担を求める考え方で水平的公平といいます。 代表的な税として、「所得税」と「消費税」があげられます。 特徴は、所得税は、利益(もうけ)に対して課税され、累進税率が適用されるので、所得の大きい人には多くの税負担となります。 消費税は、皆が同じ税率や金額で税金を負担することになります。 問題点は、所得税は利益に対して税金がかかるので、儲ければ儲けるほど、税金がかかり、働く意欲がなくなるなどの問題点があげられ、 消費税は、所得の少ない人にとったら、税負担の割合が高くなることになります。同じ税金1万円を払うとしても、収入が月10万円の人と収入が月100万円の人が払う1万円は痛みが違うということです。 一言で「公平」と言っても、様々な指標があり、人それぞれの置かれている立場や環境によっても捉え方は変わってくると言えます。 日本の税の制度は、様々な種類の税金を組み合わせて、いろんな立場や環境の人から、少しずつ出し合ってもらえる、なるべく不公平感が少なくなるような制度になっています。 問題点は? 累進課税は富の再分配を図る機能があるが、累進度が強すぎると「働く意欲を無くす」という意見がある。 食料品などの消費は所得の多い少ないによって大きく違うことはなく、所得が低い人ほど消費税の負担割合が大きくなる「逆進性」の問題がある。
ではここで、 みなさんを税金のない世界 ~アナザーワールド~ へ御案内します。 ではここで、今日はDVDを見てもらおうと思います。(視聴16分) 主人公のサラリーマンが、ある日「税金なんてなくなってしまえばいいんだ!」と言った事から、謎の男性が現れて、税金のない世界に迷い込むというものです。 私たちは税金がある世界で生活していますが、「税」がなくなってしまったらどうなってしまうのか、ということを考えながら見ていただきたいと思います。
消費税(付加価値税)の国際比較 消費税(付加価値税)はフランスで1954年に初めて導入されましたが、これと同じような税は全世界150以上の国・地域で採用されています。 さて、次に、 皆さんが身近に感じる税金といえば、「消費税」もあがってくるのではないでしょうか。 消費税は、世界でも採用されています。(付加価値税という言い方もします) グラフを見ると、右側の方につれて、税率が高くなっているのが分かると思います。 国を見ると、主にヨーロッパ諸国が並んでいます。 ↓ ヨーロッパの国は、 「税金は高いが、その分社会福祉の質も高い」 という社会福祉が充実した国が多いと言われている。(例:スウェーデン) 日本の税率は、と言うと、一番左にあります。皆さんもご存知のとおり、8%です。 そして、今年の10月からは10%になる予定ですが、この税率が高いと思うか低いと思うかはひとそれぞれですが、増税になる部分の使われ方を知ることも大事だと思います。 注)1 日本の消費税は令和元年10月1日から10%です。 2 アメリカは州、郡、市により、小売売上税が課されています。 3 上記「青色」が食品に係る適用税率ですが、軽減税率が運用される食料品の範囲は各国ごとに異な り、食料品によっては上記以外の取扱いとなる場合があります。 4 EC指令においては、ゼロ税率及び5%未満の軽減税率は否定する考え方が採られています。
軽減税率の対象となる飲食料品 飲食料品 適用税率の判定時期 外食 テイクアウト・ 宅配等 ケータリング等 酒類 医薬品・ 医薬部外品等 軽減税率対象 軽減税率対象外 テイクアウト・ 宅配等 外食 ケータリング等 有料老人ホーム等 で行う飲食料品の提供 酒類 飲食料品 (食品表示法に規定する食品) 人の飲用又は食用に供されるもの これは、10月以降全てに対し消費税が10%になるわけではなく、8%のままの物もあります。何が8%かというと、「飲食料品」が対象となります。 この図では、色付きの部分が軽減税率の対象で8%、白抜きの部分が軽減税率の対象とならず10%になるものになっています。 「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品、すなわち人の食用・飲用に供されるものをいいます。 ただし、酒税法に規定する酒類 「外食」や「ケータリング等」は軽減税率の対象となる食品から除かれており、10%となります。 なお、左から2番目にある色付きの楕円の飲食店やファストフードのテイクアウトや宅配については、軽減税率の対象で8%となります。 また、右下の枠外の「医薬品・医薬部外品等」については、食品表示法上の食品に該当しないため軽減税率の対象とはなりません。 何が8%で何が10%になるのか、また注意してみてください。 では、簡単なおさらいとして、クイズをしてみましょう。 = 医薬品・ 医薬部外品等 一体資産 適用税率の判定時期 軽減税率が適用される取引かどうかの判定は、事業者の方が課税資産の譲渡等を行う時、すなわち、飲食料品を販売する時点(取引を行う時点)で行うこととなります。
軽減税率クイズ Q.ファストフード店で、ポテトをテイクアウトしたら? A.8% (画面に沿って) Q → 正解は(クリック)
軽減税率クイズ Q.ピザの宅配は? A.8% (画面に沿って) Q → 正解は(クリック)
今の日本の財政は、歳出と歳入のバランスがうまくとれない状態 財政とは? 財政とは、政府の行う経済活動のことです。 「歳出」と「歳入」、両方のバランスを取ることが必要です。 歳出 (公共サービスに使うお金) > 財政 歳入 (税金や借金で集めたお金) では、次に「財政」について見ていきたいと思います 財政というのは、国、政府の行う経済活動のことですが、今の日本の財政は、歳入が歳出を上回る財政赤字の状態、歳出と歳入のバランスがうまくとれない状態になっていて、これがとても大きな課題です。 皆さんのお小遣いに当てはめると、もらっている以上に使っている、ということになります。 歳出と歳入のバランスをうまく取っていくためにはどうするか、お小遣いと考え方は一緒で、欲しいものがたくさんあるならめちゃくちゃバイトをするしかない、でも高校では、バイトが禁止や、仮にOKでも時給には限界があります。 じゃあ一番欲しいものは何なのか、何は我慢できるのか、メリハリや順位をつけて計画的に使っていくしかないと思います。 今の日本の財政は、歳出と歳入のバランスがうまくとれない状態
【総額:101兆4,571億円】 国の予算 (2019年度) 歳入 歳出 買い物をとき払う これは、国の予算を表しています。 国の予算 (2019年度) 【総額:101兆4,571億円】 歳入 歳出 買い物をとき払う これは、国の予算を表しています。 令和元年度の予算は、101兆4571億円で、初めて100兆円を越えました。 歳入をみてみると、約6割が税収で賄われており、公債金の発行(赤い部分)つまり、国の新たな借金が約3割であることがわかると思います。 歳出を見てみると、社会保障が約3割で一番多く占めていますが、二番目が国債費(赤い部分)つまり、今までの借金の元金と利息の返済となっています。 国の財政は支出が税収を上回る状態が続いています。 税収で賄えない部分と返済しなければならない部分を国債を発行して賄っていることが、赤い部分を見てわかると思います。 2019年度だけがそうならまだ、財政は立て直せるかもしれないです・・・ 過去からの状態を見てみると・・・
歳出・税収の推移 歳出が増える一方、税収は1990年度以降、伸び悩み。 その差を借金で穴埋めしているため、借金が積みあがっています。 歳出と税収の差が拡大 ⇒借金で穴埋め 税収 下のグラフが税収で、上のグラフが歳出です。 公民の授業とかでこういうグラフを見たことがあるかもしれませんが、景気の悪化で税金が集まらなかったり、高齢化社会で医療・福祉などの社会保障の費用がふくらむと、財政赤字は起こります。 様々な要因で歳出が増える一方、税収は1990年度以降、伸び悩みその差を借金で穴埋めしているため、借金が積みあがっています。 この差の部分が、ワニが口を開けたように見えることから、このグラフを【ワニクチグラフ】と言ったりもします。 口にあたる部分が国債を発行し穴埋めしている状態です。 一向に減っていないということは、残高は一体どんなことになっているのか・・・ (年度)
急速に積み上がる国の借金 一般会計税収の約14年分に相当 国民1人当たり 約713万円 買い物をとき払う 国の借金総額の推移 (平成31年度一般会計税収予想額:約62兆円) 平成31年度末公債残高 約897兆円(見込み) ↓ 国民1人当たり 約713万円 2011年 東日本大震災 買い物をとき払う 利益出した社が払う 2008年 リーマンショック 1995年 阪神・淡路大震災 国の借金の総額の推移をあらわしています。 毎年毎年借金を続けた結果、国の借金総額は急速に積み上がっています。 令和元年度末の国の借金総額は、897兆円に達する見込みです。 これを国民1人当たりに換算してみると約713万円の借金があることになります。 いずれは返さないといけないお金ですが、どうしたら減らせるのかを考えていかなければなりません。
財政構造の変化 歳出 歳入 税収などの収入62.5兆円 社会保障 11.6兆円 国債費 14.3兆円 34.1兆円 23.5兆円 1990年度 +22.54兆円 +9.2兆円 社会保障 11.6兆円 国債費 14.3兆円 34.1兆円 23.5兆円 2019年度 66.2 兆円 101.4兆円 公共事業、教育、防衛など 25.1兆円 地方交付税交付金等 15.3兆円 公共事業、教育、防衛など 27.8兆円 地方交付税交付金等 16.0兆円 歳入 公債金 5.6兆円 1990年度 2019年度 101.4兆円 66.2 兆円 +27.1兆円 1990年と現在の財政の構造比較してみると、何が増えているのかがわかりやすいかと思います。 社会保障費が大きく伸びている一方で、公共事業や教育など、他の経費は横ばい、ほとんど増えていないことがわかります。 一方で歳入を見ると、税収などの収入の増加はわずかであるのに対し、借金である公債金が約6倍と大幅に増加しています。 税収などの収入62.5兆円 公債金 32.7兆円 税収なの収入63.1兆円 2017年度 (注)当初予算ベース
国民の「受益」と「負担」のバランス 大きい 政府 小さい 日本は、「みんなのために使うお金>みんなから集める会費」となっていて、 日本 国民の「受益」と「負担」のバランス 国民の受益(社会保障支出) (%) 国民の負担(税金と社会保険料) アメリカ カナダ ドイツ イギリス イタリア フランス 大きい 政府 小さい みんなのために、 使うお金が多い (高福祉) 使うお金が少ない (低福祉) 集める会費が少ない (低負担) 集める会費が多い (高負担) 日本 このグラフは各国の社会保障支出である【受益】と税金や社会保険料である【負担】のバランスを表しています。 「受益」とは国民が受けるサービスのことで、「負担」はそれにかかる費用(税金や社会保険料)のことを言います。 アメリカのように、低負担・低福祉の国もあれば、フランスのように高負担・高福祉の国もあります。 一般に、このピンクの矢印上にあれば、受益と負担のバランスが取れている状態と言えるのですが、日本はどのあたりに位置するでしょうか。 クリック 日本の社会保障を主要先進国と比較すると、国民の受益に比べ、国民の負担の水準が低い、アンバランスな状態になっています。 日本は高齢化に伴う社会保障支出が増加しているが、少子化により税収や社会保険料の国民の負担が減少してきているため、国民全体で話し合っていく必要があります。 このバランスの取れていない部分というのは、現在、借金をして「将来世代」の人たちに負担を先送りしているわけですが、じゃあ、このまま国の借金が増え続けるとどうなるか・・・ 日本は、「みんなのために使うお金>みんなから集める会費」となっていて、 バランスが崩れている(足りない分を借金して、「将来世代」の人達に負担をつけ回している)。
このまま国の借金が増え続けると・・・・? 問題点1 将来の公共サービスへの支出が減少 借金を返済するために、将来の国民が受け取れる公共サービスが減少したり、負担が増加するおそれがあります。 負担の 先送り 問題点2 借金返済がますます困難に 大きく分けると2つの問題点があります。 まず1つ目。 公共サービスへの支出が減少するかもしれないということです。 分かりやすく言うと、借金の返済に回すため、これまで使えていた予算が使いたいところに使えなくなるということです。そうすると、みなさんが受ける教育への投資や年金・医療・介護などの社会保障への支出が減少するかもしれないということです。 次に2つ目の問題点。 借金の返済がますます困難になってしまうかもしれないということです。 借金の総額が増え、政府への信用が低下すると、お金を借りるために、さらに多くの利息を払わなければならなくなり、ますます借金が膨らむかもしれません。 今高校3年生の皆さんの中には、早い人では4か月も経てば、社会人として就職をし、税金を納める立場になります。そのときには、自分たちがした借金でなくても、過去にした借金を、自分たちの支払う税金で返済しなければなりません。 借金が増えるということは、将来世代に負担を先送りするということになり、日本の将来を考えるとき、大きな借金があるというのは他人事ではない、ということを覚えてもらえればと思います。 借金総額が増え、政府への信用が低下すると、お金を借りるためにより多くの利息を払うことになり、ますます借金が膨らみます。
様々な年代・立場の人たちに配慮する必要・・・とても難しい問題((+_+)) × 財政のバランスをとるには・・・ 一刻も早く手を打たなければ?? × 今までの話の中で、日本にはとてもたくさんの借金があり、それが大きな課題になっているということ、そして、この借金は、将来世代である皆さんの生活に影響があるかもしれない、ということについてお話ししてきました。 じゃあ一刻も早く借金を減らすために、手を打たないといけないんじゃないかと思いますよね。借金を減らすためには手っ取り早いのは、使うお金、出ていくお金を減らすのが一番なんですが、そう簡単には行かない事情というのがあります。 例えば学校・教育に関わる予算を減らそうとすると、ここにいるみなさんは困りますよね。 高齢者のために使っている予算、年金や医療、介護などの社会保障費を減らそうとすると、おじいちゃんおばあちゃんは生活が一気に苦しくなるかもしれません。 一方で、支出が減らせないなら、入ってくるお金、会費である「税金」を増やせばいいと思うかもしれません。 でも、例えば所得税を上げようとすると、働く世代の人たちからは、「給料も上がってないのに、税金だけあげられたら困る」といった不満はきっとでてくると思います。 それができないとなれば、さらに借金をすることが必要になるかもしれません。 財政のことを考えるときは、このように、色々な年代・立場の人たちのことを考え、配慮する必要があるんですが、それがとても難しい問題になっています。 そういう難しさも含めて、皆さんにはぜひ考えてみてほしいと思います。 様々な年代・立場の人たちに配慮する必要・・・とても難しい問題((+_+))
私たちの生活は、公共サービスや公共施設で支えられていて、それらは、みんなで負担する会費(税金や社会保険料)で賄っている。 日本では少子高齢化が進み、子どもや働く世代が少なくなる一方で、医療、年金、介護等の費用が一貫して増えている。 日本の財政は、収入(税収)に比べ支出(歳出)が多く、毎年、借金が増え続けている。(→将来世代の負担、他の支出を圧迫) 自分たちの未来のために、財政について、自分たちで話し合っていく必要がある。 今までの話をまとめてみると、 ①~④ となります。
選 挙 日本の未来は国民みんなで決める 国の財政のあり方、予算や税金に関することは、国民の代表である国会議員が国会で議論をして決めています。 日本の未来は国民みんなで決める 国の財政のあり方、予算や税金に関することは、国民の代表である国会議員が国会で議論をして決めています。 国 民 公共施設・公共サービスの提供 選 挙 納 税 国 会 内 閣 議 決 実際の国の予算や税金のことはどうやって決めているか。 財務省(本省)では、文部科学省、厚生労働省など各省庁の人達と協力して、次の年の国の予算や税金をどんな風にしていくのが良いかということを考え、予算の案【予算案】を作ります。 内閣は内閣総理大臣や財務大臣などの「閣僚」と呼ばれる人たちが会議をするところです。 この内閣で、財務省が中心となって作った予算案を閣議決定してもらって、(スクリーンを指して)「国会」に提案します。 国会では、内閣が提案する予算案や税金に関する法律案について、国会議員さんが議論をして決めています。 この国会議員さんたちが、どうやって選ばれているか、選挙です。 国民1人1人が「この人に国会議員になってもらって、国を良くしてほしい」という人を、選挙で投票して決めています。 国会議員さんは、自分を選んでくれた国民の代表として、国民のために、日本の未来のことを考え、予算や税金、政策に関することを議論して決めているわけです。 予算・税金・政策に関する提案
日本の未来は国民みんなで決める 皆さんが18歳になると、「選挙権」が与えられ、自分の考えに合う国会議員を選ぶことができます。 日本の未来は国民みんなで決める 皆さんが18歳になると、「選挙権」が与えられ、自分の考えに合う国会議員を選ぶことができます。 ・国の役所が作った予算や政策の案については、国会議員の皆さんが国会で議論して決めています。 ・国会議員は、国民が選挙で選ぶ「国民の代表者」です。 ・選挙に行き、自分の考えに合う国会議員を選ぶということは、今日皆さんが一生懸命考えた「日本の未来を良くしたい」という想いを、国の予算・政策に反映させるための、とても大事な方法です。 皆さんは高校3年生なので、既に18歳になっている人もいるかと思いますが、18歳になると選挙権が与えられます(改正公職選挙法第9条)。 選挙に行って、自分の考え方と合う候補者に投票するということは、「日本がこんな国になったら良いな」という意思表示をするということです。 選挙で選ばれた議員さんたちが予算を決めているので、選挙というのは、自分たちの支払う「税金の使い道を考える人」を選ぶということなのです。 また、「税」は、国民生活や経済社会と密接に関連していて、私たちの暮らしに欠かせないものという話もしました。憲法で国民の義務に掲げられているように、国の制度の中でも中心的なものです。将来世代を担う皆さんが、国の基本である「税の意義や役割」を正しく理解し、「健全な納税者意識」を持って、「主権者」として国や社会の在り方を主体的に考えていくというのが大事になってきます。
本日はありがとうございました。