災害に強い通信 1.電気通信の対応状況 2.大震災の概要 3.将来の災害対応通信 4.災害時における通信への要望・条件 5.災害に強い通信システムの提案 2014.5.31 立川 敬二
東日本大震災の状況 1. 地震の概要 (気象庁調べ) ・発生日時: 2011年3月11日 14時46分 ・震央地名: 三陸沖(北緯38.1度、東経142.9度) ・規模: マグニチュード 9.0 ・最大震度: 震度7 (宮城県栗原市) 2. 被害の概要(消防庁調べ) (1) 人的被害: 死者 18,493人 (2) 住家被害: 全壊 128,801棟 行方不明者 2,683人 半壊 269,675棟 負傷者 6,217人 一部破損756,814棟
情報通信施設の被害状況 NTT の被害状況(記者会見 ) 固定系:使用不可 約 150 万回線 ビル 全壊18、浸水 23 電柱 65 万本流出、架空ケーブル流出 6,300Km 被害額 約 400 億円(損益)、設備投資 約 400 億円 移動系:被害基地局 788 局 被害額 約 160 億円(損益)、設備投資 約 100 億円
災害時の応急対応( NTT) ・災害用伝言ダイヤル、伝言板サービスの提供 ・移動基地局車 30台 ・衛星携帯電話 870台 ・特設公衆電話 2,300台 ( NTT 記者会見 )
震災時の利用メディア 震災発生時 震災直後 4 月末 AM ラジオ 60% 50% 45% FM ラジオ 40% 35% 30% 携帯メール 30% 46% 60% 地上波放送 25% 40% 60% 携帯電話 20% 50% 78% 防災無線 17% 16% 16% (出典)総務省「災害時における情報通信のあり方に関する調査」平成 24 年)
7 「だいち」( ALOS) 2006 年 1 月打上げ ◆光学 2 種類、レーダ1の 3 つの観測センサを搭載 ◆国土地理院の 2 万 5 千分 1 地 図作成に活用 ◆大規模災害時の状況把握 に貢献 直後から観測を行い、政府、地方自治体等へ解析結果を提供 災害観測例:東日本大震災 ( ) 災害状況の観測 陸域観測技術衛星「だいち」 6
通信衛星 技術試験衛星Ⅷ(きく8号) 打上げ:2006年12月18 日打上げ (H-ⅡA11号 機) 主な仕様: ・質 量 約 3,000 ㎏(軌道上初期) ・設計寿命 3 年(ミッション) 10 年(バス) ・軌 道 静止軌道(東経 146 度) 「きく8号」の目的:下記の開発・実証 ・先進的な3トン級静止衛星バス技術 ・世界最大・最先端の 大型展開アンテナ技術 ・移動体衛星通信システム技術、 移動体衛星 デジタルマルチメディア 同報通信システム技術 ・衛星測位システム基盤技術
災害時における通信への要望 1.ライフラインとしての携帯電話 ・疎通の確保 ・基地局の電源確保 3.代替・補完手段としての衛星電話 4.通信インフラの冗長性・信頼性の確保 ( 出典)総務省「災害時における情報通信のあり方に関する調査」(平成 24 年)
災害に強い通信システムの条件(個人) <災害発生直後> 災害情報の確実な収得:携帯電話、テレビ、ラジオ、地域有線放送等 日頃利用しているシステムが重要 <災害発生以降> 長時間停電も想定、固定回線の断も想定 被害情報の収集、近親者、友人への連絡、行政との連絡 携帯電話、インターネット、伝言サービス 移動電話局、臨時公衆電話 地上系のシステムがダウンしている時:衛星通信の活用
<災害発生時> ・迅速な災害情報の入手:テレビ、ラジオ、国内緊急情報連絡網、電話 ・住民への迅速な情報伝達(避難勧告等):地域災害情報伝達網、防災無線、街宣車 <災害発生以降> ・行政機関間での情報連絡:電話、インターネット、行政連絡網、行政無線、防災無線 ・住民への情報連絡:電話、インターネット、地域伝達網、街宣車 災害に強い通信システムの条件(行政機関等)
災害に強い通信システムの一提案 移動通信用衛星通信システム <地上系>通常の携帯端末機に衛星通信機能を付加。 災害時に災害地で利用できるように制御する。(通話、インターネット) <衛星系>静止軌道に大型通信衛星を配置。 常時は一般用として利用、災害時に移動用通信として活用。 大型アンテナ搭載 直径30~50m、指向性を持たせる。 日本を 6 分割程度にして局所利用。
大型展開アンテナ(送信)鏡面展開写真 (平成18年12月) 基地局 (災害対策本部) 被災現場作業員 ウェアラブルカメラ調査員 避難場所 トリアージタグ 通信衛星を用いた防災利用イメージ 12