第3節 日本の地域政策と課題
内 容 一、戦後日本経済の歩みニ、戦後日本の地域発展三、日本の地域政策四、地域政策の課題
一、 戦後日本経済の歩み 戦後日本経済の成長期間 戦後日本経済の成長期間 戦後日本経済の成長期間 戦後経済復興期( ) 戦後経済復興期( ) 戦後経済復興期( ) 戦後経済復興期( ) 経済高度成長期( ) 経済高度成長期( ) 経済高度成長期( ) 経済高度成長期( ) 経済安定成長期( ) 経済安定成長期( ) 経済安定成長期( ) 経済安定成長期( ) バブルとポストバブル期( 1985-) バブルとポストバブル期( 1985-) バブルとポストバブル期( 1985-) バブルとポストバブル期( 1985-)
ニ、戦後日本の地域発展 1. 地域経済と交通ネットワークの形 成 地域経済と交通ネットワークの形 成 地域経済と交通ネットワークの形 成 2. 都市圏の過密化と地方圏の過疎化 都市圏の過密化と地方圏の過疎化 3. 環境と生活インフラの課題 環境と生活インフラの課題
三、日本の地域政策 1. 地域政策の体系 地域政策の体系 2. 地域間格差とその対策 地域間格差とその対策 3. 過疎地域の問題とその対策 過疎地域の問題とその対策
四、地域政策の課題 1.理論的体系の検討と構築がまだ不十分 公平性vs効率性、地域格差のメリットvsデメ リット 地方自治体の最適規模、一極集中vs多極分散、な ど 2.地域や住民による政策づくりへの参加が不十分参加の仕方、参加の制度化、参加の便益と費用、参加についての情報・知識の非対称性、など 3.政策づくりの手法に改善の余地が多い将来予測の理論と技法、政策の実効性 行財政の改革、など (終わり)
戦後日本経済の成長期間 図 戦後日本GNP実質成長率(%)の推移 BACK
戦後経済復興期 ( ) 財閥解体:三井、三菱、住友財閥の解 体 財閥解体:三井、三菱、住友財閥の解 体 独占を排除、競争を促す 独占を排除、競争を促す 土地改革:地主から余剰土地を買い取 り、 農民に安く売却 する 土地改革:地主から余剰土地を買い取 り、 農民に安く売却 する 労働民主化: 労働組合法を制定、 労働民主化: 労働組合法を制定、 労使関係を調整 朝鮮戦争「特需」: 年 朝鮮戦争「特需」: 年 米軍物質需要による輸出増加 米軍物質需要による輸出増加 >> 経済が復興し、高度成長へ移行する BACK
経済高度成長期 ( ) 技術革新への投資:高度成長期待より 技術革新への投資:高度成長期待より 基幹産業の発展:傾斜生産方式の導入 基幹産業の発展:傾斜生産方式の導入 ( 電力、鉄鋼、石油化学、電機、自動車 等 ) ( 電力、鉄鋼、石油化学、電機、自動車 等 ) 国際貿易自由化:GATT、IMF への加盟 国際貿易自由化:GATT、IMF への加盟 所得倍増計画、消費ブーム 所得倍増計画、消費ブーム 東京オリンピック( 1964 ):新幹線 開通 東京オリンピック( 1964 ):新幹線 開通 公共投資、国債発行:後半は積極財政 公共投資、国債発行:後半は積極財政 >> 高度成長を持続し、世界2位へ成長 >> 高度成長を持続し、世界2位へ成長 BACK
経済安定成長期 ( ) オイルショック:第4次中東戦争 ( 1973 ) オイルショック:第4次中東戦争 ( 1973 ) 原油高騰、物価上昇、経済は負の成長 へ 原油高騰、物価上昇、経済は負の成長 へ 省エネ運動、産業構造の調整 省エネ運動、産業構造の調整 財政支出の引き締め:経済が軟着陸 財政支出の引き締め:経済が軟着陸 民間活力の重視:第三セクターの出現 民間活力の重視:第三セクターの出現 >> 経済は安定成長(年平均4%)へ 移行 >> 経済は安定成長(年平均4%)へ 移行 BACK
バブルとポストバブル経済期 ( 1985-) 円高:米国の高金利政策でドル高傾向 円高:米国の高金利政策でドル高傾向 プラザ合意後、円高容認、金融自由化 プラザ合意後、円高容認、金融自由化 輸出減少、内需拡大:ブランドや住宅 ブーム 輸出減少、内需拡大:ブランドや住宅 ブーム 金余り、株価・地価の高騰:バブル発 生 金余り、株価・地価の高騰:バブル発 生 バブルの崩壊( 1989 ):金融引締め、 土地売買への直接規制より、株価・地 価が下落 バブルの崩壊( 1989 ):金融引締め、 土地売買への直接規制より、株価・地 価が下落 >> 経済は長期不況・低迷時代へ突入 >> 経済は長期不況・低迷時代へ突入 BACK
1. 地域経済と 交通ネットワークの形 成 地域経済:太平洋ベルト地帯 地域経済:太平洋ベルト地帯 地域経済 三大都市圏 三大都市圏 交通ネットワーク:高速道路網 交通ネットワーク:高速道路網高速道路網 新幹線 新幹線 新幹線 BACK
2. 都市圏の過密化と 地方圏の過疎化 東京一極集中現象: 年統計 東京一極集中現象: 年統計 人口 (27%), 企業本社 (58%), 金融 (51%), 人口 (27%), 企業本社 (58%), 金融 (51%), 大学生 (40%), 外資系企業 (62%) 大学生 (40%), 外資系企業 (62%) 地価高騰、環境悪化、交通混雑を引き起 こす 地価高騰、環境悪化、交通混雑を引き起 こす 地方圏の過疎化現象: 地方圏の過疎化現象: 三分の一の市町村が人口流失 三分の一の市町村が人口流失 高齢化が加速し、地方経済が活力を欠く 高齢化が加速し、地方経済が活力を欠く BACK
3. 環境と生活インフラの課題 環境問題の発生: 環境問題の発生: 公害問題(みなまた病) 公害問題(みなまた病) 都市のごみ問題 都市のごみ問題 原発のリスク 原発のリスク 生活インフラの課題: 1990 年代統計 生活インフラの課題: 1990 年代統計 下水道普及率: 51% (米 73%, 英 96%, 仏 68% ) 下水道普及率: 51% (米 73%, 英 96%, 仏 68% ) 1人当り公園面積:東京 2.8, ロンドン 26, 1人当り公園面積:東京 2.8, ロンドン 26, パリ 12 (平 方メートル) パリ 12 (平 方メートル) 地震対策: 1995 年阪神大地震 地震対策: 1995 年阪神大地震 BACK
1. 地域政策の体系 (1) 政策体系 政策体系 (2) 全国総合開発計画 全国総合開発計画 (3) 政策の特徴 政策の特徴 BACK
(1)政策体系 経済計画:不定期的に全国経済計画を策 定 経済計画:不定期的に全国経済計画を策 定 各部門には5ヵ年計画を制定 各部門には5ヵ年計画を制定 地域総合開発計画:全国総合開発計画 地域総合開発計画:全国総合開発計画 大都市圏および地方圏の整備計 画 大都市圏および地方圏の整備計 画 土地利用計画:都市計画、農地計画など 土地利用計画:都市計画、農地計画など 環境保全計画、防災基本計画 環境保全計画、防災基本計画
(2)全国総合開発計画の概要 BACK 過去の全国総合開発計画 過去の全国総合開発計画 (教科書p 20 参照) (教科書p 20 参照) 21 世紀国土グランドデザイン ( 1998 ) 21 世紀国土グランドデザイン ( 1998 ) 21 世紀国土グランドデザイン ( 1998 ) 21 世紀国土グランドデザイン ( 1998 )
21世紀国土グランドデザイン 策定背景 地球時代 : 環境、競争、アジ ア 地球時代 : 環境、競争、アジ ア 将来人口の減少、高齢化 将来人口の減少、高齢化 高度情報化 高度情報化 目標年次 2015年 2015年 基本目標多軸型国土構造の整備 実現方式参加と連携 BACK
(3)政策の特徴 適時で周到な政策体系 適時で周到な政策体系 法制度による政策の実施と継続性の確保 法制度による政策の実施と継続性の確保 民間経済活動を補完・指導する 民間経済活動を補完・指導する 金融政策:日本開発銀行特別融資など 金融政策:日本開発銀行特別融資など 租税政策:所得税や固定資産税の減免など 租税政策:所得税や固定資産税の減免など 中央政府が主導する 中央政府が主導する 国が政策を作成、地方に対して交付・補助 国が政策を作成、地方に対して交付・補助
2. 地域間格差問題とその対策 (1) 地域間格差の推移 地域間格差の推移 (2) 地域間格差の原因 地域間格差の原因 (3) 地域間格差への対策 地域間格差への対策 BACK
(1)地域間格差の推移 地域間格差の推移 地域間格差の推移 地域間格差の推移 高度成長期:格差拡大 高度成長期:格差拡大 安定成長期:格差縮小 安定成長期:格差縮小 バブルとポストバブル期:小幅に変動 バブルとポストバブル期:小幅に変動
1人当り所得の変動係数と東京圏純転入人口 1人当り所得の変動係数 (% 、左目盛 ) 純転入人口 (1000 人、右目盛 ) BACK
(2)地域間格差の原因 全国経済情勢からの影響 全国経済情勢からの影響 集積(規模)の経済性の効果 集積(規模)の経済性の効果 地域間人口移動の効果 地域間人口移動の効果 地域政策の効果 地域政策の効果
(3)地域間格差への対策 BACK 国土均衡のある発展政策 国土均衡のある発展政策 国土均衡のある発展政策 地方を重点とする公共投資 地方を重点とする公共投資 地方を重点とする公共投資 地方の政府と企業への援助政策 地方の政府と企業への援助政策 地方の政府と企業への援助政策 地方政府の地域発展政策 地方政府の地域発展政策 地方政府の地域発展政策
国土均衡のある発展政策 BACK 新産業都市建設促進法 (1962 年 ) 新産業都市建設促進法 (1962 年 ) 新産業都市建設促進法 工業再配置促進法 (1972 年 ) 工業再配置促進法 (1972 年 ) 工業再配置促進法 高度技術工業集積地域開発促進法 高度技術工業集積地域開発促進法 高度技術工業集積地域開発促進法 (1983 年 ) (1983 年 ) 地方拠点都市地域の整備促進法律 (1992 年 ) 地方拠点都市地域の整備促進法律 (1992 年 ) 地方拠点都市地域の整備促進法律
BACK
地方を重点とする公共投資 2000 年 人口 ( 全国シェア ) 行政投資額 東京圏 3,288 万人 (26.1%) 74,089 億円 (17.9%) その他 9,319 万人 (73.9%) 339,824 億円 (82.1%) BACK
地方の政府と企業への援助政策 ( 新産業都市建設促進法の例 ) BACK 地方交付税の比率を引き上げる 地方交付税の比率を引き上げる 地方政府による地方債への支援 地方政府による地方債への支援 企業の固定資産税の免除 企業の固定資産税の免除 地方税免除による損失への補填 地方税免除による損失への補填
地方政府の地域発展政策 BACK 産業振興:企業誘致、地域産業の振興 産業振興:企業誘致、地域産業の振興 インフラ整備:交通、教育、医療、福 祉 インフラ整備:交通、教育、医療、福 祉 イベント企画:文化・スポーツイベン ト、祭り イベント企画:文化・スポーツイベン ト、祭り 交流促進:市民交流、国際交流、地域交 流 交流促進:市民交流、国際交流、地域交 流
3. 過疎地域の問題と対策 (1) 過疎地域の問題 過疎地域の問題 (2) 中央政府の政策 中央政府の政策 (3) 地方政府の対策 地方政府の対策 BACK
(1)過疎地域の問題 1997 年現在: 1231 市町村(全国の 38%) 1997 年現在: 1231 市町村(全国の 38%) 人口 800 万人 ( 同 6.3%) 、 人口 800 万人 ( 同 6.3%) 、 面積 18 万平方キロ ( 同 50%) 面積 18 万平方キロ ( 同 50%) 人口の流出・減少、高齢化加速 人口の流出・減少、高齢化加速 産業構造が立ち遅れ所得水準が低い 産業構造が立ち遅れ所得水準が低い 地方財政力が弱く公共サービスが低 下 地方財政力が弱く公共サービスが低 下
(2)中央政府の政策 BACK 過疎地域活性化特別措置法 (1970 年‐ ) 過疎地域活性化特別措置法 (1970 年‐ ) 過疎地域活性化特別措置法 インフラの整備:道路、下水道、医 療、 学校、 高齢者福祉 インフラの整備:道路、下水道、医 療、 学校、 高齢者福祉 財政・金融の特別措置:財政補填 財政・金融の特別措置:財政補填 政策銀行融資、地方税減免と補填 政策銀行融資、地方税減免と補填
過疎地域特別措置法による地域指定 (1996 年 ) BACK
(3)地方政府の対策 地域特産品の生産と販売の促進 地域特産品の生産と販売の促進 ( 「1村1品運動」など ) ( 「1村1品運動」など ) 地場産業の振興 地場産業の振興 地場産業の振興 工業、商業の振興 工業、商業の振興 観光業と地域文化・余暇活動の促進 観光業と地域文化・余暇活動の促進
地場産業の分布 BACK