生体試料における PCB 分析 生体試料における PCB 分析 ○ 上瀧 智巳 1 ) 、 森 千里 2 ) 、 中野 武 3 ) 1 ) ㈱エスアールエル、 2 ) 千葉大学大学院医学研究 院、 3 ) 兵庫県立健康環境科学研究センター
はじめに u ヒトや動物が内分泌攪乱化学物質に暴露されると、 生殖系や神経系に悪影響を及ぼすことが心配されて いる。 PCBs も内分泌攪乱作用を有していると疑われ ており、 ヒトへの蓄積・暴露状況の把握が求めら れつつあり、血液などの生体試料における PCBs の濃 度測定を行うことが必要とされている。 u そこで、今回 HRGC/HRMS を用いて、生体試料にお ける PCBs の分析方法の検討を行ったので、その結果 について報告する。また、全血と血漿による PCB の 濃度比較についても併せて報告する。
前処理操作
MSAutoSpec-Ultima(Micromass) Ionization modeEI Electron Energy38eV Trap current700μA Accel Voltage 8 k V Ion source Temp 280 ℃ Interface Temp 300 ℃ Resolution M/ΔM > 10,000 ( 10%Valley ) GC Agilent 6890 Plus GC ( Agilent Technologies inc ) Column HT8-PCB (関東化学) 60m x 0.25mmI.D. InjectorPTV Injection Volume5μL Oven Temp 60 ℃ (2.5min)-20 ℃ /min-180 ℃ -2 ℃ /min-260 ℃ -5 ℃ /min-300 ℃ (4min) Flow He 1mL/min ( constant flow ) HRGC/HRMS 分析条件
操作ブランクと定量下 限 <操作ブランク > 試料を用いずに前処理および測定を n=6 で行い算出 最大で 0.97pg を検出 <定量下限> 1. 装置の定量下限 低濃度の標準品を n=6 にて測定を行い、 測定値の 10SD より算出 2. 測定方法の定量下限 操作ブランク値の 10SD より算出 定量下限 = ~ 0.31pg/g
測定再現性 同時再現性 C.V.=0.64% C.V.=0.64%日差再現性 C.V.=3.28% C.V.=3.28%
全血中と血漿中の PCB 濃度比較(総 PCB )
血球中の PCB 濃度をゼロと仮定し、 全血中の PCB 濃度をヘマトクリット値よ り 血漿あたりに換算し、比較を行 った。 ( Total-PCBs にて) 血液中における PCB の分布の検証 換算前 血漿換算 = 全血中濃度 / ( 1- ヘマトクリット 値) 血液中の PCB は概ね血漿中に 存在している可能性が示唆された。 換算後
PCB のマスクロマトグラム ( Penta 、 Hexa ) ★ : Co-PCB ★ 2,3’,4,4’,5-P5CB (#118) ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 2,2’,4,4’,5-P5CB(#99) 2,3,3’,4,4’ -P5CB (#105) 2,2’,4,4’,5,5’-H6CB(#153) 2,3,3’,4’,5,6-H6CB(#163) 2,2’,3,4,4’,5’-H6CB(#138) KC-300,400,500,600 MIX Blood Sample KC-300,400,500,600 MIX Blood Sample P5CB H6CB ★ 2,3,3’,4,4’,5-H6CB(#156)
まとめ u 血液試料を想定した HRGC/HRMS による PCBs の分析方法の検討を行った。 u 最大 0.97 pg の操作ブランクが検出された。 u 定量下限は ~ 0.31 pg/g であった。 u 同時再現性 C.V.=0.64% 、日差再現性 C.V.=3.28% (Total-PCB 値として ) u 全血と血漿で R 2 =0.99 の正の相関が見られた。( Total-PCB 値として ) u 血液中の PCB は概ね血漿中に存在している可能性が示唆された。 参考文献 (1)松村、他、環境化学 Vol.12, No.4, pp855, 2002 (1)松村、他、環境化学 Vol.12, No.4, pp855, 2002 (2)門上、第 26 回日本環境化学会講演会予稿集, p109,1998 (2)門上、第 26 回日本環境化学会講演会予稿集, p109,1998 (3)血液中のダイオキシン類測定暫定マニュアル, 2000 (3)血液中のダイオキシン類測定暫定マニュアル, 2000