陰関数定理と比較静学 モデルの連立方程式体系で表されるとき パラメータが変化したとき 如何に変数が変化するか 至るところに出てくる
例 需要と供給 一つの財の市場 ( 部分均衡 )
元の均衡
所得上昇の効果 均衡価格は上がり、 取引量は増える。
微分による方法 合成関数微分でパスを通し忘れない
供給関数は、 右上がりで+ 需要関数は、 右下がりで- 分母は全体として + 所得が増えると需要 が増えるので+
劣等 ( 下級 ) 財の場合 供給関数は、 右上がりで+ 需要関数は、 右下がりで- 所得が減ると需要が 増えるので-
例 間接税の効果 単位あたり t の従量税がかかるとする。 需要者価格 = 供給者価格 + 従量税
均衡条件 需要者価格 = 供給者価格 + 従量税 需要 = 供給 需要価格は上がり 供給価格は下がり 取引量は減少する
微分による方法 t で微分する。
連立方程式を解く
比較静学 経済モデルで、複数の経済変数が同じ数 の方程式で決定される モデルの外で決められる変数をパラメー タという パラメータの変化の効果は、内生変数を パラメータの関数として、微分して、連 立方程式を解く
比較静学を微分で解くメリット 複雑なモデルでも機械的に解ける 変化の程度が、各微係数大きさから推測 できる 一つの変化が複数の経路を通って効いて くるとき、その相対的な大きさが式から 出る ( 例・・スルツキー方程式で所得効果 と代替効果に分かれる )
陰関数定理 (implicit function theorem) 比較静学を機械的に微分する数学的基礎 一般的な形の証明は、難しい
1 変数 1 パラメータの場合
例えばここは 駄目 代入する 微分する
2次元の場合
2次元の場合 ( 続き )
一般的な場合
が存在し と を恒等的に満たすとする。
行列を使った表現 ヤコビ行列ま たは、ヤコビ アン
他のパラメータについての微分も並 べる
ベクトルや行列を使って纏めて書く 上の式
ならヤコビ行列の逆行列が存在し
陰関数定理
微分して、ヤコビ行列を逆転
陰関数定理について 存在するのは、関数より近傍 近傍の大きさが簡単に指定できないので、 ブラウアーの不動点定理 ( ゲームや一般均 衡の存在証明 ) や縮小写像定理 ( ルーカスの 貨幣の中立性 ) より、存在定理としては弱 い 応用では、普通ややこしいことは考えな い
比較静学の実際 内生変数とパラメータを区別 内生変数をパラメータの関数とする パラメータについて微分すると連立方程 式が出る これを内生変数のパラメータについての 偏微分で解く 内生変数の数と式は、等しい ヤコビ行列がつぶれると分母が 0 になる – 価格についての 0 次同次性などを見落として いる可能性
例 無差別曲線の傾き
両辺を微分
限界代替率
効用の序数性 両辺を微分 無差別曲線が依存しないことの帰結 効用でなく選好 (preference) が基本概念
例 IS と LM 国民所得 消費 投資 政府支出
消費関数 投資関数 限界消費性向は正 利子率が上がると投資が減る 財市場の均衡
貨幣市場 の均衡 貨幣供給 貨幣需要関数 利子が上がると 貨幣需要は減る 国民所得が増え ると貨幣需要が 増える 貨幣市場の均衡
IS と LM 貨幣市場の均衡 財市場の均衡 Investment( 投資 )=Saving( 貯蓄 ) なので IS Liquidity( 流動性 )=Money( 貨幣 ) なので LM 両市場の均衡で Y と r が決まる
IS 曲線 を満たす Y と r の組合せ 両辺を微分 限界消費性向は正で 1 より小 投資は、利子が上がると減るので- IS 曲線は右下がり
LM 曲線 を満たす Y と r の組合せ 両辺を微分 貨幣需要は、利子が上がる と減るので- LM 曲線は右上がり 貨幣需要は、所得が上がると 増えるので+
IS-LM 図 ( ヒックス・ハンセン図 )
政府支出増加の効果 両辺を G で微分
連立方程式を解く
分母は- 分子は- 全体は+ 分母は- 分子は+ 全体は符号 も入れて+ 政府支出が増えると、国民所得が増え、利子が上が る も同様に出る
G は入っていないので LM 曲線 は動かない IS 曲線 両辺を G で微分 IS は上にシフト
行列つぶれる例 コッブ・ダグラス生産関数 資本に対する価値限界生産物 = 資本賃料 労働に対する価値限界生産物 = 賃金率
対数を取る 両辺を r で微分
?? に対するヤコビ行列式は つぶれる
一次同次のシステムでは、比を変数として、正規化する 必要がある