校正自動化トロンボグラムにより測定さ れた全血トロンビン生成 M. Ninivaggi, R. Apitz-Castro, Y. Dargaud, B. de Laat, H.C. Hemker, and T. Lindhout August © Copyright 2012 by the American Association for Clinical Chemistry
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 血管構造、血球、血漿タンパク間のバランスの 取れた相互関係が出血を防ぎ、また一方では血栓 症を引き起こす Hemostasis: no bleeding no thrombosis 序章
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 序章(続き) 血球と血漿タンパクは、トロンビン生成 (FVIIIa) に おいて複雑な正と負、両方のフィードバック構造網の 中で相互に影響しあう Ref: Tanaka KA et al. Blood coagulation: hemostasis and thrombin regulation. Anest Analg. 2009;108:
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry トロンビンは多機能性タンパク分解酵素である > ホメオスタシスにおいて重大な役割をはたす:トロンビン が多いほど出血は減少、しかし血栓症は増加:トロンビンが 少ないほど出血は増加、しかし血栓症は減少 > その他にも重要な「非ホメオスタシス」機能をもつ 校正された自動化トロンボグラム (CAT) 分析 > 高血小板、血小板欠乏血漿中の両方で、トロンビン形成を 定量的に評価できる > 正常、高、低凝固状態を それぞれ区別できる 序章(続き) Thrombosis time thrombin Normal Bleeding Ref: Tripodi A. The long-awaited whole-blood thrombin generation test. Clin Chem 2012; 58: xxx-xxx.
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry II IIa ZGGR-AMC AMC* 2. トロンビン濃度は発生した蛍 光によって算出される 1. トロンビンは次々に蛍光を発する 基質を分割する CAT 分析 序章(続き)
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 疑問 なぜ CAT 分析は、従来の検査である PT や aPTT より も優れているのか?
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 序章(続き) なぜ全血でトロンビン生成 (TG )分析を行うのか? > 生理学的に近い > 検査室での操作が少ない(遠心分離の必要がない為、 実験誤差の減少と分析実施に必要な時間の短縮にな る) > 抗凝固剤無しの血液からでも、直接測定の可能性があ る(指からの採血) CAT 分析を全血で行う上での阻害要因 > 分割された基質の蛍光シグナルは、ヘモグロビンによ り消光される > 赤血球が堆積、凝集、そして形成された血栓を吸着す ることから、異常に高いシグナルを発する
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 序章(続き) 全血( WB ) CAT 分析 TG 分析を全血で行うことにおける問題を解決するために以 下のような調整を行った : - AMC ベースの基質よりも、励起, 発光波長がヘモグロ ビンによる影響を受けにくいことから、ローダミン ベースのトロンビン基質の使用 - 血液の薄い層を作り出す為に、多孔質濾紙を使用す ることで赤血球を吸着することができる
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 材料 & 方法 40µl ミネラルオイル 濾紙 と 5µl の サンプル クエン酸塩入り全血( WB ) 5µl の活性化血液 (50% WB + 50% 試薬 ) > TG: 0.3mM P 2 Rho, 0.5pM 組織因子 (TF), 16.7mM CaCl 2 > 校正 : 0.3mM P 2 Rho, 100nM 校正物質 40µl のミネラルオイル 濾紙 濾紙 + サンプル 濾紙 + サンプル + ミネラルオイ ル
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 結果 Figure 1. 反応プロフィール A) 蛍光出力は WB-CAT システムの活性化 PPP ( 点線 ) と全血 ( 実線 ) 中での TG への反応を示す。 B) P 2 Rho 基質と α2M- トロンビン校正物質間での反応の蛍光出力 ( 破線, n = 3) と標準偏差 ( 実線 ) 。 点 線は校正物質の傾きの一次導関数 No substrate consumption and inner filter effect
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 結果(続き) Figure 2. 典型的なトロンボグラム 点線は TG の生データを示し、 破線は生データから α2M- トロンビン活性を差し引いたもの、実 線は TG カーブ(破線の一時導関数)である。 Ref: Wagenvoord R et al. The limits of simulation of the clotting system. J Thromb Haemost 2006;4:
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 結果(続き) Table 1. 組織因子依存性 組織因子 (TF) 濃度、 ETP, 内因性トロンビン電位、 LT, ラグタイム、 TP, トロンビンピーク ; TTP, ピークに対する時間の機能としてのトロンボグラムパラメーター 内因性経路の影響を含めるために低 TF 濃度で分析を行うことを推奨する ピーク高の分析内、分析間正確性は WB-CAT 分析 の有効な応用に十分である ( トロ ンビンピークにはそれぞれ 6.5% と 10.7% )
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 結果(続き) Figure 3. リン脂質依存性 (A) リン脂質小胞 (PV) の添加有無による全血 (WB) 中の TG (B) ヘマトクリット依存性 WB 中の TG へリン脂質小胞 (PV) を添加する必要はない プロコアギュラントリン脂質は赤血球からのもの B
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 結果(続き) Figure 4. Factor VIII 依存性 全血トロンボグラムパラメーターである ETP (A) 、トロンビンピーク (B) と血友病A患者の血 漿 FVIII 濃度間での相関 WB-CAT 分析は FVIII 濃度に対して高感度であり、トロンビン 生成の最も重要な決定要因の一つである。
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 結論 マルチウェルマイクロタイタープレートでの、薄層 血液を用いた全血中 TG を正確に測定する方法を確立 した 疑問 : 濾紙の使用にはいくつかの注意点がある。そ れは何か? 疑問 : 臨床での WB-CAT 応用には、今後更にどのよ うな研究が必要か?
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry 編集スライド 待ちに待った全血トロンビン生成テスト (TGT) > 生体内での凝血促進、抗凝血バランスを評価するには、 TGT が従来の凝血テスト (PT と APTT) に比べて適してい る > 近年まで TGT は血小板欠乏、または多血小板血漿で行わ れていた >Ninivaggi ら (Clin Chem, 2012) は、全血で行うことの出来 る新しい TGT について発表し、これは生体内で何が起き ているのかまねるには以前の TGT よりも優れている
© Copyright 2009 by the American Association for Clinical Chemistry Thank you for participating in this month’s Clinical Chemistry Journal Club. Additional Journal Clubs are available at 訳者 加藤久美子 Follow us