日出中学校における「合理的配慮」について 平成26~27年度 「多様な学びの場充実モデル実践事業」の取組から 日出中学校における「合理的配慮」について 平成26~27年度 「多様な学びの場充実モデル実践事業」の取組から 合理的配慮研究教員 日出町立日出中学校 見良津美由紀
今回の報告の内容 1 校内支援体制作りについて 2 基礎的環境整備→ユニバーサルデザイン環境 作りの取組について 1 校内支援体制作りについて 2 基礎的環境整備→ユニバーサルデザイン環境 作りの取組について 3 具体的な合理的配慮について
1 校内支援体制作りについて
日出町立日出中学校 日出町内 4つの小学校から 入学 全校生徒 686名 1年 8クラス 2年 6クラス 3年 6クラス ☆特別支援学級 (山茶花学級) 知的障がい 1クラス (山茶花A) 自閉症・情緒障がい 1クラス (山茶花B)
支援が必要な生徒の数 H23 H24 H25 H26 H27 知的障がい 2 3 6 5 自閉症・ 情緒障がい 未設置 4 通常学級 ※ 17 27 30 35 ※数値は、「特別な教育的支援を必要とする幼児児童生徒の実態調査」の チェックリストを使った状況把握による
どの生徒も落ち着いて学習できるように! まずは校内支援体制の見直し
日出中学校の校内支援体制(4月当初提案の一部) 年度初めに、特別支援の体制を確認してから、他を決めていく・・・という形をとっています。 その場合小学校コーディネーターとの連携が欠かせません。
それぞれの学びスタイル 自分の担当授業以外にも、指導に入ってもらってます。
2 基礎的環境整備 →ユニバーサルデザイン環境の 取組について 学校全体の取組
○教室内の掲示物によって気がそれたり しないように配慮がされている ○教室内の掲示物によって気がそれたり しないように配慮がされている 一見ありふれた行事黒板ですが・・・ ・必要な項目だけを記入している ・落書きがない ・使用した色が1色でごちゃついていない 場の構造化
刺激の多い情報は背面に掲示 色や字体、貼る位置 整然と 場の構造化
○教室の物について、一つ一つ置く位置が 決まっている。 ○教室の物について、一つ一つ置く位置が 決まっている。 机の位置も「きちんと」という言葉だけでは、わかりにくい生徒もいる・・・ 必要あれば「印」を使って。 「余ったプリントは教卓の下に」というように決まっていれば、どの生徒も片付けられるはず。 場の構造化
さがさなくてすむように整然と! 提出物の出し方も、出す場所、タイミングを わかりやすく、統一しておく 場の構造化
物の場所がきまっていれば・・・ 先生の机の上もすっきり! のはず・・・ ロッカーの上もすっきり! のはず・・・ 場の構造化
○指示・伝達事項は、聴覚的に(言語)だけ でなく、視覚的に(板書等)も提示 ○指示・伝達事項は、聴覚的に(言語)だけ でなく、視覚的に(板書等)も提示 どこをみればいいか 「一目瞭然」の状態に! 整然とすっきりと記入 場所も「当然わかっているだろう」と思い込まずに伝える 変更があったときも早めに伝える 情報伝達の工夫
「帰りの会」での「先生の話」も 板書して伝える 「帰りの会」での「先生の話」も 板書して伝える 情報伝達の工夫
○座席の位置は個々の特性を配慮する →ベストの席は生徒によって違う ○座席の位置は個々の特性を配慮する →ベストの席は生徒によって違う 「授業の集中」の観点から ~余計な刺激を減らす席~ 「授業内容の理解」の観点から ~教員が個別に声を掛けやすい席~ 「モデルの存在」の観点から ~周囲の生徒をモデルにして行動しやすい席~ 安易な くじ引きやじゃんけんでの席替えはやめましょう 指導方法の工夫
○授業(活動)のはじめに内容の進め方に ついて全体的な見通しを提示する ○授業(活動)のはじめに内容の進め方に ついて全体的な見通しを提示する 終わりが見通せると、落ち着く。 指導方法の工夫
○(タイマーなどを活用して)作業などの 時間の区切りが分かるように工夫する ○(タイマーなどを活用して)作業などの 時間の区切りが分かるように工夫する タイムタイマーで「終わりが見える」ようにする。 タイマーがなくても「○分まで」や「○分間で」などの指示を出すだけでもよい。 指導方法の工夫
○クラス内のルールを明確化する。 ルールはシンプルでわかりやすいものにする ○クラス内のルールを明確化する。 ルールはシンプルでわかりやすいものにする 「早い者勝ち」などの「○○勝ち」でないように! 「給食のおかわり」もルールに沿って! 指導方法の工夫
「困り」のある子がわかりやすいということは、 すべての生徒がわかりやすい ということ! ↓ ユニバーサルデザイン環境であること
基礎的環境整備を整えた上で、 個々の合理的配慮を…… 基礎的環境整備を整えた上で、 個々の合理的配慮を……
~在籍生徒の願い~ 「できればトラブルのない学校生活を送りたい」 「普通にすごしたい」 ↓ ~在籍生徒の願い~ 「できればトラブルのない学校生活を送りたい」 「普通にすごしたい」 ↓ ○場面に応じた適切なふるまい方を身につけて、友だちとの「つながり」 をつくってほしい。 ○出来ることを増やして自分に自信をもってほしい。 クラス目標「ぷらす」
3 具体的な合理的配慮について
場の構造化 クールダウンスペース
情報伝達の工夫 1週間単位 1日単位 1時間単位
情報伝達の工夫 お家の方とのやりとり 少しずつ 自分でメモ
修学旅行 において
指導方法の工夫 ~山茶花学級での授業~ 板書とノート(ワークシート) を一体化させています。 書字が苦手な生徒には付箋を使って。 指導方法の工夫 ~山茶花学級での授業~ 板書とノート(ワークシート) を一体化させています。 書字が苦手な生徒には付箋を使って。 個に応じて焦点化させてます。
指導方法の工夫 ~山茶花学級での授業~ 文章を書くときは、手がかりが必要です。 指導方法の工夫 ~山茶花学級での授業~ 文章を書くときは、手がかりが必要です。 タブレット端末にいれた写真を操作しながら、職場体験学習の作文を書いています。
指導方法の工夫 ~交流学級での授業~ クイックショナリ― (日本語リーダー)の利用 クイックショナリーで漢字をなぞれば 指導方法の工夫 ~交流学級での授業~ クイックショナリ― (日本語リーダー)の利用 クイックショナリーで漢字をなぞれば ひらがなで表記します。 漢字の読み書きが苦手な生徒が利用しています。
指導方法の工夫 ~自立活動 SST~ ①時間における指導 想定される課題に取り組む ②「困り」が生じたときの指導 状況を把握し、とるべき言動を導き出す
①想定される課題に取り組む SST 「大人になるためのSST」 ①想定される課題に取り組む SST 「大人になるためのSST」 SSTのまとめ(確認したこと)はカードにしてためていく。たまったらご褒美 これまでにあった不適切な振る舞いを「架空の話」として提示 相手の気持ちの変化も視覚化して示す
抽象的な表現、曖昧な表現をできるだけ避け、具体的な表現に置きかえる 「朝はさっと朝学習にとりかかる」 にはどうすればいいか、伝える場合 不適切な行動があった時、なぜその行動がいけないのかを伝える場合
②「困り」が生じたときのSST 「鉛筆SST」 ②「困り」が生じたときのSST 「鉛筆SST」 交流学級での トラブル発生 状況の把握 「約束カード」にして振り返る 交流での生活に汎化する とった言動の 振り返り とるべき言動の 確認
②「困り」が生じたときのSST 「緊急 鉛筆SST」 ②「困り」が生じたときのSST 「緊急 鉛筆SST」 相手の言動 (時系列に) 相手が困ったこと 不快に思ったこと 自分の言動 (時系列に) 不適切だったこと (解決のために) これからすべきこと
ただ……SSTをすればOKではなく…… 個に応じた形、内容 するタイミング 保護者や関係機関との連携 (日出中では、SCとも連携している)
生徒たちの「多様な学びの場」の保障のために これからも 教職員みんなで がんばります!
参考文献 「通常学級での特別支援教育のスタンダード」 東京書籍 東京都日野市公立小中学校教師・教育委員会 With 小貫悟