ベクトル空間 実数体 体:数の集合で四則がその中で行えるもの 例)有理数全体、実数全体、複素数全体 R:実数体 C:複素数体 ベクトル空間 (ベクトルの和) u+v (u,v∈V), (ベクトルのスカラー倍) au (u∈V, a∈R) V:R上のベクトル空間
ベクトル空間の性質 (u,v,w∈V, a,b∈R) (1)u+v=v+u (2)(u+v)+w=u+(v+w) (3)u+0=0+u=u となるベクトル0が存在する (4)a(bu)=(ab)u (5)(a+b)u=au+bu (6)a(u+v)=au+av (7)1u=u (8)0u=0
零ベクトル u+0=0+u=u (u∈V) ベクトル空間の例 (1)Rn:実数を成分とするn次の列ベクトル全体 (2)Rn:実数を成分とするn次の行ベクトル全体 (3)R[x]n:実数を係数とする高々n次の多項式全体 (4)C(a,b):区間(a,b)で連続な実数値関数全体
a1 an (1)Rn:実数を成分とするn次の列ベクトル全体 Rn= a= a1, ・・・ ,an∈R ・・・ a1 Rn= a= a1, ・・・ ,an∈R ・・・ an (2)Rn:実数を成分とするn次の行ベクトル全体 Rn= {a=[ a1 a2 ・・・ an ] | a1, ・・・ ,an∈R} (3)R[x]n:実数を係数とする高々n次の多項式全体 R[x]n= {a0xn+a1xn-1+ ・・・+ an | a0, ・・・ ,an∈R}
WがVの和とスカラー倍を用いてベクトル空間となる W:Vの部分空間 部分空間 W:ベクトル空間Vの部分集合(W⊆V) WがVの和とスカラー倍を用いてベクトル空間となる W:Vの部分空間 定理4.1.1 ベクトル空間Vの部分集合WがVの部分空間 となる必要十分条件。 (i) 0∈W (ii) u,v∈W ならば u+v∈W (iii) u∈W,c∈R ならば cu∈W
解空間 W={x∈Rn|Ax=0} (A:m×n行列) W:同次形の連立1次方程式 Ax=0 の解空間
v=c1u1+c2u2+・・・+cnun=Σciui (ci ∈R) 1次独立と1次従属 1次結合 n v=c1u1+c2u2+・・・+cnun=Σciui (ci ∈R) i=1 1次関係 n Σciui=c1u1+c2u2+・・・+cnun=0 (ci ∈R) i=1 1次独立 u1,u2,・・・,un が自明でない1次関係を持たない c1 = c2 = ・・・=cn=0 に限る
基本ベクトル 1 0 ・・・ 0 0 1 ・・・ 0 0 0 ・・・ 1 e1 = , e2 = , ・・・ , en = c1e1+c2e2+・・・+cnen=0 とすると c1 = c2 = ・・・=cn=0 V=R[x]n とする。 1, x, ・・・,xn は一次独立
定理4.2.1 Vのベクトルu1,u2,・・・,un が1次従属で ある必要十分条件は、u1,u2,・・・,unのうち少 なくとも1個のベクトルが他のn-1個のベクトル の1次結合で書けることである。 定理4.2.2 u1,u2,・・・,unが1次独立で、u,u1,u2,・・・ unが1次従属ならばuはu1,u2,・・・unの1次結合で書ける。
定理4.2.3 Vのベクトルの2つの組v1,v2,・・・,vnとu1, u2,・・・,um に対し (1)v1,v2,・・・,vn の各ベクトルは、u1,u2, ・・・,umの1次結合で書ける。 (2)n>m ならばv1,v2,・・・,vnは1次従属である。
定理4.2.4 u1,u2,・・・,umが1次独立なベクトルで、Aが m×n行列のとき (u1,u2,・・・um)A=(0,0,・・・,0) ならば A=0. 定理4.2.5 u1,u2,・・・,umは1次独立なベクトルとする。 2つのm×n行列A,Bに対し (u1,u2,・・・um)A= (u1,u2,・・・um)B ならば A=Bである。
ベクトルの1次独立な最大個数 1次独立な最大個数 r個の1次独立な集合∈ベクトルの集合X Xのどのr個のベクトルも1次従属 r:集合Xのベクトルの1次独立な最大個数 定理4.3.1 Vのベクトルの2つの組{v1,v2,・・・,vn},{u1,u2, ・・・,um} に対しv1,v2,・・・,vn の各ベクトルが、 u1,u2,・・・,umの1次結合で書けるならば、 {v1,v2,・・・,vn}の1次独立な最大個数≦ {u1,u2,・・・,um}の1次独立な最大個数.
定理4.3.2 u1,u2,・・・,umの1次独立な最大個数=r ⇔u1,u2,・・・,umのなかにr個の1次独立なベクト ルがあり、他のm-r個のベクトルはこのr個のベ クトルの1次結合で書ける. 定理4.3.3 rank(A)=Aの列ベクトルの1次独立な最大個数 =Aの行ベクトルの1次独立な最大個数.
定理4.3.4 n次正方行列について、次の3条件は同値である. (1)Aは正則行列である. (2)Aのn個の列ベクトルは1次独立である. (3)Aのn個の行ベクトルは1次独立である. 定理4.3.5 行列の簡約化は唯一通り決まる.
定理4.3.6 Vのベクトルu1,u2,・・・,umは1次独立とする. ベクトルv1,v2,・・・,vnがm×n行列Aを用いて (v1,v2,・・・,vn)=(u1,u2,・・・,um)A と書けているとする. (1)v1,v2,・・・,vn と Aの列ベクトル a1,a2,・・・,an には同じ1次関係が成り立つ. (2) m=n のとき v1,v2,・・・,vn が1次独立 ⇔ Aが正則行列.
ベクトル空間の基と次元 ベクトル空間のベクトルu1,u2,・・・,unがVを生成する Vのすべてのベクトルがu1,u2,・・・,unの1次結合で表される ベクトル空間の基 ベクトル空間Vのベクトルの組{u1,u2,・・・,un}が次の2つの条件をみたす。 (1)u1,u2,・・・,unは1次独立である。 (2)u1,u2,・・・,unはVを生成する
基本ベクトル 1 0 ・・・ 0 0 1 ・・・ 0 0 0 ・・・ 1 e1 = , e2 = , ・・・ , en = a1 a2 ・・・ = a1e1+a2e2+・・・+anen an {e1, e2, ・・・, en} Rn の標準基 {1, x, ・・・,xn } R[x]nの標準基
定理4.4.1 ベクトル空間Vの基に含まれるベクトルの個数 は、基の取り方によらず一定である。 ベクトル空間の次元 dim(V):Vの次元 Vの1組の基を構成するベクトルの個数 (Vが零空間ー>dim(V)=0) 定理4.4.2 ベクトル空間Vが有限次元である必要十分条 件はVのベクトルの1次独立な最大個数が有限 であることである。このとき dim(V)=(Vのベクトルの1次独立な最大個数)
基本解 同次形の連立1次方程式の解空間の1組の基 解空間の次元 W:Ax=0の解空間 dim(W)=基本解の個数 =変数のうち任意に取れる個数 定理4.4.3 同次形の連立1次方程式 Ax=0 の解空間 W={x∈Rn|Ax=0} A:m×n行列 の次元は次のように表される。 dim(W)=n-rank(A)
ベクトル空間Vのベクトルで u1,u2,・・・,ut の1次結合全体のなす集合 ベクトルの集合で生成される部分空間 ベクトル空間Vのベクトルで u1,u2,・・・,ut の1次結合全体のなす集合 W={c1u1+c2u2+・・・+ctut|ci ∈R} はVの部分空間である。 <u1,u2,・・・,ut>R: u1,u2,・・・,utで生成 されるVの部分空間 定理4.4.4 dim(<u1,u2,・・・,ut>R)=u1,u2,・・・,ut の1次独立な最大個数
定理4.4.5 dim(V)=n とする。Vのn個のベクトルv1,v2,・・・, vnについて次の3条件は同値である。 (1)v1,v2,・・・,vn はVの基である。 (2)v1,v2,・・・,vn は1次独立である。 (3)v1,v2,・・・,vn はVを生成する。