物体間の関係記述に基づく 実世界中のイベント検索手法

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 プリミティブ Web サービスの 入出力データに関する一考察 2005 年 3 月 21 日 松江工業高等専門学校 情報工学科 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 越田高志 電子情報通信学会 2005年総合 大会.
Advertisements

専門教科「情報」(2) 6/1/07. 各科目(続き) 課題研究 課題研究(1) 目標 情報に関する課題を設定し,その課題の解決 を図る学習を通して,専門的な知識と技術の 深化,総合化を図るとともに,問題解決の能 力や自発的,創造的な学習態度を育てる.
位置センサ情報を用いた ユーザの行動傾向の取得 日本電信電話株式会社 NTT コミュニケーション科学基礎研究所 ○ 柳沢 豊,赤埴 淳一,小暮 潔.
位置情報履歴を利用した サービス提供機構の構築 慶応大学環境情報学部 4 年 徳田研究室 土田泰徳
SPSS操作入門 よい卒業研究をめざして 橋本明浩.
状況に応じたサービスを 提供するための人や物に 共通の情報管理
コンピュータプラクティス I 再現性 水野嘉明
アドホックCUG I-3. ユビキタスネットワーク制御・管理技術 (Ubilaプロジェクト) ウ.ネットワークサービス制御技術
個別化サービス提供のための 行動認識における 背景情報の活用
画像処理工学 2012年2月2日 担当教員 北川 輝彦.
LZ圧縮回路の設計とハード・ソフト 最適分割の検討 電子情報デザイン学科 高性能計算研究室 4回生 中山 和也 2009/2/27.
      特別支援学校 高等部学習指導要領 聴覚障害教育について.
神奈川大学大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻
ビジネスパターンに基づく クラウドシステムのサービスレベル設計
CADの概要2 電子制御設計製図Ⅰ 2009年4月14日 Ⅲ限目.
卒業論文 最終発表 WWW情報検索 ナビゲーションシステムの設計と実装
センサノード 時刻同期と位置測定 浅川 和久 2008/11/16 センサノード 時刻同期と位置測定.
協調機械システム論 (04.11, 04,本郷) 協調機械システム論 東京大学 人工物工学研究センター 淺間 一.
ユビキタス環境における コミュニケーション・ツール選択支援機構の提案
変数のスコープの設計判断能力 を育成するプログラミング教育
高山建志 五十嵐健夫 テクスチャ合成の新たな応用と展開 k 情報処理 vol.53 No.6 June 2012 pp
メソッド名とその周辺の識別子の 相関ルールに基づくメソッド名変更支援手法
クリッカブル三次元地図の制作 情報工学科 服部 真和 (指導教員: 金子 教授) 研究背景 目的
3次元剛体運動の理論と シミュレーション技法
センサネットワークにおける グルーピング機構
プログラミング基礎a 第8回 プログラムの設計 アルゴリズムとデータ構造
長岡技科大オープンハウス 岐阜高専4年電子制御工学科 森 永二郎.
Bottom-UpとTop-Down アプローチの統合による 単眼画像からの人体3次元姿勢推定
組込みシステムの外部環境分析のためのUMLプロファイル
ステレオカメラを用いた人の行動解析.
只見町 インターネット・エコミュージアムの「キーワード」検索の改善
構造情報に基づく特徴量を用いた グラフマッチングによる物体識別 情報工学科 藤吉研究室  EP02086 永橋知行.
情報検索(6) メディア検索の仕組み 教員 岩村 雅一
Computer Graphics 第10回 レンダリング(4) マッピング
3次元構築アプリケーションにおける3D表示(2)
TIME SIGNAL: 集合知を利用した赤信号点灯時間の取得手法
27 共鳴管付ループ管型熱音響冷凍機の製作と ナイキストの安定判別に基づく発振条件の解析
階層的位置表現への 広域化ビュー適用における追尾性向上
オープンソース開発支援のための ソースコード及びメールの履歴対応表示システム
予測に用いる数学 2004/05/07 ide.
ソースコードの特徴量を用いた機械学習による メソッド抽出リファクタリング推薦手法
高汐 一紀 慶應義塾大学 新しい空間の創出:uPlatea 新しい道具の創出: u-Photo 思考する家具・部材: u-Texture
情報機器と情報社会のしくみ Web素材利用
状況に応じたユビキタスサービス起動 のための即興セレクタ
1.情報機器について知ろう(p.8-9) 第1章 第1節
GPSを使わないBebop Droneの 自動飛行
ユビコン環境構築のためのソフトウェアプラットフォーム ユビコン環境における化身話利用の可能性
ロボットの協調動作の研究: マップ作成とマップ情報を利用した行動計画
材質感提示のための振動を用いた力覚インタラクション環境の提案
AIを用いたドローンの 新たな姿勢制御方法に関する研究
Webコミュニティ概念を用いた Webマイニングについての研究 A study on Web Mining Based on Web Communities 清水 洋志.
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
プログラミング基礎a 第8回 プログラムの設計 アルゴリズムとデータ構造
北陸先端科学技術大学院大学 中田豊久,金井秀明,國藤進
実空間における関連本アウェアネス 支援システム
SIFTとGraph Cutsを用いた 物体認識及びセグメンテーション
抗力への振動付加による 高剛性とすべり感提示
Bottom-UpとTop-Down アプローチの組み合わせによる 単眼画像からの人体3次元姿勢推定
設計情報の再利用を目的とした UML図の自動推薦ツール
クローン検出ツールを用いた ソフトウェアシステムの類似度調査
開発作業の形式化に基づく プロセス評価 松下誠 大阪大学.
ユビキタスコンピューティングの ための ハンドオーバー機能付きRMIの実装
Y. Yamaji, T. Miyake, Y. Yoshiike, P. Ravindra S. De Silva ,M. Okada
Webページタイプによるクラスタ リングを用いた検索支援システム
ユビキタス社会を支える トランスメディア実現のための 情報記述に関する研究
オブジェクト指向メトリクスを用いた 開発支援に関する研究 --- VC++とMFCを用いた開発を対象として ---
ベイジアンネットワークと クラスタリング手法を用いたWeb障害検知システムの開発
グラフ-ベクトル変換を用いたグラフ構造表現による一般物体認識
総合政策学部3年 HORN 丸山大佑(marudai) 親:shunaokiさん
Presentation transcript:

物体間の関係記述に基づく 実世界中のイベント検索手法 ○柳沢 豊,服部 正嗣,平松 薫,岡留 剛 NTT コミュニケーション科学基礎研究所 日本電信電話株式会社

研究の背景 実世界のさまざまな事象をセンサで取得できるようになりつつある. 物体の位置,移動軌跡,形状,色,温度,等々 センサデータから,実世界で生じている現象を,検索・予測したいという要求が高まる. 物と物との関連性(相関性)の発見 イベント把握,行動予測

応用例 物体間の関係 実世界イベントの把握・予測 オフィス・工場での構内構造の最適化 商品間の相関性抽出(商品配置デザイン) ロボットの実世界認識の支援 実世界イベントの把握・予測 オフィス内・工場内での人間行動のサポート 異常なイベントの検出(防犯,防災,故障発見)

問題点 センサデータの意味づけ(記号化)は,人間の主観により個別に行われている. 課題 アプリケーションごとに異なるグラウンディング 論理(推論) 課題 主観に依存しない意味づけ手法を 新たに考える. 記号 センサデータ

要件 主観によらず一意に関係が記述できること 構造化が容易であること データの補完が容易であること データの管理/検索を効率化するため データの補完が容易であること センサデータは欠落しやすい → 周辺のデータから欠落した情報をある程度補完する必要がある. 各センサノードごとにローカルにデータが管理できること センサノードは頻繁に移動する → データをローカルに管理し,必要に応じて集約する.

アプローチ 物体の位相的な特徴に注目する. 利点 物体の接触関係,支持関係のみを用いる. 接触: 物体の周囲の一部が他と接する. (向きなし) 支持: 他方の重さを支えている. (向きあり) 利点 ▼ 物理的な関係を用いるため, 関係を一意に書ける. ▼ 支持関係による半順序関係 の定義が可能 ▼ 物理的関係から,不足する   情報をある程度補完可能 ▼ 局所関係の積み重ねによる 全体構造の把握が可能 接触 支持

モデル(1) 物体 a の記述 形状(物体の境界面の集合 Pa = {p1, … pn} )と 識別子 ua により記述 p1 = tri((0,0,0),(2,0,0),(1,1,1)) p1 = box((0,0,0),(1,0,1)) p2 = box((1,0,0),(1,1,1)) a = [ua, Pa] b = [ub, Pb] ua = “箱” ub = “ピラミッド” Pa = {p1, … p6} Pb = {p1, … p4}

モデル(2) a a b b s(a,b) t(a,b) 物体間の関係の記述 2物体間の「接触」と「支持」関係により記述する. 「支持」を優先する.(支持関係があれば,接触関係は必ず存在する) a a b b s(a,b) t(a,b) ・方向(順序関係)あり ・物体 a に対して,s(a, x) なる x が必ず存在する. .・方向(順序関係)無し

関係記述例 ある日の机の上… コード コード マウス コード 机 資料 電気スタンド パッド ディスプレイ ペン 資料 コード スタンド ノートPC PC 資料 机

不足データの補完 支持関係から,関係記述の不足を発見する ことができる. c b a ・ センサシステムで検出した関係: s(a,b), t(c,b) c b ・ c を支持する物体が存在しない! a ・ t(c,b) から s(c,b) であろうと推測

物体データの管理と検索 必要に応じて,局所的なデータを互いに交換し物体の検索を行う. c e b a センサ A センサ B d a, b, c に関する 構造データを管理 物体の存在するエリア b, d, e に関する 構造データを管理 「 a の上に乗っているもの全てを求めよ」 という問いに 答える場合には,A, B の両方のデータを使う.

物体データの管理と検索 主に支持関係による階層構造を利用 キーボード マウス 資料D コード ノートPC 資料A コード 資料C 机 ディスプレイ PC 資料B コード 資料A PC と同じ机に載っている ものを探す場合 資料Aの上に載っている ものすべてを探す場合 PC に接続されている機器 を探す場合 支持関係を順番に辿って 検索する. 階層構造を利用して検索 接触関係を利用して検索

イベントの記述 時間の経過情報を加えてイベントを記述する. グラフの変移=イベント 極めて「プリミティブ」な イベントを「一意に」記述 オントロジとの組み合わせで, より複雑なイベントを記述 手 ペン ペン 机 机 「ペンを取る」 手 本 本 本 本 現状では書けないイベント ▼ 物を並べる(位置関係) ▼ 文字を書く(テクスチャ) 机 机 「本を積む」

センシング方法(検討中) 電子タグによる形状の記憶 物体に電子タグを付与する. 形状と,タグの位置を測定して タグに書き込む. タグ間の距離・形状から,局地的な 接触・支持関係を推論する. +画像処理など別の手段も利用

実験(予定) センサルームを用いた実験を実施中 「接触」「支持」による関係記述能力の検証 センシング方法の検討 擬似オフィス(作業)部屋を作成 実際の人間(物体)の動きから,接触・支持で記述できる関係を抽出 センシング方法の検討 画像センサ,位置センサ,感圧センサ等,複数種のセンサを取り付けた実験室を作成 支持・接触関係を実際に検出

まとめ 接触・支持関係を用いた実世界中の物体間の 関係記述法を提案した. 今後の予定 実環境への適用:実験室内の物体間の関係記述,イベント記述,検索などの実験を行う. オントロジとの結合による推論能力の強化 センシングシステムの構築 関係の追加(相対的な位置関係など)