医薬品素材学 I 1 物理量と単位 2 気体の性質 1-1 物理量と単位 1-2 SI 誘導単位の成り立ち 1-3 エネルギーの単位 1 物理量と単位 1-1 物理量と単位 1-2 SI 誘導単位の成り立ち 1-3 エネルギーの単位 1-4 物質量 2 気体の性質 平成28年5月6日 2016/05/06
○ SI(Système International d’Unités)単位 ○ 組立単位 物理量と単位 ○ 物理量=数値×単位 ○ SI(Système International d’Unités)単位 ○ 組立単位 SI 組立単位 物理量 SI 単位の記号 SI 基本単位による表現 力 N kg m s-2 エネルギー 仕事、熱量 J kg m2 s-2 = N m (= Pa m3) 圧力、応力 Pa kg m-1 s-2 = N m-2 仕事率 W kg m2 s-1 = J s-1 電荷・電気量 C A s 電位差(電圧) V kg m2 s-3 A-1 = J C-1 電気容量 F kg-1 m-2 s4 A2 = C V-1 周波数 Hz s-1 SI 基本単位 物理量 SI 単位の記号 長 さ l m 質 量 m kg 時 間 t s 電 流 I A 熱力学温度 T K 物質量 n mol 高 度 IV cd 2016/05/06
1-2 SI 誘導単位の成り立ち 力と圧力と仕事 仕事 力 圧力 エネルギー 2016/05/06
1-2 SI 誘導単位の成り立ち その他の単位 容量 濃度 気圧 2016/05/06
1-3 エネルギーの単位 (a) 位置エネルギー potential energy 1-3 エネルギーの単位 (a) 位置エネルギー potential energy 重力場中の高さ h (m) に置かれた質量 m (kg) の物体がもつエネルギー 単位:kg m s-2 m = N∙m = J (b) 運動エネルギー kinetic energy 速度 v (m s-1) で移動している質量 m (kg) の物体がもつ エネルギー 単位:kg (m∙s-1)2 = kg∙m∙s-2 m = N∙m = J 2016/05/06
1-3 エネルギーの単位 (c) その他のエネルギー ○ 物体に力 F (N) を掛けながら距離 l (m) 移動させる仕事 1-3 エネルギーの単位 (c) その他のエネルギー ○ 物体に力 F (N) を掛けながら距離 l (m) 移動させる仕事 単位:N m = J ○圧力 p (Pa) に逆らって体積が DV (m3) 膨張する仕事 単位:Pa m3 = N∙m-2 m3 = N∙m = J ○界面張力 g (N m-1) に逆らって面積を DA (m2) 広げる仕事 単位:N∙m-1 m2 = N∙m = J ○電位差 DE (V) に逆らって q (C) の電荷を移動させる仕事 単位:C V = A∙s W∙A-1 = W∙s = J 2016/05/06
1-4 物質量 NA = 6.022 1023 mol-1 N = n (mol) × NA (mol-1) 1-4 物質量 ○アボガドロ定数 Avogadro constant (NA) NA = 6.022 1023 mol-1 *単位があることに注意 粒子数 = 物質量×アボガドロ定数 (N) N = n (mol) × NA (mol-1) ○モル質量 molar mass (M ) 1 mol 当たりの質量(g mol-1) ○ 試料の質量 (m) m (g) = n (mol) M (g mol-1) ○ 物質量 n (mol) = 2016/05/
2 気体の性質 2-1 気体の状態方程式 2-2 混合気体 2-3 気体分子運動論 平成28年5月6日 2016/05/06
2-1 気体の状態方程式 理想気体の状態方程式 ファンデルワールスの状態方程式 2016/05/06
2-2 混合気体 ○ ドルトンの法則 「気体の混合物の圧力は、個々の気体成分を単独で同じ容器に同じ温度で入れた時の圧力(分圧)の和である。」 2-2 混合気体 ○ ドルトンの法則 「気体の混合物の圧力は、個々の気体成分を単独で同じ容器に同じ温度で入れた時の圧力(分圧)の和である。」 (V, T 一定) ○ モル分率 2016/05/06
2-2 混合気体 ○ ドルトンの法則 ○ モル分率 ○ 理想気体 j の分圧 pj 分圧 =モル分率×全圧 (V, T 一定) 2-2 混合気体 ○ ドルトンの法則 (V, T 一定) ○ モル分率 ○ 理想気体 j の分圧 pj 全圧 p とモル分率 xj を用いて表すことができる。 分圧 =モル分率×全圧 2016/05/06
2-3 気体分子運動論 ○ 根平均二乗速度 v ○ 気体分子 1 mol のもつ並進運動エネルギー M : モル質量 2-3 気体分子運動論 ○ 根平均二乗速度 v 気体は絶えず乱雑な運動をしている粒子の集まりである。 M : モル質量 ○ 気体分子 1 mol のもつ並進運動エネルギー 気体の並進運動エネルギーは温度だけに依存し、モル質量には依存しない。 2016/05/06
計算のポイント 計算順序 ○ 単位を含めて計算式を立てる ○ 接頭語の変換 ○ 有効数字 ① 調製する酢酸溶液の物質量 n 物理量と単位 問1 100 mmol∙L-1 の酢酸溶液を 100 mL 調製したい。酢酸(モル質量 60.1 g∙mol-1) を何 mL 分取すればよいか。ただし、酢酸の密度は 1.05 g∙cm-3 とする。 計算のポイント ○ 単位を含めて計算式を立てる ○ 接頭語の変換 ○ 有効数字 計算順序 ① 調製する酢酸溶液の物質量 n ② 分取すべき酢酸の質量 m ③ 分取する酢酸の容量 V 2016/05/06
物理量と単位 問1 100 mmol∙L-1 の酢酸溶液を 100 mL 調製したい。酢酸(モル質量 60.1 g∙mol-1) を何 mL 分取すればよいか。酢酸の密度は 1.05 g∙cm-3 とする。 ① 調製する酢酸溶液の物質量 n ② 分取すべき酢酸の質量 m ③ 密度から分取する酢酸の容量 V 2016/05/06
計算のポイント ○ 単位を含めて計算式に数値を代入する。 物理量と単位 問2 リポ化製剤であるアルプロスタジル注射液は、ダイズ油を分散体の主成分とする油滴分散体である。この分散体を球体とした時、分散体の内圧は、外圧に対してどの程度高いか。 ただし、以下に示すヤング・ラプラスの式が成り立つとし、油滴分散体の直径は、約 120 nm、分散体の主成分である大豆油の注射液界面に対する界面ギブズエネルギーは、 25 mJ/m2 とする。ただし、分散体中の界面活性剤の影響はないものとする。 計算のポイント 1 8.3×104 Pa 2 1.7×105 Pa 3 4.2×105 Pa 4 8.3×105 Pa 5 1.7×106 Pa ○ 単位を含めて計算式に数値を代入する。 第100回 薬国試 問 199 2016/05/06
物理量と単位 問2 ヤング・ラプラスの式が成り立つとし、油滴分散体の直径は、約 120 nm、分散体の主成分である大豆油の注射液界面に対する界面ギブズエネルギーは、 25 mJ/m2 とする。 2016/05/06
2 気体の性質 2-1 気体の状態方程式 2-2 混合気体 2-3 気体分子運動論 平成28年5月13日 2016/05/06
理想気体の状態方程式 p : Pa , V : m3 , T : K 気体 問3 N2 ガス(モル質量 28.0 g∙mol-1 ) 75.5 g を 25℃で 8.50×10-2 m3 の容器に充填した。このときの圧力(Pa)を求めよ。 理想気体の状態方程式 p : Pa , V : m3 , T : K 2016/05/06
気体 問4 O2 ガス(モル質量 32.0 g∙mol-1 ) 24.5 g を 25℃で 8.50×10-2 m3 の容器に充填した。このときの圧力(Pa)を求めよ。 問5 N2 ガス 75.5 g と O2 ガス 24.5 g を混合し、 25℃で 8.50×10-2 m3 の容器に充填した。このときの圧力(Pa)を求めよ。 ドルトンの法則 2016/05/06
1分子の並進運動エネルギー 気体 問6 気体分子の平均速度は、根平均2乗速度として次式で表される。 M : モル質量 問6 気体分子の平均速度は、根平均2乗速度として次式で表される。 M : モル質量 m : 1分子の質量 g 25℃における酸素(モル質量 32.0 g∙mol-1)1分子の並進運動エネルギー(e )を有効数字3桁で求めよ。 1分子の並進運動エネルギー 気体分子の並進運動エネルギーは温度にのみ依存する 2016/05/06
1 mol 当たりの並進運動エネルギー EK は、1 分子当たりの 並進運動エネルギー eK にアボガドロ定数 NA を掛ければよい 気体 問7 25℃における酸素(モル質量 32.0 g∙mol-1) 1 mol の並進運動エネルギー(E )を有効数字3桁で求めよ。 1 mol 当たりの並進運動エネルギー EK は、1 分子当たりの 並進運動エネルギー eK にアボガドロ定数 NA を掛ければよい 気体分子の並進運動エネルギーは温度にのみ依存する 2016/05/06
② 水上置換をしているので、酸素ガスは水に 接しており、水の蒸気圧の影響を受ける。 ③ 酸素の分圧から酸素の物質量を求める。 気体 問8 21℃、102.3 kPa の下で酸素を水上置換で補修した。理想気体として考えると、その気体の体積が 1.6 L であったとすると、酸素の物質量(n)はいくらか。 21℃における水の飽和蒸気圧は、2.5 kPa である。 ① 一定温度では蒸気圧は一定である。 ② 水上置換をしているので、酸素ガスは水に 接しており、水の蒸気圧の影響を受ける。 ③ 酸素の分圧から酸素の物質量を求める。 全圧から水の蒸気圧を差し引く。 ④ ⑤ 単位をそろえる。 2016/05/06
気体 問8 21℃、102.3 kPa の下で酸素を水上置換で補修した。理想気体として考えると、その気体の体積が 1.6 L であったとすると、酸素の物質量(n)はいくらか。 21℃における水の飽和蒸気圧は、2.5 kPa である。 酸素の分圧 全圧から水の蒸気圧を差し引く。 2016/05/06