政府債務の償還と財源の通貨発行権 (借換債と交付債)について

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政府債務の償還と財源の通貨発行権 (借換債と交付債)について 平成27年11月28日 桂 木 健 次

第 1 章 政府歳入財源と歳出の相応

故に歳入とは、歳出に充てうるフローで、その財源は ①租税 ②公債(国債・地方債) ③通貨発行益 第1章 政府歳入財源と歳出の相応 本稿の目的(1) 歳入(Government revenue)という会計年度における公共部門(中央政府・地方政府・地方自治体等)の収入について、近代公会計制度は会計年度独立の原則を基本原則とし一会計年度内の収入を歳入と呼んでいる。 故に歳入とは、歳出に充てうるフローで、その財源は ①租税 ②公債(国債・地方債) ③通貨発行益 が主要で、ほかに使用料・手数料や交付金・負担金などがある。

財政の機能 本稿の目的(2) ①資源配分機能 市場を通じて過少供給になりがちなインフラストラクチャーや学校教育、国防など公共財を必要量の供給 第1章 政府歳入財源と歳出の相応 本稿の目的(2) 財政の機能 ①資源配分機能 市場を通じて過少供給になりがちなインフラストラクチャーや学校教育、国防など公共財を必要量の供給 ②所得再分配機能 累進課税や社会保障・雇用保険制度による所得格差の緩和 ③需要創出効果 乗数効果による有効需要の創出(マクロ経済学より)

「財政の機能を決定する歳出と照応する財源のあり方」 第1章 政府歳入財源と歳出の相応 本稿の目的(3) 本稿では、 「財政の機能を決定する歳出と照応する財源のあり方」 を検討する。 特に、歳入の①租税、②公債(国債・地方債)、③通貨発行益ほかが国の一般会計ならびに特別会計にどう相応するかを整理する。

①租税(税収)+②公債(うち国債) +③通貨発行益(うち日銀からの国庫納付金*) *日銀の当期剰余金から準備金・配当金を控除後の純益: 第1章 政府歳入財源と歳出の相応 一般会計と特別会計の交差 一般会計の歳入 ①租税(税収)+②公債(うち国債) +③通貨発行益(うち日銀からの国庫納付金*) *日銀の当期剰余金から準備金・配当金を控除後の純益: 通貨発行益のうち、日銀保有公債の減債(割引)額および発生利差益は特別会計国債整理基金の歳入科目「公債費」として繰入れられる。また、政府が発行する交付国債については、その償還を日銀が買上(小切手)することで通貨発行益から財源手当てする。 一般会計と各種の特別会計は相互繰入・繰出で交差されている。国債整理基金(特別会計)では、歳入科目の「ほか会計より受入」のうちの「一般会計より」が、一般会計歳出の「国債費」が当てられている。

第 2 章 減債(割引)による 通貨発行益財源の創出 第 2 章 減債(割引)による 通貨発行益財源の創出

第2章 減債(割引)による通貨発行益財源の創出 その仕組み これは、中央銀行である日銀が政府の行う財政機能である③需要創出効果に対応する金融政策(通貨発行)として行う「買いオペ」などで保有する普通(長期)国債のうちから、財政法第5条但書によって毎年度予算の国会議決に際してかけられる「予算総則」の断わりの限度内で、それらを現金に近い低利の政府証券である「借換え債」に乗換することで得られる。 日銀仕訳として、次のように表すことができる        借方                               借換債    貸方 長期債            利差益* *借換え債の償還は年度内でなされ、(長期債-借換債)の利差は、2015.9.17現在でいうと10年債 0.365 に比べて TDB(1Y)は ‐0.0330 になっている。

第2章 減債(割引)による通貨発行益財源の創出 通貨発行益の使途 なお、利差益は会計処理的に翌年度の借換債繰入とされている。この減債は何も国債償還のためだけに使われるのでなく、平成27年度ではほかの使途のために11.1兆円が予算総則で議決されている。 財務省および財政学者の通説的説明では、国債など政府債務は将来世代(将来のGDPと対比させて)への付回しだとされているが、日本国の限り、「減債制度」として発行債の60年償還ルールというのがあって、10年刻みにその6回分割で日銀のほうで償還期に「割引く」(減債)することで、特別会計において帳消し(会計的にwrite-off という)されている。[1] 減債制度の仕組み https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/hakkou13.pdf

出典:財務省 https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/hakkou13.pdf

第 3 章 交付債発行による 通貨発行益財源

様々な交付債発行 借方 交付債(買上即償還) 貸方 銀行券発行 買現先勘定 交付債 (若しくは▲売現先) 第3章 交付債発行による通貨発行益財源 様々な交付債発行 外務省外郭のODA特別会計の恒常財源、海外機関への出資・貸付財源、90年代の金融再生資金、先の大戦戦没者等の遺族に対する特別弔慰給付金、引揚者補償・生活支援給付金、東日本震災原発被災賠償に関連して、様々な特別給付金が国庫債券として交付されている。受給者は支払期日に指定機関において賦札に押印し、これと引換えに償還金を受け取るが、その証書を日銀は一切買上(通貨発行)することで政府の一時的債務は帳消しされる。その件も年度予算総則に、財政法5条但書による断わりである。 日銀仕訳として、次のように表すことができる   借方 交付債(買上即償還)  貸方 銀行券発行       買現先勘定            交付債       (若しくは▲売現先)

第 4 章 国  債  費

「国債の元利払いに充てられる費用(国債費)と社会保障関係費と地方交付税交付金等で歳出全体の 7割以上を占めて」 第4章 国債費 国債費 政府のよく使う言葉に 「国債の元利払いに充てられる費用(国債費)と社会保障関係費と地方交付税交付金等で歳出全体の 7割以上を占めて」 という言い回しがなされている。一見して、たとえば平成27年度予算(歳出)の「国債費」は23兆円であるが、これは前に触れたように繰り入れられる特別会計(国債整理)の側では、歳出にある本年度の「要償還額」の国債整理支出204兆円(利払含む)のごく一部しか手当てされない。[2]

表-平成27年度国債整理基金特別会計 (単位:百万円) ※百万円未満切り捨てのため、合計が一致しないことがある。

第4章 国債費 要償還額の82%は「通貨発行益」 上表が語るように、当年度では要償還公債に地方債分が相当占めていて、これへの手当てとして特別会計「交付税及び譲与税配付金特別会計等」からの繰入(受入れ)がなされているが、この説明は別に譲るとして、うち国債のみ140兆円の要償還額の82%は日銀からまわされた「通貨発行益」によってまかなわれている。[3]  [3]この仕組みができたのは、国債整理基金特別会計法としてすでに明治時代から改定施行されている。 http://law.e-gov.go.jp/haishi/M39HO006.html

補足(1) 第4章 国債費 第二条 国債整理基金ニ充ツヘキ資金ハ毎年度一般会計又ハ特別会計ヨリ之ヲ国債整理基金特別会計ニ繰入ルヘシ 第4章 国債費 補足(1)  第二条  国債整理基金ニ充ツヘキ資金ハ毎年度一般会計又ハ特別会計ヨリ之ヲ国債整理基金特別会計ニ繰入ルヘシ ○2前項繰入額ノ中国債ノ元金償還ニ充ツヘキ金額ハ前年度首ニ於ケル国債総額ノ百分ノ一・六ニ相当スル金額トス ○3前項ノ国債総額ノ計算ニ際シ割引ノ方法ヲ以テ発行シタル国債ニ付テハ発行価格ヲ以テ額面金額ト看做ス ○4前二項ノ規定ノ適用ニ付テハ財務省証券其ノ他ノ融通証券、借入金及一時借入金並ニ割賦ノ方法ヲ以テ償還スル交付国債ハ之ヲ国債ト看做サス  第二条ノ二  国債ノ元金償還ニ充ツル為前条又ハ他ノ法律ニ依ル繰入額ノ外割引ノ方法ヲ以テ発行シタル国債ノ前年度首ニ於ケル未償還分ノ発行価格差減額ヲ発行ノ日ヨリ償還ノ日迄ノ年数ヲ以テ除シタル額ニ相当スル金額ヲ毎年度一般会計又ハ特別会計ヨリ国債整理基金特別会計ニ繰入ルヘシ ○2前条第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス  第二条ノ三  国債ノ元金償還ニ支障ナカラシムル為前二条又ハ他ノ法律ニ依ル繰入額ノ外必要ニ応ジ予算ヲ以テ定ムル金額ヲ一般会計又ハ特別会計ヨリ国債整理基金特別会計ニ繰入ルベシ

補足(2) 第4章 国債費 第三条 国債借換ニ依ル募集金其ノ他ノ収入金ハ直接ニ之ヲ国債整理基金特別会計ニ編入スヘシ 第四条 第4章 国債費 補足(2)  第三条  国債借換ニ依ル募集金其ノ他ノ収入金ハ直接ニ之ヲ国債整理基金特別会計ニ編入スヘシ    第四条  国債整理基金ハ国債ヲ以テ保有シ又ハ財政融資資金ニ預託シ之ヲ運用スルコトヲ得 ○2前項ノ運用ハ日本銀行ヲシテ之ヲ取扱ハシム  第五条   政府ハ各年度ニ於ケル国債ノ整理又ハ償還ノ為必要ナル額ヲ限度トシ借換国債(当該年度内ニ償還スベキモノヲ含ム)ヲ起スコトヲ得 ○2前項ニ規定スル当該年度内ニ償還スベキ借換国債ノ募集金ハ国債整理基金特別会計ノ歳入外トシテ之ヲ国債整理基金ニ編入スベシ ○3国債整理基金ハ第一項ニ規定スル当該年度内ニ償還スベキ借換国債ノ償還ノ為国債整理基金特別会計ノ歳出外トシテ使用スルコトヲ得

第 5 章 財源の歳出の整合性

よく解説される次の定義の検討 (1)基礎的財政収支対象経費 (2)政府債務償還費 (3)外交・海外支援(借款・出資)費 第5章 財源と歳出の整合性 歳入の①租税、②公債(国債・地方債)、③通貨発行益ほかが国の歳出予算(一般会計・特別会計)にどう相応するか、そしてすべきであるかの論点について検討する。  よく解説される次の定義の検討 「一般会計歳出から国債費を除いたものを基礎的財政収支対象経費といい、地方交付税交付金等、社会保障関係費、公共事業関係費、文教及び科学振興費等」それが一般総額の約76%を占めるとかいうのは一般会計の枠だけで言っているわけで、政府予算歳出は、一般会計・特別会計にまたがり、さらに以下にまたがる。  (1)基礎的財政収支対象経費  (2)政府債務償還費  (3)外交・海外支援(借款・出資)費

現在の相応 ①租税 (1)基礎的財政収支対象経費 ②公債(国債・地方債) (2)政府債務償還費 ③通貨発行益 第5章 財源と歳出の整合性 歳入の①租税、②公債(国債・地方債)、③通貨発行益ほかが国の歳出予算(一般会計・特別会計)にどう相応するか、そしてすべきであるかの論点について検討する。  現在の相応 歳入予算の租税 歳入予算の租税 (1)基礎的財政収支対象経費 (2)政府債務償還費 (3)外交・海外支援(借款・出資)費 ①租税 ②公債(国債・地方債) ③通貨発行益 国債・地方債 歳入予算の通貨発行益の減債原資 通貨発行益の日銀買上 付け加えると、(1)基礎的財政に含まれる時限的もしくは社会応急的な給付金のたぐいでも、③通貨発行益の交付債発行でまかなっている部分が多い。

付け加えると、(1)基礎的財政に含まれる時限的もしくは社会応急的な給付金のたぐいでも、③通貨発行益の交付債発行でまかなっている部分が多い。 第5章 財源と歳出の整合性 歳入の①租税、②公債(国債・地方債)、③通貨発行益ほかが国の歳出予算(一般会計・特別会計)にどう相応するか、そしてすべきであるかの論点について検討する。  付け加えると、(1)基礎的財政に含まれる時限的もしくは社会応急的な給付金のたぐいでも、③通貨発行益の交付債発行でまかなっている部分が多い。  民主党が第45回衆議院議員総選挙でマニフェストとして提示、根拠法となる「平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律」が2011年(平成23年)3月31日までの時限立法として施行され月額1万3千円の支給が開始された政権掌握時の「子供手当て」。財源として、子ども手当が満額支給される2011年度以降に所得税の扶養控除と配偶者控除を廃止する方針として、2010年度の暫定措置として子ども手当の一部を児童手当とし、現行の児童手当の費用を出している地方自治体などに拠出させるとしたり、前年度自然増税などから補正を組むとしたが、これは民主党の政策無知から来る混乱。先の大戦戦没者等の遺族に対する特別弔慰給付金、引揚者補償・生活支援給付金などは、凡て交付債の発行を以って施行されている。  戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法(昭和四十年四月一日から適用、最終改正:平成27年3月31日)の第5条に「死亡した者一人につき二十五万円とし、五年以内に償還すべき記名国債をもつて交付する」と記されているが、これは日銀買上をもって償還とされるもので、子供手当て財源をめぐる紛糾の時にも私ら声に耳を傾けることなく、内閣府出向の財務官の言うがままに振り回されている。

第 6 章 通貨発行益の財源枠

日銀貸方勘定 発行銀行券 91.9兆円 超過準備金 21.1兆円(18日現在金融調節記載) 売現先勘定 11.2兆円 計 124.2兆円 第6章 通貨発行益の財源枠 日銀貸方勘定 拙稿「東日本大震災並びに福島原発被災賠償の財源をめぐる諸問題」(『えんとろぴい』第72号2012.3)で触れたように、中央銀行BSにおける貸方「発行銀行券」勘定は、政府から「公貨」銀行券発行を委嘱されていることで発生する発行益(シニョレジ)の現在価値を示しており、それに中銀が民銀からその預金通貨発行権の担保として預かる準備預金を超える当座預金、並びに売現先勘定として中銀が市中の流通通貨環収とか政府預金との決済などで銀行券を裁断破棄する以外の金庫に「入」として仮置きしておく営業報告書(BS)の相対勘定も含まれる。       2015(平成27)年度 発行益現在額は以下の通り    発行銀行券  91.9兆円    超過準備金  21.1兆円(18日現在金融調節記載)    売現先勘定  11.2兆円      計 124.2兆円 (同年9月20日営業報告書より)

第6章 通貨発行益の財源枠 予算総則(1) それを財源としての執行については、一般会計予算総則でその上限を、普通債や建設債ほかを合わせて第6条で 「(公債発行の限度額) 第 6 条 「財政法」第 4 条第 1 項ただし書の規定[4]により平成 27 年度において公債として発行することができる限度額は 6.0兆円とする。 2 「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」第 2 条第 1 項の規定によっては30.8兆円とする。」 と断られているほか、「(国庫債務負担行為) 第 4 条 「財政法」第 15 条第 1 項の規定[6]により平成 27 年度において国が債務を負担する行為は、「丁号国庫債務負担行為」に掲げるとおりとする。」としている。 [4]第四条  国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。 [5]十五条  法律に基くもの又は歳出予算の金額(第四十三条の三に規定する承認があつた金額を含む。)若しくは継続費の総額の範囲内におけるものの外、国が債務を負担する行為をなすには、予め予算を以て、国会の議決を経なければならない。 ○2  前項に規定するものの外、災害復旧その他緊急の必要がある場合においては、国は毎会計年度、国会の議決を経た金額の範囲内において、債務を負担する行為をなすことができる。

予算総則(2) 第6章 通貨発行益の財源枠 ほかに、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律 第2条[6] 第6章 通貨発行益の財源枠 予算総則(2) ほかに、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律 第2条[6] [6]第2条 政府は、財政法 (昭和二十二年法律第三十四号)第四条第一項 ただし書の規定及び第四条第一項 の規定により発行する公債のほか、平成二十四年度から平成二十七年度までの間の各年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、当該各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。 要するに年度の政府予算(一般会計)に計上の発行国債(公債金)以外に、 年度の国債発行総額は大きく上回る。その内訳は、以下の通り。  ・一般会計歳入公債発行         ・特別会計国債整理基金歳入の公債金*     公債金(借換債)           復興借換公債金      ほかに小切手のような日銀買上償還による交付債           ・財投債[7]               [7]は財政法5条但書によって国会議決の予算総則記載のもの。

財政歳出入の照応(1) (再掲) よく解説される次の定義の検討 (1)基礎的財政収支対象経費 (2)政府債務償還費 第5章 財源と歳出の整合性 財政歳出入の照応(1) (再掲) よく解説される次の定義の検討 「一般会計歳出から国債費を除いたものを基礎的財政収支対象経費といい、地方交付税交付金等、社会保障関係費、公共事業関係費、文教及び科学振興費等」それが一般総額の約76%を占めるとかいうのは一般会計の枠だけで言っているわけで、政府予算歳出は、一般会計・特別会計にまたがり、さらに以下にまたがる。  (1)基礎的財政収支対象経費  (2)政府債務償還費  (3)外交・海外支援(借款・出資)費

財政歳出入の照応(2) 第5章 財源と歳出の整合性 第5章 財源と歳出の整合性 財政歳出入の照応(2) 政府債務が積み上がるというのは、要償還額(「償還期が来た市場保有債」+「日銀引受借換乗換額」)マイナス「財源組入発行権(シニョレッジ)財源」が、年度発行公債額より小さいからである。その加減で調節できる。つまり、国債整理基金の資金繰り計画表の改訂を要する。 http://www.mof.go.jp/budget/topics/outlook/sy2202b.htm

参考資料(財務省) https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia251129/02.pdf

参考資料(財務省) https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia251129/02.pdf

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