県立医大と住民のコミュニケーションと課題 放射線と甲状腺がんに関する 国際シンポジウム 事故後2年目から現在に至る 県立医大と住民のコミュニケーションと課題 2014年2月23日(日) 品川プリンスホテル 公立大学法人 福島県立医科大学 ふくしま国際医療科学センター 放射線医学県民健康管理センター 広報コミュニケーション部門長 特命教授 広報戦略室 副室長 松井史郎 © Shirou Matsui Fukushima Medical University
1、現在はどこの時点? 現在はこのあたり? 平時 災害等、リスクを想定した コミュニケーション もし…だったら 万一…が起きたら あらかじめ 災害時、直後 命や財産を守るための コミュニケーション 復興、復旧過程 心身、財産の回復のための コミュニケーション + 「次」を想定した 次に同じ失敗をしないために あらかじめ クライシスコミュニケーションの 時期 リスクコミュニケーションの 時期 リスクコミュニケーションの 時期 現在はこのあたり? © Shirou Matsui Fukushima Medical University
専門家と住民のコミュニケーションの土台 ・信頼関係をベースにした双方向の対話 ・相互理解しようとする姿勢 が、 2、スムースにリスクコミュニケーションに移行できない背景 専門家と住民のコミュニケーションの土台 ・信頼関係をベースにした双方向の対話 ・相互理解しようとする姿勢 が、 クライシスコミュニケーションの段階で 崩壊していた © Shirou Matsui Fukushima Medical University
4月19日年間20ミリシーベルトに相当)の空間線量率を校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安とし… 2、スムースにリスクコミュニケーションに移行できない背景 10日後 4月19日年間20ミリシーベルトに相当)の空間線量率を校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安とし… 8日後 計画的避難地域=原発から半径20キロ以遠で、居住し続けた場合に年間の積算線量が20mSvに達する恐れがある地域 3日後 小学校の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます 7日後 © Shirou Matsui Fukushima Medical University
国も専門家も「信頼」を失っていく 2、福島での住民とのコミュニケーション環境 © Shirou Matsui Fukushima Medical University
より危険の側に立った意見を「正しい」と思う 自分の懸念に合う情報ばかりを探し出し、納得する 2、スムースにリスクコミュニケーションに移行できない背景 結果として… 「何を信じていいのか分からない」 「誰を信じていいのか分からない」 「専門家に騙された」 「要するに大丈夫なのか」 「影響を軽く見ているのではないか」 「何かを隠しているのではないか」 ↓ 疑心暗鬼 より危険の側に立った意見を「正しい」と思う 自分の懸念に合う情報ばかりを探し出し、納得する © Shirou Matsui Fukushima Medical University
福島では 2つのタイプのコミュニケーションを 使い分ける必要がある 3、約2年間、コミュニケーション実務に携わって分かってきたこと © Shirou Matsui Fukushima Medical University
3、約2年間、コミュニケーション実務に携わって分かってきたこと 高い 発信する情報や発信元への信頼性 低い マスを対象としたコミュニケーション 必要とされる (効果的な?) 割合 個人を対象としたコミュニケーション 科学的事実 確率で示されたリスク 指標等の提示 コミュニケーション コンテンツ 相手ごとの 主観、価値観への 共感 科学者 専門家 相手ごとに異なる 身近なオピニオンリーダー コミュニケーター © Shirou Matsui Fukushima Medical University
安全 危険 リスクとして確率で示す ・客観的データ ・指標 ・科学的事実 等を 利用して説明 3、約2年間、コミュニケーション実務に携わって分かってきたこと 安全 不安 不安 安心 安心 リスクとして確率で示す ・客観的データ ・指標 ・科学的事実 等を 利用して説明 不安 安心 不安 安心 安心 不安 不安 安心 安心 不安 危険 © Shirou Matsui Fukushima Medical University
3、約2年間、コミュニケーション実務に携わって分かってきたこと Life has taught us that love does not consist in gazing at each other, but in looking outward together in the same direction. © Shirou Matsui Fukushima Medical University
■甲状腺検査説明会の学校での保護者向け実施 4、そこで、昨年取り組んだこと ■甲状腺検査説明会の学校での保護者向け実施 ■よろず健康相談会 ■13市町村(※)との連携強化 東京電力福島第一原子力発電所 ※原発事故時、避難区域等に指定された13市町村 © Shirou Matsui Fukushima Medical University
3、甲状腺検査説明会の学校での保護者向け開催 保護者に限定し、マスとはいえ小グループでの説明会を開催 4、そこで、昨年取り組んだこと 3、甲状腺検査説明会の学校での保護者向け開催 保護者に限定し、マスとはいえ小グループでの説明会を開催 2013年6月から12月末までに、77校 3735名の保護者の方に説明 ほぼ100%近くの方が「理解できた」「まぁまぁ理解できた」と回答 「安心しました」のコメントにグッとくることも… © Shirou Matsui Fukushima Medical University
甲状腺検査説明会プログラム 標準的なケース 90分(講演:60分 質疑応答:30分) 1、甲状腺と放射線 2、甲状腺検査の目的 4、そこで、昨年取り組んだこと 甲状腺検査説明会プログラム 標準的なケース 90分(講演:60分 質疑応答:30分) 1、甲状腺と放射線 2、甲状腺検査の目的 3、甲状腺検査の概要と判定基準 4、のう胞とは?結節とは? 5、検査の進捗状況とこれまでの結果集計 © Shirou Matsui Fukushima Medical University
よろず健康相談会の強化 13市町村との連携強化 4、そこで、昨年取り組んだこと 双葉8町村を中心に1:1の個別健康相談会を実施。 2013年5月から12月末までに136回開催 1,523名の方の健康相談に対応。 13市町村との連携強化 県民健康管理調査の結果をできるだけ 早く地元にフィードバック。震災前の健診データとの比較、解析等を通して、住民の健康維持管理、増進に役立ててもらう。 県民健康管理調査事業の理解促進にも効果。 © Shirou Matsui Fukushima Medical University
コミュニケーター兼コーディネーターの育成 5、今後の課題 高い 発信する情報や発信元への信頼性 低い ここに位置づけられる コミュニケーター兼コーディネーターの育成 専門家だけでリスクコミュニケーションを 実践することには限界があるのでは? マスを対象としたコミュニケーション 必要とされる (効果的な?) 割合 個人を対象としたコミュニケーション 科学的事実 確率で示されたリスク 指標等の提示 コミュニケーション コンテンツ 相手ごとの 主観、価値観への 共感 科学者 専門家 相手ごとに異なる 身近なオピニオンリーダー コミュニケーター © Shirou Matsui Fukushima Medical University
「中小規模のコミュニティで、丁寧にわかりやすく情報発信」できる担い手とは? 5、今後の課題 「中小規模のコミュニティで、丁寧にわかりやすく情報発信」できる担い手とは? 1、相手に信頼される人 「難しい話だけど、この人が言うなら大丈夫だろう…」 2、対象となるテーマの専門知識を学んでいる人 3、頻繁に一般の人と会う、会っている人 小規模なコミュニティをすぐに立ち上げることができる 軟骨みたいな人! 伝達 専門家 一般人 相談 © Shirou Matsui Fukushima Medical University
4、町内会の役員さん(誰でも、というわけでは…) 5、…? 5、今後の課題 誰が「軟骨みたいな人」になれるか? 1、校医さん、街の開業医さん 2、地域の保健師さん 3、学校の先生(理科の先生、養護の先生) 4、町内会の役員さん(誰でも、というわけでは…) 5、…? こういう方々と、あらかじめ想定されるリスクについて、 そしてそのリスクへの理解促進のための協議をする体制を シミュレーションしてみたいと思います © Shirou Matsui Fukushima Medical University
住民のとの信頼関係の 再構築ができてくれば 徐々にこちらの方向へ 5、今後の課題 高い 発信する情報や発信元への信頼性 低い まだこのあたり 必要とされる (効果的な?) 割合 住民のとの信頼関係の 再構築ができてくれば 徐々にこちらの方向へ まだこのあたり © Shirou Matsui Fukushima Medical University
ご清聴、ありがとうございました © Shirou Matsui Fukushima Medical University