疾患治療の概要
急性疾患と慢性疾患 急性肝炎とは、肝細胞に炎症が起き、一時的に症状が悪化するものの、数ヵ月以内に治癒する肝臓病のこと。HBV感染後、数ヵ月の潜伏期間を経て、“倦怠感”、“食欲不振”、“吐き気”などの症状があらわれる。その後、皮膚や眼球の白い部分が黄色くなる“黄疸”があらわれることもある。黄疸は自然に消え、肝機能も正常に戻る。 持続感染は、感染したHBVが体から排除されず、6ヵ月以上にわたって肝臓の中にすみつくことで、一部の人は慢性肝炎を発症する。慢性肝炎とは、通常6ヵ月以上肝炎が続いている状態を指す。
病気の成立と治療法 X 対症療法 原因 疾患 発熱 疼痛 体重減少 吐き気 吐血 X 原因療法
輸血と血液型 血液型にはABO式、Rh式以外に多くの型がある ABO式血液型 血液に抗血清を添加して凝集を見る試験法 表現型 赤血球の抗原 血清中の抗体 頻度 A A, H 抗B 40% B B, H 抗A 20% O H 抗A、抗B 30% AB A, B, H なし 10% H抗原はAB抗原の前段階の抗原であり、すべての人が持つ. 抗A血清 抗B血清 血液に抗血清を添加して凝集を見る試験法
輸血の副作用 GVHDの漫画 ①溶血性副作用 ABO不適合輸血(急性) 悪寒戦慄、嘔吐、前胸部痛 DICや腎不全 Rh不適合輸血(遅発性) 悪寒戦慄、嘔吐、前胸部痛 DICや腎不全 Rh不適合輸血(遅発性) ②非溶血性副作用 発疹、蕁麻疹 アナフィラキシーショック 輸血後急性肺障害 輸血後GVHD
血液浄化法 血液透析 腹膜透析
癌手術療法の特徴 良性腫瘍の手術では、腫瘍だけをくりぬくように切除して正常組織の切除を最小限にする。 癌の手術の場合には、癌の発生した臓器(例えば胃など)とともに浸潤や転移しているかもしれない周囲脂肪組織やリンパ節を安全域として切除する。胃癌を例にとると、リンパ節を廓清するために、脾動脈、脾臓および周囲脂肪組織を胃とともに切除する。 手術そのものの負担が大きく、術後の臓器欠損による負担も大きくなる。 脾動脈 脾臓
鏡視下手術 腹腔鏡(ふくくうきょう)下切除術は手術のダメージを最小限にし、開腹手術に劣らない成績を期待した手術法。腹壁に数ヵ所小さな穴を開けて、腹腔鏡と電気メスなどを入れてモニター画像を見ながらがんを切除する。開腹手術に比べて、傷が小さく出血も少ないうえ、周りの他の臓器が外部の空気にふれなくてすむというメリットがある。しかし、遠隔操作であるため、腹腔内での操作範囲に限界があること、臓器、血管の損傷がおこりうること、また、その損傷に気づきにくいことなどの技術の難しさがある。
臓器移植 臓器移植と免疫 移植された臓器を非自己として拒絶する機構
食事療法 病態別分類 肝臓食(急性肝炎食など) 一般食 糖尿病食 肥満食 食事療法=経口栄養法 高血圧・心臓食 特別食 腎臓食(腎炎食など) 肝臓食(急性肝炎食など) 糖尿病食 肥満食 高血圧・心臓食 腎臓食(腎炎食など) 胃・12指腸潰瘍食 フェニルケトン尿症食 成分別分類 エネルギーコントロール食 低エネルギー食 高エネルギー食 蛋白コントロール食 低たんぱく食 高たんぱく食 急性肝炎食 急性肝炎の極期には食欲がなく、またこの状態での蛋白摂取は肝臓に負担を与えるため低蛋白食とし、1日60g以下の蛋白制限をおこなう。糖類を主体にカロリー補給し、1日1800kcal前後とする。
経腸栄養法 まずバルーンを食道内で膨らませ、普段は細くなっている食道を広げる。次いで外側から首を押すと、近くの臓器が左右に分かれ、食道が皮膚に近づく。そこで、超音波で確認しながらすき間をぬって外からバルーンに針を刺すことで管を挿入する穴を開ける。
内視鏡下胃瘻造設術 空気で膨らまされた胃が最も腹壁に近接する部位を指の凹みで捜し(図1A)、局所麻酔を施行。試験穿刺の後、セルジンガー針で穿刺し、その内針を抜いてガイドワイヤーを胃内に挿入する。そのガイドワイヤーを内視鏡観察下にポリペクトミースネアで把持し(図1B)、内視鏡本体ごと口腔外へ引き出す。引き出されたガイドワイヤーをPEGカテーテルと結わえ(図1C)、今度は腹壁側に残されたガイドワイヤーを引くことにより、PEGカテーテルを口腔から胃内に引っ張り込む(図1D)。
中心静脈栄養法の実際 鎖骨下静脈へカテーテルを挿入し、中心部の太い静脈に高浸透圧の高カロリー輸液を注入する方法. 刺入時の合併症:気胸、動脈の誤穿刺 代謝性の合併症:高血糖、脂肪肝、微量元素欠乏症、ビタミンB1欠乏による乳酸アシドーシス
外傷患者の栄養管理プロトコール
術前栄養管理 栄養管理の目的は、合併症発生率や死亡率を減少させることにある。まず栄養評価を行い、栄養管理が必要か否かを判断する。通常、健康時体重の10%以上の体重減少があれば中等度以上の栄養障害ありと判断し、栄養管理の適応と考えてよい。
術後栄養管理 2~3日で経口摂取が十分可能となることが予測される場合や、絶食期間が1週間以内でかつ術前からの栄養不良がない場合は、末梢静脈から水分・電解質を補給するだけで積極的な術後栄養管理は不要な場合が多い。状況により末梢静脈栄養法を付加する程度でよい。 しかしながら、術後経口摂取不十分な期間が長くなることが予測される場合、また術前から栄養不良を有する患者では、特に術後早期からの積極的な栄養管理が望まれる。