先進技術の社会影響評価(テクノロジー アセスメント)手法の開発と社会への定着 吉澤 剛 (東京大学)
I2TAの概要 RISTEX「科学技術と社会の相互作用」研究開発プログラムのプロジェクト(平成19~22年度) 参画者26名(リーダー:鈴木達治郎)、海外パネル4名(A. Rip、M. Rogers、C. Hill、D. Cope)、外部諮問委員2名(唐木英明、武部俊一) TA制度分析G(城山英明) TA手法構築G(鈴木達治郎) ナノテクTA実践G(竹村誠洋) ─医療・食品・エネルギー・CNT 広報・コミュニケーション活動の展開
TAとは 従来の社会的枠組みでは扱うことが困難な技術に対し、早い段階からの将来のさまざまな社会的影響を独立・不偏の立場から評価することにより、問題提起や問題解決のための意思決定を支援していく活動 「TA手法」というものはない →手法よりプロセス重視
TAの活動:二軸モデル 何が問題かを 提示する 解決策を 提示する 何が問題かを 話し合う 解決策を 話し合う 専門家 問題像提示 意思決定支援 何が問題かを 話し合う 解決策を 話し合う 市民
I2TA国際WS(3/12-13)の成果 熱心な支持者(champions)を見つけること メディアの役割 謙虚であることが必要 日本で第三世代のTAの可能性? 第一世代 OTA、米国的、専門家中心、意思決定志向 第二世代 pTA、欧州的、市民中心、議題設定志向
TAの制度化に向けて 米国ではOTAなき現在、TA的活動は断片化しており、党派性が見られる 欧州では議会型が中心だが多様な制度化がなされており、小規模ながらネットワーク重視 日本でも省庁、議会においてTAの制度化が試みられてきたが、工学的手法の偏重、予測・評価活動への推移、多様な関与者の欠如、既存の断片的活動の慣性などにより断念 日本では分散型TA(パネル方式、エージェント方式、系統的レビュー方式、課題対応委託方式)が有望か
I2TAによる実践の試み 医療:がん治療に向けたナノDDS 食品:食品へのナノテク応用 エネルギー:ナノテク省エネ住宅 3回のステークホルダー円卓会議 食品:食品へのナノテク応用 ステークホルダー会合をクライアントによる議題設定の場にして、その後pTAを実施? エネルギー:ナノテク省エネ住宅 Q方法論を用いた参加型ニーズ/シーズワークショップ CNT:多層カーボンナノチューブのリスク評価・管理をめぐる最近の動向 TA Noteを作成、このたび公表
CNTチームの教訓 多層カーボンナノチューブ(MWCNT)のリスク評価・管理をめぐる最近の動向を整理し、TA Noteとして公表・配布 いくつかの教訓 メンバー間で「TAとは何か」について早い段階で議論し、合意をつくる 専門家が主導するのではなく、チームで議論しながら論点を整理する TAレポートの信頼性を示す 専門能力:本人の承諾を得てレビュアーの所属・専門分野などを明記する 誠実さ:多様な見解を示す、利点と欠点/リスクとベネフィットなどを分かり易く示す 価値共有:リスクを受ける可能性のある人の立場を考慮する
広報・コミュニケーション活動の展開 I2TAは制度か?─I2TAの現在の活動と目指すTA機関・制度は連続しているのか否か アカウンタビリティ 内部/外部諮問委員の設置 リーフレット・ニュースレターの作成、ウェブの充実 人材・ネットワーク サイエンスライター、エディター、デザイナーの協力 内部コーディネーター、外部への広報・人脈作り 関心ある人からの寄稿のお願い