You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. 財務管理論 前期第7回 企業金融論 MM理論 Tax shield effect 過大な債務がもたらすコスト 資本構成のトレードオフ理論 Free Cash Flow仮説 Signal理論 CAPM 株主資本コスト Equity Spread Pecking Order仮説とその解釈
You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. MM理論 第一仮説 Modigliani-Miller theorem (1958) capital structure irrelevance principle 資本市場について完全競争を仮定 資本構成が 企業価値に影響しないこと(無関係)との結論(無関連性命題)を導いている(proposition 1) → 多くの仮定に依存(税金・取引費用なく 情報は直ちに共有されているなど完全競争) 最適資本構成不存在という主張と同じ
Modigliani-Miller theorem (1958) Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. Modigliani-Miller theorem (1958) Franco Modigliani 1918-2003 Merton Miller 1923-2000
You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. MM理論 第二仮説 Proposition 2 税金の存在を仮定 節税効果から 債務率100%を最適構成と指摘 債務偏好を論じている http://en.wikipedia.org/wiki/Modigliani%E2%80%93Miller_theorem
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You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. 資本構成のトレードオフ理論 負債構成がある比率までは節税効果が効く。しかしあるところからは 倒産リスク(倒産コスト)が大きくなる。→最適資本構成が存在する。では実際に企業は? 企業は負債を抑え内部資金を選好している。 とくにバブル以降は顕著な健全財政指向。 業績下降時にはそもそも借入指向はない。 負債を意思決定の柔軟性をそぐとして嫌う傾向(固定費としての負債費用 企業買収に備えての健全財務指向)がある。 参照 佐藤公亮 ファイナンスの基本 pp.108-113 山本和隆 ファイナンス入門講義 pp.242-243 後述するペッキングオーダー仮説との統合モデルが必要とされている」
You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. MM理論の評価 金融理論 に多くの研究者が集まるきっかけとなり 金融理論の発展の契機になったというのが評価。 当時の金融論や経済学は 制度的なものが主流 数理的研究者が 経済学に入ることにつながる ファイナンス論の発展 → オプション価値の数式化(Black-Sholes model 1973) などの成果 につながる。
You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. 最適債務構成への関心 資本コスト : 期待収益率 加重資本コスト(後述)の形状は? 債務 他人資本 株主資本 自己資本 一般的にリスクの違いから 債務コスト<株主資本コスト したがって 債務増やすと 加重資本コスト低下
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You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. Default Riskの認識 ところが あるところから債務コストの上昇が始まるはず 債務の増加 倒産リスク(default risk)の上昇が大きくなるはず 債務コストは次第に上昇 最後には急激に上昇する 債務コスト上昇を受けて、資本コストも、倒産リスクを認識して、高まるようになる。 つまり債務の増加とともに最初は加重資本コストの減少するが、やがて減少はゆるやかになり やがて上昇に転じる 言い換えると、加重資本コストを最小化する債務比率が存在することになる
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You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. 債務コストDebt cost 金融機関による貸付コスト 金利 借り手の デフォルトリスク 債務を返済できなくなると 上昇 過大な債務がもたらすもの Default risk(bankruptcy cost)が増大する Tax shield effect が打ち消される。たとえばdebt costの上昇により。 Agency costが上昇する(債権者の立場が強くなると企業経営は保守的に 経営者は株主の代理人の立場を離れるようになる)
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You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. シグナル理論 企業の財務行動は、経営者が知っている企業内部情報のシグナルとする仮説をいいます。 今後のCFに自信がある場合 負債増加(CFの安定必要)に企業は動く。 負債決定 ⇒ 投資家としては株式を購入する 現在 株価が過大評価されていると判断すると 過大評価されているうちに増資する。 増資決定 ⇒ 投資家としては株式を売却する 現在 株価が割安と判断すると、割安であるうちに自己株式を購入する。 自社株買い ⇒ 投資家としては株式を購入する
Pecking Order Hypothesis(1) ペッキングオーダー仮説 Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. Pecking Order Hypothesis(1) ペッキングオーダー仮説 Myers and Majluf (1984) http://en.wikipedia.org/wiki/Pecking_order_theory でも ずっと昔からある考え方でもある 企業(経営者)は内部金融を外部金融 より好む 経営者は 配当支払いを安定させようとする・・・など
Pecking Order Hypothesis(2) Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. Pecking Order Hypothesis(2) 私は最初は えさをついばむ順番かと思いましたが。正しくは弱いものを強いものがついばむ。鳥の世界の序列を意味する言葉だそうです。 そこから資金の選択に序列があることに使います。 まず 内部資金 外部資金のなかでは節税効果のある債務 そして株式 といったように。 コストの違いと一般には理解されています。 情報コスト エージェンシーコスト モニタリングコストの大小の順になっていると解釈できます。具体的には以下をみてください。
You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. Pecking Orderの解釈(1) 内部資金 銀行借入 株式 資本コストが低い順 エージェンシーコストの違いによる (古川顕「金融論3版」pp.158-159) 内部資金 エージェンシーコスト無視できる 銀行借入 銀行は継続的取引関係 持合い・債権者の立場の利用で情報の非対称性をかなり軽減できる 銀行は最終的投資家からモニタリング行為を委任されている(代理あるいは委任されたモニタリング) 株式 銀行のような仕組みがないため エージェンシーコストは高くなる
You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. Pecking Order の解釈(2) 内部資金 銀行借入 起債 転換社債 増資 内部資金のゆとり(財務スラック)がまず重要 手数料 時間 税金(租税節約saving tax) 情報の非対称性(経営者 銀行 投資家) 経営者による判断 経営の監視を嫌うこと 内部資金 借入 経営者による判断 情報の漏れを嫌うこと 銀行 投資家 大村敬一「ファイナンス論」pp.288-291
You need a prior permission before copy this material. Copyright: Hrioshi FUKUMITSU You need a prior permission before copy this material. 宿題 MM理論について説明し、この理論が現実とはどのように乖離しているかを説明しなさい。 最適構成比率のトレードオフ理論を説明し、なぜこの理論が企業実務では全く使えないのかも説明しなさい。 Free Cash Flow仮説を説明し、なぜこの仮説と現実との乖離について述べなさい。 CAPMについて説明し、現実との乖離についても述べなさい。 債務についての理論を説明したうえで企業は債務について現実にはどのような判断をするかを述べなさい。 Signal理論について説明しなさい。 Pecking Orderについて説明し、解釈を述べなさい。