ニュース 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016
マクロ金融論2016 為替相場はニュースに反応 為替相場は、ニュース(新しい情報)に対して反応する。市場参加者がこれまでに知らなかった情報が流れると、為替相場は変化する。 逆に、新しくない情報には、為替相場は反応しない(「市場の織込済み」etc.)。市場参加者がすでに知っている情報が流れても、為替相場は変化しない。
マクロ金融論2016 ニュース=新しい情報
効率的市場(efficient market) マクロ金融論2016 効率的市場(efficient market) 効率的市場=すべての関係する情報に即座に完全に価格が反応する。 合理的な市場参加者であれば、過去に価格に反映したが、取り入れられなかった情報は、次回からは取り入れて行動する。(⇒合理的予想)
予想値としての先物相場 危険中立的な市場参加者を想定。 先物投機⇒先物相場=予想直物相場 マクロ金融論2016 予想値としての先物相場 危険中立的な市場参加者を想定。 先物投機⇒先物相場=予想直物相場 但し、 :t時点の情報を利用して、t+1時点の直物相場を予想した値。(条件付期待値)
合理的予想(rational expectation) マクロ金融論2016 合理的予想(rational expectation) 将来の直物相場を合理的に予想する。 「合理的」の意味:予想の誤りを修正する。 ⇒①予想の誤差には、バイアスがない。 ②予想の誤差には、過去との相関がない。
マクロ金融論2016 予想誤差にバイアスがない。 証明
マクロ金融論2016 直物相場と先物相場の関係 (1)・(2)式より、 直物相場=先物相場+予想誤差 直物変化率=先物プレミアム+予想誤差
予想誤差=ニュース+攪乱項 予想誤差をニュースと攪乱項に分解。 但し、 :t時点からt+1時点までに獲得した新しい情報 マクロ金融論2016 予想誤差=ニュース+攪乱項 予想誤差をニュースと攪乱項に分解。 但し、 :t時点からt+1時点までに獲得した新しい情報 :t+1時点における攪乱項。攪乱項の期待値=0( )
直物相場とニュースとの関係 (4)・(5)式より、 マクロ金融論2016 直物相場とニュースとの関係 (4)・(5)式より、 t+1時点の為替相場は、①先物相場あるいは予想直物相場、②ニュース、③攪乱項によって説明できる。
伸縮価格マネタリー・モデル下におけるニュース マクロ金融論2016 伸縮価格マネタリー・モデル下におけるニュース 合理的予想を仮定。 為替相場が伸縮価格マネタリー・モデルによって決定されることを市場参加者は知っていると仮定。 伸縮価格マネタリー・モデル下における為替相場決定要因(貨幣供給量、所得、金利など)の将来動向に関する情報が獲得されると、市場参加者はその将来動向に基づいて、将来為替相場を「合理的に」予想する。
マクロ金融論2016 伸縮価格マネタリー・モデル 伸縮価格マネタリー・モデル 但し、 :攪乱項(貨幣需要、貨幣供給、購買力平価の攪乱項)
伸縮価格マネタリー・モデル下における先物相場と予想直物相場 マクロ金融論2016 伸縮価格マネタリー・モデル下における先物相場と予想直物相場 (7)式に従って、将来為替相場を予想。
伸縮価格マネタリー・モデル下における直物相場 マクロ金融論2016 伸縮価格マネタリー・モデル下における直物相場 (4)・(8)式より、
伸縮価格マネタリー・モデル下におけるニュース マクロ金融論2016 伸縮価格マネタリー・モデル下におけるニュース (6a)式と(9)式を比較すると、
貨幣供給量のニュース⇒為替相場 ニュースとは、為替相場決定要因に関する新しい情報を意味する。 マクロ金融論2016 貨幣供給量のニュース⇒為替相場 ニュースとは、為替相場決定要因に関する新しい情報を意味する。 為替相場は為替相場決定要因のニュースに反応する。 例えば、伸縮価格マネタリー・モデルの下では、貨幣供給量のニュースに為替相場は反応する。逆に、「織込済みの」貨幣供給量の変化には、為替相場は反応しない。