食品媒介感染症と疫学調査 広域集団発生への対応

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食品媒介感染症と疫学調査 広域集団発生への対応 2002.1.25. 岡山市保健所 中瀬克己 katusumi_nakase@city.okayama.okayama.jp

日本でも 複数県集団発生の影響は大きい 例年よりの増加分 関東を中心とした事例を含む

食品保健部監視安全課 (依頼) 関東地方1都5県におけるO157PFGEパターンの一致に基づく他の菌株送付の依頼 平成13年6月5日付け通知 食品保健部監視安全課 (依頼) 関東地方1都5県におけるO157PFGEパターンの一致に基づく他の菌株送付の依頼 広域集団発生の存在 多県協力の必要性

結核感染症課(情報提供) 食品担当との協力による適切な対応 平成13年6月5日付け通知 結核感染症課(情報提供) 食品担当との協力による適切な対応 複数部門協力の必要性

拡大防止対策 O157届け件数は減少していない 発生源(牛)や 農産物対策は? 農林部局との 協力対策の進展は?

多組織間の合意、市民への説明 標準化された指標  菌の検出 標準化された手法 喫食・環境調査 + PFGE  +系統化・精緻化

標準化された指標・手法 による共通理解が必要 多県・多組織にまたがる対策を進めるには  標準化された指標・手法 による共通理解が必要

多州間集団発生対応 協調・意志疎通改善のガイドライン(米国) 2年以上かけ2001年完成 目標 集団発生調査の前・途上・後における、協力と情報交換のモデルを示すこと 市民・産業界・運輸関係者に多州間集団発生調査における協力過程に関し情報提供し積極的な協力を得る 構成:本文2章16p、様式集・責任権限比較表・チェックリスト等17p、用語集12p等 計58p 米国も同じ課題を抱え、やっと今年出来た。 様式集など実質を重視。用語集も共通理解に大切。 多州間集団発生対応ガイドライン(米国) 食品安全システムプロジェクト 2001.2.

多州間集団発生対応 協調・意志疎通改善のガイドライン(米国) 主体 食品安全システムプロジェクト・集団発生への対応及び調査ワーキンググループ  参加者 連邦保健局:CDC、食品医薬品局(FDA)、 環境保全局 農林省:食品安全監視局 州、地方担当部局の疫学者、検査担当者、農林担当者 多州間集団発生対応ガイドライン(米国) 食品安全システムプロジェクト 2001.2.

第1章 多州間集団発生の探知 キーポイント: 表 多州間集団発生の早期発見に有用な指標 一覧 多州間集団発生の発見を進展させる活動 第1章 多州間集団発生の探知 キーポイント: 集団発生の増加にサーベイランスと対応システム改善が必要 広域集団発生の特徴・指標を用いることで早期警報・介入予防に有効 多州集団発生を検出できるように現行サーベイランスを改善することが最もコントロールと予防に有効 表 多州間集団発生の早期発見に有用な指標 一覧 多州間集団発生の発見を進展させる活動 多州間集団発生対応ガイドライン(米国) 食品安全システムプロジェクト 2001.2.

第1章 多州間集団発生の探知 表 早期発見の指標: 一覧 早期発見対策(一部): 地理的広がり:複数地区複数州発生 第1章 多州間集団発生の探知 表 早期発見の指標: 地理的広がり:複数地区複数州発生 汚染段階:製造・流通の初期段階汚染 食品の種類:広域流通食品 病原体:発生地での新興・稀少病原体 販売や提供場所:旅行者・空港チェーンストア 一覧 早期発見対策(一部): PFGE、セロタイピングの疫学 サーベイランス報告の迅速分析と情報交換 病原体情報の交換 仮説設定のための迅速調査 迅速な症例対照研究・コホート研究(共通曝露源の時) 周辺地域への早期警報 早期の経験者の援助

第1章 多州間集団発生の探知 早期発見の指標(一部) : 早期発見対策(一部): 汚染段階:製造・流通の初期段階汚染 第1章 多州間集団発生の探知 早期発見の指標(一部) : 汚染段階:製造・流通の初期段階汚染 病原体:発生地での新興・稀少病原体 販売や提供場所:旅行者・空港・チェーンストア 早期発見対策(一部): サーベイランス報告の迅速分析と情報交換 病原体情報の交換 仮説設定のための迅速調査 周辺地域への早期警報

第2章 対応 第1部 食品媒介疾患/集団発生の調査 第2章 対応 第1部 食品媒介疾患/集団発生の調査 情報交換:連絡用Fax様式、調査時のチェックリスト等 早期警報:状況別連絡先レベルの一覧表 等 会議の招集:初期会議、後期会議の概要 等 役割と責任:各部門の権限と責任比較表 等 標準対応手順:標準化された手法による迅速効率 人材、施設、手法、運営 第2部 製品調査 遡り調査、遡り調査の多州間協調、調査結果の交換、守秘範囲の合意、遡り調査における産業界の役割、農場調査 多州間集団発生対応ガイドライン(米国) 食品安全システムプロジェクト 2001.2.

第2章 対応 食品・水媒介疾患/集団発生調査のキーポイント 第2章 対応 食品・水媒介疾患/集団発生調査のキーポイント 早期・頻繁・正確な交流  定期的な地方・州・連邦のたてよこの連絡 各機関の役割と責任の理解 組織間で情報の信頼性を高めるための標準手法の開発と利用 アウトブレイク初期における各組織の連絡相手の確認 連絡先リストの更新 多州間集団発生対応ガイドライン(米国) 食品安全システムプロジェクト 2001.2.

初期連絡用Fax/Email様式 以下は暫定的結果であり秘密扱いのこと 送り手への確認無しに配布不可 類似症例のある場合は管轄の関連機関へ連絡のこと このような 具体的準備が効果的 多州間集団発生対応ガイドライン(米国) 食品安全システムプロジェクト 2001.2.

初期の連絡 他組織への連絡に関するガイドライン 1 2 3 段階 状況(集団発生の確認) レベル   段階 状況(集団発生の確認) レベル 連絡すべき機関(規制機関は病原体の特徴によって異なる) 1 ・地域内で食物・水起因を疑わせる複数症例が確認 郡等 ・当該郡および周辺郡・市の保健部局(疫学・救急・検査担当) ・ 州の保健部局 2 ・複数の郡で複数症例が確認 ・州内での散発例の増加 ・PFGE、セロタイプ等の一致 州 ・ 周辺州の保健部局(疫学・救急・検査担当) ・ CDC ・連邦規制局*の地域事務所 3 ・複数の州で複数症例が確認 ・加工食品や水の関与が疑われる ・州を越えてPFGE等の一致する散発例の増加 連邦 ・CDC ・州および地方保健部局 ・連邦規制局*の地域事務所・本部 ・必要あれば連邦組織から外国へ *連邦規制局:FSIS食品安全監視局,FDA食品医薬品局,EPA環境保全局

多州・多組織連絡会議 初期会議の概要(米国) 多州・多組織連絡会議  初期会議の概要(米国) 主催 CDCあるいは州保健部局 内容 各部局の疫学的調査段階の情報交換 CDCは、疫学調査・検査の進捗状況について助言・援助する 規制機関(食品保健局など)が会議に参加することで調査の手法・結果・結論を確認でき、製品の回収等の対処が迅速に行える。 多州間集団発生対応ガイドライン(米国) 食品安全システムプロジェクト 2001.2.

標準的調査票(米国) 調査票(訳)は提供できます 連絡先:松井 珠乃djyu@nih.go.jp

多県にまたがる集団発生 への対応(日本) 現行 多県にまたがる集団発生対応は、原因施設所在地が主導している 原因施設不明時はどうするか 自治体としての次の一歩は?

提言 多県・多組織にまたがる 集団発生対策の進展には 調査指標・手法の標準化 関係者の協力が進むシステム が有用

備え こそ 危機管理