宣教学通論 -宣教の対象を知ること- 中央聖書神学校 2008年前期.

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宣教学通論 -宣教の対象を知ること- 中央聖書神学校 2008年前期

「宣教の対象」で問われていること 1.人間生活に必須の環境を三つ挙げよ。 2.宣教の対象理解に必須の文化とは何か。 3.文化習得に二種類ある。それは何か。 4.何故文化理解が宣教学に重要なのか。 5.宣教学的社会化とは何か。

宣教における基本的要素 1.認識的 (Cognitive) 2.行動的 (Behavioral) 3.感性的 (Affective) A.宣教における基本的要素 (認識的、行動的、感性的基本要素) 1.認識的基本要素-Cognitive domain     a.主を知ること 1)        宣教の原点は主にあるから 2)        宣教の目的を失わないために 3)        宣教の動機を常に健全に保つため (ピリ1:15-18)     b.「隣人」を知ること 1)        「隣人」が居住する宣教地を知ること 2)        「隣人」の持つ文化を知ること 3)        「隣人」の行為パターンを知ること     c.時代を知ること 1)        流転する時代を読みとる必要 2)        「人は同じ川に2度足を踏み入れることは出来ない」-ヘレクライトス 3)        時代の即した宣教の必要 (時代の流れに呑まれた宣教ではない) 4)        時代を読みとる主イエスから学ぶ必要     d.己を知ること 1)        主、隣人、そして、時代を知ることから派生的に認識する自分 2)        自分を見失うことは宣教の方向性を見失うこと 3)     Am I doing right things? vs Am I doing things right? 4)     I am what I think you think that I am.

宣教における基本的要素 霊的要素 宣教 認識的要素 行動的要素 感性的要素

宣教における基本的要素 1.認識的 (Cognitive) 「宣教」の典拠を知ること 「宣教」の対象を知ること 「宣教」の時代を知ること 「宣教」の主体を知ること A.宣教における基本的要素 (認識的、行動的、感性的基本要素) 1.認識的基本要素-Cognitive domain     a.主を知ること 1)        宣教の原点は主にあるから 2)        宣教の目的を失わないために 3)        宣教の動機を常に健全に保つため (ピリ1:15-18)     b.「隣人」を知ること 1)        「隣人」が居住する宣教地を知ること 2)        「隣人」の持つ文化を知ること 3)        「隣人」の行為パターンを知ること     c.時代を知ること 1)        流転する時代を読みとる必要 2)        「人は同じ川に2度足を踏み入れることは出来ない」-ヘレクライトス 3)        時代の即した宣教の必要 (時代の流れに呑まれた宣教ではない) 4)        時代を読みとる主イエスから学ぶ必要     d.己を知ること 1)        主、隣人、そして、時代を知ることから派生的に認識する自分 2)        自分を見失うことは宣教の方向性を見失うこと 3)     Am I doing right things? vs Am I doing things right? 4)     I am what I think you think that I am.

宣教における基本的要素 認識的(Cognitive)基本要素(2) 隣人を知ること 隣人が居住する宣教地を知る 隣人の持つ文化を知る

人間の生活環境 自然環境 文化環境 社会環境

 人間の生活環境 自然環境 人間生活に不可分な関係 人間の生活様式に影響 人間の文化様式に影響 人間の思考様式に影響

宣教地の地理的理解 宣教地の自然環境 共同体の価値観 生活スタイル 福音受容度 地勢 気候 人口

文化と行動パターン 牧畜民的基層文化 ・移動的社会 ・個人社会 ・自律的個性 (個の論理) ・男性原理 農耕民的基層文化 ・定住的社会  ・移動的社会  ・個人社会  ・自律的個性     (個の論理)  ・男性原理    農耕民的基層文化  ・定住的社会  ・共同体社会  ・他律的個性      (集団論理)  ・幼児・女性原理                  (荒木、p.23)

日本文化の性格形成 水稲栽培的共同体構造 ・日本文化の形成に決定的な役割果たす ・生活共同体結合意識を育成したムラ(群)集落  ・日本文化の形成に決定的な役割果たす  ・生活共同体結合意識を育成したムラ(群)集落   -自足性・閉鎖性・排他性の醸成   ー構成員の一体感・ムラ意識の形成                     (荒木、pp.28-30)

地域の社会学的理解 -東京都港区の例- John W. Mehn, Japan Harvest, 1994 都会のドーナツ現象  ・人口減少   1993年ー24%   ・人口変動   1993年ー150, 000人   2040年ー5,711人 高齢化現象  ・高齢者の増加    2018年-65歳以上            25% 少子化現象  ・児童の減少   1993年-45%

年齢別人口-1950年 (1,000人)

年齢別人口推定-2025年 (1,000人)

年齢別人口-2000年 (1,000人)

年齢別人口推定-2050年 (1,000人)

 1950  1960 1970  1980 1990  2000

人口ピラミッド-1920年

人口ピラミッド-1970年

人口ピラミッド-2000年 http://www2m.biglobe.ne.jp/~funatsu/vpopj.htm

宣教地の社会学的理解 宣教地の社会環境 社会の仕組み 共同体の価値観 生活スタイル 福音受容度 政治 経済 教育 宗教

日本的雇用慣行 日本的雇用慣行(日本型雇用システム) 終身雇用 就職した企業に定年退職まで雇用 年功賃金 年令・勤続年数に応じた賃金の上昇 企業別組合 特定の企業の従業員を職種・職員・工員のく別なしに一括して組合員とする労働組合

日本的雇用慣行の崩壊? 終身雇用制の減退 年功序列主義の減少 能力主義の台頭 1993年30%の企業重視 1999年10%に減少 年功賃金制の減退 崩壊ではなく、絞られてゆく対象 年功序列主義の減少 能力主義の台頭

日本的雇用慣行の崩壊 経済のグローバル化 労働者の中高年齢化 フリーターの増加と転職肯定意識 経済活動の国際的相互依存関係の高まり 国内事情に準ずるだけで国際競争に勝てない企業環境 労働者の中高年齢化 年功序列制持続の困難 フリーターの増加と転職肯定意識 組織への自由参入と自由離脱の現実化

宣教の対象:少子高齢化社会 少子化直接原因:1)晩産化、2)無産化 少子化間接原因:1)雇用状況の変化からく   る精神的不安定、2)子育ての高額化    3)女性の社会的地位の向上 少子高齢化の課題:     1)労働力の不足 2)年金制度の破綻 3)高齢者介護の負担増大      (総人口4人に1人の高齢者)

宣教の対象:高齢化社会 日本 男78.56 女85.52 (2005年) カナダ 男77.20 女82.10 (2002年) 日本 男78.56 女85.52 (2005年) カナダ     男77.20 女82.10 (2002年) アメリカ    男75.20 女80.40 (2004年) フランス    男76.80 女83.80 (2005年) ドイツ     男76.21 女81.78 (2003-2005) イタリア    男77.16 女82.84 (2003年) イギリス    男76.62 女80.95 (2003-2005) 韓国 男71.8  女79.4  (2002) 中国 男69.6  女72.7  (2002)

宣教における基本的要素 認識的(Cognitive)基本要素(2) 隣人を知ること 隣人が居住する宣教地を知る 隣人の持つ文化を知る

宣教地の社会学的理解 宣教地の社会環境 共同体の価値観 文化環境 生活スタイル 福音受容度 思想 芸術 規範

文化理解の必要(政治)   近代化に押されるかたちで世界政治の舞台は文化の境界線に沿って再構成されつつある。…イデオロギーと超大国との関係によって規定されていた協力関係は、文化と文明によって規定される協力関係に移行しようとしている。サムエル・ハンチントン『文明の衝突』p.125,1996

文化理解の必要 N 文化 経済 イデオロギー 人々を区別する境界線

文化理解の必要(政治)   政治的な境界線は次々に弾き直されて、文化的な境界線、つまり民族や宗教や文明の境界線と重なっていく。文化を共有する国家群が登場し、世界政治の中で、文明の断層線を境界として紛争が起こるようになっている。(ibid)

文化理解の必要(宣教)  「宣教学が本当に伝道の現場を助けるような地に足のついた学問であるためには、日本の文化環境における教会形成とはどういうことであるのかを把握せねばならない。」   (後藤牧人、p.152)

文化理解の必要(宣教)  キリスト教信仰はある文化の中に「翻訳される」という形以外には存在しえない。この条件はキリスト教の最も初期からの本質的特性であった。(ボッシュ下、p.328)

文化理解の必要(宣教)  西洋による大規模な植民地拡大が始まる時期まで、西洋のキリスト者は自らの神学が文化的に条件付けられている事実に気付かなかった。(ボッシュ下、p.329)

文化理解の必要(宣教)  彼ら(西欧のキリスト者)の神学は文化を超え、普遍的に有効だと単純に思い込んでいた。             (ボッシュ下、p.329)

文化理解の必要(宣教) 非西欧文化圏 キリスト教 西欧文化 輸出 = 外国の宗教

 文化理解の必要(宣教)  「教会の教理(教会論)を持つだけでは十分でない。経験的に存在している諸教会の社会学(文化的理解)も持たなければならない。したがって、神学的教理と社会学的診断の間の緊張から、状況に対するキリスト教的視点は出来上がって來るのである。

文化理解の必要(宣教)   教理(神学)なき診断(社会学文化的理解)は諦観(Resignation)に至るであろう。これは悪い。しかし、診断(社会学文化的理解)なき教理(神学)は、ほとんど必ず幻想(Illusion)に至る。これはもっと悪い。」        Peter Burger 、The Noise of Solemn Assemblies

人間と生活環境 社会環境 社会化(Socialization)の場を提供 社会生活への適応性の育成 母子関係の設立 家族関係の設立  人間と生活環境 社会環境 社会化(Socialization)の場を提供 母子関係の設立 家族関係の設立 友人関係の設立 雇用関係の設立 社会生活への適応性の育成

人間の生活環境 自然環境 文化環境 社会環境

 人間と生活環境 文化環境 人間の生活様式に影響 (物質的文化) 人間の思考様式に影響 (精神的文化) 人間の行動様式に影響 (規範的文化)

 文化の定義 知識、信仰、芸術、法律、習慣その他、社会の成員としての人間によって獲得された、あらゆる能力や習慣を含む複合的全体(Tylor、1871) 習得された思考、感覚、行動の様式       (Radcliffe-Brown,1958)

 文化の定義 神や本質的存在・究極的意味についての信仰、何が真実であり、善であり、美しく規範的なものであるかについての価値や、どう振る舞い、他人と関わり、話し、祈り、着飾り、働き、遊び、食べたらよいか等々についての習慣や、またこれらの信仰・価値・習慣を表現する機構など、社会を一つに結びあわせ、一体感や尊厳性・安心感・連帯意識を与える一つの統合された体系                                      『福音と文化』p.7

文化の定義 一民族の生活様式の総体、個人がその集 団から得る社会的遺産(Kluckhohn,1950)  文化の定義 一民族の生活様式の総体、個人がその集 団から得る社会的遺産(Kluckhohn,1950) 人々がその経験や、知識を構造化し、行動を秩序付け、選択や意志決定を行う基準となる知識・信仰・価値の体系(Goodenough,1957) 人間の所有物、(what we have)、思考体系(what we think)、行動様式(what we do)の総体--Kitano

文化の持つ側面 現状維持的要素 改革的・流動的要素 社会を統一体として維持しようとする機能 を持つ文化 明日への予測  文化の持つ側面 現状維持的要素 社会を統一体として維持しようとする機能   を持つ文化   明日への予測 社会の接着剤としての文化   人に安定感 改革的・流動的要素 異文化との接触密度によって

社会学的社会化(Socialization) 自文化習得過程(Enculturation) 伝統的文化が次世代に継承されて行く過程 他(異)文化取得過程(Acculturation) 他文化の流入による社会変動・社会触変

異文化・他文化理解 概念的理解 関与的理解 投影的理解 文化類型を学ぶことによって 異文化に接触することによって  異文化・他文化理解 概念的理解 文化類型を学ぶことによって 関与的理解 異文化に接触することによって 投影的理解 自分の文化を理解することによって 教会の社会に対する姿勢 1.傍観的 (Spectator) 2.関係的(Participant)-否定的関係、受動的関係 3.関与的(Participator)

自文化・他文化触変類型 他文化部分共生型 他文化全面共生型 自文化全面吸収型 他文化拒否型

他文化取得(Acculturation) 社会変動・社会触変を起こす。 既にある伝統文化をマクロ的に変容させる 。 下位文化(Sub-culture)を創造する。 他文化許容度を越すと文化的消化不良状況を起こす。 アイデンティティーの危機

 他文化取得Acculturation) カタカナ(外国)文化の攻勢 「日本らしさ」の縮小 文化的分断症状

他文化取得(Acculturation) 自文化 保守的社会 革新的社会 孤立的社会

他文化取得(Acculturation) 自文化 保守的地域 保守的人物 革新的地域 革新的人物 排他的地域 排他的人物

他文化取得(Acculturation) 終身雇用制 年功序列制 業績主義 人間関係 の不調和 「個」の確立 「和」の社会

宣教学的社会化(Socialization) 福音の社会学的社会化 自文化習得(Enculturation) 他(異)文化取得(Acculturation) 福音の宣教学的社会化(ボッシュ) 文化内生成(Inculturation),p.328ff 文化間生成(Interculturation)、p.342

宣教学的社会化(Socialization) 福音の宣教学的社会化(ボッシュ) 文化内生成(Inculturation),p.328ff 「文化内開花」の改良訳語(p.336) 神が人となる「受肉」のモデルに従い福音が一つの民族とその文化の中で「肉となり」「体をもつ」こと  (例)宗教改革

宣教学的社会化(Socialization) 福音の宣教学的社会化(ボッシュ) 文化内生成(Inculturation),p.328ff Contextualizationの結果として、新しい文脈と文化の中で教会が新たに生まれ、固有の表現が生み出されること 元来すべての人にとって「外来」である福音が文化的アイデンティティーを確立すること

宣教学的社会化(Socialization)  キリスト教会による宣教のメッセージは、それを受け入れる人々の生活空間の中で受肉化されなければならない。(p.285)  (なぜならば)すべての神学は、元来、そのコンテキストと不可分であることが認識されなければならい(から)。(p.289)

宣教学的社会化(Socialization) 福音の宣教学的社会化(ボッシュ) 文化間生成(Interculturation)、p.342 暫定的・継続的プロセスである文化内生成 西欧神学を含めすべての神学がお互いを必要とする意識から生まれた文化内生成間の交流 自分の教会の福音理解だけが唯一正統であるという意識からの解放

宣教学的社会化(Socialization) 福音の宣教学的社会化(ボッシュ) 文化間生成(Interculturation) 教会はキリストの体である一つの普遍的共同体 文化内生成によって生まれた「地域の神学」・「現場の神学」が迫られる「脱現地化」 共同の証としての宣教における「エキュメニカル」構想の誕生(p.344)

日本文化の三要素 what we have 文化 総体 what we think what we do

日本文化の三要素 what we have 文化 総体 道具 住居 芸術 言語

日本文化における神概念 漢字文化の影響 視覚理解が聴覚理解に優先する文化 見ることができ、触ることができる神々 「聴けイスラエルよ」とは異質の神理解

日本語の文化的特徴 日本語 英語 表意文字→視覚理解 暗示的(Implicit) 受容的・忍従的思考 静的・消極的表現 点的論理 曖昧表現 表音文字→聴覚理解 明示的(Explicit) 主体的・合理的思考 動的・積極的表現 線的論理 端的表現 「話しても分からない」 「話さなくても分かる」  「話すことで分かりあえる」  「話さなければ分からない」

日本語の文化的特徴 「古池や 蛙 飛び込む 水の音」 「古池」-冠詞の必要 「蛙」-単数か複数か 「飛び込む」 -進行形か -現在形か   蛙  飛び込む 水の音」 「古池」-冠詞の必要  「蛙」-単数か複数か  「飛び込む」     -進行形か     -現在形か     -現在完了形か

日本文化と視覚理解 木 Tree 木 Forest 木 Grove Jungle

日本文化と視覚理解 女 上下  峠 Mountain Pass Elevator Girl

日本文化の三要素 what we think 文化 総体 価値観 審美観 道徳観 人間観 宗教観

理解の種類-「知る」 知性的理解 感性的理解 直観的理解 実存的理解

真理の種類 Ultimate Truth (究極的・絶対的真理) Relative Truth (相対的真理) Logical Truth (理性に合致する命題) Ontological Truth (判断が現実に合致する命題) Moral Truth (言葉・表現が本人の思い・本音に合致する命題) Propositional Truth (命題を提出しているものが、真実を語る人物あるという信頼感から生まれる命題

日本人の知覚特性 直感 直観 説明や証明を経ないで、物事の真相を心で直ちに感じしること 判断・推理などの恣意作用の結果ではなく、精神が対象を直接に知的に把握する作用(直知)

東・西の人間観 「間人」モデル-自分 抽象的実体ではない 他の誰にも依存しない 自らの存在根拠を他 に負う存在 自由で独立した存在  「間人」モデル-自分 抽象的実体ではない 自らの存在根拠を他 に負う存在 「自分」と「他分」の共 生的存在  「個人」モデル-自我 他の誰にも依存しない 自由で独立した存在 明確な実体感覚 進取的な行動主体       (浜口、pp.67-74)

東・西の人間観 「個人」主義-他人不信 「間人」主義-他人信頼 自己中心(尊重)主義 相互依存主義 自己依拠主義 相互信頼主義 対人関係の本質視 「恩・義理」関係 「個人」主義-他人不信 自己中心(尊重)主義 自己依拠主義 対人関係の手段視  「契約」関係                         (浜口、pp.67-74)

日本文化における神概念 「カミ」概念の曖昧さ 自然に対する審美的憧憬 自然と共存自然に服従 神、神々、お上、女将... God、god、gods>하나님 自然に対する審美的憧憬 曖昧な神概念・自然崇拝に要因 自然と共存自然に服従 道教的な態度 

曖昧な神概念 明晰な命題を持たない神概念 本居宣長の神観 太陽、神話の生き物、聖人、英雄、鳥、動物、植物 森羅万象を網羅する神々-八百万の神々 畏敬されるべき性質・容姿のある存在 本居宣長の神観 私も神という意味を十分理解できない。 すべて畏れおおきものこれ神というらむ。 天皇も神-遠きところにおわす神(お上)

日本文化の三要素 what we do 文化 総体 倫理行動 学習態度 集団行動 宗教行為

日本独特の行動文化 習得行動 集団行動 和 型

日本独特の行動文化 和の行動規範 型の体得

日本人の行動パターン 状況中心型行動 自分の置かれた状況を基準として優先 行為者が主観的に指定し、意味づけた行為の場 行為に関係する領域の設定 行為の場所の意義の認知       (浜口,p.14)

日本人の行動パターン 状況中心型行動 与えられている行動規範の回避 集団内の一定の価値への準拠 特定的状況への臨機応変的対処     (浜口、p.17)

西欧人の行動パターン 規範型行動 状況に無関係の規範行動 公共的な価値観や集団的規範に依拠 集団的に固定化された規範への遵守            (浜口、p.19)                    

状況中心型行動 「日本人は、慣例については口やかましい。状況ごとに、しきたりに全く反しない振る舞い方や、きっちりと規定されている言葉使いが要求される。誰でも、その通例集に倣うべく、どれほど込み入っていたり,面白くなかったりする状況でも、それを正確に洞察するであろう。」E.Reishchauer-浜口,p.38

人間の生活環境 自然環境 宣教 文化環境 社会環境

  キリスト教のメッセージと文化の関係は、創造的でダイナミックである。「地域の神学」を裁くことのできるテオロギア・ペレス、つまり永遠に有効な神学などは存在しない。(西欧神学は完成品では

 ないということ)西欧神学がすべての神学とまさに同じように、製造途中の神学、文化脈化・土着化のプロセスの中にある神学であることを認識すべきである。(ボッシュ、342)

「宣教の対象」で問われていること 1.人間生活に必須の環境を三つ挙げよ。 2.宣教の対象理解に必須の文化とは何か。 3.文化習得に二種類ある。それは何か。 4.何故文化理解が宣教学に重要なのか。 5.宣教学的社会化とは何か。

社会化とアイデンティティの確立 個人的アイデンティティの確立: ・自分であることの認識 ・自意識の確立 ・自己の存在証明  ・自分であることの認識  ・自意識の確立  ・自己の存在証明  ・自己の主体性の確立

社会化とアイデンティティの確立 集団におけるアイデンティティの確立: ・ 是認された役割の達成  ・ 是認された役割の達成  ・ 共通の価値観の共有を介して得られる連   帯感  ・  集団における帰属意識と自己価値の確立  ・  集団における肯定的な自己像の確立

アイデンティティーの確立 国家 職場 民族 家族

アイデンティティーの危機 国家 職場 友人 家族 *Cf-Case Study

アイデンティティーの危機 アイデンティティの危機 ・国家の危機 ・職場での危機 ・家庭での危機 ・人間関係の危機 ・個人の危機

教会に見いだすもの キリストにあるコイノーニア(聖書的「和」)の体験 聖霊による霊的照合枠の発見 新しいアイデンティティーの確立 家族に対する新しい意義づけ 新しい人生の指針(生き甲斐)

ケース・スタディ シンガポールJCF

日本文化 内容 型

日本文化の類型 ルース・ベネディクト(R.Benedict)の 文化の諸様式(Patterns of Culture)    -罪の文化(Guilt Culture) -恥の文化(Shame Culture)

参考文献 ルース・ベネディクト 長谷川松治訳  『菊と刀-日本文化の型』   社会思想社、1965年

日本文化の類型 デビッド・リースマン(David Riesman)の 社会性格論(Social Personality)   ・伝統志向型 (Tradition Oriented)   ・内部志向型 (Inner Oriented)   ・他者志向型(Other Oriented)

参考文献  デビッド・リースマン  加藤秀俊訳 『孤独な群衆』  みみず書房、1982

日本文化の類型 浜口恵俊の人間観 -自己の存在の根拠を、自己の人格の内部 ・ 自己と相手の「間柄」を先行 ・ 相手と共有する生活空間における   ・ 「個人」ではなく「間人」モデル -自己の存在の根拠を、自己の人格の内部      ではなく、人と人との間に置く   ・ 自己と相手の「間柄」を先行   ・ 相手と共有する生活空間における     「分け前」としての自己

参考文献  浜口恵俊  『日本研究原論 -「関係体」としての日本人と日本社会』  有斐閣、1998年

日本文化の類型 中根千枝、『タテ社会の人間関係』 ・日本人の集団参加 -「資格」ではなく、「場」 -「ウチ意識」対「オタク意識」   -「資格」ではなく、「場」   -「ウチ意識」対「オタク意識」    (We-group vs They-group consciousness)

 参考文献   中根 千枝  『タテ社会の人間関係』  講談社、1967年

日本文化の類型 仏教的自己意識 -「自我(Atman)」ではなく「無我(Anatman)」        仏教的自己意識      -「自我(Atman)」ではなく「無我(Anatman)」 ・        -「個体(Individuality)」の存在ではなく 「個別性の不在」(Non-individuality)   -「…であるもの(Being)」ではなく     「…になっていくもの(Becoming)」

参考文献  福田 充男  『文脈化教会の形成』   ハーベスト・タイム・ミニストリーズ、1993年

宣教における基本的要素 1.認識的(Cognitive)基本要素(3) c.時代を知ること 1) 流転する時代を読みとる必要 1)  流転する時代を読みとる必要 2)  時代の即した宣教の必要   3) 主イエスの時代の読み方

1. 情報革命(I T革命) 2. 遺伝子革命 3.ナノ革命 三つの革命 1. 情報革命(I T革命) 2. 遺伝子革命 3.ナノ革命

使徒パウロ 私はすべての人に、すべてのものとなりました。それは、何とかして、幾人かでも救うためです。 私はすべてのことを、福音のためにしています。それは、私も福音の恵みをともに受ける者となるためなのです。                     (1コリ9:22-23)

1. グローバル化システム 2. デジタル・ディバイド (情報格差) 21世紀の宣教環境 1. グローバル化システム 2. デジタル・ディバイド   (情報格差)

グローバル化システム   トーマス・フリードマン著   『レクサスとオリーブの木』   -グローバリゼーションの正体-   草思社、1999年11月出版

グローバリゼーション ボーダレス現象

グローバル化システム サイバー・スペース

デジタル情報 知識ではない 断片的である 前後の脈絡は弱い

リバイバル 教会のボーダレス化 グローバリゼーション

デジタル・ディバイド 経済格差 社会・心理的 疎外感

デジタル・ディバイド 情報を 持たないもの 持つもの

デジタル・ディバイド 情報を持つもの 情報を提供 するもの サイバースペース

デジタル・ディバイド 情報をとらえるもの 情報にとらえられるもの

  バーチャル・リアリティー 自己喪失現象 仮想 現実

グローバリゼーション 終身雇用制 年功序列制 業績主義制度

デジタル・ディバイド    横割りギャップ     老   人 成   人 青   年 少   年   幼 児    縦割りギャップ 老   人 成   人 青   年 少   年   幼 児

アカルチュレーション Acculturation (文化触変) カタカナ(外国)文化の攻勢 「日本らしさ」の縮小 文化的分断症状

遺伝子革命 「生物学は、我々が人間の『尊厳』と思っていたことが幻想であることを明らかにしてきた。人間を特別に『尊厳』と呼び、他の生物に比べて上等なものだという考えは、生物学が明らかにしつつある本質的な知見とはあわない」、そして、「我々は数ある種の一つにすぎない」 ノーベル賞受賞者利根川進教授

機械である・機械になる人間 ロドニー・ブルックス(MIT人工知能研究所) 「人間とはそもそも生理的な機械に過ぎない。魂などというものはない。人体は、素粒子の物理的性質に従って一定のパターンで相互作用する分子の集まり以上の何ものでもない。」        (Newsweek、2001/01)

『これからの日本-四つの課題』学と社会学の対話 編者  国務大臣・中山太郎  国立民族学博物館長         梅棹忠夫 サイマル出版社 1981年

主イエスの世相観察  マタイ11:15-19

Encoding Decoding 表層的理解 聞 深層的理解 聴 情報の蓄積 人格の成長

  見分ける 聴き分ける

「私は、見張り所に立ち、とりでにしかと立って見張り、主が私に何を語り、私の訴えに何と答えるかを見よう。」 (ハバクク2:1) 世界の動向を見分ける預言者 「私は、見張り所に立ち、とりでにしかと立って見張り、主が私に何を語り、私の訴えに何と答えるかを見よう。」  (ハバクク2:1)

公同的神学  「神学は神のことばである聖書によって、厳密に自らを律しつつ、その時代の教会に仕え、世界に向かって発言する、その意味では、神学はきわめて公同的なものである」 C.F.ヴィスロフ『現代神学小史』いのちのことば社

神学者・宣教者    「祈りと、瞑想と、    試練が神学者(宣教者)       をつくる。」          ルター           C.E.ヴィスロフ、『現代神学小史』

パラダイム転換 分析的にではなく包括的な思考 乖離より統合の強調 二元性(知性と肉体・主体と客体)の克服          D.ボッシュ、『宣教のパラダイム転換』           

神学者・宣教者の責任 啓蒙主義を通り越してきた今となっては、私たちの「信頼性の枠組み」を厳しい批判にさらさないことは無責任である。 今まで当然とされていたものとは違う真理の捉え方の可能性に対して、いつまでも真剣に取り組もうとしないことも無責任であろう。       D.ボッシュ、『宣教のパラダイム転換』 p.361

理性の転換 啓蒙主義の手段的理性は、コミュニケーション的理性によって補完されなければならない。人間存在は、明確に間主観的存在であるからだ。このことは、教会をキリストの体として、また、キリスト教宣教を運命共同体の形成として再発見することに関わっている。       D.ボッシュ、『宣教のパラダイム転換』 p.187

変化の時代  我々は変化の時代に住んでいる。その変化の時代とは、既に満足できないパラダイムと、まだ、大部分無定型ではっきりしないパラダイムの間にあるボーダーライン上の時代といえる。パラダイムが転換する時代というのは、その性質上、危機の時代である。               D.ボッシュ、『宣教のパラダイム転換』 p.192

宣教における基本的要素 1.認識的(Cognitive)基本要素(4) d.己を知ること 1)   主、隣人、そして、時代を知る        ことから派生的に認識する自分 2)   自分を見失うことは宣教の方向          性を見失うこと 3)  Am I doing right things? vs Am I doing things right? 4)   I am what I think you think that I am.

私とは…C.H.Cooley’s “Looking-Glass-Self” I am 私とは、あなたが私をこのように思っている に違いないと、私が考えるような、私である。 What I think 私とは、あなたが思って いるような私ではない。 you think 私とは、私が思っている ような私ではない。 that I am.

私とは…C.H.Cooley’s “Looking-Glass-Self” I am 私とは、神様(主キリスト)から見た私を、私で あると認めたその私がホントウの私である。 What I acknowledge What I think you think 神 YOU perceive that I am.

四つの自分 Johari’s Windows 自分に見える自分 他人に見えない自分 ・誰にも明らかな自分  -性別  -年齢  -目立つ性格 ・人には隠してある自分 ・マスクの裏にある自分 ・自分だけ知っている秘密 他人に見える自分 公の自分 秘かな自分 ・誰にも分からない自分 ・未開拓の自分 ・可能性を秘めた自分 ・他人には見えて自分  には見えない自分 -知らなかった能力 -気づかなかった弱点 見えない自分 隠された自分 自分に見えない自分

宣教師の役割期待・素質評価       両者から視た役割と素質 宣教師 牧師

順位相関係数 (Speaman’s Rank Correlation Coefficient)            6 S d2     r=1-――――――――                           n ( n2 -1) d = Rank X – Rank Y      n = Number of ranks       

牧師・宣教師の役割期待比較(1)

牧師・宣教師の役割期待比較(2)

宣教師の素質評価比較(1)

宣教師の素質評価比較(2)

宣教師の素質類別評価

宣教者の役割と素質 1) 本質的ニーズ(Real Needs) 2) 即時的ニーズ(Felt Needs) ・宣教者(牧師・伝道師・宣教師・教師)の宣教意識と宣教活動は、彼のおかれている社会・文化環境と時代のニーズに対応しているか     1)   本質的ニーズ(Real Needs)   2) 即時的ニーズ(Felt Needs)

宣教における基本的要素 2.行動的 (Behavioral)基本要素(1) a.語るという宣教行為   a.語るという宣教行為     ・ 語るための知的準備 (2テモ2:15)       1) 釈義へのプロセス(解剖的過程)            Decontextualization Process      2) 解釈へのプロセス(蘇生的過程)    Contextualization Process       3) 説教へのプロセス(宣教的過程) Proclamation Process

       IIテモテ2:15  あなたは熟練した者、すなわち、真理のみことばをまっすぐに説き明かす、恥じることのない働き人として、自分を神にささげるよう、努め励みなさい。(新改訳)  あなたは真理の言葉を正しく教え、恥じるところのない錬達した働き人になって、神に自分をささげるように努めはげみなさい。(口語訳)  あなたは、適格者と認められて神の前に立つ者、恥じるところのない働き手、真理の言葉を正しく伝える者となるように努めなさい。(新共同訳)

釈義から説教へ 1.釈義(解剖的)へのプロセス 2.解釈(蘇生的)へのプロセス 3.説教(宣教的)へのプロセス  1.釈義(解剖的)へのプロセス     Decontextualization Process      -何を意味したか  2.解釈(蘇生的)へのプロセス     Contextualization Process     -何を意味しているか  3.説教(宣教的)へのプロセス     Proclamation Process)     -何をすればよいのか 歴史的脈絡の概観 (Historical Context) ・言語学的な技術作業 (Linguistic Analysis) ・聖書著者の文化社会環境の把握 (Socio- Cultural Background) ・立場の霊的な転移 (Empathic Role-taking)

・ 聖書釈義から 説教へ 説教 解釈 釈義 2テモ2:15 Proclamation Process Contextualization Process Decontextualization Process 釈義

説教と説教者 内田和彦「新約聖書釈義から説教へ」 福音主義神学、第29号 「説教は説教者の人格に大きく左右される。それは説教が語る人を媒体とした神の御心の伝達であるからである。イエスの人格を通してご自身を表された神は、説教者を通して語りかける。説教は説教者の人格と切り離すことが出来ない。説教者が信頼されなければ、語っていることが真理であっても、聞く人の心に届かない。」     内田和彦「新約聖書釈義から説教へ」  福音主義神学、第29号   

釈義・解釈の究極の目的 これらのことが書かれたのは、イエスが神の子キリストであることを、あなたがたが信じるため、また、あなたがたが信じて、イエスの御名によっていのちを得るためである。 (ヨハ20:12)  …それは、何とかして、幾人かでも救うためです。 (1コリ9:22)

語る者 2テモ2:15 熟練と感動 釈義能力 客観性 真理 受容性 語り手の 人格 聞き手

宣教における基本的要素 2.行動的 (Behavioral)基本要素(2) b.聴(聞)くという霊的・牧会行為    b.聴(聞)くという霊的・牧会行為 ・語ることと聴くことの相関関係 ・語ることと聴くことの優先順位 ・聴いて語る優先順位の理由

認識と行動の連携 語る 静まる 聴 く 座る

Encoding Decoding 表層的理解 聞 深層的理解 聴 情報の蓄積 人格の成長

客観的現実から現実認識へ 現実理解 文化的背景 主観的選択 客観的現実

宣教における基本的要素 2.行動的 (Behavioral)基本要素(3) c.視るという伝道行為 ・ 聴くと視るとの相関関係   c.視るという伝道行為     ・ 聴くと視るとの相関関係     ・ 聴くと視るとの優先順位     ・ 聴くと視えるという因果関係

聴くと視るとの相関・因果関係 「聴く耳」があると「見分け」られる聖書原則 1) 試練の中に脱出の道が見えてくる。(1コリ10:13)   1)  試練の中に脱出の道が見えてくる。(1コリ10:13)   2) 患難のさなかに喜びが見えてくる。(ロマ5:3-4)   3) 死の影の谷に平安が見えてくる。(詩23:4) 「聴く耳」がないと見失う聖書原則   1) ヨナの例 (ヨナ1,2)    2) エマオの途上の弟子達(ルカ24:13-31)

宣教における基本的要素 3.感性的 (Affective)基本要素(3) a.感じ取ること ・宣教・牧会の対象に対する態度 b.共感すること  a.感じ取ること    ・宣教・牧会の対象に対する態度  b.共感すること    ・共感理解と目線の調整

宣教・牧会の対象に対する態度 「対象と共に体験しようとする共体験」と いわれる自己と対象間の心理的交渉」 1.同情理解   1.同情理解     (Sympathetic Understanding)   2.共感理解     (Empathetic Understanding)      「対象と共に体験しようとする共体験」と       いわれる自己と対象間の心理的交渉」

共感的理解と目線の調整 主イエスの目線の調整 1.「ことば」が人となって (ピリ2:6-8)    1.「ことば」が人となって (ピリ2:6-8)   2.あわれみ深い「大祭司」となって (ヘブ 2:17-18、4:15-16)    3. 罪人の救い主となって(ヨハ4:7-26) 使徒パウロの目線の調整 (1コリ9:19-22) 聖霊の目線の調整 (使2:7-11)

主イエスの目線の調整  キリストは、神の御姿であられる方なのに、神のあり方を捨てることができないとは考えないで、ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられたのです。キリストは人としての性質をもって現われ、自分を卑しくし、死にまで従い、実に十字架の死にまでも従われたのです。  (ピリ2:6-8)

主イエスの目線の調整   神のことについて、あわれみ深い、忠実な大祭司となるため、主はすべての点で兄弟たちと同じようにならなければなりませんでした。それは民の罪のために、なだめがなされるためなのです。主は、ご自身が試みを受けて苦しまれたので、試みられている者たちを助けることがおできになるのです。(ヘブ2:17-18)    私たちの大祭司は、私たちの弱さに同情できない方ではありません。罪は犯されませんでしたが、すべての点で、私たちと同じように、試みに会われたのです。                   (ヘブ4:15)

主イエスの目線の調整       イエスは旅の疲れで、井戸のかた                わらに腰をおろしておられた。時は             六時ごろであった。ひとりのサマリヤ              の女が水をくみに来た。イエスは                「わたしに水を飲ませてください。」                と言われた。   (ヨハ4:7)

宣教の目線調整    私はだれに対しても自由ですが、より多くの人を獲得するために、すべての人の奴隷となりました。ユダヤ人にはユダヤ人のようになりました。それはユダヤ人を獲得するためです。律法の下にある人々には、私自身は律法の下にはいませんが、律法の下にある者のようになりました。それは律法の下にある人々を獲得するためです。律法を持たない人々に対しては、――私は神の律法の外にある者ではなく、キリストの律法を守る者ですが、――律法を持たない者のようになりました。

宣教の目線調整  それは律法を持たない人々を獲得するためです。弱い人々には、弱い者になりました。弱い人々を獲得するためです。すべての人に、すべてのものとなりました。それは、何とかして、幾人かでも救うためです。私はすべてのことを、福音のためにしています。               (1コリ9:19:22)

牧会の目線調整    ユダヤ人もギリシヤ人もなく、奴隷も自由人もなく、男子も女子もありません。なぜなら、あなたがたはみな、キリスト・イエスにあって、一つだからです。                    (ガラ3:28)  

牧会の目線調整  そこには、ギリシャ人とユダヤ人、割礼の有無、未開人、スクテヤ人、奴隷と自由人というような区別はありません。キリストがすべてであり、すべてのうちにおられるのです。 (コロ3:11)

ペテロ・ヨハネの目線調整   彼は、ペテロとヨハネが宮にはいろうとするのを見て、施しを求めた。ペテロは、ヨハネとともに、その男を見つめて、「私たちを見なさい。」と言った。男は何かもらえると思って、ふたりに目を注いだ。すると、ペテロは、「金銀は私にはない。しかし、私にあるものを上げよう。ナザレのイエス・キリストの名によって、歩きなさい。」と言って、彼の右手を取って立たせた。するとたちまち、彼の足とくるぶしが強くなり、おどり上がってまっすぐに立ち、歩きだした。そして歩いたり、はねたりしながら、神を賛美しつつ、ふたりといっしょに宮にはいって行った。                                       (使3:3-8)

聖霊の目線の調整 …炎のような分かれた舌が現われて、ひとりひとりの上にとどまった。すると、みなが聖霊に満たされ、御霊が話させてくださるとおりに、他国のことばで話しだした。さて、エルサレムには、敬虔なユダヤ人たちが、天下のあらゆる国から来て住んでいたが、この物音が起こると、大ぜいの人々が集まって来た。

聖霊の目線の調整   彼らは、それぞれ自分の国のことばで弟子たちが話すのを聞いて、驚きあきれてしまった。彼らは驚き怪しんで言った。「どうでしょう。いま話しているこの人たちは、みなガリラヤの人ではありませんか。それなのに、私たちめいめいの国の国語で話すのを聞くとは、いったいどうしたことでしょう。」    (使2:3-8)

宣教の文脈化 『宣教活動における 目線の調整』 KK 「聖書の福音メッセージを特定の文化もしくは民族集団の言語と思想で明確に表現すること。」John Davis--Gordon Conwell Seminary 『宣教活動における   目線の調整』 KK -使徒パウロの定義 (1コリ9:20-22) -使徒ヨハネの定義 (ヨハ1:14)

文脈化教会  「日本のキリスト教は、輸入されたが移植されることのなかった鉢植えの植木に例えることができる。…西洋化された知性重視のキリスト教は、一般大衆の生活実感とはかけ離れたカプセルの中に生きる人々のものにしかすぎない。」             福田充男『文脈化教会の形成』p.16

目線の調整に必要な 宣教学的要素              霊的要素 宣教 認識的要素 行動的要素 感性的要素

目線の調整にに必要な 社会学的要素   (1)      自己の客観化能力   (2)      他者の役割取得能力   (3)      他者の文化の実存的理解      (目線の調整)

目線の調整に 必要な社会学的要素 他人の役割取得 自己の客観視 ままごと 他者の文化の実存的理解       目線の調整

目線の調整プロセス     Acculturation     Enculturation          Inculturation Inter-culturation

文脈化された宣教へ    変化の時代においては断定的な言葉を使うのは明らかに危険である。われわれに今可能なことは、せいぜいわれわれが進むべき方向の略図を描くことであり、出現しようとしているパラダイムの全体的な要点を示すことであろう。 D. ボッシュ『宣教のパラダイム転換』(下),p.195

文脈化された宣教の条件 祭司の心 預言者の(耳)目 僕の膝      KK

   私のことばと私の宣教とは、説得力のある知恵のことばによって行なわれたものではなく、御霊と御力の現われでした。それは、あなたがたの持つ信仰が、人間の知恵にささえられず、神の力にささえられるためでした。             (1コリ2:4-5)