国際収支と為替相場 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016.

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国際収支と為替相場 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016

為替相場とは、 為替相場=異なる国の通貨間の交換レート マクロ金融論2016 為替相場とは、 為替相場=異なる国の通貨間の交換レート 例えば、「1ドル=110円」というのは、1ドルの価値が110円に相当することを意味する。したがって、   1ドル=100円(ドル安)⇔1円=1/100ドル(円高)   1ドル=110円     ⇔1円=1/110ドル   1ドル=120円(ドル高)⇔1円=1/120ドル(円安)

マクロ金融論2016   国際金融と外国為替   国内金融取引   国内商取引 外国為替取引   国際金融取引   国際商取引 3

国際収支と外為取引の関係 財・サービスの国際取引→外為取引 生産要素サービスの国際取引→外為取引 資本の国際取引→外為取引 マクロ金融論2016 国際収支と外為取引の関係 財・サービスの国際取引→外為取引 生産要素サービスの国際取引→外為取引 資本の国際取引→外為取引 4

外国通貨に←外国経済主体と 対する需給 の経済取引 マクロ金融論2016 外国通貨に←外国経済主体と 対する需給    の経済取引 外貨に対する需要 外国商品の購入 外国サービスの購入 外国生産要素に対する報酬の支払い 外国実物資産の購入 外国金融資産の購入 通貨当局の外国為替市場での外貨買い介入 外貨に対する供給 自国商品の販売 自国サービスの販売 自国生産要素に対する報酬の受取り 自国実物資産の売却 自国金融資産の売却 通貨当局の外国為替市場での外貨売り介入

財・サービスの国際取引と外為取引 財輸出と財輸入の差=外貨需給 輸出 ↓ 輸出代金(ドル)を円に交換 【ドル売り円買い】 輸出=外貨供給 マクロ金融論2016 財・サービスの国際取引と外為取引 輸出   ↓ 輸出代金(ドル)を円に交換 【ドル売り円買い】 輸出=外貨供給 輸入   ↓ 輸入代金(ドル)のために円と交換 【ドル買い円売り】 輸入=外貨需要 財輸出と財輸入の差=外貨需給

生産要素サービスの国際取引と 外為取引 利子受取と利子支払の差=外貨需給 利子受取 ↓ 受取利子(ドル)を円に交換 【ドル売り円買い】 マクロ金融論2016 生産要素サービスの国際取引と 外為取引 利子受取   ↓ 受取利子(ドル)を円に交換 【ドル売り円買い】 利子受取=外貨供給 利子支払   ↓ 支払利子(円)をドルに交換 【ドル買い円売り】 利子支払=外貨需要 利子受取と利子支払の差=外貨需給

資本の国際取引と外為取引 資本輸入と資本輸出の差=外貨需給 資本輸入(対内投資) ↓ 資本(ドル)を円に交換 【ドル売り円買い】 マクロ金融論2016 資本の国際取引と外為取引 資本輸入(対内投資)   ↓ 資本(ドル)を円に交換 【ドル売り円買い】 資本輸入=外貨供給 資本輸出(対外投資)   ↓ 資本(円)をドルに交換 【ドル買い円売り】 資本輸出=外貨需要 資本輸入と資本輸出の差=外貨需給

国際収支表 経常収支:生産物(商品・サービス)と生産要素サービスの国際取引 貿易収支:生産物(商品)の国際取引 マクロ金融論2016 国際収支表 経常収支:生産物(商品・サービス)と生産要素サービスの国際取引 貿易収支:生産物(商品)の国際取引 サービス収支:生産物(サービス)の国際取引 第1次所得収支:生産要素サービスの国際取引 金融収支:資本の国際取引(直接投資、証券投資、金融派生商品、その他投資(銀行預金・融資)、外貨準備) 9

マクロ金融論2016 国際収支表の構成 10

マクロ金融論2016 図1:日本の経常収支の動向 11

日本の経常収支の構造変化 2007年以前:貿易収支黒字⇒経常収支黒字⇒資本輸出(=金融収支黒字)⇒対外資産累積⇒第一次所得収支黒字 マクロ金融論2016 日本の経常収支の構造変化 2007年以前:貿易収支黒字⇒経常収支黒字⇒資本輸出(=金融収支黒字)⇒対外資産累積⇒第一次所得収支黒字 2005年に、第一次所得収支黒字が貿易収支黒字を上回る。 2008年以降:世界金融危機による世界不況と超円高によって貿易収支悪化。さらに、2011年東日本大震災の影響を受けて、貿易収支赤字へ。2013年後半には経常収支赤字に。 12

為替相場の種類 二国間為替相場vs.実効為替相場 二国間為替相場:2つの国の通貨間の交換比率 マクロ金融論2016 為替相場の種類 二国間為替相場vs.実効為替相場 二国間為替相場:2つの国の通貨間の交換比率 実効為替相場:ある特定国の通貨の価値(通常は、貿易相手国通貨の加重平均値) 名目為替相場vs.実質為替相場 名目為替相場:通貨と通貨の交換比率(1ドル=S円) 実質為替相場:通貨の実質的価値の交換比率 (1ドル/(P*ドル/個)=S円/(P円/個) ⇒1ドル=(S×P*)/P円) 13

マクロ金融論2016 図2:名目二国間為替相場(円/ドル) データ:日本銀行 14

マクロ金融論2016 図3:実効為替相場(円) データ:日本銀行 15

為替相場の基本要素 為替相場決定の基本は、購買力平価と金利平価である。 財・サービスの国際取引 ↑ 商品裁定 ⇒購買力平価 資本の国際取引 マクロ金融論2016 為替相場の基本要素 財・サービスの国際取引     ↑ 商品裁定 ⇒購買力平価 資本の国際取引    ↑ 金利裁定 ⇒金利平価 為替相場決定の基本は、購買力平価と金利平価である。 16