インフレとデフレ 06F1221 12月14日 東海林 悠策.

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1 「マクロ経済学Ⅰ」 蓮見 亮
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バブル経済とその崩壊 石田 圭佑. バブル経済のメカニズム 土地や住宅、株式など、定価が定まっていない時価資産は、 取引のたびに刻々と約定価格を変化させる。時価会計におい ては、時価資産の資産価値は直近の約定価格に時価資産総量 をかけ合わせたものであり、市場における取引価格の変化が 会計上、社会全体の時価資産総額を大きく変動させる。
第8章 貯蓄,投資と金融システ ム 1.アメリカ経済における金融機関と市場 ( ↑ 日本経済でもほぼ同じ) 金融システムは、ある人の貯蓄と別の人の投資 を結びつける。投資の例として、 起業のための設備投資 住宅を購入する 金融システムは、金融市場と金融仲介機関の2 つのカテゴリーに分けられる 1 8.
終章 結論~迷走する経済学~ E班 堀口・石川・細野・武井・赤見・伊藤 デフレの原因はマネーサプライでもない!人工減少でもな い!ではデフレの正体は何か … この章ではその正体を含め、歴史的に見る経済低滞とデフレ の関係性、デフレの害悪、そして現在の経学の現状について も論じていく。 1.
国民所得 エンゲル係数:生活費に占める食事の割 合 所得の増加と逆に動く指数 食費:所得が増加してもそれほど増えな い なぜなら 娯楽費:所得が増加すると増加する このエンゲル係数を国際比較すれば、各国の生活水準を比べることができ る しかし ある国の衣服費だけ上昇したとする 生活費は上昇する、が、食費は上昇しないエンゲル係数は低下する.
経常収支とは?  一国の国際収支を評価する基準の一つ。  この 4 つのうち、 1 つが赤字であっても他で賄え ていれば経常収支は黒字となる。 貿易収支 モノの輸出入の 差 所得収支 海外投資の収益 サービス収支 サービス取引額 経常移転収支 対価を伴わない 他国への援助額 これらを合わせたものが経常収支.
Nov20 Takaaki Mitsuhashi Small and Medium Enterprise Management Consultant 護国ゼミナール 11月 「これからの日本を考える」
1 IV 長期における貨幣と価格. 第11章 貨幣システム 物々交換 欲望の二重の一致 1.貨幣の意味 貨幣の機能 – 交換手段 – 計算単位 – 価値貯蔵手段 富 流動性 貨幣の種類 – 商品貨幣 金本位制 – 不換紙幣.
貨幣の役割と貨幣市場 経済学B 第 9 回 畑農鋭矢 1. 貨幣の役割 価値尺度 財の価値を表す共通の尺度 交換手段 物々交換⇒欲望の二重の一致 貨幣によって交換が容易に 価値の保蔵手段 安全資産としての保蔵手段.
短期均衡 (2) IS-LM モデル 財市場 IS 曲線 – 財市場の均衡 – 政府支出の増加,減税 貨幣市場 LM 曲線 – 貨幣需要,貨幣市場の均衡 – マネーサプライの増加 IS-LM モデル – 財政政策の効果,金融政策の効果 – 流動性の罠 – 実質利子率と名目利子率の区別 貨幣供給.
貨幣について. 講義概要 貨幣の概念 名目と実質貨幣ストック 貨幣に対する需要 政府による金融政策.
QE 出口戦略 利上げ先行型. 前提 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 2 保有資産の売却は経済に悪影響を与える 主張 3 利上げは経済の安定に寄与する 以上三点により、 QE 出口戦略利上げ先行 型を主張します.
IS-LM 分析 マクロ経済分析 畑農鋭矢. 貨幣の範囲 通貨対象 M1M2M3 広義流動性 現金通貨(日銀券 +補助通貨) 預金通貨 (普通預金・当座 預金など) 主要銀行・信 用金庫など ゆうちょ銀 行・信用組合 など 準通貨 (定期預金など) 主要銀行・信 金など ゆうちょ銀 行・信用組合 など.
第1章 金融の基本的要素 Q.4~Q /5/6 棚倉 彩香.
世界ソブリンバブル衝撃のシナリオ 第8章国債バブル崩壊のシナリオ
21世紀のアメリカ経済 藤女子大学人間生活学部 内田 博
労働市場マクロ班.
1. Departamento de Consultoria e Assessoria
貨幣の役割と貨幣市場 経済学B 第11回 畑農鋭矢.
丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2006年11月16日
第1章 国民所得勘定.
第16章 総需要に対する 金融・財政政策の影響 1.総需要曲線は三つの理由によって右下がりである 資産効果 利子率効果 為替相場効果
デフレ 2309418 増田 涼.
藤女子大学人間生活学部 内田博 現代資本主義分析
マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
第3章 実態経済に大きな影響を及ぼす金融面の動向
通貨統合 第5回 国際金融論.
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
量的質的金融緩和は 日本にとってプラスか? 否定派.
第2章 バブル崩壊後における経済の長期停滞の原因をどうみるか
戦時中の高度成長期 高度成長期にはいくつかの制度がある。 一つ目は金融機関の専門化戦中に金融機 関が均質化したのとは著しくことなり、 高度成長期の金融制度は各金融機関ごと の分業主義に沿って組織化された。
日本のバブルと米国の サブプライムバブルとの比較
第8講 声高に叫ばれるピントのずれた 処方箋たち 上町 悠哉
前回分(第1章 準備,1-1):キーワード ・ 生産,分配,消費 ・ 市場と組織 ・ 競争市場と均衡 ・ 市場の失敗と政府の介入
スペイン財政支援の是非 <否定派> 田中・棚倉・川村・石塚.
貯蓄税導入の是非 ~否定派~ 松村・田邉・川村・藤山.
IS-LM分析 経済学B 第10回 畑農鋭矢.
マクロ経済学 II 第9章 久松佳彰.
第7章 どのように為替レートを 安定化させるのか
(景気が良くなり)ハンバーガーの需要が拡大すると
短期均衡モデル(3) AD-ASモデル ケインジアン・モデルにおける物価水準の決定 AD曲線 AS曲線 AD-ASモデル
金融の基本Q&A50 Q41~Q43 11ba113x 藤山 遥香.
三、安定成長期(1973年~1986年) 1 高度成長の挫折 2 産業構造の変化 3 円高と貿易摩擦 4 逆輸入と内需拡大.
6: 失業とインフレーション/デフレーション
マクロ経済学 II 第5章 久松佳彰.
硬直価格マネタリー・アプローチ MBA国際金融2016.
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
資源ナショナリズムについて 2012/01/20 長谷川雄紀.
マクロ経済学 II 第10章 久松佳彰.
マクロ経済学初級I 第4回.
最近の中国と通貨に関する動向 08ba231c 松江沙織.
国際貿易の外観.
経済入門 ⑦ 西山 茂.
デフレ・スパイラル 2009年以降の事例から 長谷川 正
2008年までの好景気がつづいた 世界経済が現在同時不況 日本経済?
第1章 1990年代以降の景気循環の特徴と景気の現局面の評価
VI 短期の経済変動.
第8回講義 マクロ経済学初級I .
金融政策と貸出金利 講義⑮ 目次 設備投資の変化要因 「市場金利」って何?!?! 借入金利とリスクプレミアム 市場金利と短期金利
日本の経常収支黒字  → 外国に失業輸出? 高齢化の進展 → 日本の国内貯蓄超過の減少         → 日本の経常収支黒字は減少へ.
元高の原因を追求    九州産業大学 金崎ゼミ 張 雷 徐 雲飛 .
第5章 貨幣と金融市場.
第6章 生計費の測定 生計費=生活費(cost of living) 生活水準の比較
岩本 康志 2013年5月25日 日本金融学会 中央銀行パネル
2004年度入門経済学1A 担当教員:奥井克美.
第6章 デフレの鍵は賃金 ー「なぜ日本だけが?」の答え
2009年7月 為替相場講演会資料 株式会社三菱東京UFJ銀行/東アジア金融市場部
12章 貨幣量の成長とインフレーション 1.インフレーションの古典派理論 物価水準と貨幣の価値は逆数の関係
IV 長期における貨幣と価格.
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インフレとデフレ 06F1221 12月14日 東海林 悠策

はじめに 政府が先月、日本は徐々にデフレ傾向にあると宣 言したのは記憶に新しいと思う。  デフレとインフレは私たちに身近な問題の一つ であることが分かる。  今回は少し詳しく調べてみたいと思う。

目次 インフレーション インフレ要因 ジンバブエ・インフレ デフレーション デフレ・スパイラル 日本のデフレ

インフレーション インフレーション (inflation) は、物価が持続的に上 昇する経済現象。 典型的なインフレは、好景気で経済やサービスに 対する需要が増加し、経済全体で見た需要と供給 のバランス(均衡)が崩れて、総需要が総供給を 上回った場合に、これが物価の上昇によって調整 されることで発生する。物価の上昇は貨幣の価値 の低下を同時に意味する。同じ貨幣で買える物が 少なくなるからである。

世界のインフレ率 紫色:デフレ状態 紺色:0-2% 水色:2-5%  緑色:5-10% 黄緑色:10-15%  橙色:15-25% 赤色:25%

インフレ要因1 ディマンド・プル・インフレーション  需要(通貨量)が過度に増えることで引き起こ されるインフレのことで、需要インフレーション ともいいます。 通貨量は、景気が好調であるときに拡大します。 好景気で需要が拡大して物価が上昇すると、企業 収益が増えます。すると賃金(所得)が増えて需 要が拡大するという好循環を生み出します。需要 型のインフレは、経済の好循環がもたらすところ に大きな特徴があります

インフレ要因2 コスト・プッシュ・インフレーション  供給側の原因(原材料費や賃金の上昇など)で 引き起こされるインフレのこと。

インフレ要因3 輸出インフレ  輸出の増大により発生する。企業が製品を輸出 に振り向けたことにより、国内市場向けの供給量 が結果的に減って発生する。 輸入インフレ  他国の輸入を通じて海外のインフレが国内に影 響し発生する。穀物を輸入していた国が、輸出元 の国の内需が増加したり、輸出元が他の需要国へ 輸出を振り分けたりした場合に、穀物の輸入が減 少し穀物価格が上昇する。

インフレ要因4 構造インフレ 産業によって成長に格差がある場合に、生産性 の低い産業の物価が高くなり発生する。  産業によって成長に格差がある場合に、生産性 の低い産業の物価が高くなり発生する。  例えば効率の良い製造業で生産性が上がり賃金 が上昇したとする。これに影響を受けてサービス 業で生産性向上以上に賃金が上昇するとサービス 料を上げざるを得なくなるため、インフレを招く。

インフレ要因5 財政インフレ  政府の財政支出拡大を原因として、国内の需給 逼迫や政府公債の中央銀行引受による貨幣供給拡 大により発生するインフレ。 信用インフレ  銀行が過度な貸付や信用保証を行うことにより 発生する。金融部門の信用創造機能が過剰に働く ことにより、貨幣の流通量が増大する。

インフレの速度別分類 クリーピング・インフレ ハイパー・インフレ ギャロッピング・インフレ 緩やかに進むインフレ。 好況期に見られる。 インフレ率 年数% ギャロッピング・インフレ 足早に進むインフレ。 馬の速足「ギャロップ」から。 年数十% ハイパー・インフレ 猛烈な勢いで進行するインフレ。 通貨の信用が失われた状態。 月率50%程度から

タイムリーなお話 ジンバブエのインフレ 2008年3月のインフレ率  355,000%  1年前の物の値段が  約355,000倍

ジンバブエのインフレ原因 ディマンド・プル 2000年以降、農産物の生産が激減  2000年以降、農産物の生産が激減  主要輸入品目である燃料(ガソリン)や電力(全体使 用料の40%が輸入)が不足 コスト・プッシュ  賃金(賃上げを要求した結果)や原材料(原油などの輸 入品)の価格が上昇し、それらが製品価格に転化され 製品価格が値上りするため

ジンバブエのインフレ原因 外貨不足からくるインフレ 外貨の獲得手段である、観光業の減衰や輸出が 減少している  外貨の獲得手段である、観光業の減衰や輸出が 減少している  1998年~2002年のコンゴ内戦参加での外貨使用や  IMF(国際通貨基金)へ債務返済での外貨使用などで、 国内の外貨が不足しているため  食糧不足により、ミリミル(トウモロコシの粉)や 小麦粉もかなりの量を輸入し、それらの購入に使われ る多額の外貨を流出しているため

デフレーション デフレーション(deflation)とは、物価が持続的に下 落していく経済現象を指す。 物価の下落は同時に貨幣価値の上昇も意味する。 同じ金額の貨幣でより多くのものを買えるように なるからである。なお、株式や債券、不動産など 資産価格の下落は通常デフレーションの概念に含 まない。

生活への影響 好影響 物価下落により実質金利(実質利回り)が上昇する。 悪影響  物価下落により実質金利(実質利回り)が上昇する。   デフレの局面では物価下落を織り込んだ金利が形成されるため、 市中金利は低下する。そのため国債などの債券保有者は、すで に保有している(高利回り)債券の価格が上昇し名目資産・実質資 産とも増大する。   制度次第であるが、名目額が固定された収入(年金など)がある場 合、物価の下落により実質的な生活水準が向上する。 悪影響  住宅ローンなどで債務を抱える家計は、物価の下落によって実 質的な債務が増大する。  名目金利の低下により、市中変動型の債権(普通預金など)の利子 収入は減少する。  名目金利の低下する速度以上の物価の下落が発生している局面 では、実質金利が上昇し投資活動が低下する。

デフレスパイラル 物価下落 企業の売上の減少 企業収益の滅少 企業行動の 慎重化 個人消費などの最終需要の滅少

デフレ対策 政策金利や公定歩合の引き下げ 低所得者への所得保障や最低賃金の引き上げ 政府保証や政府買い取り制度(金融資産、穀物・ 原油など基幹資源など) 累進課税制度など税制による所得の再分配(ビル ト・イン・スタビライザー) 財政出動による総需給ギャップの改善                   etc……

バブル崩壊後の日本のデフレ 急激な利上げと総量規制による貸出の制限でマ ネーサプライの伸びがマイナスになるほどの引締 め政策でバブル経済が崩壊した1992年以降、ディ スインフレ(物価上昇率の低下)の傾向を示すよ うになり、1997年の消費税等の増税・歳出削減な どの緊縮財政により消費者物価上昇率がマイナス になり、デフレの様相を呈するようになった。 1997年に発生したアジア通貨危機やこれに続いた 日本の金融危機も原因として挙げられている。日 銀による2000年のゼロ金利政策解除や2001年の国 債30兆円枠による緊縮財政などの経済政策の失敗 により、デフレ不況がさらに激しくなった。

バブル崩壊後のデフレ デフレ期待を解消し停滞を打破するために量的金 融緩和が開始された。この政策には、ゼロ金利の 長期化が予想されることで中長期の金利を低下さ せる時間軸効果があるとされる。名目金利は0% までしか下げられず、デフレ下ではそれ以上の金 融緩和ができない 2006年では、2002年からの緩やかな景気回復によ り消費者物価指数ベースでのデフレ終了が見込ま れているが、量的緩和解除が時期尚早でデフレが 終わらない可能性を指摘する人もいる。 そして2008年の世界金融危機とそれに伴う不況に より、デフレスパイラルは日本のみならず世界規 模での再来が懸念されている

タイムリーなお話 政府は20日に発表した11月の月例経済報告で、 日本経済は「緩やかなデフレ状況にある」と認定 した。  政府による「デフレ宣言」は、2006年6月 以来、3年5カ月ぶり。  先行きの景気下押しリスクに「デフレ」を新た に加え、政府として、持続的な物価下落が景気に 悪影響を与えかねないとして警戒感を強めた。

デフレ宣言 原因 1)物価の基調判断として重視しているコアコアC PIが6カ月連続で前月比マイナスになったこと デフレ宣言 原因 1)物価の基調判断として重視しているコアコアC PIが6カ月連続で前月比マイナスになったこと 2)名目国内総生産(GDP)成長率が実質GDP成 長率を2四半期連続して下回ったこと 3)需給ギャップの大幅なマイナスが続いていると見 込まれること

おわりに 「インフレとデフレ」といっても、原因は様々あ ることが分かった。 なぜデフレになったのか? なぜインフレになったのか?  なぜインフレになったのか?  この疑問を解決するだけでも、その国の経済が みえてきてとてもタメになった。

参考文献 経済のニュースがよく分かる本  著:細野真宏  2008年9月6日出版 WEB  ALL ABOUT