1886年の学会発表 男性ヒステリーに関するフロイトの伝説 当然の前提であったが、シャルコー説からの離脱 歴史的経緯

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1886年の学会発表 男性ヒステリーに関するフロイトの伝説 当然の前提であったが、シャルコー説からの離脱 歴史的経緯   当然の前提であったが、シャルコー説からの離脱 歴史的経緯  医学会のなかでのヒステリー論  外傷-スティグマ説(シャルコー)批判  ヒステリーの消滅

フロイトの対象喪失 1890年にヨゼフ・パネートが亡くなっている。  フロイトの対象喪失 1890年にヨゼフ・パネートが亡くなっている。 1891年エルンスト・フライシェル・フォン・マルコフが依存症のすえ亡くなっている。 1892年にブリュッケが亡くなっている。 1893年にはシャルコーが亡くなっている。   それぞれ息子の名前をもらっている人物  96年にすでに死んでいた父親が亡くなる。

無意識の証拠となるもの 夢の分析 錯誤行為の分析 神経症の治療

錯誤(失錯)行為 物忘れやいい間違えなどの失敗行為の無意識の動機を分析する Fehrleistung=過失の達成 失敗 成功

夢の分析 科学的なモデルの提示 顕在内容 不安夢 二次加工 夢は無意識への王道:願望充足である 夢の仕事 日常残渣 潜在内容

神経症の治療 自由連想法を用いて、患者の無意識的な原因を解明する 解明したものが、患者の人生にどのような影響を与えているかを伝える 治療の中でどのような影響を与えているかを明確にしていく 洞察によって、神経症が治癒される

進化論者フロイトを悩ませた問題 抑圧と道徳心の発生 なぜ性なのか 神経症の選択

抑圧と道徳心の問題 1893-97 初期の抑圧理論 外傷と両立不能な観念 1896-1913 器質的な抑圧とにおい感覚 1893-97  初期の抑圧理論 外傷と両立不能な観念 1896-1913 器質的な抑圧とにおい感覚 1912-1923 文化と道徳心の系統発生的な起源 1923-    超自我

なぜ性なのか 1893-97 「不可欠な前件」としての性体験 1896/7-1913 性、器官的抑圧、神経症 1893-97 「不可欠な前件」としての性体験 1896/7-1913         性、器官的抑圧、神経症 1913-30 親族の系統発生理論 1930   性と家族と親族の進化論

神経症の選択 1893-97 現実神経症、精神神経症 誘惑理論 1897-1913 発達論による解釈 性発達理論 1913-1939 統合 1893-97 現実神経症、精神神経症       誘惑理論 1897-1913 発達論による解釈       性発達理論 1913-1939 統合       遺伝と幼児体験             ↓            リビドー固着と外的経験

ヒステリー研究 催眠から自由連想法 ヒステリーにおける抑圧のメカニズム    外傷と忘却→抑圧 外傷だけではない    抑圧

性の源泉と目標と対象 倒錯の二種 対象のインヴァージョン 目標とパーヴァージョン あらゆる人の起源に倒錯がある →(多形倒錯)     対象のインヴァージョン     目標とパーヴァージョン  あらゆる人の起源に倒錯がある                   →(多形倒錯)    生得的要素   →性感帯と二相説    生活上の影響  →神経症

抑圧と性と神経症:力動(エネルギー論)→診断への示唆 神経症は倒錯の陰画である    性愛の発散、抑圧の推進、昇華、     ←(偶発的事件、早熟、時間的契機        固執性、固着)

多形倒錯とジャクソニズム 進化と退行

性心理発達 口唇期 肛門期 男根期とエディプス期 児童期(潜伏期)に向けての統合 学習と文化へ

エディプス・コンプレックスの視座 性心理発達、性的組織化の視点 家族関係、内在化の視点 対象関係の視点 神話・物語の視点 「父を殺したい」-自己分析から出発    → 性心理発達、性的組織化の視点 家族関係、内在化の視点 対象関係の視点 神話・物語の視点

性的組織化の視点 1.フロイトの性科学的発想 2.臨床:ドラ、ハンス少年 「子どもの性理論」(1908) 結婚遊び、お医者さんごっこ、「赤ちゃんはどこから」、無性理論、一孔理論、性-暴力(原光景)理論 3.フロイトの定式化 A.「エディプス・コンプレックスの解消」(1924) B.「性の解剖学的差異の心的結末」(1925) C.「女性の性愛について」(1931)

性的組織化の視点(2) 4.ジョーンズの定式化 5. ホルナイ(1924)、ドイチェ(1930) クライン(1926、1928) 「女性の性愛の早期発達」(1927) 5. ホルナイ(1924)、ドイチェ(1930) クライン(1926、1928) 6.ブルンスビック(1940) 「リビドー発達の前エディプス期」

性的組織化の視点(3) 組織化の問題. ブロス,P. preoedipal→ dyadic stage of. development. positive or,negative oedipus complex→. other-gender and same-gender directed. dyadic allogender-dyadic isogender comlex. triadicc allogender-triadic isogender complex.

性的組織化に対してのハンスの事例 はやくはユングが、そして今日では対象関係論が、性的な組織化がフィクションであると見なしている      →にもかかわらず   性心理発達、すなわち類心理現象としての性の問題を扱った新しい知見は登場していない。