2011年インターゼミナール 中京大学 増田 淳矢ゼミ

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2011年インターゼミナール 中京大学 増田 淳矢ゼミ ファストフードから見た 健康への影響分析 2011年インターゼミナール 中京大学 増田 淳矢ゼミ

はじめに ファストフードとは? 具体的な定義はまちまちだが、ここでは外食産業のなかでも以下の条件に当てはまるものとする。 ①手軽 ②安価 ③高カロリーなもの

ファストフードの栄養を見る 実際に売られているファストフードの栄養価と人一人が一日に必要とされる栄養とを見比べてみる。 ここでは日本のファストフード市場の中でも売上げが上位のマクドナルド、ケンタッキー・フライドチキン他、日本特有のファストフードである牛丼の栄養価を見る。

一日の栄養摂取目安量 成人男性の一日の摂取目安 2650 60 58.9以上 88.3未満 331.3以上463.8未満 9未満 エネルギー(kcal) タンパク質(g) 脂質(g) 炭水化物(g) 食塩相当量(g) 成人男性の一日の摂取目安 2650 60 58.9以上 88.3未満 331.3以上463.8未満 9未満 成人女性の一日の摂取目安 1950 50 43.3以上 65.0未満 243.8以上341.3未満 7.5未満 以下のデータは未満で統一

マック ハンバーガー 275 12.3 10.6 32.4 1.5 ポテト(M) 454 5.3 24.2 53.7 0.5 コーラ(M) 店名 商品名 エネルギー (kcal) タンパク質 (g) 脂質 炭水化物 食塩相当量 マック ハンバーガー 275 12.3 10.6 32.4 1.5 ポテト(M) 454 5.3 24.2 53.7 0.5 コーラ(M) 140 0.0 35.1 セット (上記3種) 869 17.6 34.8 121.2 2.0 吉野家 牛丼(並) 674 20.4 22.4 97.8 3.0 ケンタッキー チキン 237 18.3 14.7 7.9 1.7 ポテト(S) 186 2.2 7.2 28.0 1.0 (チキン2ピースポテト(S)) 660 38.8 36.6 43.8 4.4 調整

マクドナルド ハンバーガーセットの栄養価 エネルギー:869kcal たんぱく質:17.6g 脂質:34.8g 炭水化物:121.2g

吉野家牛丼(並)の栄養価 エネルギー:674kcal タンパク質:20.4g 脂質:22.4g 炭水化物:97.8g 食塩相当量:3.0g

ケンタッキーチキンセットの栄養価 エネルギー:660kcal タンパク質:38.8g 脂質:36.6g 炭水化物:43.8g

エネルギー、脂質、炭水化物、たんぱく質、ナトリウム     食事摂取栄養基準が示された栄養 カルシウム、リン、鉄、 マグネシウム、カリウム、銅、ヨウ素、 マンガン、セレン、亜鉛、クロム・・ エネルギー、脂質、炭水化物、たんぱく質、ナトリウム ファストフードに含まれている栄養は、必要な栄養の一部でしかない

ファストフードの栄養価からいえること ファストフードの栄養は、一食で摂取する栄養としてはいささか偏り気味である。 また、多くの栄養のうち一部の栄養しか摂取できないということにも気をつけたほうがよい。

ファストフードの影響 ファストフード自体の栄養の偏りは実際にわかった。 ここで、実際に日本ではどういう影響があるのか見ていく。 いくつかの統計データを用い、その関係性について2つの仮説をたてて検証する。

仮説 子供の肥満傾向はファストフードの消費量に比例して年々大きくなっている。 仮説1 仮説2 子供の肥満傾向はファストフードの消費量に比例して年々大きくなっている。 ファストフードの消費量が多くなるとそれらが発症の一因とされる病気による死亡者数は増加する。

仮説1 子供の肥満傾向はファストフードの消費量に比例して年々大きくなっている。 ファストフードの代表としてハンバーガーの消費量を見る。 これを子供の肥満傾向と相関させて見たとき、ハンバーガーの消費量が増えると子供の肥満傾向は大きくなるといえるのでは? 子供に比べ大人は飲酒・喫煙・老化による影響が大きいので、ファーストフードとの影響を見たときの正確なデータを得ることが難しい

肥満度=(実測体重-身長別標準体重)/ 身 長別標準体重 × 100(%) 肥満傾向児のデータに関して 今回は6歳から14歳までの各年齢の肥満傾向児の出現率を見る。 肥満傾向児出現率の求め方 2005年までは,性別・年齢別に身長別平均体重を求め,その平均体重の120%以上の者。 2006年からは,以下の式により性別・年齢別・身長別標準体重から肥満度を求め,肥満度が20%以上の者。 肥満度=(実測体重-身長別標準体重)/ 身       長別標準体重 × 100(%)

年齢別肥満傾向児の出現率 2005年までのデータと2006年からのデータを調整済

ハンバーガー・菓子の1世帯あたりの 平均消費量(2人以上世帯) 肥満率 ハンバーガー 菓子類 6歳 10歳 14歳 2000年 4.81 9.95 8.61 31.345 759.497 2001年 4.75 9.99 8.85 36.974 762.086 2002年 4.72 10.06 9.25 31.273 774.259 2003年 4.64 10.11 8.79 32.858 769.276 2004年 4.48 8.83 34.825 755.756 2005年 4.68 9.48 8.64 38.092 748.340 2006年 5.34 10.20 10.22 35.941 754.630 2007年 10.29 9.50 37.193 758.566 2008年 4.55 10.39 9.29 38.859 747.114 2009年 4.36 9.54 8.89 42.830 736.282 2010年 4.34 9.28 8.65 45.269 730.194

年齢別肥満率とハンバーガーの相関図  6歳

年齢別肥満率とハンバーガーの相関図  10歳

年齢別肥満率とハンバーガーの相関図  14歳

年齢別肥満率と菓子類の相関図 6歳

年齢別肥満率と菓子類の相関図 10歳

年齢別肥満率と菓子類の相関図 14歳

仮説1 結論 ハンバーガーの消費量が増えると肥満傾向児の出現率減。 菓子類の消費量が増えると肥満傾向児の出現率増。 ハンバーガーよりも菓子類のほうが 肥満への影響が大きく、ハンバーガーが 肥満の原因とは言いがたい。

仮説2 仮説2 ファストフードの消費量が多くなるとそれらが発症の一因とされる病気による死亡者数は増加するのではないか? ハンバーガーの消費量と各病気の死亡者数との関係を見る。

外食と健康の研究 参考 アメリカの国際脳卒中学会での発表 ミシガン大学のルイス・モーガンスターン博士ら 脳卒中発症率  外食と健康の研究 参考 アメリカの国際脳卒中学会での発表 ミシガン大学のルイス・モーガンスターン博士ら 脳卒中発症率 ファストフード店の店舗集中エリアが少ないエリアに比べ13%高い。  「我々や我々の子供たちは、居住環境に大きな影響を受けている」 海外の研究 ファーストフード店集中エリアと脳卒中リスクの関係 2009年、ミシガン大学のルイス・モーガンスターン博士らによって、ファーストフード店が集中しているエリアでは、ファーストフード店が少ないエリアに比べて13%も脳卒中の発症率が高いとアメリカ国際脳卒中学会で発表される。 研究はテキサス州南部のニュエセス郡で、1,247人の脳卒中患者を対象に2,000年から2003年に実施される。 結果、周囲に12件のファーストフード店があるエリアに比べて、周囲に33店舗もファーストフード店があるエリアでは23%も脳卒中のリスクが高く、年齢、性別、人種などを考慮した上でも、13%も脳卒中リスクが高いことが分かった。 特徴として、急かすようなサービス、少ない従業員、テイクアウト、前払い制という四要素のうち2つ以上をそれぞれのファストフード店が持っていた。 一方で、この研究ではファストフードの食事と脳卒中リスクの関係や、ファストフード店が集中するエリア内の健康施設やグリーンスペースの数、近所づきあいのストレスなどを調べていないので直接的な因果関係を明らかにするものではない。

仮説2 塩分や脂質の過剰摂取によってひき起こされる病気の総称である心疾患と脳血管疾患について調べてみることにした。 動脈硬化 高血圧 心疾患 塩分 脂質 過剰摂取 メタボリック この研究結果から日本の脳卒中患者とファストフードにおける関係を調べようと思ったが、脳卒中に関するデータが少なかった。 心疾患とは、心臓病の総称であり代表的な物として心不全などがある。 脳血管疾患とは、脳梗塞、くも膜下出血などに代表される脳の病気の総称。 脳血管 疾患

ファストフードの代表としてハンバーガーを例に取り、ハンバーガーの消費量と心疾患や脳血管疾患での死亡者数の相関を調べてみる。

心疾患での死亡者数とハンバーガーの消費量との 相関データ

脳血管疾患での死亡者数とハンバーガーの消費量との 相関データ

同じ原因から生ずることの多い病気でも一概にハンバーガーの消費量が多いことが原因とは言い切れない。 仮説2 ハンバーガーの消費量が増えると心疾患での死亡者数は増える。 ハンバーガーの消費量が増えると脳血管疾患での死亡者数は減る。 結論 同じ原因から生ずることの多い病気でも一概にハンバーガーの消費量が多いことが原因とは言い切れない。

まとめ 仮説1、2を見たときにどちらもハンバーガーの消費量が肥満、病気に影響しているとは言いがたかった。  仮説1、2を見たときにどちらもハンバーガーの消費量が肥満、病気に影響しているとは言いがたかった。  つまり体にあまりよくないと一般に言われているハンバーガーを代表としたファストフードは、過剰摂取でもしない限りは健康には大きな影響を及ぼさないといえる。  言い換えれば、ファストフードそれぞれの栄養価に対して懐疑的になるよりもバランスのよい食生活を心がけることのほうが大切である。

参考  海外の研究: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2745509/ 和訳参考:医療ジャーナリスト宇山恵子の取材日記 http://blogs.yahoo.co.jp/antiaging_no1/58664545.html マクドナルドHP  http://www.mcdonalds.co.jp/menu/index.html 吉野家HP  http://www.yoshinoya.com/menu/don/gyudon.html#materials すき家HP  http://www.sukiya.jp/menu/#/forhere,gyudon,m_00 松屋HP  http://www.matsuyafoods.co.jp/menu/list/ ミスタードーナッツ カロリー  http://www.misterdonut.jp/m_menu/eiyou/eiyou.pdf#search グリコ栄養成分ナビゲーター「日本人の食事摂取基準」(2010年版)  http://www.glico.co.jp/navi/e07.htm 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2010年版) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html 東京都福祉保険局  http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/hoei/hoei_016/hoei_16a.html