2011応用行動分析(3) 行動分析学基礎 HP:望月昭のホームページ ブログ:「対人援助学のすすめ」
応用行動分析学の特徴 2)を選ぶことを「宣言」します! ・なぜ、ある行動をするのか 1)生物学的属性、個人の「能力」? 2)現在と過去の環境との相互作用? 2)を選ぶことを「宣言」します! (どちらが科学的に正しいという事ではない) 2
行動主義の流れと 行動分析学の特徴(復習) 1) S ー R (行動主義初期:Watson) 2) S ー O ー R (新行動主義:Hull, など) 3) S・・・・R・・・・ S (行動分析学:Skinner)
行動は、 S-R型と S-R-S(SD-R-RFT) がある。 行動分析学(Skinner,B.F.) S-R ではなく S-O-R でもなく 行動は、 S-R型と S-R-S(SD-R-RFT) がある。
行動分析学の基本 1. 行動は2種類に分類(S-R: S-R-S) 2.新しい行動の作り方 レスポンデント条件づけ オペラント条件づけ
1. 行動を分類(表現)する 分類する、ということも、一種の行動である。 血液型の性格分類といった行動はなぜ維持されるのか? 1. 行動を分類(表現)する 分類する、ということも、一種の行動である。 血液型の性格分類といった行動はなぜ維持されるのか? 従来の行動の分類: 生得的行動、本能的行動、後天的行動、 意識的行動、無意識的行動、Etc 挙げていけば、際限なし
行動の分類: レスポンデントとオペラントという分類 レスポンデント オペラント 背伸びをする 歩く 目に光りが入ると瞳孔が縮む。 本を読む 行動の分類: レスポンデントとオペラントという分類 レスポンデント オペラント 背伸びをする 歩く 本を読む 考える 投票行動をする 相づちをうつ げんをかつぐ 目に光りが入ると瞳孔が縮む。 膝を叩くと伸びる(膝蓋腱反射) 新生児の原始反射 温度や緊迫状況などでの発汗、心拍昂進、
レスポンデントとオペラント:分類の基準 レスポンデント オペラント 無意識的? 意識的? 生得的? 後天的(学習的)? レスポンデント オペラント 無意識的? 意識的? 生得的? 後天的(学習的)? 先行する刺激に専ら統制される 後続する刺激によって次の機会での消長が決まる どのように操作可能か、という分類の仕方をすることで、はじめて実践的に使える(業務用心理学)
オペラント: 後続する刺激に影響を受ける? 1)時間的に後に出現する刺激によって影響を受けるとは? 2)そうした概念(表現)が生み出す機能は?
問題です。 泣くという行動は、レスポンデントかオペラントか? その「泣き」の消長の決め手は?
分類することの意味は何か? 「だきぐせ」を例に 分類することの意味は何か? 「だきぐせ」を例に 赤ん坊が泣いている(why?) 抱く、ミルク、おしめ 空腹? 腹痛? 泣く 先行刺激が専ら原因なら 後続刺激が維持するなら レスポンド泣き? オペラント泣き? 先行刺激操作で変化したら レスポンデント オペラント 後続刺激操作で変化したら この場合、「変化」はいつみてるか?
S R S 空腹? 泣く ミルク 泣きやむ レスポンデント? オペラント? ミルクは先行刺激を変えたのか? 反応の結果として機能したのか?
先行する「刺激」に統制されているのか、後続する「刺激」に統制されているのか? 自傷(Self Injurious)行動の原因 Story 1: 先行する刺激や「心の傷」が原因 Story 2: 後続する刺激(注目など) が原因 対処の仕方がかわってくる
問題:次の行動の後続刺激は? S R S 背伸びをする 歩く 本を読む 考える 投票行動をする 相づちをうつ げんをかつぐ
2. 新しい行動の作り方 レスポンデント行動と オペラント行動では、「作り方」が異なる。
レスポンデント行動の作り方 新しいレスポンデント反応の形成 ・レスポンデント条件づけ 特徴:反応の形態自体は(基本的に)同じ 新しいレスポンデント反応の形成 ・レスポンデント条件づけ 特徴:反応の形態自体は(基本的に)同じ 新しい先行刺激の統制を受けるようになる パブロフの犬 口に食べ物 無条件刺激 唾液反射 無条件反応 条件反応(反射) 音刺激 定位反射無条件反応 対提示操作 新しい刺激-反応の組み合わせは、先行刺激の対提示のみで成立(レスポンデント条件づけ)
学習されたレスポンデント行動の 消去と忘却 ・消去:条件刺激のみ提示される 条件刺激に新しい刺激が対提示される ・忘却:条件刺激自体が提示されない。 問題:「匂い刺激で、昔の思い出が、よく蘇る理由は?」(視覚や聴覚に比べて)
オペラント行動の作り方 「明日までに、デンショバトが、キーをつついてえさを食べられるように訓練してきなさい」 反応キー(オペラントの対象) えさ呈示装置
行動形成(shaping) 1) 言語教示 2)手取り、足取り 3)モデリング 4)漸近的接近(行動形成)
行動形成 反応キー(オペラントの対象) 4)キーをペック(反応) したら強化 えさ呈示機から食べる えさ呈示装置 3)さらに上で強化 4)キーをペック(反応) したら強化 3)さらに上で強化 2)少し上で強化 1)餌呈示装置の近くで類似の反応を強化(えさ呈示) えさ呈示機から食べる
反応に後続する刺激によって消長決定 新しいオペラント反応の形成 ・オペラント条件づけ 新しいオペラント反応の形成 ・オペラント条件づけ 特徴:反応の形態自体、また先行刺激 の統制も、いずれも新たに学習される。 新しい反応形態の獲得の具体的方法 ・シェイピング(漸近的接近) ・モデリング ・物理的(身体的)介助 ・言語的指示 など 反応に後続する刺激によって消長決定
後続事象だけで行動するか? ハトが満腹だったら? エサが強化子となるためには? ・ 空腹(状態)で表現するか、操作(絶食させる)で表現するか? → 確立操作(Establishing Operation)
SD・・・・・・ R・・・・・・・・ RFT オペラント行動成立の表現 弁別刺激 反応 強化 SD・・・・・・ R・・・・・・・・ RFT SE 確立刺激(操作) ●弁別刺激:その刺激の下での反応が強化される。 ●確立刺激:強化刺激の効果を決定する
弁別刺激と確立刺激 電信柱の上で、工事している作業員が、 ナットの緩みを発見した。ところがスパナを持っていなかったので、近くにいた同僚に、 「スパナを取ってくれ」と要求した。 「スパナを取ってくれ」という行動の、 弁別刺激は? 確立刺激は?
オペラント行動の消長の操作 強化と罰
対人援助全般の作業における 行動分析的表現による一般的な目標設定 「正の強化」で維持される行動の機会を持ち、その機会が拡大していくように援助すること [正の強化]:本人にとって、好ましい結果事象を随伴させることによって、行動が成立・維持させる操作 [負の強化]:嫌悪的な刺激事象がなくなるという随伴性によって行動を成立・維持させる操作(いやいや行わせる)
行動の増大(維持)/減少をひきおこす二つの随伴性の手続き(強化/罰) 行動への効果で区別:「好ましい」はずなのに・・ 反応増大(維持) 反応減少 刺激の出現 正の強化 正の罰* 刺激の除去 負の強化* 負の罰 *罰の効果:「天罰」しか効かない(?) **負の強化:逃避(escape)/回避(avoidance) それまで行動を維持していた強化を中止することで行動が減少していくこと・・・ 消去
「意図」と「事実(効果)」の違い ・「ごほうび」を与える ・「体罰」を与える 一見、ややこしい分類をする意味 ・「ごほうび」を与える ・「体罰」を与える 与える側が「正の強化」と意図していても 効果は逆のことがある 「正の罰」と意図していても強化になる 場合もある
なぜヒトは「罰」を使ってしまうのか 「正の強化」でも「負の強化」であっても、 ヒトは即時的な強化に弱い
★ 即時的行動随伴性と社会的相互作用 「抱き癖」行動随伴性 赤ん坊の「泣く」行動 先行状況 抱かれていない 行動 泣く 後続状況 抱かれる 行動 泣く 後続状況 抱かれる 母親は、子どもの「泣く」行動を維持している 随伴性に気づいているかも知れない。 しかし維持している自分の行動を止めることができない
母親の「抱く」行動 先行状況 泣声あり 行動 抱く 後続状況 泣き声なし 一時的だが即時的環境変化 行動は、遅延する環境変化よりも、即時的な環境変化に影響を受けやすい
★社会的悪循環 「やめさせたい」と思っているのに、かえってやまらなくなってしまう相互的行動随伴性の状況 抱く 即時性が絡む 泣きやむ 泣く 抱く 即時性が絡む 泣きやむ 泣く ベッドに寝かせる
「問題行動」 いやしくも「慢性的」になっているので問題視されている。 慢性的とは、当該行動が周囲との行動随伴性関係において「社会的悪循環」になっている場合が多い。 →つまり、「やめさせたい」という思いが強いがゆえに「やめさせられない」場合がある。 →あるいは、(実際には効果のない)「やめさせる行動」自体が他から強化されて、維持している場合もあるかも知れない。
Question: ●赤ん坊の「抱き癖」を停止するには? 1)赤ん坊の行動への操作: 2)母親の行動への操作: ●問題行動への対処はどうしたらよいか? 1)ボーダラインのヒトへの対処の失敗 2)自傷行動に対応するにはどうしたら?