二分脊椎症の リハビリテーション 首都大学東京 OT学科 3年 澤田 有希

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二分脊椎症の リハビリテーション 首都大学東京 OT学科 3年 澤田 有希 澤田 有希 これから、二分脊椎症のリハビリテーションについて話したいと思います。 首都大学東京 作業療法学科3年 澤田有希と申します。不十分な点もあると思いますが、最後までよろしくお願いします。 Rehab-PAL(リハーパル)とは Rehab-PALは、Rehabilitation Portal And Lineの略であり 「リハビリテーションについて集い、学び、実行する『玄関』」です。 Rehab-PALは、リハビリテーションを取り巻く関連職種の学生・現場・教育のネットワークを作り、患者さんを取り巻く生活環境をより良いものにしていこう! と昨年発足した学生団体です。 5月6月には、バリアフリーセミナーと題し、病院建築のバリアフリー、バリアフリーカンパニーの中沢氏をお呼びして「こころのバリア」についての講演・車椅子体験、福祉用具のスペシャリストの先生をお呼びした講演の全3回のイベントを行ってきました。 今後も交流をかねて、リハドリンクなどを開催していく予定です。HPもありますので、ぜひ拝見ください。

はじめに 二分脊椎症とは? どんな症状・合併症があるのか リハビリテーションではどんな点を評価するのか どんなリハビリテーションを行うのか 胎生初期の形成異常により脊髄が障害され、運動知覚障害・直腸膀胱障害を呈する疾患である。 どんな症状・合併症があるのか リハビリテーションではどんな点を評価するのか どんなリハビリテーションを行うのか 二分脊椎症とは、胎生初期の形成異常により脊髄が障害され、運動知覚障害、直腸膀胱障害を呈する疾患です。先天性の脊髄損傷ともいうべきものです。 では、まず具体的にどんな症状・合併症があるのかを見ていきたいと思います。(これは、ほかの方の発表と重なる部分もありますので、流して生きたいと思います。) そして、私の本題であります、評価とリハビリテーションについてみていきたいと思います。

症状 上肢 下肢 排尿 排便 脊髄レベルが高くなればなるほど、機能の消失は大きくなる 対麻痺、知覚障害 L1・2 S2・3・4 二分脊椎症は、主に、腰椎や仙椎で発生します。それらの部分からでる神経は、下肢の運動・知覚を支配するものです。そのため、両下肢が麻痺となる対麻痺や、下肢の知覚障害が生じます。脊髄のレベルが高くなればなるほど、機能の消失は大きくなります。たとえば、この部分が障害された場合、これより下の部分の神経の働きが障害されることになり、これより上の機能は正常な働きをします。 しかし、上肢は、腰椎や仙椎ではなく、首の辺りの頚椎からの神経によって支配されているため、上肢が犯されることはめったにありません。 また、発生しやすい部分からは、排尿や排便にかかわる神経も出ています。腰椎からでる神経は上からL1~L5に分かれ、仙椎から出る神経はS1~S5に分かれています。そのうち、L1・2、S2・3・4により、排尿と排便の機能は支配されています。そのため、これらの部分が障害されることにより、排尿・排便障害が現れます。便秘、便失禁、排尿困難、尿失禁などの症状が現れます。とくに、排尿障害としては、神経による膀胱の調節機能が失調した状態である神経因性膀胱が頻発します。さらに膀胱の尿が腎臓まで逆流する尿管逆流現象や腎盂腎炎などにより水腎症、腎不全となることがあります。 排尿 排便 L1・2   S2・3・4 排尿・排便障害

合併症 アーノルドキアリ奇形 水頭症 知能低下 上肢の巧緻性低下 頭蓋底(頭の骨の底)で脊髄との移行する部分の脳(後脳)の先天異常 髄液の流れや産生、吸収のどこかに異常が起こることで、髄液が脳室内に貯留して脳を圧迫し、脳の機能に障害が生じるもの 知能低下 上肢の巧緻性低下 合併症として、脳のレベルの障害がおこります。顕在性二分脊椎症の場合には「アーノルドキアリ奇形」という脳の異常があります。これは、単に「キアリ奇形」とも呼ばれ、頭蓋底で脊髄と移行する部分の脳の先天異常です。 これによって、生まれてすぐに問題となるのは、水頭症です。 脳と脊髄には髄液といわれるものが循環しています。髄液は、脳の中心部にある脳室の脈絡叢という部分で作られ、中脳水道などを流れ、第四脳室にある孔からクモ膜下腔へいき、血液系に帰っていきます。この循環のどこかがふさがれたとき、髄液の流れが遮断され、脳室の中に髄液がたまってしまいます。そのため、脳室が拡大し、脳に障害を与えるのです。これが、水頭症といわれるものです。 水頭症によって、脳室が拡大し、脳が圧迫されると、知能低下が起こったり、二分脊椎症の直接の症状としてあまり侵されないといった上肢にも巧緻動作の低下が起こります。

評価 麻痺の高位 ―Sharrardによる、麻痺レベルの分類 下肢の変形 移動能力 ―Hofferらによる移動能力の分類 ADL 環境 上肢機能 知的レベル 以上のような症状に対して、評価をしていきます。 まず、下肢の対麻痺に対して、麻痺の高位を評価します。これには、「Sharrardによる麻痺レベルの分類」を用います。これの評価は、リハビリテーションのゴールの予測・設定、下肢の変形の解析、歩行障害の状態にもかかわってきます。また、歩行に際して、装具の処方の決定にも関係してきます。 麻痺レベルの分類により将来の移動能力も予測できます。それは、Hofferらによる移動能力の分類により評価することができます。L3以下で、装具や杖は使用しますが、歩行が可能となります。 しかし、移動能力の阻害因子となるのが、変形になります。そのため、変形についても、その上体について評価を行う必要があります。 以上のようなことにより、ADLが阻害されます。そのADLの状況についても評価する必要があります。さらに、住宅などの環境についても評価を行います。就業や就職に関しての能力等を評価する場合もあります。 また、水頭症が起こることにより、上肢機能、知的レベルの評価も行います。 水頭症の場合

リハビリテーション① 移動の自立 座位・立位・歩行 装具療法 変形・拘縮の予防と矯正 車椅子 障害部位 装具使用で歩行 残存部位 歩行可能 第1群 第2群 第3群 第4群 第5群 第6群 神経(根) Th12 L1 L2 L3 L4 L5 S1 S2 S3 車椅子 残存部位 障害部位 リハビリテーションは、移動能力の自立、排泄処理の自立、社会的自立を目標として行われます。 移動能力の自立は、さきほどのSharrardによる麻痺レベルの分類による脊髄の障害レベル・年齢・発達に応じて行われます。まずは、座位から始まり、立位、歩行の自立へのリハビリテーションを行います。 脊髄の障害レベルにより将来の移動能力は乳幼児から予測することができます。第1群では車椅子移動、2群では、歩行は可能だが、車椅子移動が実用的であり、第3群(L3)以下では、装具・杖使用で歩行レベル、第4群(L5)以下では、装具は使用しますが、杖が不要となり、第5群以下では、杖も装具も必要なくなります。 装具も、麻痺レベルにより、異なり、長下肢装具・短下肢装具・杖・車椅子などが用いられます。それらの適合にも、リハビリテーションに関係する理学療法士・作業療法士がかかわります。 脊髄の障害レベルにより移動能力が予測できるといいましたが、成長とともに発生した変形・拘縮などのマイナス要素が加わり予測よりも機能が悪くなることもあります。そのため、リハビリテーションでは、下肢の変形・拘縮予防・矯正も重要になります。 次に、排泄処理の自立についてですが、排泄の処理が不十分で、尿失禁などがあると、社会生活の障害となりうることがあります。知的能力が保たれていれば、間欠的自己導尿が行われ、それにより、排泄処理の自立が可能となります。リハビリテーションとしては、排泄に必要な移乗能力の確保や、衣服の工夫、排泄をしやすくするための福祉用具の処方、家屋改造などの環境の整備などを行います。 社会的には、ADLや就学・就職などの自立を目指します。最初にあげた移動能力の自立を目指し、さらに、発達に合わせて、衣服の着脱、整容動作などの日常生活動作を行えるようにしていきます。また、就学・就職の際、教育の場への設備の改善等を行う場合もあります。 水頭症により、上肢機能に障害があれば、上肢機能へのアプローチを行うし、知的に障害が残れば、それへのアプローチを行っていきます。 また、就学以後肥満傾向を示すことが多く、それにより、歩行が障害される場合もあります。それゆえ、それに対するアプローチも必要になります。 さらに、知覚障害があるため、坐骨部等の褥瘡に気をつけることも大切になります。 リハビリテーションでは、これらを目標としますが、対象となる方の全体を見て、QOLの向上を目指してアプローチすることが大切になります。 。。 麻痺高位に応じて、立位訓練(装具の使用、遊びを取り入れた訓練により感覚を養う、3歳前後より杖歩行 装具使用で歩行 歩行可能

リハビリテーション② 排泄処理の自立 社会的自立 移乗の自立 福祉用具の使用 環境の整備 ADL 就学・就職 次に、排泄処理の自立についてですが、排泄の処理が不十分で、尿失禁などがあると、社会生活の障害となりうることがあります。知的能力が保たれていれば、間欠的自己導尿が行われ、それにより、排泄処理の自立が可能となります。リハビリテーションとしては、排泄に必要な移乗能力の確保や、衣服の工夫、排泄をしやすくするための福祉用具の処方、家屋改造などの環境の整備などを行います。 社会的には、ADLや就学・就職などの自立を目指します。最初にあげた移動能力の自立を目指し、さらに、発達に合わせて、衣服の着脱、整容動作などの日常生活動作を行えるようにしていきます。また、就学・就職の際、教育の場への設備の改善等を行う場合もあります。 水頭症により、上肢機能に障害があれば、上肢機能へのアプローチを行うし、知的に障害が残れば、それへのアプローチを行っていきます。 また、就学以後肥満傾向を示すことが多く、それにより、歩行が障害される場合もあります。それゆえ、それに対するアプローチも必要になります。 さらに、知覚障害があるため、坐骨部等の褥瘡に気をつけることも大切になります。 リハビリテーションでは、これらを目標としますが、対象となる方の全体を見て、QOLの向上を目指してアプローチすることが大切になります。

まとめ リハビリテーションでは、患者をトータルに評価し、個々にあわせたリハビリテーションを行う QOLの向上 リハビリテーションだけでは一面しか見えない。チーム医療が必要 小児から成人まで総合的なケアが必要 二分脊椎症でのリハビリテーションとして、移動・排泄・社会的な側面について述べましたが、それだけではなく、患者の全体を見るように評価を行い、個々に合わせたリハビリテーションが必要となります。また、それにより、患者のQOLが向上することがリハビリテーションの最大の目的だと考えます。 また、リハビリテーションだけでは、二分脊椎症のすべての部分を見ることはできません。脳神経外科、小児科、小児外科、泌尿器科、整形外科、リハビシテーション科などを中心に共同チーム医療が必要とされます。そのため、今回のイベントのようにさまざまな観点からみることが大事になってきます。さらには適切な医療の他に教育、就職、結婚等の問題まで総合的なケアが必要だといえます。