カワモズクニュース№25 25.10.1 〔市場峡公園・ミョウテンジカワモズク〕 今年3月に訪れた安室川の「川を耕す」に倣って、4月の掃除のとき池の床や石を磨きました。その時は思うようにアオミドロは除去できなかったと思っていましたが、6月頃から石枠、池床、周囲の石に藻体がポツポツと見えてきました。7月、5㎜以上の藻体を数えると40株にもなりました。周辺の石からの発芽は2010年以来です。池に流れが出来たことと、池を磨いた効果があったと思われます。 それらはミドリカワモズクを含むアオカワモズクでした。 8月に入るとアオミドロがふえてきて8月下旬には池を覆うようになりました。清掃の時浮いたカワモズクが見られました。 池は例年になく緑藻類の繁茂が盛んです。アオミドロは池の中に分厚く広がります。上に浮いているのはサヤミドロ?のようです。取ろうとしても、流そうとしても扱いが難しい緑藻です。 写真(左)石にシャントランシア体から発芽した藻体ですが、写真(右)アオミドロが繁茂しカワモズクは成長が止まった様子です。アオミドロとカワモズクの共生は難しいと思えます。 ←池の様子↑サヤミドロ? 周囲の石から発芽(8月3日) アオミドロの中に藻体は埋もれてしまいました。(8月16日) 9月1日池の掃除をしました。 周囲の石にもブラシをかけました。アオミドロと一緒にカワモズクのシャントランシア体も取れてしまったかもしれない。 採取して顕微鏡で見てみると、シャントランシア体に発芽の様子(矢印)があり、一安心でした。 残ったシャントランシア体
白子湧水とカワモズク(その3) 〔熊野神社〕 熊野神社の裏に湧水の池があります。今建設中の社務所の傍らに湧水を引き込んだ水桶があります。2011年12月、偶然水受けを覗くとそこに小さなカワモズクの藻体が確認できました。 採取し顕微鏡で見みると小さい配偶体でしたが造果器、精子嚢があり、果胞子体もありました。 造果器と側枝についた精子嚢 熊野神社の受精毛は下膨れのプックリしたとても可愛い形です。造果器の側枝に精子嚢を持つミョウテンジカワモズクの特徴を持っています。 もっと検体が見たいのですが、今年5月から水量が減り今は枯れています。 2011.12 藻体とシャントランシア体 果胞子体 〔白子桝〕 県道109号線を挟んで熊野神社の南側、交差点のマンション傍らに湧水の円形の桝があります。 ここは以前、白子郵便局の駐車場で四角い桝がありました。2001年から湧水調査で毎月立ち寄り、夏でも冬でもカワモズクが生息しているのを見ていました。桝の形は変わっても同じ湧水が引き込まれているので、この桝にも必ずカワモズクが生息すると思ってみていました。すると2010年12月桝の内側に藻体の発生がありました。 200mほど曳いてくるので桝の水温は外気温に左右されます。 夏はシャントランシア体で過ごし、晩秋から配偶体が現れます。 白子桝のカワモズクの受精毛も、熊野神社のそれととてもよく似た下膨れのプックリした可愛い形をしています。そして造果器の側枝に精子嚢を持ち、その点から見ればこれもミョウテンジカワモズクですが、藻体数が少ないのでまだ断定できていません。 マンション脇の白子桝 下:果胞子体をつけた配偶体 上:造果器と側枝の精子嚢 下:果胞子体・造胞糸と果胞子 白子・大阪湧水林保全の会 須貝 郁子