第2章 消費者行動へのアプローチ 1節 消費者行動と心理学 2節 経済学と消費者行動 3節 消費者行動研究の推移 4節 消費者行動研究の方法 第2章 消費者行動へのアプローチ 1節 消費者行動と心理学 2節 経済学と消費者行動 3節 消費者行動研究の推移 4節 消費者行動研究の方法 5節 消費者行動の概念モデル 6節 消費者意思決定の概念モデル 7節 消費者をどう見るのか
Psychology and Industrial Efficiency 1節 消費者行動と心理学 産業心理学における消費者行動研究 産業心理学はアメリカ系,経済心理学がドイツ系。 産業心理学はミュンスターベルグ(1913)の本↓ Hugo Münsterberg (1913) Psychology and Industrial Efficiency http://psychclassics.yorku.ca/Munster/Industrial/ 広告心理学 米国では1900年頃から心理学者が広告の研究をしていて,広告心理学の本を出していた。 Scott(1908)など
ドイツ系からみた消費者心理学
2節 経済学と消費者心理学 素朴心理学が前提 古典派経済学 限界効用 2節 経済学と消費者心理学 素朴心理学が前提 古典派経済学 限界効用 P.D.ベネット・H.H.カサージアン(1979)消費者行動 ダイヤモンド社 2章 を見よ 合理性をめぐる問題
古典派経済学の前提となっている「経済人」 1.すべての代替案(選択肢)を知っている。 2.代替案のもたらす結果についての情報が完全である。 3.明確な価値体系をもっているために,最適な代替案を選択することができる。 (有斐閣「経営学小辞典」1981) →人間の能力を絶対的なものとした「全知的合理性」をもつ
H.A. Simon 限定された合理性 広義では,合理性は a.所与の条件と制約に規制された限界内で b.ある目標を達成するのに適当である 行動スタイルを指す。
経営人 主観的合理性(限定された合理性) 手続き的合理性 現実の人間は経済人の場合のような完全な合理性は有せず,彼の合理性は限定されたものでしかない。 事実に即してモデル化された人間類型。
経営人→ 主観的合理性(限定された合理性)手続き的合理性 1.意思決定に先立って挙げうる代替的行動はごくわずかでしかない。 2.それらの代替的行動の結果についても部分的にしか知ることができない。 3.また,挙げられた代替的行動の中から最適の行動を選択することはできず,「満足しうる」行動を選択してよしとする。→発見法 つまり 満足化 しかできない。
経済人→最適化 経営人→満足化
3節 消費者行動研究の推移 年代区分を次のように読み替える。 1.広告研究 (知覚研究中心と単なる心理学の知見の適用) 3節 消費者行動研究の推移 年代区分を次のように読み替える。 1.広告研究 (知覚研究中心と単なる心理学の知見の適用) 2.モティベーション・リサーチ 3.実証性・厳密に統制された実験や調査 (近代,科学)→統計学 4.情報処理パラダイム(モデル・観察) 5.ポストモダン的研究(定点観測など) http://www.web-across.com/observe/d6eo3n000000n0j3.html
実証性・厳密に統制された実験や調査(近代,科学)において重要なこと 仮説演繹法 仮説構成体-演繹-検証 どうしたときに実証できたといえるのか。 先付けは仮説を検証したことになるが,後付け(結果を見てからいうこと)は検証したことにはならず,単なる感想か,仮説を作った段階 この区別が重要
後ろ向きの研究(過去を見る)と前向きの研究(可能性を見る) マーケティングは可能性を見る研究も重要である。このとき過度に実証性にこだわるのは問題 消費者は今までなかったものを想像することが難しい サンプルの取り方(敏感なサンプルをとる vs. 全体を代表するサンプル) さらに大胆な試行錯誤
4節 消費者行動研究の方法 (1)面接法(モティベーションリサーチ) (2)観察法(定点観測=ポストモダン)基本 (3)プロトコール分析(情報処理モデル) (4)プロセス分析法(実験観察法) (6) 質問紙調査(内観) (7) POSデータ(行動観察)→行動ターゲティング広告 (8) 心理生理学的方法(実験法,反応観察)
質問紙(アンケート)調査 ・ 観察・実験 実験者のコントロール 被験者の主観性・指標の客観性 統計等の処理法 事前計画性 専門家・素人・サンプルの代表性
5節 消費者行動の概念モデル 1 消費目標達成と購買意思決定 問題解決行動として位置づけ,意思決定過程を中心問題とする。
2 概念モデルの意義と問題点 モデルは何らかの類比。メタファー。 人間は時計,コンピュータなど。 フローチャート的にモデル化するとき 2 概念モデルの意義と問題点 モデルは何らかの類比。メタファー。 人間は時計,コンピュータなど。 フローチャート的にモデル化するとき コンピュータのプログラムを組むときは「機能」をボックスに入れる。 http://www.weblio.jp/content/%E6%A9%9F%E8%83%BD
M.ドゥ・メイ『認知科学とパラダイム論』産業図書1990(1982)p149-160) 曖昧な領域でモデル化というよりも図式化しようとするとき,コンピュータのフローチャートのように書いているようでもボックスは「機能」ではないことが多い。そこでは概念図式が使われている。概念図式:それがなければお互い無関係なままの観察結果のなかからあるパターンを明るみに出す(クーン)=>知識の体系化のための枠組み 例:態度,意図
6節 消費者意思決定の概念モデル の単純モデル 1897 からといわれるAIDA attention→interest→desire→action 注意→ 興味 →欲望 →行為 これにsatisfaction をつけた AIDAS などたくさんのバリエーションがある.(AIDMA) 情報処理過程または販売時の説得過程 もうひとつ問題解決過程のモデルが1923からある(Strong,1925より).
1 ハワード=シェス・モデル 入力 → 生体 →出力 S O R 刺激 反応 刺激 →知覚構成体→学習構成体→購買 1 ハワード=シェス・モデル 入力 → 生体 →出力 S O R 刺激 反応 刺激 →知覚構成体→学習構成体→購買 比較的情報処理モデル的な構成。 とりあえずフローチャートになっている。
購買行動を問題解決と考えた (1) 広範問題解決(徹底的問題解決) この製品クラスは私のもの? 選択基準なども作る (1) 広範問題解決(徹底的問題解決) この製品クラスは私のもの? 選択基準なども作る (2) 限定問題解決 このブランドは私のもの? 選択基準がある (3) 習慣的反応行動(便宜品・コンビニエンス)
John A. Howard 文献 行動主義の時代 情報処理的 情報→ブランド認知,確信,態度→意図→購買 (三 浦一訳)(1967).新しいマーケティングの理論 : 経営者と購買者行動. ダイヤモンド社(ori.1963) 情報処理的 John A. Howard and Jagdish N. Shet h. (1969) The theory of buyer behavior . Wiley. ジョン・A.ハワード著 ; 八十川睦夫 [ほか] 訳 (1982)消費者行動 : 理論の応用.新評社(ori.1977) 情報→ブランド認知,確信,態度→意図→購買 Consumer behavior in marketing strategy / -- Prentice Hall (1989) 1994に2版
2 Engel, Blackwell, Miniard (EBM) model 図をいくつか修正 処理の流れまたは変数群を4つに分ける 入力 情報処理 意思決定過程 意思決定過程に影響する変数
EBMモデルの特徴 処理の流れまたは変数群を4つに分ける 入力 情報処理 意思決定過程 意思決定過程に影響する変数
EBMモデルの問題解決 EBMのいう問題解決の広範問題解決,限定問題解決,習慣的行動とハワードのいうのとでは少し定義が違っている。
7節 消費者をどう見るのか (1)経済人(economic man) 合理的意思決定 (2)受身人(passive man) 情報に流されてしまう (3)認知人(cognitive man) 情報を積極的に求める (4)感情人(emotional man) イメージ広告.喜び,恐怖,希望,愛,性,ファンタジー,マジック Schiffman,L.G.,& Kanuk,L,L.(1991) 消費者の意志決定の4つのモデル