経済と株価ー講義① 企業活動と付加価値①・・・会計上の考察 ・企業の付加価値と株価 ・貸借対照表(B/S)上の利益 ・損益計算書(P/L)上の利益 ・利益処分と内部留保 ・付加価値の配分装置としての企業 ・企業の責任
「経済と株価」の講義予定 企業活動と付加価値 経済統計と株価 企業価値(バリュエーション) 株価と投資心理 現状の経済と株価 ①会計上の考察・・・本日の講義 ②GDP上の考察 経済統計と株価 ①消費関係指標と投資関係指標 ②その他の経済統計 企業価値(バリュエーション) ①将来利益の現在価値の意味 ②資金調達方法の違いと企業価値(中立命題など) 株価と投資心理 ①景気循環と投資家心理 ②株価とコンセンサス 現状の経済と株価 ①サブプライム・ローン問題と世界のマネーフロー ②リーマンショック前後の考察 ③現状の株価動向と経済
企業の付加価値と株価 春セメの講義で話したように、株式は「元本の返済」「確定した支払い」を約束していないものの、当該企業に「利益」があれば、その利益の配分を受ける権利があることを約束している。 したがって・・・ この「利益」が株価の源泉になる。 ここで「利益のうちから配当が支払われる」ことになるが、配当を支払った残りは、企業の内部留保として残される。 また、企業が解散される場合には、当該内部留保額も含めた残額(残余財産)は、株主のものになることから、最終的には「利益はすべて株主のものになる」と考えられる。
貸借対照表(B/S)上の利益 株主総会 損益計算書 第1期首 期末 第2期首 資産 負債 資産 負債 資産 負債 資本 資本 資本 付加価値 当期未処分 利益 内部留保 付加価値 =この期の儲け 配当
損益計算書(P/L)上の利益 顧客の消費 おカネ 売上 売上原価 売上総利益 販売費及び一般管理費 営業利益 経常 利益 利害関係者 家計 企業の収入 売上原価 売上総利益 原材料等の仕入れ先へ支払い 販売費及び一般管理費 営業利益 本業の利益 従業員等に給与等として支払う 営業外費用 (-営業外収入) 経常 利益 日本における主要な利益概念 利害関係者 家計 特別 純損失 税引き 前利益 企業 株式における配当の源泉となる利益 税金 純利益 当期 国など
利益処分と内部留保 内部留保されたものは、次期以降の生産に使用される。 配当 当期未処分利益 株主へ 株主総会 内部留保 企業に還流し、拡大再生産に使用。 内部留保されたものは、次期以降の生産に使用される。 ただし、企業が解散等する場合、内部留保を含む企業の残余財産は株主に返還される。 したがって、利益は最終的に株主に返還されるといえる。
付加価値の配分装置としての企業 国など 株主 家計部門 税金 給与等 配当 顧客 おカネ 利益 企業 商品(売上) 内部留保 原材料等の仕入れ 企業部門
企業の責任 企業は様々なステークホルダー(企業の関係者)に対して付加価値の配分を行っている。 しかし・・・ 「利益が出せない(つまり、「赤字」)」の場合、生産を縮小するため、原材料の仕入れを抑えたり、リストラによって給料の支払いを抑えたりすることになる。 そうすると・・・ ステークホルダーの所得が減少することになる。 当然、税金も支払えないし、配当も支払えないことになる。 このように「企業が利益を出せない」というのは、この企業に対するステークホルダーすべてにマイナスの影響をもたらすことになる。 以上から、「企業が利益を出す」というのは、企業にとっての最低限の責任であり、通常、企業は「利益を出すために存在している」と考えられている。