Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について

Slides:



Advertisements
Similar presentations
J.Kominato 個別ケアプラン作成の留意点 個別ケアプラン作成の留意点 J.Kominato.
Advertisements

介護支援サービス(ケアマネジメント) 要援護者やその家族がもつ複数のニーズと社会資源 を結びつけること。 要援護者の生活の質を高めること。 保健,医療,福祉,住宅等の各種公的サービスだけ でなく,家族、ボランティア,近隣等の支援とも調整 し,在宅生活を支えていくもの.
パーソンセンタードケアの構成要 素 ① アルツハイマー病の人々の Personhood 人 格は、失われるのではなく、次第に隠さ れていく ② すべての場面で、アルツハイマー病の 人々の Personhood 人格を認める ③ ケアと環境を、個人に合わせる ④Shared decision making.
キー・コンピテンシーと生きる 力 キー・コンピテンシー – 社会・文化的,技術的道具を相互作用的に活用する力 – 自律的に行動する力 – 社会的に異質な集団で交流する力 生きる力 – 基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと, 自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え, 主体的に判断 し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力.
学習目標 1 .セルフマネジメントモデル,学習援助型教育とは何か を理解する. 2 .セルフマネジメント支援のために必要な構成要素につ いて理解する. 3 .セルフマネジメントにおいて看護職に求められる能力 と責任について理解する. SAMPLE.
言語教師としての 役割と認知 平成 21 年度教員免許状更新講習 3 共立女子大学 02/08/2009 笹島茂 1.
信心を抱くということ... 信心を抱くということは、神の意志について未だに理解 できなかったり、それがたとえ私たちを喜ばせてくれる ものでなかったとしても、受け入れることです。 もし私たちに、神と同じように全てを出発点からその結 末まで見る能力があったとしたら、どうして私たちの人 生が慣れない道や私たちの理解や望みと相反する道をた.
痙直型四肢まひを持つ こどもさんのケアについて 大阪府理学療法士会 障害児保健福祉部 榎勢道彦. 地域の普通中学校 に通う 15 歳の男の 子 ゲームセンターに行ったり、キャンプに行っ たりと好きなことはたくさんあります。 最近ではパソコンが使えるようになったので、 メールやインターネットでの検索もよくやっ.
広義の自閉症と考えてよい。 知的障害のある「自閉症」「非定型自閉症」と、知的障害のない「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などがある。
研修のめあて 授業記録、授業評価等に役立てるためのICT活用について理解し、ディジタルカメラ又はビデオカメラのデータ整理の方法について研修します。 福岡県教育センター 教員のICT授業活用力向上研修システム.
6 校務の情報化 6.学校に関する情報の発信.
1.「時間感覚」のズレを直す 2.「他者の承認」の仕組みを生かす
企業における母性健康管理体制の現状と課題についてお話いたします。
いじめ防止全体指導計画 【対応1】 未然防止・早期発見 【対応2】 緊急対応・早期対応 いじめ発生 基本姿勢 雲仙市立千々石第一小学校
情報モラル.
「道徳の時間」の進め方について 球磨教育事務所  .
Ⅱ 訪問介護サービス提供プロセスの理解 Ⅱ 訪問介護サービス提供プロセスの理解.
      特別支援学校 高等部学習指導要領 聴覚障害教育について.
「存在の肯定」を規範的視座とした作業療法理論の批判的検討と 作業療法・リハビリテーションの時代的意義 田島明子
6.総合事業・整備事業への移行 【参考】大和高田市のケアプラン分析の例
対人コミュニケーション 人間 人間 二者間あるいは少人数間の 情報交換の過程 深田 1998.
東京経営短期大学 経営総合学科 准教授 玉田 和恵
重点目標 ことばを 大切にし  共に高まろう 受信→熟考→発信.
平成26年度 鶴ヶ島市立新町小学校グランドデザイン めざす学校像 一人ひとりが輝き、確かな学力が獲得できる学校
セッションの目的 コミュニケーションのプロセスを認識する 優れたコミュニケーションスキルを明確にする
子どもの幸せと健やかな成長を図る 社会の実現を目指して
プレゼン資料(進行者用・研修者用) 校内研修会 学級の人間関係づくり② ~ SSTとアサーショントレーニング ~
子どもたちが発達段階に応じて獲得することが望ましい事柄
高等学校(工業) 工業高校におけるキャリア教育 マナー.

知的システムデザイン研究室 吉田武史,奥田環,上村祐子

Ⅲ.サービス開発の方法.
重症心身障害児者等 支援者育成研修テキスト 5 ライフステージにおける支援① 各ライフステージにおける 相談支援に必要な視点
介護予防サービス・支援計画表 記入のポイント.
介護支援専門員 ケアマネジャー サービス担当者会議.
文字だけで 気持ちは伝わる? コミュニケーション(マナー・ルール) ■指導のねらい
受講日:   月  日 暗黙知の見える化ワーク 第3回 コミュニケーションと表情.
インターネット上のコミュニケーションの 特徴について 正確な情報伝達が可能 気持ちが伝わりづらいという欠点も まとめ
東京経営短期大学 経営総合学科 准教授 玉田 和恵
杉戸町立高野台小学校 児童数 287名 学級数12(普通11.特殊1) 教職員数 19名 平成19年10月27日(土)
輝いて、自宅で ~終わりよければすべてよし~
末期がん 【症例2】 ・口腔衛生不足 ・歯科疾患(う蝕・歯周病) ・口腔乾燥、口内炎、出血、 味覚異常など ・摂食嚥下機能低下
相談支援従事者初任者研修のカリキュラムの改正について
公益社団法人 日本青年会議所 道徳教育推進委員会 おや どう 今日からやれる親道.
受講日:   月  日 暗黙知の見える化ワーク 第1回 コミュニケーションとは.
教師にとっての「生の質」 青木直子(大阪大学).
情報通信ネットワークと コミュニケーション
いきいき笑顔応援プロジェクトによる支援の流れ確認シート
今後めざすべき基本目標 ―「ケアの流れ」を変える―
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 2 計画作成① 重症心身障害児者等の 意思決定支援
やまゆり居宅介護支援事業所 管理者 中束 奈津紀
トピック6 臨床におけるリスクの理解と マネジメント 1 1.
いきいき笑顔応援プロジェクトの流れとSPDCAサイクル
中間管理職向け研修のご提案 部下達の能力をX倍化する 株式会社プレジャーポケット.
南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史
1日目 10:05~10:25〔20分〕 【講義】研修の意図と期待すること
Ⅳ.生活支援コーディネーターが行うべきアセスメントと支援の視点
派遣先企業の皆様へ ご協力のお願い 聴くチカラ 伝えるチカラ 遂げるチカラ 律するチカラ
文字だけで 気持ちは伝わる? コミュニケーション(マナー・ルール) ■指導のねらい
あいサポート条例(愛称)素案の概要 1 制定の目的 2 条例案の内容
図15-1 教師になる人が学ぶべき知識 子どもについての知識 教授方法についての知識 教材内容についての知識.
文脈 テクノロジに関する知識 教科内容に関する知識 教育学 的知識
福岡県教育センター ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 研修担当の先生へ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ビデオレビューによる 外来教育 北海道家庭医療学センター 草場鉄周.
実習プログラミングシート 時間 実習課題(ねらい) 具体的実習内容 必要となる知識等 指導担当者の留意点 例) アセスメント演習 例)
基礎情報の収集・・・前年度の出欠席状況、配慮の必要性、長期欠席経験者への対応
プレゼン資料(進行者用・研修者用)   校内研修会 教師自身の望ましい自己表現.
2010応用行動分析(3) 対人援助の方法としての応用行動分析
学習指導要領の改訂 全国連合小学校長会 会長 大橋 明.
Presentation transcript:

Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について

Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について コミュニケーションについて Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について

コミュニケーションの意義  介護とは、介護サービスを利用する人と介護サービスを提供する人との関係から始まり、人が人に対して直接働きかける行為が介護であり、対人援助であることが大きな特性である。  介護という、利用・提供側双方の目的を共有するために介在するのがコミュニケーションである。  コミュニケーションとは、情報伝達と相互理解という機能をもつ、意思疎通という相互作用のことである。この意思疎通ができるかできないかが、人間関係や信頼関係の構築にも影響を与え、さらに生命の質や生活の質をも左右することになる。  対人援助である介護実践においては、関連する専門職とチームを組み、多職種が連携してさまざまな角度から支援するチームアプローチが必要となるため、コミュニケーションが大きな役割を担っているのである。 Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について

コミュニケーションの役割 ●信頼関係づくり  人間関係はコミュニケーションを通して成り立つもので、信頼関係もコミュニケーションによって育まれるものである。介護という援助的な人間関係には、信頼関係が不可欠であるが、深い信頼関係を築くことができたり、十分な信頼関係を築けなかったりするのも、コミュニケーションのあり方次第であるといっても言い過ぎではない。  信頼関係を築いていくには、初めての出会いのときの自己紹介、毎回のサービス開始時の挨拶や身近な話題、思いやりの言葉かけなどによるコミュニケーションの積み重ねが大切である。 ●情報収集  介護という援助的な人間関係においては、利用者の状態や利用者をとりまく状況といった客観的な情報とともに、利用者の気持ち(意思、感情、価値観など)に関する主観的な情報のいずれもが必要不可欠である。コミュニケーションをつうじて、このような情報収集が行われる。 ●支援の促進  介護においては、介護サービスの提供が主たる支援内容となるが、介護に伴う言葉かけはもちろん、介護しながらのコミュニケーションや時間をとってのコミュニケーションなど、どのような場合でも、訪問介護員は介護目標にそったコミュニケーションを行うからこそ、支援を促進することができるのである。 Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について

コミュニケーションの種類 言語的 準言語的 非言語的 コミュニケーションの種類は、以下の3つがあげられる。  コミュニケーションの種類は、以下の3つがあげられる。 言語的 コミュニケーション 言葉、文字、電話、メール、ファクシミリ等 準言語的 コミュニケーション 語調、声の強弱、長短、抑揚、発話の速さ等 非言語的 コミュニケーション 笑顔、目線、視線、 動作、雰囲気、触れる等 自分の体を正面から相手に向ける、タイミングよくうなづく、イスから身を乗り出す 相手の目、口、顔に焦点を合わせる  バードウイステル(アメリカの学者)の研究では、二者間の対話で伝わるメッセージは、言葉によるものが35%、言葉以外のものが65%という結果であった。また、メラビアンの法則(コミュニケーションの方法と効果)でも、言葉による効果は7%、言葉以外の効果が93%(話し方38%、態度55%)としている。  いずれも準言語的や非言語的(ノンバーバル)コミュニケーションが重要であるということを示している。 Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について

コミュニケーションの方法  訪問介護サービス提供者にどんなに温かい思いやりがあったとしても、どんなに優しい気持ちがあったとしても、その思いが相手に伝わらなければ相手の思いも返ってはこない。コミュニケーションとは、相手の思いを受けとめ、こちらの思いを返すという、思いのキャッチボールであり、このキャッチボールが心のふれあいであり、よりよい人間関係の基本となる。  サービス提供責任者や訪問介護員には、言葉以外に、あいづちのうち方、表情、態度、姿勢、立ち振る舞い、服装などによる表現もコミュニケーションにおいて大きな役割を果たすことを理解し、相手の訴えを理解し、こちらの思いを伝える努力が求められる。 (コミュニケーションの基本的態度) ・相手に安心を与える ・相手を好きになる ・共感的理解を示す ・相手の話をよく聞く ・相手の気持ちを受けとめ、こちらの思いを返す (コミュニケーションを円滑に行うために) ①受容(あるがままに受け入れる)する ②傾聴する ③言葉の返し(気持ち・問題・感情などの、相手の発信をとらえた言葉の返し) ④共感する ⑤適切な「開かれた質問」と「閉ざされた質問」の使い分け Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について

業務上必要なコミュニケーションの留意点 コミュニケーションスキル 報告・連絡・相談 多職種との連携  利用者をとりまく人びとと円滑な人間関係を築くことが必要である。人間関係や信頼関係の基本がコミュニケーションということであり、人間関係における誤解は、このコミュニケーションのギャップによることが多いといわれている。サービス提供責任者には、積極的にコミュニケーションを図る必要性とコミュニケーションスキルを向上させることが求められている。また、コミュニケーションを基本とした人間関係や観察などから情報を得る、情報収集能力を向上させることも求められる。 報告・連絡・相談  訪問介護には、一人ひとりの利用者が「よりよい生活」「よりよい人生」を送ることができるように、適切な訪問介護サービスを提供することが求められている。そのためには、専門職としての知識・技術はもとより、チームケアが重要となる。  チームケアを行うためには、「報告」「連絡」「相談」が基本となる。介護業務を行うチーム全体が同じ方向性をもち、情報を共有し、連携をとりながら、常に「報告」「連絡」「相談」を実践していくことが重要になる。また、情報共有等のためには、記録が重要となる。 多職種との連携  利用者を支援するためには、利用者や家族、担当する訪問介護員だけではなく、多職種との連携が欠かせない。サービス提供責任者は、事業者をこえたチームの一員としての自覚をもち、積極的に多職種とのコミュニケーションをとる必要がある。 Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について

訪問介護サービスにおけるコミュニケーション(1)  訪問介護をはじめとした対人援助の基本は利用者とよりよい関係をつくりあげることである。介護は、介護を受ける人と介護をする人との関係から始まり、双方が働きかける相手が人格をもった人であるという点が重要である。 利用者宅への訪問  訪問介護が介護を行う在宅という場は、人間にとって最もベーシックな家庭という場である。家庭とは、親族のみで構成された、きわめて私的な場であり、本来他人が入りえない空間である。その場において、利用者の生活を大なり小なり変えようとする人物や環境を変えようとする人物には、生活を侵される危険性を感じ、受け入れがたいものである。しかし、利用者は身の回りのことを自分自身で行うことが難しく、また家族の介護力の不足や就労等の関係で、他者の援助を受けなければならない状況といえる。  受け入れる利用者やその家族も、多少の差はあれど生活が変わるという覚悟の元に他者の受け入れをしなければならない状況である。サービス提供責任者をはじめ、訪問介護員は、そのことを理解した上で、コミュニケーションをとることが重要である。 Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について

訪問介護サービスにおけるコミュニケーション(2) 訪問介護員とのコミュニケーション  サービス提供責任者にとって、訪問介護員とのコミュニケーションは重要である。  サービス提供責任者が作成する訪問介護計画を実行(=訪問介護サービスを提供)するのは、訪問介護員である。そのため、利用者の自立支援をめざす上で重要なことは、単に計画にある訪問介護サービスを提供するのではなく、利用者の意向やケアの方向性、課題や目標を確認し、その利用者における訪問介護サービスの役割を訪問介護員が理解することである。これらをサービス提供責任者と訪問介護員が共有した上で、訪問介護サービスを提供し、報告・連絡・相談を行うことが必要となる。そのため、訪問介護員とサービス提供責任者は、訪問介護サービス開始時に利用者の意向やケアの方向性等を共有し、提供時には訪問介護員からの報告や連絡を受け、必要に応じて訪問介護員から相談を受ける、連絡をするなど、訪問介護員との綿密なコミュニケーションが発生するのである。  しかし、訪問介護サービスの提供場所は、サービス提供責任者がいる訪問介護事業所から離れた利用者宅などである。また、直行直帰の場合など、サービス提供責任者と直接顔をあわせる機会が少ないなど、コミュニケーションがとりづらい場面が多いと考えられる。  そのためサービス提供責任者には、指示等を電話やファクシミリなどで伝えるだけでなく、サービス利用開始時には担当する訪問介護員と面談の機会をもつ、訪問介護サービス提供時の報告・連絡、介護記録なども徹底させるなど、サービス提供責任者が積極的に働きかけることが求められる。 Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について

訪問介護サービスにおけるコミュニケーション(3) 普段の利用者に関する情報  利用者と接する時間が長く、また状態をよく把握できるのは訪問介護員である。  利用者が自宅(在宅)で暮らし、慣れ親しんだ地域に住み続けるには、訪問介護が重要な役割を担う。訪問介護員から多職種へさまざまなことを発信し、連携することで、利用者の状態が維持され、在宅での期間が延びることにもつながる。地域包括ケアの実現のためには重要である。  サービス提供責任者は、訪問介護員に利用者の状態等を報告させる、それを生活支援という視点でサービス提供者会議等で多職種へ発信しなければならないのである。 Ⅲ 利用者・家族、訪問介護員他、多職種との連携におけるコミュニケーション技術について