地域資源管理科学専攻 労働環境工学分野 松岡 紘典 建築人間工学について 地域資源管理科学専攻 労働環境工学分野 松岡 紘典
序 論 身体的条件 心理的条件 社会文化的条件 生活環境 また、個人か集団か でも変わる! ・身長 ・体重 ・欲求 ・年齢 ・動機づけ 序 論 身体的条件 心理的条件 ・身長 ・体重 ・年齢 ・健康 ・能力 等 ・欲求 ・動機づけ ・好き嫌い 等 社会文化的条件 生活環境 ・経験 ・価値 ・倫理 ・役割 等 ・家族構成 ・ライフスタイル 等 また、個人か集団か でも変わる!
建築人間工学とは… 人間の視覚・知覚・感性などの特性や、設計の基本となる人間の活動能力から決まる単位・寸法、災害防止や環境との調和にかかわる人間の個として、あるいは集団としての行動法則、人口の密度の関係など、建築と人間、空間と人間に関するあらゆる問題を調査・研究する学問である。
世界で建築人間工学の考えが 利用されている例を見ていってみよう!!
アメリカ合衆国 サンフランシスコ 車椅子使用者でも座れる座席が300以上ある。車椅子使用者が通路を通る場合に係員が椅子を移動してくれる。車椅子使用する観客がいない場合には、一般の観客も使用する。 セントラルパーク 車椅子を使用する子供が利用できる遊具の構成をしており、安全面を考えて、ゴムチップ製の地面やベンチを使用している。 カリフォルニア大学 校舎に入るドアは自動ドアになっており、車椅子使用者でも開けられる様にボタンが設置してある。
イギリス ショップモビリティ まちの中心部に電動スクーターや車イスなどの移動用機器を備え、常時または一時的な移動の困難を持つ人に貸し出すシステム。 グロスター 「ハリーポッター」の舞台にもなった大聖堂。一部を除くが、バリアフリー化が行われ、車椅子やスクーターでも入る事が出来る。 車を排除したため、広い歩道スペースを確保出来、至る所にベンチが設置してある。
カナダ トロント空港 家族トイレ。車椅子用トイレも別に設備されている。介護者が異性の場合などでも気兼ねなく利用する事が出来る。 エレベーター。視覚に障害を持つ人でも、はっきりとどのボタンを押したか分かる様に設計されている。点字が分からない視覚障害者や海外からの旅行者でも判別しやすい。 バンクーバー 駅構内の電車の乗り入れ口。ホームと車両の段差がゼロ。
その他の国々 コロンビア バスは低床化はされていないが、バス停がバスの床に合わせて高く設計されているので、車椅子使用者でもスムーズに乗車できる。 スウェーデン エレベーターのボタン。腕の力が無くてもボタンを押せるように設計されている。 南アフリカ共和国 ジグザグに設置されたスロープ。直線に設置するより傾斜が緩やかになっている。
大体、建築人間工学が社会の中でどの様に利用されているか分かったね! 次は、日本の事例を挙げながら、建築人間工学について、もう少し深く掘り下げていくよっ!!
日本での建築に関する法律の変遷 日本でも、「障害のある人の社会参加が阻害されているのは、その人に障害があるためではなく、今まで見捨てられてきたニーズを持つ人を受け入れる事が出来ない社会に問題があるのでは無いか!?リハビリするのは社会ではないのか?」という社会モデルの考えが定着してきたんだね。そして、その考えからバリアフリー⇒ユニバーサルデザインの取り入れと、変わっていくんだ。 1994年 ハートビル法 (正式名:高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法) 1995年 福祉のまちづくり条例 2000年 交通バリアフリー法 (正式名:高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律) 2004年 バリアフリー新法 (正式名:高齢者、身体障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)
バリアフリーとは? ユニバーサルデザインとは? 二つの違いは? 障害のある人が社会生活していく上で障壁(バリア)となるものを除去すること。もともとは段差解消などハード面(施設)の色彩が強いが、広義には障害者の社会参加を困難にする障害の除去(ソフト面の思いやり、気持ち)を含む。 ユニバーサルデザインとは? 全員が利用 しやすいもの… 改善または特殊化された設計なしで、最大限可能な限り、全ての人々に利用しやすい環境と製品のデザイン。 二つの違いは? バリアフリーはもともとあったバリアを取り除くこと、それに対しユニバーサルデザインは最初から取り除かれている(特別な調整をしない)ことを指す。
日本の事例 こういった施設はどういった考え から取り入れられているのだろう? UDモデル住宅の一例 大型商業施設
設計・寸法について 全ての人間に対して利用しやすい建築物をつくるにあたって考えなければならない事は、全ての人間の寸法、動作スペースがその建築物にあることである。特に子供や障害者にとって利用しづらい建物であってはならない。国でも高齢者・身体障害者等の利用を配慮した建築設計基準を出しているので、その基準を踏まえて建築設計を行った方が良い。 熱・空気の環境 建築計画や空気調和設備の設計に必要な、室内の温度や湿度の目標値の標準のあり方は、先進諸国でもほとんど統一されていない。わが国の法律(ビル管法、建築基準法、省エネルギー建築設計指針等)の室内の温湿度の規定は室の種類さえ問わない大まかなものであって、高齢者・障害者等の配慮が見受けられない。空気の環境としては、アスベスト問題やシックハウスへの対策が講じられている。
音の環境 聴力を補助する役割 騒音を防止する役割 音楽を楽しむ役割 遮音・吸音性の高い設計 コンサートホール・音楽室 私たちの環境では様々な音が発せられている。音は時間や環境、時には私たちの心理状態によって、心地よい音にもなるし、不快な騒音にもなる。建築物にはどういった音に対しての設計を行ったら良いのだろうか。 聴力を補助する役割 騒音を防止する役割 音楽を楽しむ役割 遮音・吸音性の高い設計 コンサートホール・音楽室 音声案内・感応性の聴力補助
光の環境 全ての人に対応した光の環境を建築物に求めるなら、照明は明るさの確保(通常の建築計画で必要とされている照度の1.5~2.0倍)と、明度差がはっきりした標識の設置(特に黄色を使う時には要注意)が必要だね!標識には視覚以外に判断出来る方法をとると効果的!! 人間の生活の中では、活動・休息の為に適度な明るさ(暗さ)が必要であり、照明や採光の技術はくらしにふさわしい環境を制御するために存在する。また、光によって生じる視覚もともに重要である。建築物はこういった光の環境についてどの様に設計すれば良いのだろうか。 色の見えやすさ(明度差)
群集の行動法則 ・歩行者の歩行軌跡データの解析シュミレーション ・群集心理を踏まえた上での建築物設計 ⇒出入り口の広さの検討 建築物が関わる災害として、地震の様な自然災害と火事等の突発的な事故が考えられる。建築物に関わる災害で被害を受けるのは人間である。特に、不特定多数の人間が集まる商業施設やオフィスビル等では出口に一気に人が押し寄せて集団パニック状態になり、死傷者を増やす可能性も否めない。そこで、群集の行動法則を調べる事により、災害に対応出来る様な建築物の設計を行う必要がある。また群集の行動法則を知る事により、交通渋滞の緩和・建築物の配置等にも活かす事が出来る。 ・歩行者の歩行軌跡データの解析シュミレーション ・群集心理を踏まえた上での建築物設計 ⇒出入り口の広さの検討 ⇒避難経路の案内の明示化 ・誘導案内システムの設置化
今後の建築人間工学 建築人間工学という分野を考えた時、ユニバーサルデザインという考え方を切って考える事が出来ない。ユニバーサルデザインは「過去よりは現在、現在よりは将来へと改善の手順を着実に積み重ねていくことを求めている」ので、今後の建築人間工学では、より多くの人が建物を利用できる様な研究と、それを実現する為の社会形成を行っていかねばならない。
図解 バリアフリーの建築設計-福祉社会の設計マニュアル- 第二版 参考文献 図解 バリアフリーの建築設計-福祉社会の設計マニュアル- 第二版 荒木兵一郎・藤本尚久・田中直人著 彰国社 高齢者のための建築環境 日本建築学会編 DIOMOND CITY http://www.diamondcity.co.jp/csr/ud.html ユニバーサルデザイン・ネット くまもと http://www.pref.kumamoto.jp/ud/index.html バリアフリーからユニバーサルデザインへ http://web.sfc.keio.ac.jp/~s99433as/ud/ 木島英登バリアフリー研究所 http://www.kijikiji.com/consultant/ex/usa.htm TOLI ONLINE http://www.toli.co.jp/housetopics/main_topic_feb1.html
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