ほめて仕事の段取りと 安全をつくる 弓野憲一 静岡大学名誉教授/ 日本創造学会名誉学会長
Fの事業 1.土木運輸 2.地盤改良 3.解体 4.リサイクル
仕事の段取りと安全を 改善するには?(1) 会社の中では、これらを解決するための「アイデア」を常に考え、実行している。従って、なかなかいい「アイデア」はでない。 <いいアイデアをだすには> いい段取りと安全に関連する「キーワード」をだす。 <キーワード> ①手際よい ②しなやかな
仕事の段取りと安全を 改善するには?(2) 次に、キーワードに関連する「人」や「ものごと」を考える。 ①手際よい → 料理名人、 心臓外科医、 トヨタ ②しなやかな → イチロー、 山岳ガイド なぜ、無関係なキーワードを出すのか? ⇒⇒⇒ 広い範囲で考えることを可能にする
料理名人 1.食材の選択 2.食材を最も生かす調理法の開発 3.調理が手際よい 4.一つの料理に必要な食材等を手近に配置(動線の短縮) 5.同時に複数の調理をする 6.器と料理のバランス 7.スタッフをまとめ、力を引き出す 8.本物の道具をもつ 9.お客に対する挨拶がいい 10.料理の説明が巧み 11.]もう一度行きたいと思わせる 12.常に調理場をクリーンに保つ
心臓外科の名医 心臓をイメージで想い浮かべる <多くの模擬計画をつくる> 1.[段取り1]どこをどう切り、 2.[段取り2]どのように縫い合わせるか <手術の前に模擬計画毎に> 3.医療機器をもって手足・体を動かして、繰り返し練習 <スタッフとの打ち合わせ> 4.模擬計画に対応したすばやい手術を実行するための 詳細な打ち合わせ
イチロー 1.高打率 2.好守備 3.怪我がない 4.入念なリラックス 5.決まった儀式をしてバッターボックスに入る 6.細いバット 7.芯でボールをとらえる 8.機会を利用してタイミングをとる訓練(列車に乗って電柱が見えた瞬間に目をつぶる) 9.ピッチャーの癖を逆手に取る
山岳ガイド 1.危険路の標識を立てる 2.全行程の中での危険箇所の説明 3.疲労を防ぐ歩き方 4.緊急食料・水を準備する 5.気候の急変に備える(カッパ、ヤッケ) 6.尾根における風の説明 7.風の抵抗を少なくする姿勢・動作を練習
手際よい段取り・安全標語をつくる 人の話は聞いただけで終わりがち。 自分たちが深くかかわって議論を重ね、試行錯誤して作り上げた「目標」や「願い」や「安全標語」は実行できる。 「料理名人」「心臓外科の名医」「イチロー」「山岳ガイド」のアイデアを、自分の仕事に応用して、「手際よい段取りおよび安全標語」をつくる
よくできた標語の例 × 「資材を整理整頓して、作業を急ぎましょう」 × 「資材を整理整頓して、作業を急ぎましょう」 ○ 「今日の作業に必要な資材を、手際よい料理名人のように、動線が最も短くなる地点に移動させ、さらに少ない往復回数ですむように配置しましょう」 × 「今日は高所の作業があります。事故のおきないように注意しましょう。」 ○ 「今日は高所の作業があります。しなやかなイチローのように、入念に準備運動をしてから、作業を開始してください。」
しかるの心理 ①あなたのやっていることは間違っている。私のもっている「正しいモデル」に照らすと、あなたのやっていることはおかしい。 ②私はあなたの間違った行動を正したい、あるいは禁止したい。 ③私が「教える人」であって、あなたは未熟な「学ぶ人」であるという社会的な上下関係の確認。 ④感情に訴えて、目標に向けてがんばらせる。
ほめるの心理 ①あなたのやっていることは正しい。 ②あなたのやっていることは優れている。 ③いまやっていることをそのまま続けなさい。 ④私はあなたを認めている。 ⑤私はあなたを賞賛している。 このような意味や情報が含まれている。それゆえ、ほめるはしかるに比べるとポジティブな意味をもっている。
誰が誰をほめるか 社長 → 部下 リーダー → 部下 部下 → 社長・リーダー リーダー --- リーダー 部下 ----- 部下
何を・どこをほめるのか 会社の未来 すぐれた段取り 仕事の手際のよさ 安全標語のでき 仕事の現場に則した安全確認ができた がんばって仕事ができた 次の重機運転手希望者