高等教育機関における軽度発達障害学生の支援について(1) 関東1都3県の大学・短期大学に対する 1次調査の結果より

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高等教育機関における軽度発達障害学生の支援について(1) 関東1都3県の大学・短期大学に対する 1次調査の結果より 高等教育機関における軽度発達障害学生の支援について(1) 関東1都3県の大学・短期大学に対する 1次調査の結果より ○ 徳永 豊 佐藤克敏 小塩允護 (独立行政法人国立特殊教育総合研究所)

調 査 目 的 対象:大学・短期大学の学生相談室 (センター) 内容:軽度知的障害や学習障害等 (軽度発達障害) 相談など学生への対応の実態 調 査 目 的 対象:大学・短期大学の学生相談室            (センター) 内容:軽度知的障害や学習障害等 (軽度発達障害)    相談など学生への対応の実態    について

方 法 ・対象:東京、神奈川、千葉、埼玉の全大学・短期大学301大学の学生相談室(センター) 方 法 ・対象:東京、神奈川、千葉、埼玉の全大学・短期大学301大学の学生相談室(センター) ・質問問紙:平成14年度の相談実績、障害学生に支援を提供している部門、相談者数、軽度発達障害学生の内訳から構成した。 ・回収率は43.9%

結 果

表1 相談実績のある大学数とその割合 障害種 大学数 回答の割合(%) 全体 内訳 軽度発達障害 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 66 40  軽度発達障害  視覚障害                     聴覚障害  肢体不自由     66 40 11 24 20 50.0 30.3 8.3 18.2 15.2 軽度発達障害は学習障害(以下LD)・注意欠陥/多動症候群(以下ADHD)・高機能自閉症等(アスペルガー症候群を含む)の診断があるか、またはその疑いがある場合とした。回答のあった132大学の内,66大学に相談実績が認められた。相談の内訳を見ると,軽度発達障害が40大学であり,視覚障害,聴覚障害,肢体不自由に比べ多かった。

表2 支援を提供している部門 部門 記入数 学生相談室・センター 学生相談室以外 無し 相談室以外の内訳 49 19 7 保健室・保健管理センター等  学生課・学生生活課等  学務課等  その他 49 19 7 9 3 5 学生相談室・センターが49大学と最も多くかった。「身障者受入委員会」という委員会が回答の中に1大学であったが,障害学生支援センターもしくは支援室という回答はなかった。

表3 大学における相談者数 障害種 相談者数(66大学) 相談者数(40大学) 軽度発達障害 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 96 36 56 64 12 19 平成14年度の障害学生の相談実績のあった全ての66大学を見ると,軽度発達障害学生が96名,肢体不自由学生64名,聴覚障害学生56名,視覚障害学生36名であった。軽度発達障害学生の相談があったと回答した40大学で見ると,軽度発達障害学生が96名,肢体不自由学生,聴覚障害学生,視覚障害学生の相談者数は20名以下であった。

表4 軽度発達障害学生数の内訳 疑い 診断有り 高機能自閉症 LD ADHD 軽度知的障害 いずれかの疑い 47 6 11 4 28 14 表4 軽度発達障害学生数の内訳 疑い 診断有り 高機能自閉症 LD ADHD 軽度知的障害 いずれかの疑い 47 6 11 4 28 14 1 3 — 明確な診断のある学生は19名であり全体の1/5程度であった。相談者としては,高機能自閉症が疑われる学生が最も多く,次いでいずれかの障害が疑われる学生が多かった。

考 察

軽度発達障害学生の相談では,高機能自閉症が最も多かった。 LD学生は高機能自閉症学生とADHD学生と同数以上が存在している可能性がある。 学生相談室・センターに相談に訪れている学生についての調査であることから,顕在化しやすい行動面の相談が多く,LD学生の相談数については少ない結果となった可能性が高い。 また,行動面の問題が顕在化していないLD学生の場合,相談する場や支援を受ける場が大学や短期大学には存在していない可能性も考えられる。